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『終戦記念日とオリンピック 』

8月15日。
今日は67回目の終戦記念日だった 。

17日間にわたるロンドンオリンピックも終わり、
消費税増税をめぐる国会のどたばたも、気持ち的には不燃焼のまま一件落着して、
世の中は、夏の暑さの中、一種の虚脱状態。
1945年の8月15日。日本が戦争に負けた日も、夏らしく晴れた日だったという。
その日、日本中を襲った虚脱感と一種の解放感…
私もまだ生まれていなくて知っているわけもないのだが、8月15日と言うと、
なぜか、その日の空虚感が日本人としてのDNAの中に組み込まれていて、
まるでその日を生きていたような気分になる……
オリンピックが終わったということもあって、今年はとりわけそんな感じを受ける。
今日は私も、太平洋戦争で散った多くの命を想い、黙祷を捧げた……

さて。
第30回目のオリンピック競技会ロンドン大会。いかがでしたか。
無論たくさんのアスリートたちの活躍、素晴らしいのだけれど、
私にとって毎回のオリンピックでいつも心に残るのは、開会式閉会式の模様に
顕著に表れる、その時の開催国の想いというか、その国の歴史と文化の色と
いうようなものである。
今回のロンドンオリンピックには、衰えたりと言えどイギリスという国の
やはり文化と歴史の重層性のすごさ、というか厚みを感じたなあ……!
ロンドンの美しい歴史的建造物群や、緑の豊かさ、テームズ川の流れ…
テレビの前でロンドン歴史散歩をしているような気分を味わえた。

そして何より深く印象づけられたのが、イギリスが世界に送り出した文化の、
その圧倒的な量と質の高さである。
産業革命の頃から、今日まで。イギリス文化が世界に与えた影響のどれほど大きかったことか!
音楽一つとっても、ビートルズ、ローリングストーンズ、デヴィッド・ボウイ、
エリック・クラプトン、ザ・フー、レッド・ツェッペリン、クイーン、
セックス・ピストルズ、オアシス、ピンク・フロイド、……
なんというビッグネームばかりだろう!
そして、また例えば、児童文学の分野でも、イギリスが世界の子供たちにくれた贈り物は
なんと大きかったことだろう!
開会式の中で使われただけでも、ピーターパン、メアリー・ポピンズ、チキチキバンバン、
不思議の国のアリス、そしてあのハリー・ポッターシリーズの作者、J.K.ローリング 
さんはなんと、ピーターパンの朗読生出演……
文学で言えば、『テンペスト』から一節が引用されたシェークスピア、ディケンズ、…
…まあ、今回使われなくても、イギリスが世界に誇れる詩や戯曲、小説など文学上の傑作は
数知れず。

大英帝国がその世界における覇権を失い、斜陽の国と言われて久しいけれど、
こうやってその文化の厚みと、世界に与えた影響、多くの喜びを見てくると、
この国はやはり、今でもすごいなあ!と舌を巻いてしまう…

映画もすごい!
ジェームズ・ボンドシリーズは世界を長きにわたって魅了しているが、6代目ジェームズ・ボンドの
ダニエル・クレイグが、なんと!バッキンガム宮殿にエリザベス女王を迎えに行き、
オリンピック会場までエスコートするという、びっくりするような演出!
なんと女王様が、オリンピックの開会式のショーに自ら出演なさるとは!!!
日本の皇室では考えられないことだ。いいとか悪いとかの問題ではないけれども…
女王陛下の愛犬までが名演技!
そういえば、このウェルシュ・コ―ギ―というのもイギリス、ウェールズ地方が原産だからなあ。

そのイギリスの生んだ数々の映画の中で、名作の誉れたかいものの一つに
開会式のショーで使われた『炎のランナー』がある。
ベルリン・フィルの主席指揮者をしているサイモン・ラトルが
ロンドン・シンフォニー・オーケストラを指揮して、映画『炎のランナー』の主題曲を
演奏するのだが、そこにちゃっかり、あの『Mr.ビーン』のローワン・アトキンソンが
紛れ込んでいるという趣向! 

さて。今日書きたいのは、この『炎のランナー』という映画のエピソードである。
『炎のランナー』は、1981年のイギリス映画。アカデミー賞の作品賞のほか、
脚本、作曲、衣裳デザイン賞を受賞している。
これは1924年のパリ・オリンピックに出た二人のイギリス人ランナー(実在の人物)を
主人公にした青春群像を描いた名作である。
一人は、ユダヤの血を引くケンブリッジ大学学生ハロルド。彼は、自分の民族の血のゆえに
受ける潜在的差別を、走ることによって跳ね返し、自分が英国の民である
証をオリンピックで勝つことによって示したいと思っている。
今ひとりはスコットランドから来た青年エリック。中国生まれのキリスト教青年伝道師。
父が中国で伝道していた関係でそこで生まれた。
この二人のランナーを中心にして、恋や友情、スポーツ精神、そして人種差別などの
問題も絡めた人間ドラマが描かれていく。

エリックは、100メートル走に出る予定だったのだが、その予選の日は運悪く日曜日。
敬虔な宣教師であるエリックは、安息日に走ることはできない。
王太子やサザーランド公など要人からも、イギリスの代表として国の名誉のために
走れと言われ、苦境に立たされる……

まあ、映画をこれからご覧になりたいと思われる方のために、これ以上のストーリーは
話さないでおくが、映画の後日談ならいいだろう。
ユダヤ人のハロルドは後に、弁護士、キャスター、スポーツ組織指導者となって、
イギリスのアマチュアスポーツ界に貢献し1978年に亡くなっている。
一方のエリック・リデルは、生まれ故郷の中国に渡り宣教師となり、
日本軍の捕虜収容所に抑留されたまま1945年に43歳の若さで脳腫瘍で亡くなったそうだ。

日本軍の捕虜収容所、と言えば、今回、開会式で日本選手団が、行進後、
各国選手団が行進が終わるまで待っている会場中央部でなく、なぜかそのまま
通路から外に誘導されてしまい、聖火の点火も見ることが出来なかったのを
ご存じでいらっしゃるだろうか。
日本人が会場の外に誘導されていなくなってしまったのに気づいた日本人の観客から
『なぜ、なぜ?』というつぶやきがネット上で瞬く間に広がり、
日本人選手団が身につけていた、東北大震災瓦礫の木片で作った応援バッジが、
放射能を帯びているのでは、とイギリスのオリンピック委員会が恐れたからだ、とか、
いや、日本人が太平洋戦争の時、イギリス人捕虜などに対し、人道的でない
ひどい扱いをしたことを、今でも在命中のイギリス人軍属やその家族は
許していないからだ、などと、いろんなうわさが飛び交った!
私は、そのバッジの件については、子どもたちを利用して、隅っこに
『みんなの力でがれき処理』と書いた応援バッジを選手に渡すなどという、
政府の無センスと、子供やオリンピックを瓦礫拡散の宣伝に利用する姑息を憎むが、でも、
日本人選手団の誤誘導(現地オリンピック委員会が誤誘導を謝罪している)と、
バッジは関係ないだろうと思っている。

世界のスポーツの祭典で、そんな戦争中の恨みを晴らすなどという、
ネットで飛び交う噂のような馬鹿馬鹿しいことも、同様にあるわけはないのだが、
そのこととは別にして、旧日本軍に対して、イギリス、オーストラリアなど
連合軍側の元捕虜たちが、捕虜収容所でのひどい待遇について、いまだに許していない
者がいる、ということは否定しがたい事実であろう。ずっと以前だがNHKの番組で
見たことがある。

英国軍兵士に対する旧日本軍による虐待の事実がすぐわかる資料というのが
見つけられなかったが、下のような日本人学究による研究の一部を見てみれば、
現在、『日本軍による南京大虐殺はなかった』とか、
『沖縄で軍属の人間による集団自決の強要はあり得ない』とか、
『日本人は捕虜に対し丁重であって、虐待の事実はない、ゴボウを調理して出した物を
木の根っこを食べさせられた!と誤解しているだけだ』、
などという、戦争賛美者の言が、いかに、歴史の事実を歪曲しそこから目をそむけようと
しているか、ということがわかるだろう。
とりわけ、中国大陸における日本軍の残虐は、目をそむけたくなる!

http://www.geocities.jp/torikai007/1945/pow.html

これを、捏造だというか、それを信じるかどうかは、それを見る者の良心と想像力の
問題であろうと私は思う。
日本人兵士だけを責めているつもりはない。
戦争というものはなべて、人間をこういう生きものにしてしまうのだ!ということを、
私たちは知っておかねばならないと思うのである。
それは日本人、ドイツ人、アメリカ人、アラブ人…民族に関係ないのである。
アメリカの兵士が爆風でボロボロの雑巾のようになったベトナム人の死体を
ぶら下げて笑っている有名な写真をご覧になった方も多いだろう。

戦争は人間の人格を変えてしまう。あるいは、人間の中にこのような獣性は
もともとあって、戦争がそれを引き出してしまうのか…
どちらにしても、私たちは、人間というものの、そうした怖い側面に
目をつむるのではなく、直視しなければならないと思う。


話をエリック・リデルに戻そう。
実は私も、映画はずっと前に見ていたけれど、主人公の一人、1924年
パリ・オリンピックの400メートル金メダルのエリック・リデルが
日本軍の捕虜収容所で亡くなったとは、このオリンピックまで知らなかった。
知人から聞いて驚いたのである。
それで自分でも調べて見ていたら、こんなさらなる後日談を教えてくださるブログに出会った。

もともとはずっと前の東京新聞の記事だそうである。さすが東京新聞!というか…。
ブログを一部引用させていただく。

映画『炎のランナー』の主人公のモデルとなった1924年の
パリ五輪400メートル走で優勝し金メダルを獲得した英国人エリック・リデルさんは、
国民的英雄だったが、その後宣教師として中国へ。太平洋戦争開戦で日本軍の
民間収容所に入れられ1945年2月に病死した。

そのリデルさんと同じ収容所に入れられた宣教師の子供として中国に生まれ育った
スティーブン・メティカフさんは終戦までの四年間を一緒に過ごした。
当時、メティカフさんにとっては日本は憎しみの対象である『敵国』。
しかし、信仰深いリデルさんから聖書について学び、その意識が変えられていったという。

聖書の『汝(なんじ)の敵を愛せよ』という言葉をめぐって論争。
メティカフさんが『日本の憲兵を愛するなんてできるのか。この言葉は単に理想だ』
と問いかけてみたが、戦争に駆り立てられる日本人のために、熱心に祈りをささげる
リデルさんの姿に次第に自らも祈るように変わった。
収容所で死亡したリデルさんから贈られた運動靴をはき、その棺をかついだメティカフさんは
『生きてここを出られたら、日本のために宣教師として働こう』と決意。

終戦後、日本を憎む周囲の反対を振り切って来日し、1990年まで日本で伝道活動を続けた。
メティカフさんは出版する本を通じて
『日本は豊かになり、国際的な視点も持つようになったが、あの戦争について
あまりにも教えてこなかった。リデルさんの遺志を伝え、断絶を埋めたい』
と日本の若者に語りかけんとしている。

このようなストリーに日本人が接することは少ない。
日本人の心にこのような寛容さがあるのであろうか?と私は時たま思うことがある。
日本人の論理構造や精神構造の中には、リデルさんやメティカフが心の中に持つ
『幅の広さ』や『奥の深さ』が感じらず、極めて限られた幅しか持っていないのではないか?
と時たま感じているのは私だけであろうか?私はクリスチャンでは無いが、
時たま西洋人と接し、日本人とは違う何らかの『幅』を感ずることがある。


このブログの方のURLを、記事を書いている間に消去してしまった!
ご本人にはコメント欄へ、記事引用させてほしいというお断りをしてはあるのだが、
ここで、お礼を述べさせていただきたい。

スティーブン・メティカフさんの言葉。
『日本は豊かになり、国際的な視点も持つようになったが、あの戦争について
あまりにも教えてこなかった。
リデルさんの遺志を伝え、断絶を埋めたい』
に、私は日本人として、深く恥じ入り、頭を下げたい心持である。
また、ブログの方の最後の疑問にも、深く共感する。

日本人は戦後、太平洋戦争について真実を直視し、後世にそれを負の教訓として
ちゃんと伝えてきたであろうか。
例えば、731部隊。中国大陸で日本軍が行ってきた人体実験。
しかし、その詳細は明らかにされることなく歴史の闇の中に埋もれようとしている。
731部隊の情報をすべてアメリカ軍に提供することと引き換えに、731部隊の
責任者たち、…その真実が明らかにされれば、A級戦犯として裁かれること
間違いなしの責任者たちが免責された、というのはWikipedeaなどにも書いてある。
731部隊の生き残りたちは、戦後そうやって、アメリカ軍と取引することによって
誰ひとり戦時の責任を訴追されることなく、日本の衛生学行政や学界などで
中枢の役についていくのである。
この731部隊の生き残りは、あの薬害エイズを引き起こしたミドリ十字設立にも
関わっている。
歴史上の汚点を直視しない人々によって、新たな別の悲劇が引き起こされたということだ。

アメリカとの圧倒的な戦力の差という現実を見ず、ただ小奇麗な精神論だけで戦争に勝つと
兵士を国民を鼓舞し、結局自国の兵士も国民も、そしてアジアの人々をも
死と不幸に陥れた日本の軍部上層部と時の政府。
それから、それを許しむしろお先棒を担いで、戦争に駆り立てたジャーナリズム、
さらに言えば、日本が戦争に突入して行くのを、止められなかった国民自身。
その構造は、『原発は安価でクリーンで安全なエネルギー』という小奇麗な嘘で、
結局、福島第一原発事故を引き起こしてしまった電力会社、政府、
経済界、マスコミ、学界、そしてそれを見過ごしにしてきた国民の構図と
なんと似ていることであろう。
ここでも、自分たちに都合の悪い情報は隠ぺいするか、敢えて見ないようにする、という体質や、
いやなことを直視したくない、お上の言うことにただ従う、という心性が、
悲劇を生みだす、という教訓が少しも生かされていない。

エリック・リデルや、スティ―ブン・メティカフ両師のように、自分たちを捕虜として
いた敵国日本のためにさえ祈ろうとするこころ。
大飯原発再稼動に。遠くヨーロッパやアメリカで抗議行動をしてくれるそのこころ。

一方で、南京大虐殺を、『そんなに殺していない。数週間という短期間で一説には20万
から数万とも言われる人間を殺せるはずがない』と、人数の問題に帰してしまおうとしたり、
はては『南京虐殺はなかった』と言い張る人が、政治家や知識人の間にさえいる日本。
ああ!…『福島の事故では一人も直接放射能で死んだ人はいない』とか、
『プルトニウムは飲んでも大丈夫』『100ミリシーベルト以下は大丈夫』という
いい方と、なんと似ているのであろうか!

イギリス人だからとか、日本人だから、ということとは関係ない、
こうした、現実の危機を過小評価し、必要な時に必要な手を打とうとしない怠慢と傲慢、
想像力の欠如、そして他人に痛みに対する鈍感さを私は憎むのである!


太平洋戦争終結67年目のこの日や、広島、長崎の原爆記念日を、
日本人が原爆にやられた日、日本人が戦争に負けた日、と記憶してはならないと思う。
私たち自身の中にも潜む、この獣性。それを戦争などによって引き出したり
しないようにするために。
戦争というものは。気がついたら、そこに来ている!
そうなったらもうなかなかのことでは止められない。そうなる前に、その恐ろしい萌芽に
気づいて、芽を摘み取ることである。
それは原発事故も、食糧危機も、金融大崩壊も、社会の制度崩壊も、皆同じである…。

ロンドンオリンピックの開会式を見ていてもう一つ感じたこと。
子どもたちがたくさん、ベッドにいる演出を皆さん覚えておいでだろう。
あそこで、イギリスでもっとも有名なこども病院として、GOSH(グレート・オーモンド・
ストリート・ホスピタルの頭文字)が紹介される。1852年(!!!)にロンドンで設立された
イギリスでもっとも古い子ども病院。
ここは難病の子供達を専門的に治療するイギリスで一番有名な高度治療を行う小児科病院。
国民保険で難病の子供達を救う最後の砦である。 
ピーター・パンの作者ジェームズ・バリからピーター・パンの著作権料を1929年以来、
寄付されていることで運営されていることで知られている。そうか!それであの演出か!

また、次にNHS(ナショナル ・ヘルス・サービス)も紹介される。
これはイギリスが世界に誇る医療制度の頭文字。第二次世界大戦直後の1948年、
誰でも安心して等しく医療が受けられるよう作られた制度だという。
利用者の健康リスクや経済的な支払い能力にかかわらず利用が可能であり、
完全に無料で、しかも、6か月以上合法的にイギリスに滞在することが可能なビザを
取得している外国籍の学生などまでもが利用することができる。
そしてあの時踊っていた看護婦さんやお医者さんなどの役は、現役の看護婦さんなどが
務めていたとも。

もし、日本の東京でオリンピックを開催するとして、2002年に大蔵病院と統合され、
今は、国立成育医療センターとなっている旧国立小児病院や、
国民健康保険制度を、こんなふうに、世界に向けて誇らしく紹介するだろうか?
私は、イギリスがすべて日本に勝る、とは決して言っていない。
しかし、こども病院GOSHにしても、NHSにしても、
なんと素晴らしいシステムであり、またそれをオリンピックで、
世界に先駆けた産業革命や、シェークスピアやディケンズやビートルズなどの芸術などと
並べて、『自国の誇るもの』として世界に紹介するイギリスという国! 

日本でも1961年に、国民すべてが公的医療保険に加入する国民皆保険体制が整えられている。
日本が世界に誇れる素晴らしい制度である!
アメリカなどはこれがないために、盲腸の手術で一家が破産するほどの高額の医療費を
無保険者は払わなければならなかったりする。これを何とか日本のように皆保険に
持って行きたいという理想を掲げたヒラリー・クリントンは、共和党支持者、製薬会社、
医学界、保険会社、高額所得者などの激しい抵抗に会って実現できずにいる。

日本人は、自らの今手にしているしあわせに鈍感である。
その幸せは、先人達が血のにじむ努力や時には迫害を受けつつ獲得してきた権利である。
今回のオリンピックで初めて、参加国すべてが男女参加にこぎつけたのだ、ということを
御記憶なさった方も多いだろう。びっくりしませんか?!
女はオリンピックに出られない、という国が前の大会まであったのだ。
日本じゃ当たり前に女もスポーツできるし、選挙権もある。
でも、その我が国だって、婦人が、国でも地方でも参政権を得たのは、戦争後の1946年のことである。
それまでには、幸徳秋水や青鞜の平塚らいてうや奥むめお、また菅直人が青年の頃
市民運動家としてそのもとでスタートを切った、あの市川房枝などが、
砂を噛むような悔しさの中、血を吐くような訴えを続けてようやく獲得した女性の権利なのである。

婦人参政権も、言論の自由も(幸徳秋水は戦争に反対し、足尾鉱毒事件で田中正造が
明治天皇に直訴した時、その原稿の下書きを書いてくれと言われて多くのものが
尻ごみする中、ただ一人引き受けて原稿下書きを作成してやった。大逆罪の罪を
着せられ死刑)、国民皆保険も、日本で当たり前、と思われていることが、
今回のリンピック参加国の多くで、まだまだ実現不能な遠い悲願であることを、
私たちは知っておかねばならないのではないだろうか?
その貴重な、私たちの宝を、ぼんやりして失ってしまってはならない!

平和は脆い。
『戦争が 廊下の奥に 立ってゐた』
と言う渡辺白泉の句のように、
戦争はいつのまにか私たちの傍まで来て立つ。
これは第二次世界大戦が始まった昭和14年の句。時勢に敏感な俳人の
感覚が、近づいてくる戦争の足音と自らの応召を予感したか。(大岡信)
この渡辺白泉も、昭和15年、治安維持法違反で監獄へ入れられている。

日本が世界に誇れる国民皆保険制度。それも今、危機に瀕しているのをご存じか。
『きっと誰かに愛されている』ブログの愛希穂さんの記事をまた参照させていただく。
『社会保障制度改革推進法案』なるものが、オリンピックと政局のどさくさに紛れて
今にも国会に提出されようとしているのだ。
詳しくは愛希穂さんの記事を読んでほしい。

①健康保険の適用範囲の縮小。有効性や安全性が認められても費用の高い医療技術や薬は健康保険を適用しない。

②免責制度の導入。たとえば、1回の医療費が5000円以下は健康保険を適用しないなど。

③高齢者の医療では、本人や家族が望んでも、健康保険を使った終末期の延命治療を一切行わない。

④健康保険が適用される薬はジェネリックで、同じ有効成分の先発薬を使う場合は差額が自己負担になり、選択肢が狭められる。

私もこれをtwitterから、ダイアモンド社の記事に入って知り、今、非常な危惧を感じている。
前に、TPPのことでも、日本のこの大切に守って世界に誇りたい国民皆保険制度が
冒されそうだ、という記事を書いたことがあるが、こんな法案が通り、TPPに
加入してしまったら、日本もアメリカのような国になってしまう。
いったん、その制度が崩れてしまったら、クリントンのような実力者がいくら
動いても、容易に構築できないのが、社会保障制度である。

…イギリスは『斜陽の帝国』と言われ、世界のリーダーの地位ははるか以前に
アメリカに譲った。内部に大きな問題も抱えている。
まず第一はアイルランドとの、長い長い戦争と憎しみの歴史である。
貴族を中心としたエリートと、労働者階級の、越え難い身分差もある。
経済だって問題山積み。

…決してオリンピックで謳いあげているような理想の国ではない。
それでも。それでも、である!
こうやって世界に向けて宣伝して支援金を集めたいという目的があるにせよ、
国立こども病院や、皆保険制度をオリンピックで誇り高く歌いあげて、
どんなに経済が苦しくともそれを守ろうとする強い意志を持つ国と、
「経済、経済!」と、経済や金のためなら、国民の健康と安全など二の次、
三の次にしかねない国、折角の皆保険制度を粗末にして崩壊させてしまいかねない国と、
どっちをあなたは誇りたいか!!??選びたいか??!!

さあ…また長くなってしまった…
でも、こんなことを、ぼんやり開会式の画面を眠くなった目で見ながら
考えていた彼岸花であった。

国民は、自らの手で政治を動かす知恵と力を持たねば、それはいとも簡単に
あなた方の権利を奪う。
自分たちの健康と安全としあわせは、自らの手で守っていかねば、それを巧妙な
言葉で奪うものが待ち構えている。
原発、TPP,治安維持法に似て言論統制、思想統制につながる秘密保全法やACTA条約、
戦争につながる集団自衛権の拡大解釈や改憲問題、そしてこの社会保障制度改革推進法案……
今の政治は油断すると、私たちが歴史で折角、折角、そこから必死で逃れて来たものへ
再び逆行させようとしているようにしか見えない。

わたしより若い世代に、このことをしっかり伝えておきたい、そう願いつつ、
67回目の終戦記念の日に書き記しておく。

最後に、ローワン・アトキンソンのパロディではなく、映画『炎のランナー』でもなく、
本当の、エリック・リデルとハロルド・エイブラハムスのパリ・オリンピックの走りを
見つけたのでご紹介しておこう。
胸のゼッケン419がハロルド・エイブラハムス。ゼッケン451がエリック・リデル。




オリンピックはすばらしい。毎回、身体も心も鍛え抜かれたアスリートたちが見せてくれる
感動のドラマ。今回もなんとたくさんの感動を与えてくれたことだろう!
人間は、スポーツで、芸術で、そしてエリック・リデルやハロルド・エイブラハムスのように
その崇高な精神で、生きる喜びと勇気を示すことが出来る生きものである。
しかしまた、戦争や原発事故、思想統制による同胞迫害、環境破壊など、恐ろしいことを
引き起こす動物でもある。そのことを自覚していよう……


                *

憲法改悪して、自衛隊を武装させて海外派遣したくてたまらない、
『地下式原子力発電所政策推進議員連盟』の推進者で、核武装論者の安倍晋三氏に
橋下氏の大阪維新の会が、この15日、合流を要請した…







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Re:スキップさんへ

スキップさん、こんにちは~♪
日本海周辺が騒がしいですね……。
私も、対朝鮮、対中国の問題は、やはり、日本が戦後、自国がやったことの
反省をしっかりとやってこなかったことが一番の原因だと思っています。
従軍慰安婦の問題だって、それを無かったことにしたい人々は、
『あれは強制ではない、朝鮮の女性が自分たちから進んで慰安婦になりたがったんだ』
などと言っています。
沖縄における集団自決問題に関しても、『軍部による直接的な集団自殺の強要は
なかった』などと言います。
個々のケースでは、確かに命令されずに住民が自発的に慰安婦になったり、
自決したということもあったかもしれない。
しかし、その境遇を作ったのは、やはり日本のアジアへの侵略という行為であり、
徹底した軍国教育と無言の強要のせいだったろうと私は思います。
それしか道はない、と人々を追いこむような境遇にしていったんですね。
日本だからアメリカだから中国だから、…そんな人種なんて関係ない。
悪は悪だと思います。
良く、反戦思想の持ち主に対し、『それではあなたは自分の国が侵略されても、
黙って無抵抗のまま死んでいくのか』という武装論者の物言いを耳にします。
これは一見まともな質問のようであって、非常に卑怯な質問だと思います。
『反原発と言うが、それではあなたは一切電気を使わないのだね』という恫喝と
まったく同じです。
イエスかノ―かの二者択一の質問で、相手の論理を封じてしまおうとする。
橋下氏が、このような論理展開に非常に長けていますね。いや、論理展開じゃない。
恫喝的な、議論の打ち切りです。
核武装論者で、対米追従で、改憲して自衛隊を武装して海外派兵できるようにしたくてたまらない
安倍晋三氏と、橋下氏の組み合わせ。…そんなものを国民はえらびたがるのでしょうか!

安倍晋三氏の血筋の良さと見かけのソフトさをかっこいいと言って
(私は、岸信介、佐藤栄作以来、この家系が大嫌いですが)一時、大衆に人気が
あったことがあります。今でも一部にこのひとや、小泉氏復帰を待望する
声があるのにはがっかりです。
政治家は顔じゃない!顔で国が引っ張っていけるか!
政治家は、なにをその理想とするか、だと思います。
今また、時代が閉塞している中、強い物言いをする人間や面白い人間を
首長などに選びたがる傾向が見え始めてきていますが、本当に心配です。
この国の民は、戦争中も国のプロパガンダにいともやすやすと乗せられました。
そしてその反省もないまま、今また、『愛国心』などを悪く煽りたてようとする
者が出てきている……

国民をしっかりした民にするのには、教育とジャーナリズムが大事な
働きをするのですが、その両方が、今、じわじわと冒されていっています。
『人を殺して自分が生き延びるか!主義を貫いて自分が刺し殺されるか!』……
そんな選択を国民がしなくて済むよう、そんなところに自らを追い込まないよう、
この何やらきな臭い、『予感』ですんでいるうちに、戦争の芽、思想統制の芽は
摘み取っておかねばならないのですが、さて。
テレビのお笑い番組に相変わらず笑い転げている人々を見ていると、
なんだか非常に心配でなりません。

スキップさん。ありがとうございます♪ 




No title

 ご無沙汰してしまいました。相変わらず、精力的な記事内容です。 
 その中で、やはり自分は戦争責任を逃れようとする人たちのことが気になります。彼らこそが愛国的でなく、国を貶めている、そのことに気付かない想像力の無さに呆れるんです。しかもそういう政治家に人気が集まることには絶望的になるんです。好い戦争と悪い戦争があるという幻想こそ、非現実的平和論です。自分の戦争はいい戦争、他者の戦争は悪い戦争、こんな理論武装に、疑問を持たない幼稚さに込みを預けている自分への責任を感じてしまいます。
 日韓、日中関係の基底には日本がなしてしまったことへの総括が終わっていないことが暗い影を落としています。これから逃げないことなしに、今後の両国との良い関係は希望できませんね。

Re: クウ―ママさんへ

クウ―ママさん。こんにちは~~♪

昨日の総理と首都圏反原発連合の人々との話し合い。
あれは話しあい、なんてものじゃなかったですね。わずか30分とは。
まあ、『会ってやった』という言い訳になっただけでしょうね。
早速、もう会わない、というコメント出してますし。
ほんとにこころに届いているなら、「また会いましょう」というセリフが
出てくるはず。
でも、総理を引っ張りだした、というのも、一つの実績です。
デモをしている国民は胸を張っていい。
さらに声を高めて、ろくでもない政治家はばんばん選挙で落していくことですね。

でもね、政治に関心がなかったり、もうあきらめて動かない人も圧倒的に多い。
そういう人を動かしていけないと、選挙結果は、原発事故、大地震が起きる前と
なにも変わっていかない…そこが一番難しいところですね…

それでもね、少しづつは変化が生まれていっているとは思う。
ちょっと前までは、デモなどする人は『特殊な人、変な人』でした!
今は、デモが、自分たちの権利だ!ということを多くのひとが知るようになってきている。
そして、デモを見ると、拒否反応するのでなく、自分も参加してみたい、
という気持ちまで、少しづつでも生まれつつあるのは、ほんとに大きな大きな
変化だと思います。
自然エネルギーの開発普及もこれからもっと進むでしょうし、
外堀も少しずつ埋まって行きます。
あきらめないことが一番ですよね。
国民の厭原発の感情が大きいと知れば、政治家もそう無茶なことはできません。
もっともっと原発いらない、の声を上げていくことですね。
それには、マスコミをもっと動かしたいなあ。
ジャーナリズムを日本はもっとしっかりさせないとだめですね…。

ほんとに難しいことばかり…。
溜め息が出てしまいますが、黙っていると、YESになってしまうので、
私もまた、頑張って声上げていこうと思います。^^
クウ―ママさんの応援、届いていますとも!クウ―ちゃんがおとなしく黙っているけれど
一所懸命尻尾振ってくれていることも!^^
クウ―ママさんも、お体、無理なさらないでくださいね~~~♪
ありがとう~~~♪
力強い妹たちがいてくれて、彼岸花、心強いです!^^

Re: 愛希穂さんへ

愛希穂さん、こんにちは。

私の記事。そんなに丁寧に読んでくださってありがとうございます。
でも、いつもオリンピックの時は、いろいろ考えさせられますね。
スポーツの祭典。政治は持ち込まないとは言いながら、やはりその時の
世界情勢はどうしても見えてしまう。そしてその開催国の国としての矜持、と言いますか…。

今度のロンドンでは、英国という国の、世界に先駆けて産業革命を成し遂げた
開明的な側面(それは裏返せば、植民地主義ともなるのですが)と、
文化の重層性(それは英国が貴族社会を断固守ってきた、階級社会である半面も
示していますが)が色濃く感じられました。
一つの国も、ひとりの個人も、そのように、二面性、三面性を持っている
ものなのでしょうね。
素晴らしい反面と、悪魔のような反面を持っている…イギリス人も日本人も…どこのひとも…

出来るものなら、『良く』生きて欲しいと思うし、『良く』生きたいと思う。
でもおっしゃるように、権力を握っている者は得てして、自分たち少数の人間の
さらなる利益追求しか頭にない。
『肥満と飢餓』。すご~い!全部お読みになったんですね!
(私は途中で放り出してしまっています。汗)でも、あれなどを読むと、イギリスなどの
植民地支配からモンサントなどまで延々と続く、力を持つものがさらなる利益を得るために、
弱いものからさらに奪う、という構造がよく見えますね。
その浅ましさ、そのやり口の露骨さ、巧妙さは恐ろしいほど…。
利益追求のためなら、人が死んでも生活が崩壊してもちらりとの痛みも感じない…
あのような事故を起こした当事者の、しかもその時の社長でありながら、
『私にも老後の生活がありますから』と言って、6億とも7億とも言われる退職金を
平然と受け取る東電前社長…。一方で、子供に詫びながら、今日も放射線量を
気にしつつ、経済的な問題のため、福島から逃げられずにいる人々…
人間って何なんだろう、と思ってしまいますね。

今権力を握り、その権力を、人々のために使おうとするのでなく、自分が生きる
少数の富裕階層の存続のためだけに使う人々…
そうしたほんとにごく少数の人々のために、他の多くの人々が苦悩や苦痛を
味わいつつ生きねばならない社会って、あってもいいの?って思うけど、
世の中ってそういう仕組みなんですよね~~~…
昨日の、首都圏反原発連合の人々との会合で、野田首相の頭をよぎっていた思いは
一体なんだったのでしょう。少しでも、福島の母子のことを見にしみて考えた?
…まったくそうは思えませんね。
ほんとに、どうしてそうなって行くのだろう…

私はまったくの無信心者だけれど、それでも、なにか人知を超えた大きなもの、、
というものに対する畏れ、というものはいつもあります。
それは自然の力であったり、また、宇宙の大きさであったり、また地球の歴史そのもの
であったりします。
その前で、自分の卑小さを感じもするし、また、素晴らしい作曲家の
素晴らしい音楽を演奏して見せてくれる才能を見聞きして高揚を感じたりもする。
その一方で、自分の弱さも知っていて、もし戦争などが起きて、
他人の命と自分の命を天秤にかけねばならない状況下に追い込まれたら、
果たして自分は、自分が平時に考えていた通りの正しい行いが出来るか自信がない。

だからこそ、そういう状況に追い込まれたくないと思います。
そして、うかうかとそういう状況に人を追いこんでいく人間の傲慢というか、
想像力のなさを憎みます。
エリック・リデルさんなどのように、信念に殉じる強さを人はなかなかもてません。
戦争は、そういう信念の人をそのように時に死に追い込み、
また、普通の善意のひとびとを殺人者にもしてしまう!
そんなものを好む人々(武器輸出業者とか、そこからロビー活動を受けて
国民を戦争に駆り立てていく政治家とか経済人とか、マスコミとかね)を
私は嫌悪します。
原子力発電も同じことですよね…。

それを防ぐためには、普通の人々が知識を身につけて、あるいは、人間としての
生物としての強い本能の本質的正しさで持って立ち上がるしかないんですね。
…これからも、いろいろ教えてくださいね。私こそ、いつも勉強させていただいて
います♪
ありがとう~~~♪

No title

 こんばんわ
きょうの総理と脱原発メンバーとの会見は、通過儀礼ですかね・・
またもやひっそりパブリックコメント・・あれもこれもそっちもこっちもで頭がパンクしそう・・読んでるだけなのに・・
おねぇちゃん 力になる事を書けなくてゴメンネ。
熱中症は後に引きずってすぐには治りません。 体を休めて下さいね。

No title

彼岸花さん、こんばんは。

この記事をそうだ、そうだって思いながら1回読んで、何か書きたいと思ったのですが、なかなか書き出せなくて、3回読んでようやくこうやってコメントを書けるようになりました。

人間は「その崇高な精神で、生きる喜びと勇気を示すことが出来る生きものである」かと思えば、「恐ろしいことを引き起こす動物でもある」。 その二面性を人間は持っている、でも多くの人間は前者を選ぼうとすると思うのです。でも、後者を選ぶ少数の人たちが、あまりにも強い力を持っているから、世の中になってしまっているのでしょうか。
両者の違いはどこからくるんでしょうね。色々とあると思うのですが、一つは、真に畏れるべき対象を持っているか持っていないのかの違いかなって。自分を神とするか、しないか。

被造者である人間が神であるわけないのに、あたかも神のように何でもできる、していいのだっていう傲慢な思い・・・結局そういうのを作りだしたのは、一つは教育なんでしょうか。


「炎のランナー」はもう何回見たことでしょう。大阪にいた時、教会で年に1回は見ていました。いい映画ですよね。
エリック・リデル氏のことは素晴らしい方だなって。映画の中で、彼が「僕は走っている時、神の力を感じるんだ」っていうような事を言うんですね。そのシーンが好きでした。
本当に畏れるべきものを畏れる、第一とすべきことを第一とする、そんな勇気というのでしょうか、謙遜というのでしょうか、持ちたいです。

彼岸花さんが以前少し触れられていた『肥満と飢餓』読みました。これは大作ですね。また自分の無知を教えられました。

Re: 鍵コメさんへ

あ~っ、そうですか♪
情報ありがとうございます!
明日、早速聴いてみま~す♪

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Re: やっちゃんさんへ

やっちゃんさん、こんばんは。
はふ~~~、ばててもうた!(笑)
昨夜から頭痛と吐き気で寝てました~。熱中症かなあ。
夕方、バッファリン飲んで、今は大丈夫です。
今夏はどうも、同じ症状が何度も出るなあ。

かっちゃんさん。大阪にまたおいでになられたんですね。
寂しいでしょう?なに、寂しくない?嘘言っちゃいけませんよ(爆)
いい旦那様ですよね~~~。lily姫さんとこのコメントで、
やっちゃんさんがお書きになってらした、かっちゃんさんの言葉。
ほろっとしますよ~~~。いいご夫婦だなあ、って。
やっちゃんさんがいじらしい、そして頑張りやさんのいい女だからだよ、きっと。

ほんとですねえ。故郷を守ってくれる人のいるありがたさ。
私も、故郷喪失者なので、よくわかります。
そして、そんなに簡単に長年住み暮らした土地を捨てることが出来ない気もちもね。
ずっと音信不通のままにして、私には帰る故郷なんてもうない、と思っていた私に、
18年の違う長姉が、こだわりを捨てて帰って来なさい、と声をかけてくれてから、
20年ぶりくらいに郷里に帰った私。ふるさとの山河と、姉妹は文句なしに
優しかった…たった一人で婚家を守っていた長姉も、80を過ぎて病気をしてから、
さすがに子どもたちに怒られたようで、今は自分の娘のところに同居しています。
夫の浮気や姑の壮絶な意地悪に耐えて耐え抜いて、それでも守ってきた婚家。
…人間は、単純な生き物ではありませんね…。

福島の方々の想いは、いかばかりかと思います。
私のように、一つところにじっとしていることがむしろ苦痛で、常に遠いところを
心でふらふらと追い求めている者には、故郷を離れられない人々のつらいきもちは
本当にはわからないのだろうと思います。
でも、お年寄りはともかく、子どもたちは、少しでも汚染されたところには
いて欲しくない。
でも、家庭それぞれに事情があって、外部のものが簡単に移住しちゃいなさいよ、
などとは言えないものがありますね…
ほんとに、何もかもがどうしてこんなに複雑で難しいんでしょう!

人間がほんとに必要としているものは、単純なはずなんだけどなあ。
平和で安定した、健康な暮らし。
他人を冒さず、そこそこの豊かさで満足して暮らせればそれでいいはずなのになあ。
今日もね、ニューヨークの一泊16000円という、お犬様用の高級ホテルの
記事を見ました。
明日食べるトウモロコシ粉もない、飢えた子も世界にはいる一方で、そんな豊かさ…。
人の勝手でしょ、と言われればそれまでだけど、なんだかなあ…おかしいよなあ…
と思ってしまう彼岸花です。

かっちゃんさんに、私からもくれぐれもよろしくとお伝えくださいね♪

Re:ききょうかるかやさんへ

ききょうかるかやさん。こんばんは。
昨夜から頭痛がひどくなり、お返事遅れてすみません。
ちょっとここのところバテ気味です。

ブログは、最初のうち、いろいろ慣れなくて大変ですね。
しかも、ブログによって微妙にシステムや用語が違うから。
私も、もう一度、新しいところで最初からやり直せと言われたら、
もうそのエネルギーないなあ。

トラックバックですか。
相手の方から、トラックバックしたい、という申し込みがあって、
それが変なサイトでないのなら、『どうぞ』と返事なさればいいのでは?
相手にトラックバックされても、こちらがお返しにトラックバックする必要は
ないと思います。
私は、最初のうちはトラックバックしていましたが、最近は記事の中で
引用させていただいてばかりです。
だんだん慣れて世界が広がって行くと楽しいですね。
ききょうかるかやさん。がんば♪^^

No title

彼岸花さんこんにちわ !
残暑がきびしいですのでゆ~ったりと
お過ごしされていることと思います。

おかげ様にてウチのかっちゃん大阪向け出発いたしました。
彼岸花さんにくれぐれもよろしくお伝えてほしいと申しておりました。
そしてこうも言ってました。
故郷があるということはつくづくありがたいものだと、、、。
長年1人でしっかり守ってくれたお母さんのおかげやと、、、。

福島から避難される方も多いけど、あえて避難しない人の気持ちも
俺には良~く理解できる、と。
そんな簡単に捨てられるもんやないねん、と、、、。
放射能見えないから、実際体に変化起きないと
そこに居てて頭でわかってても実感なかったしなあ、、、。
とやっちゃんも同じように思います。
けど変化出てからでは遅いし、、、。
ほんとに答えの出せないむずかしい問題ですね、、、。

No title

彼岸花さんのリンク新しいほうにさせていただきました。今日の午後無事に。。
名称がリンクというのでないので戸惑ってしまいました。
できたあと疲れて眠ってしまいました。
これから他の方のも加えさせていただくつもりです。
前もってのご挨拶が必要かと思いますが、お願いしておいてもし成功しなかったらと、迷うところです。
それから以前ある方からトラックバックというのの申し込みがあったのですが、
拒否する、というのしかわからなかったので、2、3回ブログ訪問だけしてそのままにしてしまいました。
10日してやはり気になり「どうしたらいいか分からなくて、失礼しました。これから勉強します」とコメントをして、挑戦してみましたが、どちらのURLを書き込んだらいいのか分からずまたもや挫折。近頃こんなことばかりです。
図書館でそこのブログの本を借りてきたのですが、2005年版のものであまり参考になりません。ブログ内で聞いた方がよいようです。
今度新しいHNでコメント送らせていただきます。ゆくゆくは今のが使えるようでしたら記号か何か加えて引き継ぎたいと思っているのですが。
どうぞよろしくお願いいたします。

Re: stanislowskiさんへ

おはようございます♪
コメントありがとうございます。

世代差で、簡単にくくってしまうのは私もよくないと思います。
と言いつつ、すぐやってしまうんですけれどね。^^
年を重ねていても、しかもかつて学生運動していたにもかかわらず、
今政権の中枢にいて、陰でいろいろ画策している人もいますしね。
誰とは言いませんが。
人間の基本的な考え方、というものはそう変わらないだろうと
思うのですが、学生運動していた頃のこころと、今、自民党よりもさらに
保守的な考え方と、どう自分の中で一致させるのだろうかと、思ってしまいます。
本当にしっかりした歴史認識と世界観の上に立って、活動なさってらっしゃる方もいる。
一概に、どの世代がどうだ、とくくることは出来ないのですが、
数多くのネットなどの発言を見ていると、この私の記事のスティ―ブン・メティカフ
さんの言葉のように、あまりにも太平洋戦争というものを知らな過ぎ、
したがって、他国の痛み、というものに鈍感なひとが多いことに、
時折愕然とすることがあります。
戦争は終わった。でも、そこに至った日本人の心性は変わっていない…そう思うことが
よくあります。
今回の原発事故なども同じその精神構造から、引き起こされているという気がします。

私はおそらく、もうそんなに先は長くない。
でも、この日本の行く末が、地球の将来が本当に心配です。
時々、ああ、もうこんな難しい、重いことばかりのブログはやめて、
老後をのんびりと気楽に、美しいものだけ見て過ごしたい!と思うことがあります。

でも、何かの形で、私の抱く危惧を、私よりは若い方々に伝えておきたい!
その一心で、こうして書いています。^^

stanislowskiさんのような方が、関心を示してくださり、さらに若い方々に
伝えて言っていただけると嬉しいです。

国民に与えられた権限は、投票行為しかありません。
棄権をしないで、また、ネットで飛び交う表面的な好き嫌いの感情や、
先入観で選ぶのでなく、その議員さんが基本的に何を理想としているか、
を良く見て選んで欲しいですね。
でも、情報は少なく、また、投票したくなるような人も少ない。
地域の結びつきで、その人が原発推進であっても、無関係に義理で
投票する…そういう習慣をどうやって突き崩して行くのか…
考えると絶望しそうになりますが、一歩ずつ、お年寄りなどに話しかけたり
若い人に歴史についてもっと広く見る目を養うよう働きかけたり、
デモで、大きなムードを作りあげて行ったり、
出来ることをしていくしかないのでしょうね……。

ありがとうございま~す♪

Re: 鍵コメさんへ

お返事、そちらの方へ書かせていただきました。^^
うまくいくといいのですが。
ブログが違うと、なにかとシステムも違い、とまどいますね。
私にわかることでしたら、おたずねくださいね。

No title

私は40代半ばですが、それより下の世代を頼りなく思ってしまう傾向にあります。
個人個人の背景も知らないし、ひとくくりにしてはいけないのですが、話していると
甘さを感じることも。私などこうして貴ブログで情報を得ているようなものですから、彼岸花さんからしたら心配でたまらないでしょうね。
先輩に頼りつつ、小さくても日本人として美しく生きたい、暮らしやすい共同体を作りたいと言う思いはいつもあります。

重要な法案が、知らない間に可決されていくのは恐ろしいです。
どうしたら止められるのでしょう。
一市民が「そんな企業は議員はお断り」と、強く出れば社会は変えられるのでしょうか。
こちらも暑さでへばって思考回路が鈍る夏です。どうぞお体に気をつけて。

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Re: 相子さまへ

相子さま、こんばんは♪

いいぇいいぇ、私も知らないことばかりです。^^
でも、今は便利ですね。一つなにか調べようとしてパソコンを開くと、
次々に関連する記事やサイトなどが見られて、それを辿っていっていると、
思いがけない情報に出会えることがあります。

私は、若い頃、無自覚に、ぼんやりと人生を過ごしてきてしまいました。
この年になって、ああ、あれも知らなかった、これも聞いたことがない、
見たことがない、読んだことがない…そんなことばかりたくさん出てきて、
なんだか、めげてしまいます!(笑)

自分がその時代を生きてきて、リアルタイムで知っているはずのことでも、
私など、なんだか、ほんとにあの時代にいたのかなあ、と思うくらい、
もう記憶がぼんやりしています。

日本の戦後をおよそ思い浮かべてみても、素晴らしいことと、情けないことが
両方ありますね。
原発だって、草創期は希望のエネルギーと思って始めたんでしょうし、
なにがよくて何が悪かったか、などということは、歴史の一部になってからしか
わからないものなのでしょうか…。
その時その時は、皆一所懸命生きていってるんですものね……
それにしても、それにしても。この政権は危うい感じがします。
この国をどういう国にしたい、という理想がないように思えてなりません。
理想がないままに、だいじな法案を良く考えてみもせずにどんどん
通すだけ通していっている。

政治のありようをしっかり見ていきたいですね。
ありがとうございます。

No title

深い内容をお教えくださり、知らぬ事の多さに恥じるばかりです。
戦後の厳しい中を生きて来ましたが、あくせくとした生活に若者の目も広がらずに来ました。
一部の学生の中では政府の在りように疑問を感じ、様々な運動もありましたが、所詮米国の支配下でのことですから、うねりにまでは至りませんでした。
60年安保は激しい運動にも関わらず、改定されて仕舞いました。今でも米国は自由に日本の中で活動が出来るのですね。
現在起きている福島第1の問題も一向に進みません。この決定する事の出来ない、国の姿は大きな弱点ですね。決断力の欠如は長い間国民を苦しめるでしょう。
挿入された記事はお気に入りにいれました。時間を見て良く眺めます。

Re: クウ-ママさんへ

クウ―ママさん。こんばんは~♪

ごめんなさいね。いつもこんな記事ばかりで。^^
でも、この秋は、もっと私も、縫い物のこととか、映画とか本とか、
原発以外のことも書きたいなあ…

今私は、同じ型紙で、娘の夏のワンピース、何枚か縫っています♪
自分のも縫おうかなあ。やさしい感じのワンピースが着たい気分です!
私ね、カチッとしたスーツ姿とかでおでかけということがおおくって、
ごく最近まで、やわらかい感じの服は自分に似合わないと思ってたんですよ。
でも、年とってきたら、スーツ姿が似合わなくなって、逆にやわらかい素材の
ものの方が気分にも顔にも合うように。^^

クウ―ママさんは、どんなファッションがお好きですか?^^





Re: NANTEIさんへ

NANTEIさん。ありがとうございます。誉めすぎですよ!^^
でも、力入れて書いたので、素直に嬉しいです。
いつもいつも、こんな記事ばかりにコメント書いていただくことになってしまって
申しわけありません!(笑)

オリンピックが終わったら、政局に関心が戻るのか、と思ったら、
マスコミもなにも報道しないですね。
水面下で、いったいなにが行われているのやら。この政権はほんとに怖いです。
まあ、内憂外患で、野田さんも大変なんでしょうが。

しかし、いろんなことを違った方向から辿っていってるんですが、
いつもぶつかるのは、アメリカの存在ですね。
日本は、アメリカの庇護なしに生きていけないのでしょうか。
もういい加減、アメリカの傘の下からでて、日本という国の独自の生き方を
見つけていきたいですね。
橋下さん達がやろうとしているような方向ではなく。

八百万の神の国。小さな自然エネルギーも大事にして、世界に誇れるような
省エネ国家、平和国家、教育国家、文化芸術の花ひらく、楽しい国に
していけないものかなあ。
オリンピックを見ていて、今の日本はなにを世界にアピールすることが
出来るのだろう、と、真剣に考えちゃいました。

人も国も、よく生きられるものを。どうしてよく生きようとしないのでしょうか…

いつもありがとうございます~~~♪


No title

これは、4~5回通って、じっくりと読みます・・・

No title

彼岸花さん!
なんと、大きな慈愛に満ちた警告でしょうか。
そしてその論拠の微動だにしない検証の積み重ね。
イギリスの歴史を辿り現在の衰退に至ったにしても、
その分厚い文化はいまだに世界の尊敬を受けるにふさわしいという事例から、
翻って戦後日本のぺらぺらな民主主義が、
世界に対してその発言に耳を傾けさせるような国家に成長させてきたかを問い、
67年という歳月がただただ無駄に流れていった、
というよりより矮小で姑息な政権を赦してきた国民の怠慢を弾劾するという、
苦渋に満ちてなおかつ阿修羅のような論文は心ある方々、
あるいは流されるままの人々全ての目に触れてもらいたいと切に思ったものです。

いつも渾身の投稿、頭が下がるばかりです。

プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
リンク、トラックバックご自由に。

『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/pekai/signup.html
国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/donate/?grid=header02
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