『去りゆく友たちへ』



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今年2回目の月下美人が咲いた。
それも3輪も一度に…

外は激しい嵐の夜である。
台風17号が唸りを上げて家の窓を、壁を揺らす…

それでも花は気にしない。
あたしたちは今日咲くのよ、と決めたら嵐の中でも咲く…

麗しの友よ。また会いましょう。






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『チビ その他のことども』

原発のこと、政治の怪しい動き……
気の滅入ることばかりである。

久しぶりに私の暮らしのことなど書きましょうかねぃ…

台風18号は東方海上に去って行ったけれども、その名残で
東京あたりは一昨日あたりからずっと半曇りの日が続いている。
あれほど9月になっても暑かった日々はどこへ?と問いたくなるほど、
極端に、涼しい、というよりは、むしろ小寒くなってしまった。
また大型台風17号が接近していて、これは日本を縦断していきそうだからご用心、である。

ところで、太平洋上に去って行った台風18号は、なんという名前か皆さんご存じ?
Ewiniar(イーウィニャ)だそうですよ。
石垣島の南にある大型の台風17号は、Jelawat(ジェラワット)ですって。

気象庁によると、北西太平洋または南シナ海で発生する台風防災に関する各国の
政府間組織である台風委員会(日本ほか14カ国等が加盟)は,平成12年(2000年)から,
北西太平洋または南シナ海の領域で発生する台風には同領域内で用いられている固有の名前
(加盟国などが提案した名前)をつけることになったそうだ。
発生順にあらかじめ用意された140個の名前を順番に用いて,その後再び最初の「ダムレイ」に
戻る。台風の年間発生数の平年値は25.6個なので,おおむね5年間で台風の名前が
一巡することになる。
 http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/1-5.html

へえ!そんなことになっているとは知らなかった!
いや、アメリカにおけるハリケーンのように、台風に名前がつくようになった、とは
おぼろげにいつか聞いた記憶があるけれども、相変わらず、日本では台風は番号で
呼んでいるのが普通ではないだろうか。だから、私も全然意識していなかった。
今日、ふと、台風情報を見ていて、名前がちゃんと書いてあることに気づいたのである。
ちなみに18号Ewiniar(イーウィニャ)は、ミクロネシアの命名で『嵐の神』だそうだ。
17号Jelawat(ジェラワット)はマレーシアの命名で、淡水魚の名前だそう。
ふ~~ん…
慣れ、ということもあるのかもしれないが、私は個人的には、ぶっきらぼうな『台風第19号』
という言い方の方が好きだな。『台風マリクシが近づいています』などと言うより…。

先ほど買い物に行こうとて外に出てみると、細かい細かい雨粒。
でも、歩くと荷物が重いので、自転車のかごに念のために雨合羽を入れて、やはり自転車で行くことに。

家の前は、隣り合う5軒の、割合広い共有地になっている。
そこを通りかかると、そのうちの一軒で飼っているチビと言う犬の目ををふと意識した。
チビは典型的な雑種である。茶柴の血が少しは入っているのか、まあ、あんな色合い。
だが柴犬よりは手足が長くひょろひょろ痩せて、しょぼくれて、いかにも貧相なご面相である。

このチビがとんでもない馬鹿犬だった!
貰われてきたのは今から10数年以上も前だったろうか。
子犬と言うのはどの犬でもコロコロとして愛らしいものだが、ちびは最初から
痩せていて、貧相だった。そしてよく吠える犬だったのである!
朝は4時5時から、キャンキャン言い始める。7時ごろもキャンキャン。
10時も、12時も、午後4時も7時もキャンキャンキャンキャン!!!
子犬のうちは仕方がない、と思っていたが、2年経ち3年経っても、やはりよく鳴く。
飼い主が出かけると言ってはキャンキャン。庭に出て来たと言ってはキャウンキャウン。
誰が通りかかってもワンワンキャンキャン。

我が家は数軒離れているので、直接ああ、うるさくてたまらない、と言うほどではなかったが、
隣の家の人々は朝からたまらなかったであろう。
あるとき、犬の隣のうちの奥さんとバスで乗り合わせたとき、ひとしきり、チビの
悪口を言っていらした。「あの馬鹿犬のおかげで朝もぐっすり寝てられない。
仕事に出なきゃならない日の朝はほんとにあったまに来る!」
でも、飼い主は別に悪い人ではないのである。犬がうるさいことを気にして
近所中の人に会うごとに何度も、いつもいつも謝っていた。無論私にも。

そしてある日、とうとう、その隣の家の奥さんは、別のところにマンションを買って
引っ越していってしまった。まあ、犬のせいだったかどうかは知らないが。

ところが。それから間もなく。
チビはぴたっと鳴かなくなったのである。6、7歳くらいになった頃だったろうか。
一つには、そこの家のご夫婦が共稼ぎになって、一日中家を留守にするように
なったからかもしれない。子供たちも独立して家を出ていってしまったし。
鳴いても仕方がないということをチビは学んだのであろう。

チビは一日中、待っている。
あれほど郵便屋が来ても誰が来てもキャンキャン言っていたのに、今ではクスンとも言わない。
ただ、いかにも怪しげな動きをする人が来るとわんわん!と強そうに鳴いて威嚇する。
チビの犬小屋は、その家の縦長の庭の奥の方に据えてある。
そこを時々出たり入ったりしながら、まあ、でも大抵はおとなしく寝そべって
こっちをひたすら見ている。
そして夕方……
チビが昔のように、ひととき、きゃんきゃん吠え始める!
それも二度だけ。奥さんが歩いて十数メートルほど先の角を曲がってくる音を聞きつけたときと、
ご主人が車で帰ってくるときである。
それはもう、きゃんきゃんうぇいうぇい、うぇいうぇいきゃんきゃん、賑やかったらない。
チビは泣いているのである。寂しかったよう、会いたかったよう、と言って泣いているのである。

およそ5分後。ガチャガチャと言う門扉の鎖を外す音がして、チビが散歩に連れていって
もらう気配がしてくる。わざわざ立ち上がって窓に行って見はしないが、
チビが、ご主人にじゃれつきながら、いそいそ散歩に出る嬉しい姿は、何となく
見えるような気が私にはするのである…。

自転車で通りすがりに、奥の方にいるチビに目をやっても、チビは寝そべって
眼だけをこちらに向けるのみである。
チビよ。馬鹿チビ、なんて心のうちで言って悪かった。
一日中飼い主をひたすらに待つそのこころ…
おまえはいじらしい、いいこだよ。 


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玄関で『行ってらっしゃい!』と見送ってくれていたのは、タマスダレたち。
ちっちゃな蜂もいるな。
この花は、私にはとても懐かしい花である。
小4の時、借り暮らしをしていたアパートの大家が醤油の醸造元だった。
裏庭には醤油の樽の古いのや木材のようなのがいろいろ置いてあったが、
その明るい広い庭の片隅で、私はじゃがいもをすりおろして夏の天日に曝し、
でんぷんを作ると言う夏休みの宿題をやっていた。
その家の大家の息子は、私と同じクラスで、苗字はK君と言った。
濃い顔の男の子で、…そう、俳優の三船敏郎を少年にしたような顔だった。
私と一緒に、男女2名づつの学級委員をやっていたが、あまり口を聞いた記憶がない。

でもそのときは、Kは庭に出てきて、私がでんぷんを作るのをやっているのを見ると、
「あ。やってんの」と言うようなことを一言だけ言った。
私はただうなづいただけだったように思う。
その夏の乾いた庭に、このタマスダレがたくさん咲いていた…
K君を私は、別に、好きだったわけではない。
だが、何となく時に思い出して懐かしい男の子である……


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台風18号、イーウィニャの余波は、空をこんな 怪しげな色に。
風がざわざわと梢を揺らし、道端の秋草も、コスモスも、電線も、皆揺れる。


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揺れて揺れて、ちっともじっとしていやしない…




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ああ!怪しげな雲行きだ! こころをざわめかすような空だ!
左に写っている樹は、大きなクルミの木だった。
まあ、今でも枯れてはいないのだけれど。
以前は秋になると、クルミがいくつもこの道に落ちた。
こんな細い川べりの道だけれど、時折車も通る。
車がパーン!と、クルミを引きつぶして過ぎていく。
カラスがそれをいつも待ち構えていた。
でも、さすがに川べりのこの道はさほど車が通らない。
賢いカラスは、この道の一本向こうの幹線通りの信号のところまで
クルミをくわえて飛んで行く。そして、信号の渡り道にぽとりとそれを落とす。
国道は車の行き来が多い。お望み通りに、固いクルミの殻を車に割ってもらったカラスは、
歩行者用信号が青になった時を見計らって飛び降りてきて、美味しい実をさらって
飛んで行くのだった……

木がこんなふうに伐られてしまった今は、そんなカラスの姿ももう見ることは出来ない。



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さて!
毎年恒例。私の花。彼岸花!^^

でも、今年は残暑が長く続いたせいか、それともうるさい市の草刈り隊が、
9月に一帯の草を刈ってしまったからか、彼岸花の出がいつもの年よりずっと遅れた。
この繁みはまあまあ咲いていたけれど、おおかたはまだ蕾である。
燃えるように咲く妖艶な花の群生が見られるのは、来週になるかもしれない。



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ゲンノショウコは、稲刈りの頃、父と野良で過ごしたおぼろげな記憶に残る花。
刈りとる稲の甘い香りと、畦道を照らす暖かい秋の陽と、そして
この花の小さくても鮮やかな色!



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はあ…もう…
幼稚園の秋の花壇は乱れに乱れて…
向日葵、黄色コスモス、鶏頭、鳳仙花、彼岸花、サルビア、ゼニアオイ、クレオメ…
秋の、乱れた花壇が好きである…





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私の自転車。
買い物を済ませた前籠の中には、おでんの材料が入っている!^^
暑い暑いと思っていたけれど、いつのまにかそんな季節になってしまった…
それから、町の本屋で買ってきた本も一冊。



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タマスダレ達が出迎えてくれたが、もう彼女たちは夕暮れになると、眠たくて眠たくて、
半分眠りながら、「おかえりなしゃい…」
梅雨の頃から咲き続けてくれた、ムラサキツユクサの葉っぱも、さすがにくたびれたな。
そろそろ休めてやらないと…


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夜。書斎の入口のドアにこんな子が。
小さな、尻尾の先まで入れても5センチもないようなヤモリの子。

ヤモリは鳴くって知ってらっしゃるだろうか。
以前娘が住んでいた千葉市のアパート。3.11以降、放射線量が高いと時折
ニュースになった町。
そこに一匹のヤモリが住みついていた。通って来ていた?
娘が遅くまで起きているので夜の蛾などが、洩れ出る灯火に集まる。
それを食べに来ていたんじゃなかろうか。
もう大人のヤモリだったが、時々家の中に入ってくる…
あるとき、浴室の蛇腹開きのドアの、ちょうど閉めれば、つぶしてしまう位置に
そのヤモリが張り付いていた…危ないから、戸外に出してしまおう…
…ちょいと私が割箸の先で触って脅しても絶対に動こうとしない。
ますますしっかりとしがみつく。
しびれを切らした娘がひょっと手を伸ばして、ヤモリの腹をつかんで壁からひきはがした。
すると。
『びやっ!』と、彼は一声、鳴いたのである!


買ってきた本は。
孫崎享『戦後史の正体』。
まだ読んでいない。

青森県大間原発建設工事再開のニュース。
悲しくて腹が立つ……







『原子力と人事 ③』

11日。野田首相はついに、国会の同意もないまま、原子力規制委員会の
委員を、19日には正式任命することを閣議で決定した。

なんというひどい内閣であろうか!
『原子力緊急事態はまだ続いているから』ですと??!!!
それでは野田総理の、昨年12月の『福島第一原発冷温停止』宣言との整合性はどうなのだ!
このように、あの過酷事故を、その都度、自分たちの都合のいいように解釈し、
結局、原発推進の方へ持っていくのに利用するのは本当に許せない。

委員の人選そのものに、これだけ国民の間にその資格について疑問があるものを、
一カ月以上も放置し、再考してみようともしない。
本当にこの人事でいいのか?
もう新聞などマスコミも、この問題について、すでに決定事項とでも言うように、
触れることが少なくなってしまった…でも、私はどうしてもこの人事が許せない!
原子力ムラの住人が、原子力規制の権限を担うという、まったくブラックジョーク
にもならないひどい人事がまかり通ってしまうことの不当さ。
そもそもこれらの人の、その力のほどはどのくらいのものなのだろう。
福島のような事故が再び起きたとき、このメンバーで果たして、収束に向けた迅速かつ
的確な対応が出来るのだろうか?
いつ誰が、どのような基準で、どうやって探しだしたかわからないこの不透明な人事。
これで、これから5年間の日本の原子力発電に関する方針が決められてしまうのかと思うと、
末恐ろしく、まったく情けなくなってしまう。

私は、原子力規制委員会のメンバーには、少なくとも、自分で原子炉を運転できるくらいの、
力量があって欲しいと思っている。

日本の原子力安全・保安院の寺坂信昭前院長が、2月15日の国会事故調において、
『私は文系なので、官邸内の対応は理系の次長に任せた』と述べ、原子力の安全規制当局
として事故を防げなかったことについて陳謝したと言うが、
こういう人が原子力規制の要にいたのか、と溜め息が出てしまった…
正直なのは認めるけれど、あまりにもお粗末ではないか…


8月3日付、朝日新聞朝刊に、こんな記事があった。
私の考えに近いので、一部引用させていただく。

記者有論 『原子力規制 検査官はもっと現場主義に』  
                西部報道センター 田中啓介

『福島第一原発事故を検証する国会事故調査委員会から、「東電の虜」「力量不足」と
指弾されたのが原子力安全・保安院など規制当局だ。
 米原子力規制委員会[NRC]の検査官を養成する技術訓練センターを
先ごろ取材したが現場の力量と意識の高さを痛感した。日本の規制当局は
米国との差を埋める努力を怠ってはならない。
 センターでの訓練は7週間だ。必須課程が原子炉制御盤のシュミレ―ターの
操作。米国で運転中の4社の原子炉のほか、次世代型もあり、運転員が
平時、非常時にどんな操作をするか頭にたたき込む。さらに前後1年にわたって
現場で訓練を重ね、試験に合格すれば、検査官として全米の原発に駐在する。
 当事者意識も高い。センターのダグラス・シンプキンズ教官は現役の検査官だったころ、
原発の近くで家族と暮らした。
「だから安全確保は、私個人の関心事でもあるわけです」
 こうした意識は電力会社の幹部にも共通する。
(中略)
 電力会社の協力を得て、検査官は原発の運転日誌や作業記録を自由に閲覧し、
会議を傍聴し、どこでも自由に出入りして抜き打ちで検査する。
 米国式の現場主義に徹して監視すれば過酷事故は防げると思うか。
多くの検査官を育てたセンターのスティーブ・ラトレジ部長に聞いた。
「全てを想定できるか。答えはたぶんノ―でしょう。人事を尽くす。
万一、事故が起きたら過去の経験に学んで対処するしかありません」
 日本にも近く、原子力規制庁が発足する。日本の検査官は、電力会社が作る
検査資料の審査に追われている。積みあげると高さ10メートルにもなる
書類の山と格闘し、なかなか現場に出られない。
 米国流の検査体制に改めても、100%安心とは言い難いだろう。
だが、それすらしないままでは、原発の安全規制への不安は拭えるわけもない。
何より電力会社の「虜」となった当局者の意識変革が求められている』


ああ…この日米の違い……!

確かに、ここまで検査官を訓練したからとて、事故が100%防げるわけではないだろう。
たとえ、原子炉制御盤の操作が出来るようになったとて、原発事故は思いもかけない
箇所の不具合から起こるかもしれない。巨大な部品の溶接の出来不出来まで見抜くほどの
細部にわたる専門的知識を検査官に持て、と言って持てるものでもないかもしれない。
しかし、2002年に発覚した、東京電力による原発トラブル隠し事件。
これは東電が管内の原子力発電所のトラブル記録を意図的に改竄、隠蔽していた事件である。
当時の南直哉社長を初め、社長経験者5人が引責辞任する事態に発展し、
運転停止して事故の調査が行われたため、翌2003年は、東電管内は
全原発がストップして夏を乗り切らねばならなくなったという事件である。
この事件が明らかになったきっかけを一応書いてみよう。

2000年7月、ゼネラル・エレクトリック・インターナショナル社(GEI)
から東京電力の福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所、柏崎刈羽原子力発電所の
3発電所計13基の点検作業を行ったアメリカ人技術者が通商産業省(現経済産業省)に
以下の内容の告発文書を実名で送った。

一、原子炉内の沸騰水型原子炉にひび割れ六つと報告したが自主点検記録が改竄され三つとなっていた
二、原子炉内に忘れてあったレンチが炉心隔壁の交換時に出てきた

福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所、柏崎刈羽原子力発電所の
原子炉計13基地において、1980年代後半から1990年代にかけて
行われた自主点検記録に、部品のひび割れを隠すなどの改竄が29件あったことが発覚したのだ。

その日系アメリカ人技術者のインタビュー映像はこちら。

『福島原発内部告発者の東電トラブル隠し事件』

ひどいものである…
もう有名な話かもしれないが、原子炉の設置に直接かかわった
日本人技術者たちの証言もある。菊地洋一氏と田中三彦氏の話。

『福島原発は欠陥工事だらけ』(週刊朝日2002年9月20日号)


これを読むとよくわかるが原発内部というものは、私たちが想像するよりはるかに
巨大な部品が複雑に絡み合った構造になっている。そのあちらこちらの一体どこで
決定的な不具合が起きてもおかしくない微妙な、取り扱いにくい代物である。

ジェネラル・エレクトリック・インターナショナル社の前身GETSCOの元技術者で
東海第二と福島第一6号機の心臓部分である第一格納容器内の建設に深く
関わった菊地洋一氏(のち、鹿児島大学非常勤講師)の話の一部を引用。

『国はすぐに『安全だ。安全だ』と言うが、原子炉メーカーや現場の実態も知らずに、
複雑で巨大なシステムの原発を簡単に安全などとは言ってほしくない。
保安院も東電も原発の基本的な仕組みしかわからないから、原発推進の
御用学者たちに振り回されているのだろう。(中略)すべてが現場を知らない机上の
空論で成り立っている。』

現在科学ジャーナリストで福島の事故後も、原発の危険性を訴え続けている
田中三彦氏は、元バブコック日立の設計技師。
同社は日立製作所が受注した福島第一原発4号機の原子炉圧力容器を製造していたのだが、
製造過程で、高さ21メートル、直径6メートル、暑さ4センチの合金鋼製の
円筒形の圧力容器の断面が真円になってない。
別の部署にいた田中氏が急きょ呼び戻され、歪みを直すための解析作業をやらされた。
容器内部に3本の大型ジャッキを入れ、610度の炉の中に3時間入れて歪みを
直したのを知っているというのだ。国にも東電にも内緒で歪みは直され、
東電に納入されたという。

この3者の内部告発でわかること…。
原子炉の詳細は、建設の過程から、運転開始後の自主点検などの際に至るまで、
保安院も、東電さえ実態を把握しきれないということがあったということだ。
『通産省の検査の時に、養蚕が専門の農学部出身の検査官がきたという話もあるほどだ』、
と菊地氏は語る。
これでは検査と言っても、東電側が用意した分厚い報告書にざっと目を通し、
『検査の結果、安全が確認された』と保安院がただ言うという、いい加減な検査に
なるわけである。
福島の事故後、保安院の寺坂氏自身が『私は文系でわからないので』と言ったことからして
おそらく、今もこの構図はそう変わってはいまい。

さて、この19日には無理やり強引に動き出してしまう原子力規制委員会。
そしてその下で事務をつかさどる原子力規制庁。その内実は、間に合わないということから
今の保安院の人材がほぼ横滑りするのだろうと言われている。

ああ!
彼らにこの国の原発を任せて、本当にいいのだろうか!

しかし。考えてみれば、原子力ムラに属さない人で、原子炉の構造も
運転にも熟達した科学者と言うものが、この日本に一体どれくらいいるものだろう…
本当に実務の力、人物共に優れて、しかも肝の据わった人物が?
単に技術者として科学者として知識があると言うだけではなく、この国の
原子力規制の将来を決定するのだから、人類の未来に対する理想と、厳しい現実認識力、
いわば、科学者として良心と哲学を持っている人物であってほしい。

そんな人を、細野大臣は真剣に探そうと努力したのだったろうか?

8月9日。テレビ朝日モーニングバードの『そもそも総研』に、小出裕章氏が生出演。
その時の司会の玉川氏の質問に答えた小出氏の答えに、私は涙が出そうになった。
書きだしがあるので、転載しよう。

玉川 「小出先生にやってほしいっていう声があるんですね、実際あります。
    小出先生が例えば規制委員の中に入ってやるというふうなことは、
    これはやっぱり難しいんですか?」

小出 「まったくありえません」

玉川 「ありえない・・それはなぜですか?」

小出 「この日本という国は、原子力を進めるにあたって原子力基本法という
    法律をまず作りました。その基本法には、‘原子力は平和目的に限るけれども
    どんどん進める’と書いてあるのですね。」

小出 「その根本の道筋のもとで原子力委員会あるいは原子力規制委員会というものが
    仕事をしなければいけないわけです。私自身は原子力なんか決して
    やってはいけないと言ってるわけですから、原子力基本法そのものを
    変えてもらいたいわけだし、現在の原子力基本法のようにがんがんやりますという
    そういうもとでは、いかなる人がやっても結局は引きずる・・
    引きずられてしまうだけだと私は思いますので、そういう国家の委員会に入ることは
    決してありません。」

玉川 「日本が原子力をやめるというふうに決めた場合は、その規制に関する仕事っていうのを
    小出さんやってくれと言われたらこれはどうなんですか?」
小出 「やります。」
玉川 「それはやる?」
小出 「日本が原子力から足を洗うということを、例えば原子力基本法を改正して
    決めてくれるのであれば、そのもとでの仕事はお引き受けします。」



小出裕章さんと言う人ほど、力がありながら現世の栄達から身を引いて生き抜いた人は珍しいであろう。
これまで、京都大学原子炉実験所の助教、という不安定な身分のままでいいと自ら決めて、
40年近くも原発の危険を訴え続けて生きて来た信念の人である。
彼を規制委員に、などと言う誘いなどなかったと思うが、仮にあったとしても、
小出さんほど、そういう、いわば権力の頂点に座ることの似合わないひともない気がする。
…その小出さんが、もし、日本が原子力をやめると決めたら、規制委員を
引き受けますか、と問われて、「やります」と答える……。

この部分を聞いて、ぼわあっと涙が出てきそうになったのである。
この「やります」と言う言葉に、彼のどれほどの無念の想いがこめられていることだろう!
世間のいわゆる栄達の道を捨て、原子力の危険だけを訴え続けて来た人生。
それなのに、彼が最も恐れていた過酷事故は、この日本で起きてしまった…!!!

なんという人生!

うまく言えないが、
このようなひとに、このような生き方をさせたのが、日本の原発政策なのだ。
そうして、そう言っては悪いが、田中俊一氏のように、原子力の業界で
いわば花道だけを歩いてきた人物は、自分が原子力ムラの人間だとこれほど
世間の批判を受けているのを知りつつ、なお、原子力規制委員会初代委員長、という
重職ではあるが、原子力行政の頂点に立つという名誉職を引き受ける。
原子力に携わってきた者として栄華の極みと言えるのではなかろうか。
4歳違いのこの二人の人生の違い…!
それを想って、私は勝手に泣いたのである。
どっちがいいとか悪いとか言っているのではない。同情とかそんなんじゃ決してない。
ただ泣けたのである。

そしてもう一人。生きていらっしゃれば、このひとにこそ、という人物がいる。
高木仁三郎氏。
16年も前に福島の事故を予見していたような反骨の核科学者。
その深い知識と人間性により、原発推進の中枢にいる人々にさえ尊敬を持って
遇されたという。悔しいことに62歳の若さで2000年に死去。


2)もありますので、お時間のあるとき続けてご覧ください。


このかたの人生も、壮絶としか言いようがない。
ああ。この方が生きておいでならば、と事故以来どれほど思ったことだろう。
専門家としての知識。それを一般市民にもわかりやすく噛み砕いて語る人柄の温かさ。
毅然とした信念の強さ。深い哲学……。

さて。叶わぬことを願っても仕方がない。
もう、どうにも動かしようがなく決まってしまうのであろう田中俊一委員長。
彼の規制ぶりを国民が厳しく見ていくしかない。
国民の目が、勝手を許さないよう、見守って行くしかない。

私はここで提案する。
日本は、脱原発が叶うにせよ、後退するにせよ、これからも原発と向き合って暮さねばならぬ。
そのとき、原発推進の人々が原発ゼロの不安材料として挙げるように、
優秀な原子力技術者がいなくなってしまうのはまずい。
高レベル放射性廃棄物などの最終処分場問題と同様、この原子力発電の人材確保は、
推進・反対派関係なく、考えねばならない問題である。
国は、国家の責任でもって、この人材育成に今すぐ取りかかるべきだ。
放っておけば、原子力工学を志望する学生は先細りになって行くだろう。
『廃炉』と言う、いわば原子力発電の静脈産業で、日本はこれから、
否応なしに世界の先頭を駆けていかねばならない状況になっている。
でも、ここにも活路はあると思う。
世界の老朽化した原発…これから中国やインドなど後発国で新設される原子炉も
いずれは廃炉しなければならない時代が必ず来る。大事故も中規模の事故もあるだろう。
原子炉の高度な廃炉技術は、絶対に必要とされる時代が来る。
世界のためにも、優秀な人材がここに集まるよう、国家の手厚い施策が欲しい。

既存の学問の府…東大があまりにも、原子力ムラに組み込まれていると言うなら、
京都大学においてでもいい。あるいは、東北をあらゆる面で文化の拠点として
復興させるシンボルとして、東北大学に、これからの原子力静脈産業の
一大拠点を置き、世界の叡智を集めて、そこで若い優秀な研究者を
育てていくと言うのはどうだろう。
小出先生には、そこでこそ、トップに立って後進の指導にあたって欲しいと思うのだが。

さらにはまた、廃炉に向けては、現場の作業をする人々を育成することも急務だ。
今は、原発で働く作業員は、劣悪な条件下危険な作業を国民のためにしている。
国が国策で原発を推進してきたのだから、ここで働く作業員は、準公務員扱い、
くらいの待遇があってしかるべきではないかしら。一番危険な現場で命がけの
作業をする人々が、私企業で国が手は出せないとはいえ、電力会社の小会社の
下請けの下請けのまた下請けとかで、その給与さえ途中で何度もピンはねされる、
というような実態を、見過ごしにしていいはずがない。
原子炉関連作業士…まあ、工程は多岐にわたるので、名称はともかくとして、
作業に従事するものが堂々と電力会社で独立した技術者として働けるよう、
今すぐ国の養成機関を作って、原発建屋専門の配管、溶接、除染、左官、空気洗浄、
濾過…あるとあらゆる必要な工程の専門労働者を育成することが必要なのでは。
そうして、そうした作業員たちは、二度と今のような不当な労働条件下で
ピンはねなどされることのないよう、国家の息のかかった独立した労働者として
誇りを持って働けるよう、労働組合という言葉が抵抗あるなら、労働者自らユニオンというものを
作って、その危険で苛酷な労働に見合う収入と、労働者としてのプライドを
守って行く仕組みを作ることが必要だろうと思う。

ああ、しかし…。
今の政治や経済界を見ていると、原発ゼロの道ははるかに遠い…
つい絶望してしまいそうになるが、私たちが声を上げて、理想に近づけていくことも
きっとできないはずがない。
再生可能エネルギーの技術は日々進歩していっている。
原子力はいらない、と言うことが、頭の悪い政治家や頭の固い経済人にも
わかるように外堀を埋めていくことが大事だが、
人を育てることもその一つだ。
日本人は有能である。
昨日も、NHK,BSのある番組を見ていたら、中国からの女子留学生や、
サウジアラビアからの男子留学生が、日本の技術力の高さを学びたいと思って来た、
と語っていた。世界にはまだそういうふうに日本を見ている国々が多いのだ。
中国からのその女子学生はいいことを言っていたなあ。
「私たち若者は、このこぶしのうちに未来を握っている」と。
過去に拘泥せず、未来を見つめていきたい、と。
ロシアからの女子学生もいいことを言っていた。
「一本の指は折れやすい。でも、こうして5本の指で握りこぶしを作れば強い。
日本、ロシア、アメリカ、中国、韓国、・・・・国などという狭いものを超えて、
人間がこの地球上で知恵をよせあつめられたら!」というようなことを。

原子力のことだけでなく、今は絶望的にお粗末な、この国の政治家も
国民が厳しく賢く育てていかねば。
世界が今抱えている諸問題は、絶望的に複雑である。
国家、とは一体何なのだろう。
日本の福島で起きた原発事故は、潮流に乗ってアメリカに、オーストラリアに、
やがてめぐりめぐってまた日本に還る。大気の汚染も、世界に広めてしまいつつある。
経済のグローバリズムとは違う、知のグローバリズム…、
国家戦略などという、せせこましい小さいものの見方を超えた、本当の意味での
人類の共生の思想がこれからますます必要になってくるだろう。

戦争、原発事故、環境汚染、経済格差と貧困問題…人類の愚かな歴史をしっかりと知って、
その上に立って、地球の未来への深い洞察と大きな豊かな理想を持った人材を育てていくこと…
また、そこまで大きく構えなくとも、堅実な技術者や生産者を着実に育てていくこと…

そのことに真剣に取り組んでいくのに、今が早すぎるということはないだろうと思うのだ。


*最後になりましたが、『静脈産業』については、9月14日、16日付の
MATZ-TSさんのコメントに触発された部分が多いです。
素晴らしいコメントなので、右サイドのコメント欄からお入りいただき、
合わせて読んでいただけると嬉しいです。うみそら居士さんからもご推薦いただきました。
あらためてお礼申し上げます。
他にも使わせていただきたい、皆さんの記事やコメント、たくさんあるのですが、
書く方が追いつかないでいます。





























『キャンドルナイト ⑱』


2012年9月12日。
一日遅れで、18回目のキャンドルナイト。

忘れていたわけではありません。
ちょっと単純作業で、急ぎのことがあって、昨日、帰宅したのが
深夜3時でした。
娘たちの手伝いで、NT円切りカッターを使って、直径2センチの円を
2700枚切り取る手伝いを一日していた…

最初は快調に飛ばしていたけれど、そのうち、カッタ―を支える手が
言うことをきかなくなって、カットミスばかり。
右手の感覚がなくなり、頭もぼ~っ…

一日たった今も、右手は指先に感覚が無く、ものが握れません。
パソコンのキーを打っていても、なんだか、自分の指が棒切れみたいな感覚。


ああ……! もう9月!
あれから1年半もたつんだ……

失ったものの大きさを想います……






2012_0912_235512-CIMG8059.jpg


なんでもない小さめのショットグラスに、小さな亀山ローソクをいつものように
立ててみました。
グラスの縁にかかっているのは、グラスマーカーです。
パーティ―などのテーブルで、どれが誰のグラスかわからなくなってしまわないよう、
目印に付ける。

あなたは何色。あなたは。そしてあの方は? ……


わたしはエメラルド色のにしてみよう。


一人去り…二人去り…
グラスの主たちは、いつしかいなくなってしまって
あたしだけが、緑いろの石のついたグラスを手に、
ぼ~っと夜の海を見ている…





葉っぱさん、れんげちゃんのバナー。
今月もお借りしますね♪

                         
心ひとつに キャンドルナイト



こちらは、NANTEIさんが、こころをこめてお作りになったバナー。
お借りします。


南亭さんバナー②



『原子力と人事 ② 野田首相単独の任命に断固抗議 』

8月25日付『原子力と人事 ①』で、警告を書いておいたが、
野田首相が首相の権限を悪用して、国民からも、与党内部からさえ
批判の出ている、原子力規制委員会人事案を、案の通りのメンバーのまま
任命強行しそうである。

これは、
国会が閉会などして採決が出来なかったりした場合には、
『原子力規制委人事をめぐる例外規定』という同委員会設置法付則によって、
首相が単独で『任命権』を発動し、任命してしまうことができる、というものである。
正確に書けば、

原子力規制委員会設置法附則第二条第3項
この法律の施行後最初に任命される委員長及び委員の任命について、国会の閉会
又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、第七条第
三項及び第四項の規定を準用する。
原子力規制委員会設置法第7条第3項:
委員長又は委員につき任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉
会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総
理大臣は、第一項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、
委員長又は委員を任命することができる。


野田総理は、自身に対する問責決議案が可決され、国会が紛糾して審議が出来ないのを
逆に悪用して、上の例外規定を用い、単独で、田中俊一氏以下の
規制委員人事を強行しようとしているのだ!!!

原子力規制委員会は、福島原発事故で明らかになった悪弊への反省から、
原子力行政に携わる者が、特定の原子力関連産業や組織から利益供与を受けて
そのために規制を緩めたり、というようなことをしないよう、
絶対の独立性を守らせるということでスタートするはずであった。
ところが、委員長の田中俊一氏を含め、5人の委員のうち3人までが、
いわゆる原子力ムラの住人。これでは中立公正な原子力規制が出来るはずがない!と、
多くの国民が反対を叫び、民主党内部からさえ、この人事には待ったがかけられていたはずである。

それをこともあろうに、野田総理が、自分の権限で、この付則を拡大解釈して、
人事を強行しようとしているのである!

こんな滅茶苦茶を許していいのだろうか!!!
この総理は、自分と関係閣僚数人と、おおい町町長、町議会と福井県知事と
その間だけで根回しをして、必要もないのに、大飯原発1,2号機を再稼働させた!
この総理は、自党のうちに消費増税に反対する者も多いというのに、
自公と勝手に組んで、消費税増税を決めてしまった!
さらに、首相の権限を悪用して、こんな大事な人事を一人で決めてしまおうとしているのである!

まるでこれでは、独裁者と同じじゃないか!
こんな、民主主義の根本を無視した政治手法を、許してしまっていいのだろうか!

私は、原子力規制委員会人事案の撤回を強く強く要求する!
そして、一国の総理と言えど、このように国民のまっとうな願いも、
自党の議員の要求さえ無視して、自分だけで勝手に、
国の未来にかかわる大事な大事なことを決めてしまう、野田首相の
こんな独裁的手法に断固抗議する!

いったん人事が決定してしまったら、総理大臣でさえ罷免出来ないというような
そんな絶対の権限を持つ原子力規制委員会委員長に、田中俊一氏のような人物を
就かせてしまってはならない!
原子力規制委員会ではなく、原子力推進委員会になってしまう!

そもそも、こんな重要なポストの初代委員長にする人を、今回のような
不透明な決定のしかたで決めていいはずがない。
一体どのような選考課程を経て、誰が彼らを選定したのか、他に候補者はいなかったのか、
そんなことも一切、国民には知らされない。

この人事案についての私の7月31日、および8月3日の記事。

『原子力規制委員会人事に抗議する』

『原子力規制委員会人事に異議あり!』






『月・月・月』


ブルームーン。
一カ月の間に、2度満月があるとき、その2回目の満月をブルー・ムーンと言う。
今夜はそのブルー・ムーン。
その2回の満月を見たものは願いが叶うという…

あなたもご覧になっていらっしゃっただろうか…



2012_0831_230848-CIMG7969.jpg


東京はもう、20日?ほども雨らしい雨が降っていない。
近くの川は、川床が干上がってしまっている。
流星群の夜…かすかにぽちゃんと水音させてはねていた鯉は、
どうしているだろうか…
今宵も、空はくっきりと晴れていたのだけれど、なにもない空に月一つは
絵にならない。雲が通りかかるのを待って、ブルームーンを撮ってみた。


2012_0831_231757-CIMG7990.jpg



8月もいつのまにか過ぎてしまった……。
本当にどこにも行かない、空も見上げない、なんだか心を閉ざした夏だった…。

今年の夏のあたしは、夜に咲く花…


2012_0829_000946-CIMG7940.jpg


我が家の門扉。
二日前。十三夜の月と夜顔の花たち。
『十三夜』といえば、夕食後、樋口一葉の短い人生をドラマ化
していたのをテレビで見ていて、ぼろぼろ泣いた。
あたしは『大つごもり』が大すき。


2012_0826_204638-CIMG7915.jpg


夜顔。
夕方5時頃から咲く子もいるけれど、大抵は夜になってから密かに咲き、
朝が来れば凋んでしまう。
朝顔に似ているけれど、朝顔より花びらが分厚く、真珠光沢がある。
花の径は12、3センチもあって、かすかな芳香がある。

英名 moonflower.
まさに、月の花というにふさわしい。

小さな門扉の前にささやかな鉢を置いてそこに植えてあるのだけれど、
毎夜、2~4輪の、白く気品のある花を咲かせてくれて、この夏、寂しい私に
朝は濃い青の朝顔、そして夕方から夜はこの夜顔たちが、つつましい楽しみを
与えてくれた。



この夏の、私の気分は白。
年に一度、昔の塾の生徒R子とM子に会うが、この夏は、白い無地のTシャツと
ジーンズのあっさりした姿で会って、珍しがられた!
だって、塾時代の私は、いつもかちっとしたスーツ姿だったもの。下はタイトスカートで。
ジャケットの袖はいつも腕まくりしていた!


夜の庭には、こんな花も咲いていた。


2012_0829_000352-CIMG7923.jpg


カサブランカ?
今年は10本ほど植えておいたのが、順次咲いて、そのいくつかは、
こうしていつもパソコンする横のベンチチェストの上に飾っておいた。
この夏の暑さにも負けず、花は長くもって、その香りで私のこころを
どれほど慰めてくれたことだろう…
百合の花の香りは、私の最も好きな香りの一つだ。


この夏は、こんな花も咲いた。


2012_0713_231639-CIMG7609.jpg


月下美人。ああ………!

これも、なんという気高い花であろうか。
馥郁たる香りは、薔薇とも百合とも牡丹とも違う。
これも、夜の花の香りである。
夜咲く花は、虫媒花。
花の蜜をすう蛾を呼び寄せるために、甘い香りを夜に放つのである。
こんなに豪華なのに、この花も、一夜しか咲かない…
『月下美人』とは、よくもその名を誰か考えてつけてくれたものだ!

主の心が内向きになっているのを象徴するごとくに、このように
夜の花たちは、艶めいて咲いてくれたけれど、昼の真夏の花は百合以外全滅。
ダリアも、ジンジャーも植えては見たけれど、花は咲かなかった!
あの、どこにでも咲くたくましいおしろい花でさえ、まだ花が咲かない。
日当たりが悪いということはかくも如実に。

それでもあたしは満足。
この夏の気分に、なんとこれらの白い花たちはぴったりと寄り添って
くれたことだろう!


これを書いていた深夜一時半。
窓の外で、にわかに雨音!
久しぶりのお湿りだ!
玄関に出て外を見てみると、大粒の雨。でも、月が明るく輝いている!
おや、星もきらめいている!
夜の驟雨である!
キツネの嫁入り…夜のお天気雨…

夜の虹が出ないかしら…
そう思って傘をさして、しばらく門の前に佇んでみたけれど、
明るい月が、傘の影をくっきりと地面に落とすばかりで、
月のまわりの雲がわずかに彩られている気がしたばかりで、
夜の虹などというものは、そうそうは見られはしないのだった。


こんな音楽、いつものようにお送りしましょうか。
さて。ナイトキャップにオンザロックでもちょっと作って、
月にもう一度ご挨拶してから、私も寝ようかな……

みなさま。おやすみなさい。














プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/pekai/signup.html
国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/donate/?grid=header02
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