『参院選に向けて⑨ 消費税と軽減税率その3』


Ⅰ.消費税の特徴

消費税は。
赤ちゃんからお年寄りまで対象が広く、しかも否応なしに徴収できる。
法人税や所得税に比べて景気によって大きく上がり下がりするということが比較的
少なく、したがって安定した財源である。

だからこそ今では147カ国という多くの国で取り入れられているのだろう。

が、消費税にはデメリットはないのだろうか。
ある。それは、何より、低所得の者ほど負担が大きいというその逆進性である。
一つの例。もうすぐ新学年である。子供にランドセルを買ってやらねばならないという
家庭は多いだろう。おじいちゃんおばあちゃんなどからお祝い金をもらえる家庭はいい。
でも例えば、生活保護も受けていないで頑張って、仮に高めに見積もって900円の時給で
フルに働いたとして15万円そこそこの月収(年収180万)でぎりぎりの生活をしている
母子家庭などの親が、子供に3万円のランドセルを仮に買ってそれが32,400円になる場合と、
年収1,500万円もあるような家庭が5万円のランドセルを買って34,000円払う場合と、
どっちが生活に与える影響が大きいか。
考えるまでもないだろう。
自治体によっては2、3万円くらいの入学準備補助金が出るところもあるかもしれないが、
ランドセル一つ買ったら、なくなってしまう。その他に、体操着、上履き、リコーダー、…
最低限買い整えてやらねばならないものは、次から次に出てくるだろう…

そのように、消費税というものは、生活の豊かな者にはさほど税としての負担感がなく、
生活の苦しい者ほど負担を大きく感じるというのが一番の問題である。

消費税が増税されると、景気に響く、などということもそのデメリットとして挙げられることが多いが、
それは何も消費税でなくとも、法人税だって所得税だって税率が上がれば景気に響くという点では
同じだから、消費税だけの特徴とも言えないだろう。
消費税のデメリットは、一にその逆進性、逆累進性であると言えるだろう。


さて。この国には圧倒的かつ深刻な財源不足問題が大きく言って2つある。

●日本の少子高齢化は待ったなし。現役世代の減少と老齢人口の有無を言わせぬ増加
による社会保障費の不足は、これまた待ったなしである。
●日本の国の借金は、累積1000兆円を超えている。これを現在の世代が自らの
暮らしのために先送り先送りを続けていいのか?


グラフ①『平成27年度一般会計予算』(財務省ホームページより)

27年度 歳入
日本ではすでに、国の収入の一番比率が大きいものが消費税、となっている。
この円グラフでは、公債という借金も収入のうちに加えているから、17.8%だが、
それを除いた純粋の収入に占める割合は、31%だ。)





Ⅱ.社会保障費と借金返済の財源をどこに求めるか。

これには大きく言って3つの選択肢があると思う。そのそれぞれに選択肢がある。
皆さんに一緒に考えてもらいたいのは、これらの部分である。

選択肢1.今まで通り、消費税をメインに考える。
  ①消費税は、増税しない歳出削減で現状維持または財源を生み出す。
  ②消費税を小幅に上げて、軽減税率を適用する。
  ③消費税を20%以上などに大幅に上げて、社会福祉や社会サービスを手厚くする。
   軽減税率も適用北欧モデル
選択肢2.消費税の比率を減らして、別のもの(たとえば法人税など)を増税する。
  ①法人税 ②所得税 ③相続税 ④以上の組み合わせ ⑤新設税
選択肢3.消費税以外の全く新しい方法を探る



これらのいくつかについて、可能性を少し考えてみよう。
選択肢1.①消費税は増税しない。歳出削減で現状維持または財源を生み出す。

この歳出削減の一例は、民主党政権のときに、いわゆる『事業仕分け』の名で
『行政刷新会議』がやってみた方法である。
国民への透明性を確保しながら、予算執行の現場の実態を踏まえて、
そもそも事業が必要か否かを判断し、財源の捻出を図るとともに、政策、制度、組織等について
今後の課題を摘出しようとした。

結果は、当初目標としていた3兆円には届かず、1.7兆円が見直し・国庫返済との判定になった。
これは、仕分けの対象となった側からの批判も当然多く、また官僚の抵抗などもあって(?)、
成功したとは言いかねる試みであったが、私は実は高く評価している。

この日本の政治機構には膨大な無駄がある。そして多くの事業が不透明なまま、
慣習的に継続されていたりする。そういった政治機構の暗闇にメスを入れたことは、大変な
果敢な試みであったと思うのである。例えば、
独立行政法人及び公益法人が行う事業が、本来法人が有する専門性、機動性等のメリットを
活かしきれずに、非効率・不要な事業の温存等の問題を抱えている
こと』
『特別会計を仕分ける。特別会計の18会計、51勘定のゼロベースと呼ぶ根本的な見直し、
積立金の規模、資産の処分や活用、事業主体の変更可否、特別会計制度の見直し
など』
従来の予算に大きな問題があることが明らかにされた。とりわけ、政策、事業等の目的、必要性に
重点が置かれ、実施手段についての検証が十分ではない
ことが判明した」と総括』
『今回仕分けでは対象となってない事業についても、重複排除、補助金交付の効率化、
モデル事業、広報・パンフレット・イベント等、IT調達、公益法人及び独立行政法人等の
基金の見直し、独立行政法人・公益法人向け支出の見直し、特別会計の事業の見直し、
という8項目の横断的見直しの基準で、各省庁において見直す
とした』
ことなど。
(青文字部分Wikipediaより引用)

民主党政権の失敗と共に、彼らがやったこの政治機構の見直しも、スパコンがどうの、
JAXAの仕分けはどうだったのと、個別の問題があげつらわれて、この壮大な試み自体が
笑いものにされた感があるが、私はこの試みが継続完遂されなかったことをとてもとても残念に思う。
これがもし仮に今も続けられていたならば、壮大な無駄があぶり出され、巨大なお金が
国庫に戻っていたろう
と思うのだ。
また、行政刷新会議では、事業仕分け後、『予算編成過程の公開の重要性を再確認した』と
報告したが、私はこの試みが第一に国民への『透明性』『公開性』を重要視したことを、
何よりも本当に画期的なことだったと今も思うのである。
自民党安倍政権になって、せっかくのその政治の透明性、公開性は、また再び
なくなってしまった……

共産党の主張も、この選択肢1の①とほぼ同じと言っていいだろう。
ただし彼らが訴えているのは、『消費税そのものの廃止』だから、選択肢3.とも言える。


選択肢1.②消費税を小幅に上げて、軽減税率を適用する。

これが、現在、、政府が取ろうとしている道である。
だが、実際問題として、消費税が8%から10%に上がり、軽減税率が外食を除く食料品に
適用されたとしても、国民が感じる税の軽減感は、一体どれほどの者だろうかと思ってしまう。
オーストラリアや韓国のように、食料品が0%になるというのなら話は別だが、8%ということは
今と同じじゃないか。これでは『軽減』でもなんでもない!
軽減するための財源1兆円もまだ確保されてはいない
まして、本来『社会保障との一体改革』であったはずの消費税が、法人税や所得税の
減税によって相殺
されてしまう
という、その理不尽な仕組みのもとでは
一体何のための庶民の苦しみかわからなくなってしまう!
実は誰も、2017年4月からのこの増税案をやりたい者はいないのではなかろうか…。




選択肢1.③消費税を20%以上などに大幅に上げて、社会福祉や
社会サービスを手厚くする。軽減税率も適用。(北欧モデル)


この選択肢については、前の記事で北欧諸国の例をいくつか挙げて、こういう
こともできるのだとう可能性を提示してみた。
だが、残念なことに、日本でこの北欧モデルを採用するには、大きな障害があると思う。
一つには、既に日本が、巨額の借金を背負っていることである。仮に消費税を30%、いや
40%くらいにでもしない限り、1,000兆円という借金(グラフ①で見ると年に37兆円ずつ
増えて行く!)は返済していけないだろうし、グラフ①の歳出で見る通り、年に23兆円
(歳出の24%!)も国債償還や利払いに充てなければならないのでは、高い消費税に
見合うだけの社会保障や社会サービスを十分に提供できないかもしれない。
それが得られなければ、どうして国民は30%もの消費税を払う気になろうか!
この、巨大な国の負債。これを生んだのはどの党の政権だったろうか。自民党である!!
このことを国民はもう忘れたのか!!!


一つには、また、これも悲しいことだが、私たち国民は、すでに、政府というものを
信じられなくなっている…

日本がこの北欧諸国のように、税金が高負担ではあるが、その代わり高福祉で、
子育てにも、老後にも心配がなく、現役世代も生活を楽しめる…、というような租税制度に
大きく切り替えるには、国も国民も相当の強い覚悟を必要とするだろう。忍耐もだ。
『高い税金を払う代わりに、生活の安定は任せたよ』。
国家と国民の間に、この契約が成立するためには、国民の国への『楽天的な』と言えるほどの
信頼がなければならないだろう。

残念ながら、この日本においては、国民にそうした信頼感を抱かせるような政治家は…政権は…
そう、戦後ずっと、現在も…、ほぼ皆無と言っていいだろう…
(かろうじて、石橋湛山内閣と、あの田中角栄内閣ぐらいか。庶民に親しまれたのは。)
戦争中に至っては、国民は、国家によってあの悲惨を味わったのだから、論外!
いや。『参院選に向けて①』にも書いたように、今の日本人の悲しい政治不信、国家不信は、
あの戦争を経験したことが大きな傷となりしこりとなり澱となって、心の奥底に
『国家なんて信じられるものか!』という、悲しい習性となってこびりつき残ったのだと
私は考えているのだ……





長くなるので、選択肢3.以降は、次の記事で書こう。


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『参院選に向けて⑧ 消費税と軽減税率その2』


前頁のグラフをもう一度載せる。


グラフ①『付加価値税率(標準税率及び食料品に対する適用税率)の国際比較』
消費税と軽減税率 各国比較 2015年
(備考)
1.日本の消費税率8%のうち、1.7%相当は地方消費税(地方税)である。
2.カナダにおいては、連邦の財貨・サービス税(付加価値税)の他に、ほとんどの州で州の付加価値税等が課される(例:オンタリオ州 8%)。
3.アメリカは、州、郡、市により小売売上税が課されている(例:ニューヨーク州及びニューヨーク市の合計 8.875%)。


これは財務省ホームページからお借りした。https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/102.htm



さて。単純にこの棒グラフの数値だけを見ていては、その国の実態が見えないとは
どういうことか。
消費税増税を推進あるいは仕方なし、とする者は、よく、『日本の消費税は、欧米諸国に
比べてかなり安い』
と言う。まだまだ国民の苦しみ方が足りない、とでも言うようだ。
だが、本当にそうなのだろうか?


1.日本の消費税は本当にそんなに安いのか?


国民の消費税の負担の軽重を見るときに、税率だけを見ていてはその実態は
わからない、とはこういうことだ。


グラフ②『所得・消費・資産等の税収構成比の国際比較(国税+地方税)』

所得・消費・資産等の税収構成比の国際比較(国税+地方税)

1.日本は平成24年度(2012年度)実績、諸外国は、OECD "Revenue Statistics 1965-2013"及び同 "National Accounts"による。
なお、日本の平成27年度(2015年度)予算における税収構成比は、個人所得課税:30.2%、法人所得課税:21.1%、消費課税:34.7%、
資産課税等:14.0%となっている。

財務省ホームページからお借りしました。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/016.htm


グラフ①で、日本の消費税率は、諸外国とりわけ西側先進諸国に比べて低い、ということを
言った。
だが、上のグラフ②を見てみよう。これは、各国の総税収に対する消費税、所得税等の
税収の割合を示すグラフである。財務省の資料である。
これを見ると、日本における国家の税収に占める消費税による収入分は、30.7%。
このグラフは、平成24年(2012年)、消費税が5%だった時の比較グラフである。
下に小さく備考がついているが、8%に上がった平成27年時点では、この数値が34,7%
になった、と書いてある。17年に10%に上がれば、国の税収に占める消費税税収は、
当然もっと比率が高くなるであろう。

え?税率5%(うち国税分は4%)なのに消費税による税収は、30.7%?
30.7%なら、スウェーデン、フランスなどと比べてさほど少なくないじゃないか。
グラフ①で見るほどの、先進諸国に比べての差はない。
税率は5%だが、税収は30.7%。この違いは、どこから来るのか。
これはつまり、日本の消費税の対象項目が先進諸国と比べ多く、しかも食品など
生活必需品にも等しく税率がかかっているからだ。
すなわち、
日本は、税率が低いが、薄く広く消費税を徴収しているということだ。
日本の消費税による税負担は、今でも結構大きいのだということがわかる。
17年、消費税が10%になると、消費税収が国の収入に占める割合はさらに増え、
仮に外食を除く食料品だけが8%に据え置かれたとて、庶民の痛税感は和らぎはしまい。
食品だって8%はかかるのだから。それなら今の税率とかわらない。
同じ10%でも、食料品は0%、というオーストラリアや韓国に比べれば、
その負担感は仮に食品が8%に据えおかれたとて大きいであろう。

全然『軽減』なんかじゃない!




下の表は字が細かくて申しわけないが、これも財務省の資料である。
主要国の消費税の、なにに課税され、何は免除され、何は軽減されているかの一覧表。
2015年1月現在の資料である。


グラフ③『主要国の付加価値税の概要』

主要国の付加価値税の概要
財務省ホームページからお借りしました。http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/108.htm


●例えば、課税されないもの(非課税)の項目を見て行くと、『土地の譲渡・賃貸、
住宅の賃貸、金融・保険、医療、教育、福祉等』と、日本も諸外国もほぼ同じような
項目が並んでいるが、フランス、ドイツでは郵便も課税されない。

●ゼロ税率、すなわちまったく課税されない項目は、日本ではご承知の通り、上記以外ないが、
イギリスでは消費税は20%と日本より高いが、食料品、水道水、新聞、雑誌・書籍、
国内旅客輸送、医薬品、居住用建物の建築、障害者用機器等、は消費税ゼロ
である。

フランスでは、消費税20%で、ゼロ税率もないが、食料品は5.5%で日本より安く、
書籍も5.5%、新聞、雑誌、医薬品はなんと2.1%である!(このあたり、知を重んじる
フランスの価値観が出ているなぁ…)
社会福祉を雇用・出産・育児など、若者や子どもを対象とする分野に大きく広げている
子ども手当も、子どもが増えるほど手厚くなる。子どもが多いと、国鉄でも動物園・美術館でも割引。
新学期手当て(新学期ごとに給付される手当金で、学用品など新学期に発生する費用を
補償する
)も給付される。
未婚の母も含めて、さまざまな形で出産・子育ての支援態勢が整えられている。
出生率が2.1まで上がっている。
”認定保育ママ”といって子育てを終えた主婦が登録し、働く女性の子どもを預かる制度をはじめ、
働きながら子育てする女性を社会全体で支えるシステムが非常に充実している』
青文字部分は、こちらのサイトからの引用。http://itmama.jp/2014/03/05/56428/

おっと!いいグラフが見つかった。これを見れば、日本とフランスの子育て支援の
手厚さの違いが一目瞭然だ。
なんと、『内閣府』製作だ。内閣府、いい仕事してるじゃないですか。
こんないいデータを生かすも生かさないも政治家の力量と仕事だ。

グラフ④『日本・フランスにみる家族給付(年額)の比較
(第1子誕生、2年後第2子誕生のケース)』

日本・フランスにみる家族給付(年額)の比較
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2005/17webhonpen/html/h1420500.html



残念。10年前の17年度版『少子化社会白書』だった!
最新版22年度版を見たが、こういうわかりやすいグラフはなかった。
しかし、10年前に、日本フランスでこれだけ違いが象徴的にあるということは、結局
現在の日仏間の出生率の違いに表れているのではなかろうか。
2014年時点の日本の出生率1.42。フランスは1.99。先進国中最も高い。

これはただ、金銭的支援の数値の差、だけではないと思う。これだけ子供と母親に手厚い
ということは、思想そのものが根本から違うのではなかろうか。消費税が書籍は5.5%、
新聞、雑誌、医薬品はなんと2.1%、などと低いことなども含め、何やら、国の、
政治に対する理想と言うか、文化そのものがどこか違うような気がして仕方がない。


●世界で住みやすい国、高福祉の国の常に上位にいるスウェーデンは…。
消費税なんと25%で、ゼロ税率は、病院で処方してもらう医薬品のみが対象。
軽減も、食糧品、外食サービス、宿泊施設の利用は、12%で、日本より高い。
だが、新聞、書籍、雑誌、スポーツ観戦、映画、旅客輸送は6%と、17年度からの日本より安い。
(ああ!隣の芝生は青い、だが、この項目にも、スウェーデンの、『文化芸術』を尊重するという考え方が
表れているなぁ!)
でも、これだけ見る限りでは、スウェーデンは、日本より痛税感が大きそうだ。それなのに
なぜ、スウェーデンは、住みやすい国と言われ続けるのか?
…答えは皆さん、とっくにご承知でいられるだろう。
『スウェーデンは、消費税が高い代わりに、社会保障が充実しているのである。
スウェーデンは医療費が19歳未満は無料。また、自己負担上限額が設定されており、
例えば入院した場合には1日あたり80クローネ(日本円で約1,280円/1クローネ16円で換算)、
薬などの薬剤費は年間で1,800クローネ(日本円で約28,800円/1クローネ16円で換算)。
さらに教育費も大学院まで無料となっており、給食費もかからない』

青文字部分は、こちらのサイトなどからの引用。
http://suzie-news.jp/archives/6314

                   ***

上記、フランスやスウェーデンの例に見るように、その国の税制を見るときに、ただ税率が
高いか低いか、国の収入に対するその割合が大きいか小さいか、だけを見ては、
その国の民の暮らしは推し量れない。どのくらい納めた税金が社会福祉や社会サービスとなって
再び国民の生活を潤すか、という『還元度』が問題となってくるのだ。


グラフ⑤『主要国の国民負担率と還元率』(参考)
 下記サイトさんからお借りしたのだが、残念ながら、年度、計算法などの詳細がない。
したがって、『参考』という扱いにしていただく。
http://rh-guide.com/tokusyu/syohizei_uso3.html

国名日本アメリカイギリスドイツフランススウェーデン
国民負担率39.5%34.9%48.3%52.4%61.2%64.8%
還元率24.0%17.1%28.1%38.8%38.8%41.5%
還元/負担60.8%49.0%58.2%74.0%63.4%64.0%







『国民負担率』とは、国民が納める『税金+社会保険料(年金や健康保険や失業保険など)』
の国民所得に対する比率のことである。この国民負担率に関しては、財務省のデータが
公開されているのだが、その計算方法について、ここには国民が税金で分担している
国の借金の分が計算に入っていない。意図的に日本の国民負担率が低く見えるように
計算されているのではないかという批判があるようだ。
だから、これも参考までに。URLを一応載せておく。
https://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/basic_data/201502/sy2702o.pdf
これ(2012年度資料)によれば、日本の国民負担率は27位、40.5%。
1位のルクセンブルグは94.1%、2位のデンマークは67.8%である!

大事なことは、国民負担率というこの数字、国民が納める税金や社会保険料の合計比率が
国民の感じる負担感そのままの数値ではない、ということである。
国民が、ようするに国からどれほど実際に社会保障の恩恵を受けているか、という
『還元率』が問題になってくるのである。

具体的に例を挙げて行った方がいいだろう。

例えば、デンマークはグラフ①で、消費税が25%で、何と食料品にかかる税率も25%
と書いた。なんと高いのだろう!財務省発表国民負担率でもデンマークは2位の67.8%である。
これだけ見れば、デンマークはとんでもない高負担の国だ。
だが。
2008年デンマーク統計局資料によれば、デンマークの税金は国民のために次のように
使われているという。

 ①、国民年金、休業手当、教育援助金、住宅援助金、等 42.6%
 ②、保健、医療費                         14.1%
 ③、教育費                             14.9%
 ④、文化、余暇、環境関係費                   4.1%

 ⑤、行政管理費                          12.4%
 ⑥、警察、防衛費                          4.9%
 ⑦、道路、交通、運輸費                      3.5%
 ⑧、企業促進関係費                        3.5%
 ①~④は直接国民生活に還元される。合計75.7%が国民還元率という事になります。
 (「世界一幸福な国デンマークの暮らし方」PHP新書=千葉忠夫著から)
http://blogs.yahoo.co.jp/kopen349/5242869.html

青文字部分は、上記サイトから得た情報だが、同じく上記サイトによれば、
『①、総選挙後の減税に反対 64% ②、減税に賛成 23%
 これは昨年(2011年。彼岸花補足)秋のデンマーク総選挙前, 6月のギャラップ調査です。』

はああああ~ッ??
『減税に反対 64%、減税に賛成 23%??』
日本でこんな数字考えられるだろうか?
つまり、デンマーク国民は、国による税の使われ方に満足しているということである。
また、これは結局、国民が政府を信用している、ということではないだろうか?


他の消費税率の高い先進国を見て行こう。以下。こちらのサイトから引用させていただいた。
http://suzie-news.jp/archives/6314
●アイスランド。消費税25.5%。日本と同じく火山国。電力は地熱でまかなわれている。
大学までの学費が無料。シングルマザー、障がい者、高齢者に対して手厚い補助。
●ノルウェー。消費税25%。出産費用、大学までの学費はほぼ無料。
●フィンランド。消費税24%。ただし食料品の税率は14%。医療費、学費は無料。
本、薬などは10%。嗜好品のアルコールは29.9%で、タバコに至っては81.3%。
学力世界一を誇るフィンランドは、少人数制のクラスでしかも受験戦争も学校間格差もない
手厚い教育を受けられる。

ここで挙げた例は、聞き書きに過ぎない。これらの国々も年年事情は変わって行くのであろうし、
国民がこれで皆満足と言うこともありえないだろう。
また、日本とこれらの国々のそもそも抱える条件も違う。
私は、これら主に北欧諸国のモデルに従え、と言っているわけではない。

だが。消費税のありようについては、もっと、私たち国民自身が、真剣に考えてみる
必要はあるのではないだろうか。
税金が上がる、と言うと、とにかく何が何でも反対する…
でも、いったん決まってしまうと、急激に関心は薄れて、自分たちの納めた税金が
どう使われようともうあまり関心がない…
政治を原則信じることが出来ない…(これは国民の罪ばかりではない。悲しいことだが)
政治家も国民も、自分たちの利益、自分たちの世代のことばかり考えていては
いけないのではないかと思う。

さてと…。そう消費税のことばかりは書いていられない。
あと一つ、まとめの記事を書いたら、次に進もう…

『参院選に向けて⑦ 消費税と軽減税率 その1』

前の記事で、消費税導入の歴史をざっと見てきた。

国の財政がひっ迫してきたとき、まあ、それは、家計でも同じことだが、大きく言って
3つの対処法があるかと思う。
①節約して生計を切り詰める。
②借金をして当座をしのぐ。
③仕事を増やしたり投資をしたりしてとにかくお金を稼ぎだす。

第一次オイルショックによる戦後初めてのマイナス成長に陥った時、日本は
赤字国債を発行して当座をしのいだ、ということを書いた。つまり②の借金である。
(今、その日本の国の累積借金は1,000兆円!)
しかし、それでは後の世代に負担を残すことになる。そこで、③、国の収入自体を増やそうとした。
国の税収を増やすにはどうしたらいいか。いろんな方法を考えたろうと思う。
所得税、資産税などの増税…、法人税増税…だが、これらは国家の収入源としては
安定性がない。景気に大きく左右されるからである。それに…財産を多く持っているもの…
資産家や大企業や…といった、国政に発言権を持ち影響力を持つ者たちの
強い反対を受けるであろう。
そこで。『消費税』ということになったわけ。ごく単純化して言えば。


『消費税の政府にとっての利点』
  ①国民から否応なしに徴収できる
  ②赤ちゃんから老人まで全世代から徴収できる
  ③したがって、安定した財源である


今、国会予算委員会でも、また新聞などでも、盛んに消費税と軽減税率のことが
話し合われている。安倍政権は、消費税を8%から10%に上げることを、本来
2015年10月に実施するという当初の予定を2017年4月に先延ばし。
その是非と問うと言って600~700億円も費用をかけて衆院解散総選挙を行った。

今度の引き上げは、東日本大震災級の大事でも起こらない限りは絶対に実施すると言っていたが、
この頃、ちらほら増税実施は再引き延ばしか、といううわさも聴く中で、なぜか軽減税率の
話ばかりが妙に細部にわたり細かく報道されている…。

今本当に国民も交えて真剣に話し合うべきは、消費税増税が本当に必要なのか、
果たして8~10%に上げたとて、社会保障費を賄うのにどれほどの効果があるのか
また今まで、それは正当に社会保障費に回されてきたのか?ということの再検討なのでは
ないだろうか…



                   ***  

消費税(欧州などに置いては概ね『付加価値税』、あるいは『物品税』などと呼ばれるもの)を
国家の税収の主なものに据えようという動きは、これは何も日本だけのものではない。
多くの国がこれを導入しているのである。そしてまた、多くの国が、増税による国民負担感を
少なくするために、軽減税率を採用している。
次のグラフを見てほしい。これは2015年最新版。

『付加価値税率(標準税率及び食料品に対する適用税率)の国際比較』
消費税と軽減税率 各国比較 2015年
(備考)
1.日本の消費税率8%のうち、1.7%相当は地方消費税(地方税)である。
2.カナダにおいては、連邦の財貨・サービス税(付加価値税)の他に、ほとんどの州で州の付加価値税等が課される(例:オンタリオ州 8%)。
3.アメリカは、州、郡、市により小売売上税が課されている(例:ニューヨーク州及びニューヨーク市の合計 8.875%)。


これは財務省ホームページからお借りした。https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/102.htm



文字が小さくて申しわけないが、
棒グラフの白い部分の高さが各国の付加価値税(≒消費税)の標準税率。すなわち
消費税税率。そのうち、青い部分の高さが、食料品に対する税率である。
白と青の差の部分が『軽減された分』すなわち軽減税率ということになる。
日本を見てみよう。2015年1月現在。消費税は8%。軽減税率はまだ適用されていないから、
日本人は、食料品にも他のものと同じに8%の税を払っていることになる。そうですよね。
では例えば、日本と大きく違う例から言って…イギリスを見てみよう。
イギリスの消費税率は20%だが、棒グラフが真っ白ということは、食品の税率が0%
ということである!
庶民にとって一番関心事の食事。その食品にかかる税率が0%の国は、他にも、カナダ、
オーストラリア、アイルランドなど結構ある。お隣の韓国もそうだ。
オーストラリアも韓国も、消費税は日本が17年からそうしようとしている10%だが、
食品の消費税は0%
それに対し日本は8%に据え置き、というだけのことである。

反対に極端な例を見てみようか。
福祉国家といわれる北欧諸国のうちデンマークは、消費税が25%。なんと、食料品も
25%
である!これはきつそうだなぁ!
…これについては後で書く。
同じく福祉国家ノルウエーでは消費税25%食料品の税率は15%である。これもきつい!
フランスではどうか。20%に対し食品5.5%である。食品5.5%はまあまあだが
その他が20%というのはやはりきついな。ドイツは、19%で7%。
ハンガリーに至っては、ここに掲げた諸国中最高税率27%で食品も18%だ!
国民の暮らしは、きついなんてもんじゃないだろう…
あとは。おひまにまかせてゆっくり各国の消費税と食品にかかる税を検討ください。


ここからなにをお感じになられるだろうか。
日本の消費税8%(2017年からは10%)は、諸外国、とりわけヨーロッパの
先進諸国からすると、まだまだかなり安い、ということではないだろうか。


先進国の中で、日本の消費税は、かなり低い水準にある……
このグラフからは、それだけしかとりあえず読みとれないだろう。
でも、本当にそうなのか?
日本および各国の詳しい実態を次の記事で見て行く。



『参院選に向けて⑥ なぜ猫の首に鈴が必要とされたのか?』


猫の首に鈴をつけることが、ネズミにとって必ず必要なことなのか?
という疑問を、前の記事で呈してみた。
ちなみに、猫自身にとっても、首に鈴をつけられることはストレスらしい。


仲のいい子猫とネズミ。



猫とネズミ③

写真はこちらのサイトからお借りしました。記事の内容と写真の引用先とは関係ありません。
http://funnybabyanimalphotos.blogspot.jp/2008/09/funny-cat-mouse-photos.html




1.消費税の歴史と導入理由


なぜ、消費税というものは、そもそも生まれたのだろうか。
日本におけるその歴史と経過はこちらのサイトでよくわかる。
http://thepage.jp/detail/20160103-00000004-wordleaf?page=2
少し補いながら、一部引用させていただく。

1979年。大平正芳内閣。
1973年の第1次石油ショックで高度成長に終わりを告げることになった日本経済は、
その翌年、戦後初めてのマイナス成長に突入する。大幅な歳入欠陥となり、財政も赤字となった。
このため政府は、本来は財政法で禁じている赤字国債を2兆3000億円も発行した。
これが、その後の本格的な国債依存財政の始まりとなった。

当時の三木武夫内閣で蔵相を務めたのが大平である。財政破綻につながりかねない
赤字国債の大量発行への道を開いたことに、大平は強い責任を感じていたという。
「子孫に赤字国債のツケを回すようなことがあってはならない」
だからこそ、大平は首相に就任するや、戦後の直接税中心だった日本の税体系を、間接税主体に
改めようと考えた。その手段が「一般消費税」だった。

大平首相は、間接税の導入で健全化をはかろうとしたものの、最後は自民党内からも反対が続出、
10月の総選挙のさなかに撤回するも選挙は自民過半数割れと敗北を喫する。その後党内は
内紛状態に陥り、最後は内閣不信任決議案可決にまで至る。解散を選んだ首相は選挙期間中に急死。
●中曽根康弘首相。当初から「大型間接税」導入を目しているとみなされ、微妙な言い回しで
やる気があるようなないような発言を繰り返してきた。86年の衆参ダブル選挙では導入しないと
断定し、「この顔が嘘をつく顔に見えますか」とまで言い放ち圧勝した。
ところが、選挙後に間接税の一種である「売上税」を導入すると豹変して、87年の通常国会に
法案を提出。「嘘つき」の大合唱が起き4月の統一地方選挙で敗北。撤回を余儀なくされた。
初めて消費税を導入したのが竹下登内閣で、89年から3%でスタート。国民の受けは
甚だ悪く、同時に起きた戦後最大級の贈収賄事件「リクルート事件」が発覚し、国会も大もめ。
内閣支持率は急低下して3%台をつけるや「消費税並み」とやゆされもした。政権の求心力は
急速に失われ総辞職に至った。
●1994年。細川護煕首相が、税率7%の目的税「国民福祉税」を導入する構想を発表。
が、担当となる閣僚を含めた政権要人からも反対論が上がり即日白紙撤回。
●橋本龍太郎首相は人気が高く、1997年4月に3%から5%に引き上げ。この頃になると
消費税の目的が、赤字体質からの脱却や社会保障の充実ということになってくる。
急速に財政健全化へと舵を取る政権。だが山一證券や北海道拓殖銀行の破綻など
金融システムの不安や、アジア金融危機で深刻な景気後退局面を迎えた。翌98年の
参院選で自民党は惨敗。総辞職に至った。
●消費税増税を持ち出した菅内閣、自公民3党合意のうえ、消費増税を決めた野田内閣のことは
前の記事で書いた。

まあ、消費税(増税を含む)を言いだしたり決定した内閣は、いずれも散々な目に遭っている。
私は知らなかったが、『消費税は政権にとっての鬼門である』という言葉が、もう
とっくの以前からあったのだそうだ。
私は、それを、『猫の首に鈴をつけるようなものだ』と表現したわけだが。


以上の歴史からわかるように、消費税論議のそもそもは、
1973年第一次オイルショックで、日本の高度経済成長期が終わり、国の赤字財政を
補うための目的で導入
されようとしていた。
それが途中から、『増大する社会補償費確保のための財源』というように目的税化
されてきたのである。


                 ***


『消費税』は、日本ではそう呼ばれるが、同じようなものでも欧州などでは『付加価値税』と
呼ばれる。こちらのサイトから一部編集して引用する。
筆者は、仏フィガロ紙記者レジス・アルノー。皮肉たっぷりな書き方である。
http://www.newsweekjapan.jp/column/tokyoeye/2012/05/post-502.php

『消費税の一種である付加価値税はフランス生まれ。1954年に財務官僚のモーリス・ローレが
考案し導入した。政府にとって消費税は「天の恵み」のようなもので、生みの親ローレは
フランスでは偉人であり「英雄」だ。
楽々と税金を徴収できる消費税は、いってみれば出来過ぎている。納税者が所得を減らして
所得税を減らすのは簡単だが、消費税をごまかすのは不可能に近い。
「消費税はフランス史上最高の発明品」と、あるフランス人外交官は言った。』



この記事に端的に書かれているが、そう。消費税は、政府にとってこういう利点がある。


『消費税の政府にとっての利点』
  ①国民から否応なしに徴収できる
  ②赤ちゃんから老人まで全世代から徴収できる
  ③したがって、安定した財源である






『参院選に向けて⑤ 猫とネズミ』

今日は2月22日。『猫の日』だそうである。
言わずもがな、222で、にゃんにゃんにゃん…

猫の日にちなんで、彼岸花作、『猫とネズミ』の寓話をひとつ。


猫とネズミ
写真は、こちらのサイトからお借りしました。http://nekomemo.com/
記事の内容と写真の引用先とは関係ありません。



というのは冗談。だが、少し苦言を呈しておきたい。

2010年6月、民主党菅内閣が成立。
成立時には61%あった支持率が、1カ月で39%にも下がった。
7月の参院選で民主党は惨敗し、衆参のねじれが生じてしまった…。
なぜ、発足直後はそれなりに支持率があった菅内閣の人気がわずか1カ月でガタ落ちし
参院選で大きく票を失ったのか。
鳩山由紀夫前首相が4年間は消費税を上げないと言っていたにもかかわらず、
菅内閣は参院選前の6月17日、マニフェストを発表。
そこで与野党の協議が調えば次期衆院選前にも増税に踏み切る可能性を示したのである。
『2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる』

せっかく新内閣誕生で少し期待感が高まった国民感情に冷水を浴びせた、ということが
菅内閣支持率低下と選挙結果に大きく影響したのではなかったか。
株価もその後4ヶ月間ほどは低迷している。

しかし、消費税増税は、民主党だけの政策ではなく、自公もその必要性はとうに認識して、
実は菅氏が持ち出した消費税増税10%に、という数値は自民党案を採用したものである。
増え続ける国の借金と減り続ける人口。逆に増え続ける老人層と、それが今後
必要とし続けて行くであろう医療介護費など社会福祉費用の増大。
それは、与野党を問わない、国民全体の問題であったはずだし、今もそうだし今後もあり続ける。
その認識は誰もがもつものであろう。そしてその財源を消費税増税に求める、というのも
国民全般にほぼ共通した認識であったのではないだろうか(私は反対だが)。

しかし。消費税増税はそうした共通の認識でありながら、いざ実際増税ということになると、
経済界からも国民からも総スカンを食らう。そこで政府はなかなか、いついつ実施しますとは
言い出しにくいものである。下手をすると次の選挙結果に直接影響するからである!
言わば。消費税増税実施は、『猫の首に鈴をつける行為』と似ているのである。
猫の首に鈴がついてしまえば、ネズミたちみんなは安心である。だが?一体誰が、どのネズミが
自分の命をかけて猫の首に鈴をつけに行くのか? 
……誰も行きたがらない……
この場合、猫とは何を表しているか。『膨らむ社会保障費対策としての消費税増税』である。
ネズミとは誰か。猫の首に鈴をつける(=消費税増税を言い出すこと)という危険を冒せば
命を失う、すなわち国民の支持が下がる(=選挙に負ける)危険に直面する『政党・政治家』である。
また、ネズミとはある意味で国民自身でもある。猫の首に鈴をつけねばならないことはわかっていながら、
実際に消費増税によって自分たちの負担が増えることは厭い、それを言いだす政治家・政党を
嫌う人々…。

菅元総理は、言うなれば、猫の首に鈴をつけに行ったようなものだ。
『バッカだなあ!なにも参院選直前にそんなこと言いださなきゃいいのに!』とあの当時私は
感じていた……参院選が終わってからじっくり与野党で議論すればいいものを…と。

国民は、民主党政権に厳しすぎなかったか?
同じ消費税論議でありながら、10%増税の必要を言いだした菅内閣には2010年
参院選惨敗というきつ~いお灸を据えた。
その後、民自公の3党合意によって消費税増税は決まった。
2012年の衆院選で野田内閣の民主党は自民党に政権を空け渡す。
その後はどうか。あれほど2010年消費税増税に拒否反応したにもかかわらず、合意後は
国民は、その内容や実施時期に意外なほど鈍感だったのではないか。

決まる前は激しく拒否反応するが、一度決まってしまうと『もう決まったことだから…』と、
容易にすべてを受け入れて、その内容の検討や見直しなどに対しても急速に関心も怒りも
失ってしまう、この国の国民性を私はそこに見るのである。

原発再稼働しかり、TPP合意しかり、消費税増税しかり、安保法制しかり……。
国民だけではない。マスコミが率先してそうである。TPPや消費税論議などは、
朝日新聞の論調だって、なにか最初から『歓迎すべきもの』として決まったもののように
書かれ続けていた印象がある…
・社会保障費確保に消費税以外の方法はないのか。
・増税するしか道はないのか。
・TPPのデメリットの詳細な分析…
そういった視点からの記事が極めて少なかったように思うのだ。
私はそれをいつも不審視して来ている……今も。

消費増税に対する国民の反応のその後はどうか。
安倍政権の2014年4月には、消費税が5%から8%に増税された。
消費者は、それをどういう態度でおおむね受け入れただろうか?
粛々とその事実を受け入れ、対抗策としては消費を抑える、という行動に概して出たように思う。
…私もそうだった…
景気は10月まで停滞期を迎えたが、10月31日、黒田バズーカ第二弾と、GPIFの
運用比率を変えて内外株にその50%を注ぎ込めるようになったことで株価は持ち直した
ということも前の記事で書いた。
安倍政権は、5%から8%への増税実施という、猫の首に鈴つけを、まあまあ成功させた、
といってよかろうか。

だが。消費税率の目標値は10%まで持っていくことである。
自民党は10%への増税実施を15年10月から17年4月に先送りし、その延期判断について
国民に信を問うと言って、解散総選挙を2014年12月に行った!
この意味のない総選挙には600~700億円も費用がかかった!

(国民は、自民党を支持。このことで、結果的に国民は、秘密保護法もTPPも原発再稼働も
自衛隊の集団的自衛権行使容認を含む安保法制も…安倍政権の方針にお墨付きを
与えることになってしまった…安倍氏の任期も伸びた……)

さらには、今、自民党は、公明党に配慮して実際は『負担軽減』でもなんでもない軽減税率
持ち出し、国会の予算委員会でも盛んにその論議が行われているところである。
曰く。コンビニで買ったドーナツとコーヒーを、お盆にのせてもらって店の休憩コーナーで
食べれば10%になるが、袋のまま持ち帰れば8%のままですむ。
だがしかし、『持ち帰りです』と言って8%で買っておきながら、イスが空いているからと
言って店内で食べ始めた客に対して、店側は追加の2%分を請求できるのか?などなどと…。

以前載せたグラフの最近版だが、こんなデータをもう一度見てほしい。


法人税減税



消費税税収のデータと、法人税減税額の比較グラフである。
消費税で得た分が、法人税の減税でほぼ消えていることがわかる。
2014年から消費税が8%に上がったので、当然税収は増えているが、安倍内閣では
法人税減税をさらに進めていき、20%台にするというから、消費税増税分の大方は
やはり法人税減税分に取られていくのだろう。
消費税を上げても、それがそのまま活かされているとはいえない現状ではないだろうか。

果たして、消費税というものそのものが、社会保障費確保のために最も有効な方法
なのだろうか?
また、盛んに議論されている『軽減税率』というものが、本当に国民の税負担増の
軽減措置として有効なのか?
その根本のところの議論は国民によく説明もないまま、ひたすらこの政府は、消費税増税に関する
方針と日程をほしいままにし、出来レースを走り続けているように思えるのだが。
マスコミもまた…。
それでも、安倍政権の支持率は下がらない。
それが私には理解できないのである!

果たして、猫に鈴をつけることが、ネズミたちが安心して暮らして
いくための、もっとも良い方法だったのだろうか?


『参院選に向けて④ アベノミクスの効用?その二』


「アベノミクス効果で株価が上がった、というけれど、単に日経平均株価はニューヨークダウと
連動しているだけじゃないの?」という、私が深夜ラジオを聴きながら思ったこと。
これについてもう少し詳しく見て行ってみよう。
以下に書くようなことは当たり前に知っているよ、と思われる向きもあるかもしれないが、
若い人で日本経済の動きの歴史を知らない、という方もいるだろう。少し振り返ってみるのも、
『現在』というものを見るのに無駄なことではないだろう。もう少しお付き合いください。


①『ニューヨークダウ平均株価の推移』
ダウ平均株価推移
              『世界経済のネタ帳』より引用

②『日経平均株価の推移』
日経平均株価推移
             『世界経済のネタ帳』より引用

これらのグラフは、『世界経済のネタ帳』さんからお借りしています。
私のこの記事では表示できないけれども、元のこのサイトでは、カーソルをグラフにあてると
正確な年度が表示されるし、細かい数値の別表も見ることができます。


この二つの折れ線グラフを比べてみて、素直に感じられたことはなんだろうか?
『なんだ、ぜんぜん形が違うじゃないの。連動なんかしてないんじゃないの?』ということだろう。
私もそう思った。
だが。無論、アメリカと日本個々の国内事情というものは、当然株価に反映される。

●最初に、ニューヨークダウと日経平均株価共通の動きから見て行ってみよう。

ニューヨークダウ、日経平均株価ともに大きく下げている年がある。
アメリカで1万USドルを割り込み、日本で1万円を割り込んでいるのがそれだ。
・2002年。2001年のあの9.11アメリカ同時多発テロ
起きた年の翌年である。
(9.11の起こる前の2000年にすでに株価下降が見られるのは、ITバブルがはじけたことによる)
・2008年。リーマン・ショックの年である。
共に、アメリカ発の動揺が、世界経済日本経済にも大きな影響を与えたことがわかる。

●ニューヨークダウと日経平均株価の動きで大きく違うところを見て行こう。
日本の1989年。突出して株価が高い。これはいわゆる『バブル』の絶頂時である。
この年の平均株価はなんと38、915円!グラフが示す通り、信じられないような高値だ。
・1990年。バブル崩壊。
・1990年から1993年にかけては株価も大暴落。1973年(昭和48年)12月から続いた
安定成長期は終わり、日本は『失われた20年』と呼ばれる低成長期に突入する……


・1997、1998年。
さらに、日本では、バブル崩壊の底から少し立ち直りかけたときに、また株価が
暴落している年があるのがわかる。アメリカのグラフは全体的に見て右肩上がりになっている
にもかかわらず、日本では乱高下が激しく、1997、1998年にまた、低くなっている。
それは前の記事でも指摘したが、1997年に、橋本構造改革で超緊縮予算が組まれ、
また、消費税が3%から5%に上がったことなどの国民の負担増も重なって日本の景気が
再び急速に悪化した年である。

・2011年。もう一度日経平均株価が一万円台を割り込んだところ…
無論忘れることなどできない。東日本大震災の起こった年である。


比べてみるとよくわかるが、アメリカのニューヨークダウががくんと下がったのは
9.11とリーマンショックの2回。その他は、アメリカは全体として右肩上がりである。

一方、日本は、そのアメリカの9.11リーマン・ショックによる2回の暴落のほかに、
バブル崩壊橋本構造改革3.11のときとで計5回、株価が大きく暴落している…

これらのことから引き出せる一つの結論は、日米の株価は連動して動く部分と、その国の
特殊事情によって独自な値動きをする場合と、両方ある、というごく当たり前の結論であろう。



           ***

しかし。この記事の主題は、アベノミクスの効果だ。
それでは、安倍氏が政権を取った2012年12月末。(正式発足は2013年1月)
そのあたりからの株価の動きをもっと細かく見られるサイトに行ってみよう。

『リーマン・ショック以降の日米株価の推移』

残念ながら、このサイトは、転載を許可していない。だから、申しわけないが、面倒でものその
サイトに飛んで見てください。一番上の2008年から2016年までのグラフをまず見てください。

こういうふうに大きく見れば、最近の日米株価の変動のグラフのかたちは似ていることがわかる。
何度も書いたように、2009年、リーマン・ショックのあおりを受けて、日米株価は共に暴落。
その後共に少しずつ回復基調になり、日米共に右肩上がりになっている。
だが、日本では東日本大震災が起こり、アメリカはその間株価が上がり続けているが、日本は
低迷を続けた、というのは前にも書いた通り。
安倍総理はしつこいほど、自分が政権についてから民主党時代より日本の経済が上向きになった
と宣伝する。それは本当なのか。
まだ民主党政権の2010年。このあたりから見て行ってみよう。
申しわけないが、その都度該当する年度を『リーマン・ショック以降の日米株価の推移』で見てください。

●2010年。
この年の5月くらいまでは、日本の株価はアメリカのそれと同じように緩やかな上昇傾向。
これは日米共にリーマン・ショックの痛手から徐々に立ち直りつつあったことを示している。
だが。5月に、日米共に急に株価が下がっている時期がある。これは5月、ギリシャに
端を発する財政危機が、欧州の中小国や金融機関への懸念につながり世界的な株価の
下落要因となった
ことを示しているのか。また、8月、アメリカ経済への減速懸念から
円が大量に買われ続け、8月11日には15年ぶりとなる1ドル84円台に突入。それに伴い、
日経平均株価が続落した。
しかし、2010年の9月くらいからは、アメリカの株価は上がっているにもかかわらず、
日本のそれは横ばいのまま低迷を続けていることがわかる。
これはどういうことか考えてみる。
2010年の6月、沖縄普天間基地移設問題などで迷走して人気を失った鳩山政権が
菅内閣に代わった。3.11の9か月前のことである。
菅内閣の支持率は、政権発足時の6月、61%あった。それが1カ月後の7月には39%に急落。
7月の参院選で民主党は惨敗し、衆参のねじれが生じてしまった…。
ここでなにがあったのか。

これは私の個人的印象に過ぎないのだが、2010年7月の参院選で、民主党が
大敗した大きな原因について
。その1か月前に誕生した菅内閣が、鳩山由紀夫前首相が
4年間は消費税を上げないと言っていたにもかかわらず、参院選直前の6月30日、
『2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる』と発表して、せっかく
新内閣誕生で少し期待感が高まった国民感情に冷水を浴びせた、ということが大きく影響した、

という記憶があるのである。
それがこの、2010年半ばの株価下落に表れているのではないだろうか。
その後、年終わりごろから翌年にかけて再び緩やかに上昇し始めるが、そんな折、
3.11に遭遇する!
株価というものは、その時々の『気分』を敏感に反映する。民主党政権は、いわばこの
『嫌気』の気分のまま、3.11に遭遇し、そのまま低迷を続けた、と言えるのではないだろうか。

民主党政権での株価低迷は、3.11のせいばかりとはこれでは言えない。

2012年12月末。第二次安倍政権が誕生してから、日経平均株価は急上昇して、
時折の乱高下はあるものの、確かに民主党時代よりは遥かに高水準を保っている。
安倍総理の言う通り、『株価は、民主党政権さんの頃より上がった!』

私は、安倍政権が嫌いだが、一つだけ評価することがある。
それは、安倍政権が『明るいムードを(演出)醸成したこと』である。
自分の息のかかった黒田氏を日銀総裁に据えて、次々に金融緩和策をとり、『アベノミクス三本の矢』
などというわかりやすい標語を掲げ、『この政権なら、経済を上向きにしてくれるかも』という
先行きの期待感を、経済界にも国民にも持たせたことである。

逆に言えば、民主党政権では、それがうまく行かなかった。政権運営の不慣れさや
鳩山、小沢、菅の三人の足の引っ張り合いなどで、国民に嫌気がさしてしまっていたことなど
があって、2010年の7月11日。 第22回参院選が実施され民主党は惨敗。自民党が勝利し、
与党が過半数に届かないためねじれ国会が生じてしまった!そこからはさらに民主党は
政権運営がしにくくなり
、ついに2012年の政権明け渡しにまで突き進んでしまう。

民主党のことや消費税(と軽減税率)については、いいたいことがある。これも別の記事にして
次あたりに書きたいと思っている。


                ***


…先を続けよう。
もういちど、記事トップの①②のグラフを見てください。この記事の主題はアベノミクスなので、
安倍第二次政権が実質的に動きだした2013年以降の折れ線グラフを。
日米の平均株価は、2013年から2016年現在に至るまで、ほぼ同じような動きをしていないだろうか。
上がって、上がって、下がる…
日経平均は、NYダウのコピー相場だと言われてきたそうである。
実際、NYダウが上げれば上げ、下げれば下がった。変動率もまたNYダウとほとんど同じだった。


ああ…やっぱりそうなんだ…私の素人としての印象はあたっていたわけだ…が、
そんなのは今さらのこと。とっくにプロの間では言われてきたことなんだなあ…

このグラフではちょっとおおざっぱ過ぎて一年ごとの動きがよくつかめない…
それではまた、『リーマン・ショック以降の日米株価の推移』に戻って、二番目三番目…の、
日米株価推移のグラフを見て行ってください。安倍政権が実質的に動き出した2013年以降のグラフを。

●2013年。日経平均株価は、ニューヨークダウの緩やかな上昇に比べ、年頭から5月ごろまで
急激に上昇している。
この時期一体何が日本では起こってたのだろうか。

3月20日。日銀のトップが、安倍首相と考えが近い財務省出身の黒田東彦氏に交代。
4月4日。日銀は新しい金融緩和策を発表。世の中に出回るお金の量を2年で2倍に増やすなど、
「異次元」とか「バズーカ砲」と呼ばれるほど大胆な金融緩和策を打ち出す。


金融緩和とは、日本銀行がお札をどんどん刷って世の中にお金が回りやすくすること。
つまり金利が下がるので、住宅ローンや工場を建てるためのお金が借りやすくなる。
また、金利が下がると円が売られて円安になる。円安は輸出を増やすので、製品を海外に
売る企業がもうかり、株価が上がる。株価が上がると余裕が出来て、お金を使う人が増える(という見込み)。

5~6月にはその急上昇が下落して株価の変動も落ち着いたものの、2013年全体としてみれば、
金融・証券市場は歴史的な株高・円安となった。日経平均株価は年間で57%上げ、41年ぶりの
上昇率を記録。円は対ドルで34年ぶりの下落率になった。


ただ、これは安倍=黒田のアベノミクス効果だけでなく、
世界に目を向けると、投資マネーがこの1年間で新興国から先進国へと向かう流れを強めている。
景気が回復基調にある米国やドイツでは株価が史上最高値を更新。米国の金利上昇は
ドル高・円安を促した。米国で事業を展開する日本企業にとっては輸出面、採算面の両面で
追い風となる。
これらのことも、日本株を押し上げた理由の一つになった。

(青色字部分、以下を参照)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC30021_Q3A231C1MM8000/
さらに、08年のリーマン・ショックの余波で起きた欧州の重債務問題が峠を越えたこともあって
世界経済がこの年には回復基調になったその流れの中に日本もあったということも言えるかもしれない。


●2014年。『リーマン・ショック以降の日米株価の推移』
再び上記サイトで2014年日米株価の推移を見てみると、概ねニューヨークダウは緩やかな上昇。
しかし、日経平均株価は、1月末に急落。数か月停滞し、11月ごろ再び急上昇する。
下落の原因としては米国の経済指標が予想外に弱かったことから市場が懐疑的になった
こともあったかもしれないが、株価は正直。
日本の1月末からの低迷は、4月1日から消費税が5%から8%に上がることを
見越しての動きと、実際上昇した後の反応
であったのではないか。

では。11月にふたたび株価が急上昇したのはなぜか。
言わずもがな、10月31日、黒田日銀が追加金融緩和を決定。いわゆる『黒田バズーカ第二弾』
を放ったことによる景況感の上向き効果であろう。
それとともに、思い出してほしいが、
同じ2014年10月31日。約130兆円世界最大規模と言われる公的年金を運用する
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、国内株式を現行の12%から25%に、
外国株式も12%から25%に運用比率を引き上げ、外国債券も現行の11%から15%に引き上げ

のである。
一方、国内債券は60%から35%に大幅に引き下げ。
このことも株価の上昇に大きく寄与したと思われる。

ここはしっかりと今後も記憶しておいてほしい。
国民から預かっている公的年金の半分つまり50%までを国内外の株式につぎ込み、プラス
外国債券15%にもしたということは、比較的安全な国債での運用から、リスクのあるものへの
運用比率を大幅に上げたということである。

うわべの言い分は、『年金給付の原資を増やす』ということであろう。だがしかし、株式などの
リスクの高い投資は、いつも儲かるとは限らない。逆に大損することだって十分にありうるのである。
国民の投資が盛んなアメリカでさえ、公的年金をリスクの高いものにつぎ込むことに慎重である。
大損をした場合の、国民の暮らしに与える影響が大きすぎるからである。
安倍氏自身が、今年2月15日の衆院予算委員会で、東京株式市場の株価下落で
年金運用が想定を下回る状況が長期にわたって続いた場合、将来的に給付額を減額する
可能性がある
と述べている!

この、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の問題についても、別途書きたいと思っている。

つまり消費税5~8%に増税後の低迷気味だった株価が11月にまた上がったということは、
この黒田バズーカ第二弾と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の管理する
国民の年金が、株式市場に投入されたことによるものと考えていいだろう。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、『年金給付の原資を増やす』といいながら
本当は株価をつり上げてアベノミクスを下支えすることに利用されていないか。
この2014年10月31日の東京市場で日経平均は、黒田バズーカの追加緩和との
相乗効果で、一時875円まで上昇幅を拡大させているのである。

●2015年の日米の株価推移を見て行こう。
もういちど、『リーマン・ショック以降の日米株価の推移』の、2015年を見てください。
この年も、他の年と同じように日々の株価のアップダウンはニューヨークダウに連動
しているように見えるが、アメリカの動きがほぼ横ばいなのに比べ、日経平均は、
2月の末から8月半ばにかけて、株価が連続してぐんと上がって、2万円超えの日が
続いている。
この時期に日本ではなにがあったのだろうか。
2015年の株価変動についての専門家の意見をあれこれ見てみた結果を
まとめてみよう。

①前年2014年11月。 安倍首相が消費税10%を1年半(2017年4月へと)先送りを表明したことで
国民の当面の不安が解消されたこと
安倍首相は本来2015年10月に消費税10%への
再引き上げするはずのものを、2017年4月への先送りを決定。同時にこの判断の是非について
国民の信を問うためとして解散を行った。12月14日第47回衆議院議員総選挙。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内外の株式への投資を続けるほか、
③国家公務員共済組合連合会(KKR)、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団
3共済も10月からのGPIFとの運用一元化で内外株式へ25%ずつに投資を増やすことを
3月20日に発表
している。
GPIFは、厚生年金と国民年金の運用資産137兆円を抱える。
これに、地方公務員共済組合連合会など3共済の運用資産は約30兆円
さらに合計約21兆円に及ぶ地方自治体の各種年金も追随するため、計約51兆円が
GPIFの国内債削減とリスク資産積み増しに加わる見通しになったのである。
無論全額ではなく、国内外の株式にその25%ずつ(計50%!)を、ということだが。
株価維持にこれら公的年金で積極介入(いわゆる官制相場)。
このことに株式市場が好感したということも大きかったのではないか。
④日銀も金融緩和の一環として株価指数連動型の上場投資信託(ETF)の買い入れを続け、
市場には「日経平均が下がれば日銀や年金基金が買い支えてくれる」
との安心感が広がっている。
これが国内外の投資家の買い意欲を高めたということは
なかっただろうか。

⑤2月から再び外国勢が買いに転じた。
海外投資家が積極的に日本買い。3月9日からは日銀に加えて欧州中央銀行(ECB)も
国債を買い取って市場に大量のお金を供給する量的金融緩和に踏み切った。
これにより海外からの投資資金が日本に多く流れ込んだとの見方がある。
それが、この2015年の株高の直接の原因という分析もある。一部引用する。

『今年に入ってから円安が止まった。120円を超えない踊り場に入った。さらに、日本の
公的マネーの爆買いも続いていた。公的マネーは価格など気にせず高値買いをするので、
株価は一時的に下げてもすぐ戻す。これを見た外国勢は、
「これなら安心して買える。トーキョーでまたひと儲けしよう」と判断したようだ。
NYダウから日本株に一時的に資金を回したのである。
外国勢の日本株の先物買いは、2月第2週に5445億円、第3週は9236億円に達した。
先物・現物合計で見ても、第2週は7500億円、第3週は1兆1000億円と膨らんだ。
これでは、株価が上がるのは当然だ。』

http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamadajun/20150316-00043874/

企業の業績アップの効果。
日銀の大規模な金融緩和円安が進み、さらに原油安の効果もあって、海外での売上比率が高い
企業は業績を伸ばしている。

こうした中、春闘で幅広い業種の企業が賃上げをすれば個人消費が回復し、小売りや不動産など
内需関連の企業の業績も上向くとの思惑
が広がった。
この⑥の、日本の企業の業績自体が上向きになってきたから株価が上がった、という分析は
このサイトに詳しい。
『「日経平均株価」上昇の4つの背景とは?』

さて。2015年の日経平均株価の動きの続きであるが。(あと少しなのでがまんしてください。)
『リーマン・ショック以降の日米株価の推移』の2015年後半のところを見ると、
8月に、ニューヨークダウ、日経平均株価共に、大幅にダウンしている。
これはご存じのように、8月18日に始まった中国が震源地になった世界同時株安である。
中国経済の想定以上の減速と6月中旬から続く上海総合指数の急落が、株安のきっかけとなった。
中国発金融危機については詳しくは週刊エコノミスト2015年9月8日このサイトをご覧ください。
http://www.weekly-economist.com/2015/09/08/%E7%89%B9%E9%9B%86-%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%82%AF-%E6%A0%AA-%E5%8E%9F%E6%B2%B9%E6%9A%B4%E8%90%BD-2015%E5%B9%B49%E6%9C%888%E6%97%A5%E5%8F%B7/

日経平均は8月18日の取引時間中の高値(2万0663円)から26日の安値(1万7714円)まで
2948円( 14 ・2%)の下げを記録。ニューヨークダウも8月18日の高値(1万7568㌦)から
24日安値(1万5370㌦)まで2198㌦(12・5%)下がった。

●2016年。ここからはもう、株価の動きの復習は、不要だろう。
日本の株価は年明けから急速に下がり続け、日銀はマイナス金利を導入。
これからの景気の動きは、誰にも予測できない。


                       ***


さあ…。…日経平均株価とニューヨークダウの関連、また日本だけの動きの
25年分くらいをざっと見てきた……
いわゆる『失われた20年(25年)』とその後のアベノミクスとを。
結局、安倍政権のアベノミクスというのは、成功しつつあると言っていいのだろうか?
株価の上昇ということで見る限りは、確かにう~ん…功を奏していると言ってもいいのかもしれない。
少なくとも、安倍氏の盛んに言う通り、『民主党政権の頃よりは(2倍近くに)上がった!』
安倍氏は、積極的に金融政策に取り組んで、それが一定の効果をあげていることは確かだ。
①日銀総裁を気脈の通じる黒田氏に替えた。
②年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用委員会委員人事。
7人のうち3人がそれまでの国内債中心の運用からの見直しなどを提言した有識者会議のメンバー。
委員長米沢氏は公的・準公的資金の運用・リスク管理の高度化を議論する政府の
有識者会議で伊藤隆敏座長の代理を務めたほか、5年に1度の年金財政検証に向けた
経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会の委員や、GPIFと3共済年金の
一元化に向けた検討会の座長でもあった。
NHK会長や内閣法制局長官など同様、ここでもまた『お友だち人事』で、安倍政権にとって
都合のいい人物が選ばれている。

これらは確かに日本の株価が上がるのに大きな役割を果たしてきていると良くも
悪くも言えよう。結果第一に見れば、アベノミクスは株価を上げた!
株価が上がれば企業も機関投資家も大いに潤う。実際に大きな恩恵を受けた人々だけでなく、
『株価が上がった!』と聞くと、私のように株一株さえ持たない一主婦も、なんとなく
景気がよくなってるのかなあ…などと思ってしまうように、世間の気分も上昇するのだろう。
しかし。とどまるところを知らない金融緩和政策と、国民の老後の積立金まで株運用比率を
高めることは、その出口を考えない『今だけよければいい』政策とはいえないだろうか。
老人は増えて行き、当然年金のいわゆる基金からの払戻金額は増えて行く…
安倍総理自身も認めた通り、運用に長期的に失敗して基金全体が縮小すれば、
年金支給額減少もありうる。黒田バズーカの効用も、もう限界と囁かれている…
実体経済を伴わない、金融政策への急傾斜は、一時の効果はあってもいつかほころぶ…
そのとき一体誰が責任をとるのだろうか?

こうやって、日米の株価の動きを見てきたときに…株価が暴落して世界経済が混乱し、
その影響で数年もあるいはもっと長く、人々が…それもとりわけ弱者にそのしわ寄せが
最も来るような経済不況は、概してその前にあった、金融狂乱=実体経済を伴わない
金融市場の暴走の反動であることが痛いほどわかるのではあるまいか。
黒田バズーカなどというものやGPIFやその他の公的年金までもをつぎ込んで、株式市場を
とにかく保護して、株高へ誘導しようとする安倍政権のやり口は、まさにまたふたたび
あの『バブル』を作りだそうとしているように私にはどうしても見えるのだ。
安倍政権のやり口は、自分の政権運営がうまくいくことのためにはあらゆる手段を使うという、
その強い意志が見え見えだ。
それは一般的には悪いことではないのだろう。
だが、安倍政権が選挙に勝って任期中になんとしてでも成し遂げようとしていること…
自衛隊の正規軍化、9条改訂を含む改憲…安倍氏の祖父に誓った宿願…
それを想うと、経済政策がうわべでうまくいっているように見えるというただそれだけのことで
この政権を存続させ続け、野望をかなえさせてしまっていいのか?本当に?と
思ってしまうのである。

まあ、それらについては別にしっかり書いていこう。
ここまでのところでは、私情を排した私なりの総括はこうである。

安倍政権下で日本の景気が部分的にではあるが上がったということは否定できない。
だが、それには2つの要因があったと思う。
一つは、アベノミクス効果?と言えるかどうかわからないが、安倍政権の採った金融政策の
効果である。
一つは、アベノミクスとは何の関係もない、『世界経済の潮流の影響』、ということである。
世界の金融資本の思惑が生み出す世界経済の大きなダイナミズムによる(円高)円安。
原油安や、アメリカ、中国、EU、新興国などの経済の動向の影響……。

この二つの要素が、これまでは安倍政権にプラスに働いてきた。
まあ言ってみれば、自分の努力と運と、双方がこれまでは安倍政権を後押ししてきたと
言えるのではなかろうか。
だから、安倍氏が昨日もまた国会予算委員会における新旧党首対決で、民主党の
質問者野田佳彦氏に『民主党の頃よりは良くなった』と言いだしてたしなめられていたが、
ある意味で彼がそう自負するのは尤もだともいえる。
しかし、成果が上がったことはそういうふうにすべて自分らの成果だと盛んに喧伝して、
日本の円安株高は世界的潮流が後押ししたという要素は見ず、
一方で年明けからの株価暴落など成果が思わしくないことに関しては、中国など世界経済の
マイナス要因のせいにするのは、これは公平・公正な態度ではないのではあるまいか。

同様に、これを書いている私自身も、安倍政権になって株価が上がった時期を『世界的
上昇気流の流れにうまくタイミングがあったにすぎない』とくさしてその努力は認めないのも、
民主党は運が悪かった、と弁護するのも、これまた公平かつ公正な態度ではないであろう。

ただ。これだけは私に関しては揺るがない。
安倍政権のエネルギー政策、憲法観、歴史観、その他もろもろの政策に関して、私はこれを支持しない。
ここでは経済政策について、株価が上がったということを、好悪の感情抜きに認めるだけである。
経済政策に関しても、GPIFと年金問題、消費税と軽減税率、TPP問題、富める者に対し手厚く
弱者に冷たい経済対策…広がる格差と貧困問題…これらについては真っ向から反対である。
次の記事で、それらを一つずつ取り上げて行きたい。
その際は、もう極力記事を長くしない。(苦笑) 1テーマ1記事にして、簡潔に書いていきたい。
参院選前にできるだけ多くのことを訴えておきたいからである。


『参院選に向けて③ アベノミクスの効用?その一』


寒暖の差の激しい天気のように、株価の乱高下が激しい。

先週日経平均株価が1万4000円台にまで落ちたのは、1年数カ月ぶり。
黒田日銀が2014年10月に『黒田バズーカ第2弾』を実施する以前の水準まで戻ってしまった。
株価が年明けからつるべ落としで下がり続け、昨年末の大納会時の1万9033円
からわずか1カ月少しで4000円も値を下げ、急速な円高が出来した。
急落した日経平均株価は、土日の市場休みを経て、週明けの昨日2月15日は、
日経平均株価は1000円以上値を上げ、1万6000円台を回復した。
2月に入ってから3000円の急落したことに対する反動だという。終値は1万6022円58銭。

世間ではこれをどんな風に受け止めているのだろうか…
『アベノミクス』は順調に効果を上げつつあると思っている人は果たしてどのくらい世間には
いるものなのだろう?

私は経済についてはほんとに素人である。円高円安などと言われたって、商売も
していないし、海外旅行もしないし、日常の買い物でも円が安くなったの高くなったの
などということの影響の実感はほとんどない。
唯一、『ああ、景気が上向きになったのかな』『あまりいい傾向じゃないのかな』と
数値で実感できるのは、NHKのニュースなどの最後に告げられる日経平均株価の
値動きとニューヨークダウの数値の上がり下がりだけである。
と言ったって、株などこれっぽっちも所有しているわけではなく、ただなんとなく耳に勝手に
値動きが入ってくるというだけのこと。

そんな私が、前から素朴に疑問に思うことがあった。
「『アベノミクス』『日銀の異次元緩和』『黒田バズーカ』…などと、政府も日銀もいろいろ
なんだかやっているようだけれど、おかしいなぁ…日本の株価って、ニューヨークダウの
後追いで上がったり下がったりしてるだけなんじゃないの?
」ということである。
夜、私は眠れないままに、NHKラジオの深夜放送をずっと聴いていることがある…
すると、必ず『12日のニューヨーク株式市場は、この日発表されたアメリカの小売業の
売り上げが順調に拡大したことや、原油の先物価格の持ち直しなどを受けて、…
買い注文が広がり、ダウ平均株価は300ドル以上値上がりしました』などと
ニュースの終わりがけに言う。
すると私は、そろそろ眠くなった頭で、『ああ…明日は、東京株式市場も値上がり
するんだろうな…』などとぼんやり思う。
翌日。日経平均株価は上がるのである!
無論、毎回ということではなく、連動しないことだってあるけれど、概して、東京の市場は
ニューヨークダウと連動しているような。


さて。国会の論議などを聴く。
安倍首相は、答弁でアベノミクスの効果を盛んに吹聴する。
曰く。『民主党さんの頃の株価の2倍近くにまで上がったじゃありませんか。』
『民主党さんの頃より、有効求人倍率は上がり、企業の倒産件数も減っていますよ』


『民主党さんの頃より上がった、上がった』と、安倍総理に切りかえされると、民主党の
質問者は言いかえす言葉がなくて、その件については黙り込んでしまう。

実際の、例えば有効求人倍率のグラフを見てみよう。
有効求人倍率というのは、求職者一人に対して働き口がいくつあるか、の率である。
それが1になるのが基本。つまり求職者一人に対して職が一つあるということ。
この数値が大きいほど、求職者は『より条件のいい職を選べる』率が高くなる。
逆に1より低かったりすると、『就職難』ということに単純に言って、なるということ。
日本では、雇用関係の経済指標として、完全失業率と有効求人倍率が用いられるので
これを示すことは、日本の経済のおおよその勢いを掴むことになるだろう。

①『有効求人倍率の推移』
有効求人倍率
このグラフは下記のサイトからお借りしました。
http://nensyu-labo.com/koyo_yukokyujin.html

ちょっとわかりづらいだろうが、平成26年までは年別。平成27年1月以降は月別の推移になっている。
民主党が政権の座にあったのは、平成21年(2009年)9月から平成24年(2012年)12月
まで
である。
グラフを見てみよう。
確かに、民主党が政権を取った平成21年には、それまでほぼ『1』近くあった有効求人倍率が
0.4幾つとか0.5幾つとかしかなくなっている。
一方、第二次安倍政権が発足した平成25年(正確には平成24年12月末)には
それが『1』近くになり、以降、1.1倍、1.2倍、1.3倍と改善を重ねている…

これをもって、安倍自民党は、『自民党になって有効求人倍率は民主党の頃の2倍に増えた』
と、胸を張るのであろう。言いかえされた民主党は残念ながら、と俯いてしまうのであろう。

だが。ちょっと待って下さいよ。
民主党政権が誕生したまさに平成21年に、がくっと有効求人倍率が減っているように
確かに見えるけれども、民主党政権が誕生する前の平成20年、まだ自民党政権の頃に、
それまで『1』以上あった有効求人倍率が0.7いくつに、すでに減少傾向に入っている

じゃないですか!
平成20年と言えば、自民党福田康夫内閣から麻生内閣に変わった年である。
現安倍内閣で財務大臣兼副首相を務めている麻生太郎氏が、実は平成20年9月から
21年9月までは総理大臣をしていたのである!!!

平成21年に有効求人倍率が激減したのは、民主党の責任というよりは、むしろ自民党
麻生内閣時に起きたことじゃないのか???

待て待て。待ってください。
資料を見るには、公平公正でなければならない。
それでは、平成20年から21年にかけて、有効求人倍率ががくっと減ったのは、
自民党麻生内閣のせいだったのか?

違う。思い出してほしい。
実は、麻生政権の誕生した2008年(平成20年)9月15日に、あのリーマン・ショック
起きているのである!

リーマン・ショック。言うまでもない。アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズが
破綻したことに端を発した、続発的世界的金融危機のことである。
アメリカ経済に対する不安が、世界的な金融危機へと連鎖。日経平均株価も大暴落を起こし、
9月12日(金)の終値は12214円だったが、10月28日には一時は6994円まで
下落
し、1982年以来26年ぶりの安値を記録した。

なんでみんな、このことをもっと勘案しないのだろう??!!
安倍総理は、民主党議員が経済問題で質問すると、かならずこの『民主党さんの頃よりは…』
という言い方でもって、自分が総理になってからの『アベノミクス』の効果を宣伝する。
一方、民主党側は数字を示されれば、言いかえすこともできなくなって追及をそこで
鈍らせてしまう。
一部マスコミはこんなふうに、民主党がやりこめられたことをあざ笑う。産経ニュースである。
http://www.sankei.com/politics/news/160113/plt1601130048-n1.html

曰く。『衆院予算委員会での13日までの3日間の国会論戦は「憲法違反」「バラマキ」などと
安倍晋三政権を追及する民主党に対し、首相が民主党政権時代などを引き合いに、
返り討ちにする場面が目立った。夏の参院選に向けて見せ場をつくりたかった民主党だが、
次々と反論され、ブーメランの“見本市”の様相を呈した
。』

『あの産経新聞』だからなあ、と思いながらも、なんとも悪意に充ちた書き方である。

2016年1月13日。この問題の国会論戦の実際の映像はこれだ。安倍氏が民主党政権時代を
しきりに引き合いに出して答弁しているところは13:10くらいから14:50くらいまで。
この時の民主党山尾志桜里議員の質問は、迫力があってとてもよかったのだが。






1年前。2015年2月25日の、同じく衆院予算委員会の質疑で、
民主党にも在籍経験がある維新の党の今井雅人氏が、
民主党政権を引き合いに野党の追及を封じる首相の手法を批判した上で、首相に対し
「聞きたくない。今後は控えてほしい」と要請したことがあった。それに対し安倍総理は、
 『民主党の例を挙げるのは、ある意味、敬意を表しているわけです』と、
皮肉を交えつつ反論したという。
『経済の指標を比べるときに、どうしても前政権のことを言わざるを得ない』
『今後、もし前政権という立場になった時も、「あの時は良かったな」と言われるような
実績を残していきたい』などとも語ったそうだ。
(時事通信:2015年2月25日記事より)


安倍首相のアベノミクス喧伝する時の論法はいつもこれではなかろうか。
『わが政権になってから、こんなにいろいろな数値が民主党政権時より改善されました。』
だが。この有効求人倍率が象徴的に示しているように、民主党が政権を取ったのは、
リーマンショックが起きた平成20年(2008年)の1年後だったのである。
さっきも言ったが、民主党政権になる前の平成20年自民党麻生政権のときに
リーマン・ショックは起こり、まだ自民党政権の頃に、それまで『1』以上あった有効求人倍率が
0.7いくつに、すでに減少傾向に入っている!!!

2008年にすでに世界の経済は混乱をきたしていたのである!
しかも、リーマン・ショックだけでなく、日本はすでに1991年(平成3年)のいわゆるバブル崩壊から、
平成不況に突入。
「第1次平成不況」(バブル崩壊、複合不況)、「第2次平成不況」(日本列島総不況、複合不況)
「第3次平成不況」(IT不況、デフレ不況)などを経て来ていた。
日本経済は2000年代以降も低迷傾向が続いた(すなわち『失われた20年』である)。
そこへリーマン・ショックである!米国市場への依存が強い輸出産業から大きなダメージが
広がり、結果的に日本経済の大幅な景気後退へも繋がった。

民主党政権は、いわば、日本がどん底の時に政権を担うことになったのである!
そうしてさらに、2011年、あの東日本大震災は起きた!!!


民主党は言い訳したろうか。『失われた20年』と俗に言われる長い不況やリーマンショックや
東日本大震災が、自分たちの政権運営がうまくいかなかった理由の一つである
などという言い訳を。
安倍総理のように、ことさらに前政権を持ち出して。
まあ、それを言ってはおしまいである。政権政党とはそういうことも含めて現実に起きている
すべての責任を負うということだ。言いわけなど出来はすまい。

だが。公平に考えてみよう。
マスコミをはじめ、私たちは民主党に過酷すぎなかったか?
長引く不況から脱出してもらいたいがために多くを要求しすぎ、期待が外れると
あまりにも厳しくこれを叩きすぎなかったか??!!


それには、上記産経新聞記事のような、巧妙な輿論誘導も大きく作用していたのでは
なかったろうか?
民主党のダメさを必要以上に私たちは誰か何かによってインプリントされていた
ということはなかったろうか?

そういう意味では、民主党政権時代との比較を故意になんども持ち出す安倍総理の論法も
一つの国民へのインプリントである。何度も繰り返されるのを聴いているうちに、それが
頭に定着してしまう。
だが、安倍論法の卑怯なところは、実は麻生政権の平成20年にすでにリーマン・ショックの
影響を受けて有効求人倍率は『1』を切っていて、日本経済の下降は、始まっていたのだ
ということは、一言も言わないことである。
当の麻生氏も、いつも安倍総理の隣に座っているが、そんなことは一言も言わない…。

もう一度、有効求人倍率のグラフを見てみよう。
民主党政権下、どん底の21年から24年まで。
日本は必死で、立ち上がろうとしていたことが見えて来はすまいか。
自民党政権下のときに起こったリーマン・ショックによるどん底から立ち上がろうと。
そうして、自民党安倍政権に政権の座を譲った時には、日本の経済は既に回復基調に
入っていたのではなかったろうか?棒グラフの伸び率がそれを示している…


もうひとつグラフを示す。

②『経済成長率の推移(1980~2015年)(アメリカ, 日本)』
日米経済成長率推移

日米の経済成長率の推移の比較グラフである。
統計の横軸の年度を長く採ってあるので、上記①のグラフとの比較がしにくいが、
日米共にがくんとグラフが下がっている2009年から見てみよう。リーマン・ショックの翌年、
日本では9月に麻生政権から民主党政権に替わった年である。

2009年の経済成長率が、日米共にがくん!とマイナス成長率に陥っているのは、
やはり前年のリーマン・ショックの影響がもろに表れたということだろう。

このグラフのおよその動きを見て、なにを瞬間お感じになるだろうか……。
……やはり大きく見て、日米の経済の動きは連動しているのだな、ということではないだろうか。
無論、個々の国の事情は年度別では出ることもある。
例えば日本の赤い折れ線グラフで、最近もう一度がくんと大きくマイナス成長率にまで
下がっているところが見て取れる。
アメリカは同じ年、さほど下がっていないのに、である。
勿論、これは、日本であの東日本大震災が起こった2011年(平成23年)
である。

ちなみに、もう1か所、アメリカ上昇の動きと関係なく、日本だけの数値ががくんとおちている
場所にお気づきになるだろう。これは1998年(平成20年)。1997年の橋本構造改革の
翌年である。
バブル崩壊の悪影響で低迷を続けていた日本経済がようやく立ち直りの兆しを
見せていた1997年に、橋本構造改革で景気回復より財政再建を優先する
超緊縮予算が組まれ、
また、消費税が3%から5%に上がったことなどの国民の負担増も重なって日本の景気が
再び急速に悪化
した年の翌年である。
民間投資(住宅投資や民間企業設備投資)が1997年後に急速に冷え込んだ。

肝心の最近の経済の動きが、このグラフではわかりにくいが、このグラフを引用させていただいた
『世界経済のネタ帳』さんのサイトでは、実際の細かい数値も出ているので、そちらを
詳しくは参照されたい。そちらでは同じ②のグラフも、ポインターを合わせると正確な年度が示される。

***

さて。これで私が、何を言いたいか、というと。
安倍首相は、日本の景気がここ3年で上向きになったことを『アベノミクス』の成果だ
と喧伝し、逆に『民主党さんの時には』と、民主党政権の3年間が日本の経済を
苦境に陥らせたような言い方をして、その差異を際立たせようとする論法をよく使う。
また、新聞テレビなどの論調も、それに『追随』とまでは言えなくとも、今ここで私が
したような単純素朴な検証はほとんどしてこなかったのではなかろうか。
『いや、そんなことは、経済界の常識だから、いまさら言い募り書きたてるまでもない』
と答えるのだろうか????

だが。この二つのグラフから読み取れることは、民主党が実はいかに日本の経済の
最悪と言える時期に(『運悪く』)政権を担当してしまったか、
ということなのである。
バブル崩壊、橋本構造改革(消費税3~5%へアップを含む)などの悪影響による長年の不況
から日本がまだ立ち直れていないときに…さらには前年のリーマン・ショックの影響がもろに出る
時に…政権に就いた。そしてその政権担当中に東日本大震災は起こった…
言ってみれば、リーマン・ショック前の日本の好・不況は、良くも悪くも戦後数十年続いた
自民党政権下で引き起こされたことである。その悪影響の方の尻拭いを、いわば
民主党政権は、必死で慣れない政権運営力でやろうとしていたのではなかったろうか。
東日本大震災の福島第一原発事故も、大きな責任は自民党にこそあった!

なぜ、日本人は、2009年、長年続いた自民党政権を見限って、民主党政権を
生まれさせたのか。
それは、自民党政権…いや、アメリカが主導する金融資本主義、新自由主義政策の、
と言ってもいい、その弊害が日本の隅々にまで見られるようになり、実質経済が空洞化
倒産などが増えて行きつつあったことなどに危機感を抱いて、自民党にお灸を据えたのでは
なかったろうか?

それはこれらのグラフを見ればすぐわかる。

だが。国民の多くはそのことを考えてみない…。
昨日も私は、戦争法制撤回を求める2000万人統一署名の集会に出、署名集めに
街頭に立っていた。そこで数人の安倍政権支持者に言われたこと。
『だって、民主党政権のときは倒産が多かったじゃない!』
『安倍さんになってから、株価も上がって経済は上向きになってるじゃない!』

これらの人々は、このグラフの示すようなことをじっくり考えてみたことがあるのだろうか?
新聞やテレビは、そうしたわかりやすい情報を読者に提供してきたのだろうか?

私は、安倍政権を貶めるためにこれを書くのではない。民主党政権が好きだから
これを書くのでもない。(何度も言うが、私は社共の支持者だ)
ただ…私たちが政権側の言い分や(彼らは圧倒的に宣伝に優位な手段も資金も握っている)
テレビ新聞などのマスコミが、わかりきったこととして?か勉強不足か、あるいは意図的にか
情報を流そうとしないという、目に見えない情報操作によって、いつも日常的に印象操作
されているのだ
、ということを、多くの国民にしっかりと認識してほしいのだ。

これは今が安倍政権だから、とかいうことさえ関係ない。
もっと情報操作にたけた悪どい政権だってこれから先も出来しうる。

世に流れている情報の奥を読め…。そのことを伝えておきたいのである。

公平を期すれば、確かに安倍政権になってから、雇用の数値は上昇し、
倒産件数は減っている。
しかし、それは民主党が政権についたときのすでにどん底時代から、徐々に
景気が上昇していく自然な流れの中にあったのだ、ということが言えるのではないか。

最初に、深夜放送で夢うつつに聴いた、ニューヨークダウと日経平均株価との
連動のことなど書いたが、アメリカは、2008年のリーマン・ショック
という大きな金融崩壊から徐々に立ち直り、さらにはシェールオイルの実用化
などによって、大きく経済回復する基調にあった…。
世界的にも中国経済の勢いや新興国の経済上昇など、景気を『好感』する
要因は、他にももろもろあったのではなかっただろうか。


日本の株価が上がり、労働条件の改善、倒産の減少など、
経済の指標となるものが改善したのは、本当にアベノミクスの効用だけなのか?

続いてそのアベノミクスの実態を検証してみたい。










『キャンドル・ナイト 59』



59回目のキャンドル・ナイト。


2016_0211_083731-CIMG6032.jpg




今夜も小さな蝋燭を灯す。
後の、ガラスの球体に炎が映り込んで、
何かこう…この世の人とこの世のほか(外)の人とが向かい合っているような…
そんな静かな写真になった……




背景に見えるその球体は、『テンポドロップ』というものだ。



2016_0211_083520-CIMG6028.jpg


テンポドロップは商品名だろうけれど、別名『ストームグラス』とも言う。

ストームグラスは19世紀に航海士等が使用していた天候予測器。
樟脳(クスノキのエキス)やエタノール等をガラス管に密封して作られており、気候の変化に
反応して起きる結晶を観察するものとして、19世紀ヨーロッパで天候の予測に役立てられていた。
ジュール・ヴェルヌの小説『海底二万マイル』に出てくるノーチラス号の中にも設置されている。
いまだ結晶と天気との関係は科学的に解明されていないが、気温変化によって結晶の様子が
変化する。
嵐が近付いているぞとか、気温が急激に下がりそうだという時に、雪の結晶のような
美しい結晶が生まれる…
今は寒い気候なので、全体に白い細かい結晶が出来ていて、くっきりとした大きな
結晶は見られないが、通常は、白い部分が半分くらいの高さ。


……… 嵐か …


人々の傷は、5年が近づいても癒えることはない…














心ひとつに キャンドルナイト






南亭さんバナー②


葉っぱさん、れんげちゃん。NANTEIさん。
今月もバナーお借りします。






  






『参院選に向けて ② 「日本だけなぜ変われない?」』

参院選まで半年を切ってしまった。
今回は少し趣向を変えた記事で行こうか。

                  ***

このハンサムな男性、誰だかご存じでいらっしゃいますよね?


トルドー




カナダの第29代首相、ジャステイン・トルドーである。
1971年生まれ、41歳。第20,22代カナダ首相ピエール・トルドーの長男。
中道左派の自由党党首。
自由党は野党第二党であったが、昨年10月に10年続いた保守党から政権を奪取。
若きトルドーが首相に就任したのである。



カナダ閣僚②



この写真の人々が、彼の閣僚である。
少しその陣容に触れてみよう。
トルドーを除く閣僚の数は、ぴったり男女半々の15人ずつだ。
そしてその人選も、極めていろいろな背景と経歴を持つ人々から意識して選ばれている。
・法務相は、先住民カカカワクの血を引くジョディ・ウィルソン・レイブルド氏。
・家庭・子供・社会開発大臣は、『貧困』問題を専門とする経済学者ジャンイヴ・デュクロ
・運輸大臣は、マルク・ガルノー。25年前カナダ最初の宇宙飛行士になったひと。
・復員軍人大臣兼国防副大臣は、通りすがりの車から銃撃されたことによって
 四肢麻痺になってしまったケント・ヘア
・雇用・労働力開発・労働大臣は、地質学専門のメアリーアン・ミハイチャック
・環境大臣は、弁護士であり、東ティモールの平和維持活動などにも係って来た
 キャサリン・マッケナ
・保健大臣は、医師であるジェーン・フィルポット
・民主機構大臣は、アフガニスタンからの避難民でムスリムの、弱冠30歳のマリアム・モンセフ
・産業大臣は、インド系カナダ人で、シク教徒のナヴディープ・バインズ。経営学修士号を持つ会計士
・スポーツ・障害者大臣は、パラリンピックアスリートのカーラ・クワルトロー
そして!
・科学大臣カースティー・ダンカン。ちょっと、この女性についてさらに詳しく見てみよう。
以下の記事は、こちらから引用させていただいた。引用内容は編集してある。
http://blog.talktank.net/2015/11/blog-post_10.html

この内閣では今回、科学大臣ポストが二つ新設された。1995年以降、カナダでは
科学の担当は産業省の副大臣の管轄とされて来た。これが今回、独立の科学大臣として
復活したわけである。
日本でもそうだが、近年、科学の理論が産業の理論にとって変えられつつある。
そのために、基礎科学や公的な利益のための科学や人文社会科学の軽視が深刻化

していると多くの研究者が感じている。今回の組閣で、トルドーは、前政権までの
産業振興のための科学偏重により、カナダの基礎科学などの力が衰えつつあることを
憂慮し、科学大臣ポストを2つ作り、基礎科学とイノベーションの担当を分けた。
そうしてその両方を重視していくということにしたのである。

初代の科学大臣(Minister of Science)に任命されたのは、医療地理学者、カースティー・ダンカン。
エジンバラ大学の地理学博士号を持つダンカンは、1918年のスペイン風邪に関する研究
などで知られ、早くから気候変動が世界の病気の分布に与える影響について着目して来た。

また、これまでの産業大臣は、『産業、科学と経済発展大臣』に改称されている。
これに任命されたのは、インド系カナダ人で、シク教徒でもあるナヴディープ・バインズ。
バインズは経営学修士号(MBA)を持つ会計士でもあり、ナイキやフォードで働いていた経歴もある。


つまり簡単に言うとこういうことだ。
基礎科学や公的な利益のための科学が、効率と手っ取り早い成果を上げることを第一に
考える経済界や政治の要求のために、軽視縮小される傾向にあることは、世界的な傾向であろう。
それは、とりわけ国立大学の基礎科学や人文社会学系の学部学科がどんどん規模縮小
されて行く傾向にある我が国の例
を見れば明らかだろう。
だが、手っ取り早い成果を生む学問分野重視だけでは、いずれその国の学問は
委縮硬直化していってしまう。広い視野と自由な視点をはぐくむ学問分野を失くして
しまってはならないのだ。

今度のカナダの取り組みは、担当者を独立させ、基礎科学とイノベーションの両方を
重視していくということになる。

男女比が半々であることだけでなく、実に多士済々な若々しい内閣である。
中には、自分がゲイであることをオープンにしている予算庁長官スコット・ブライソンもいる。

トルドー首相は言う。『これが今のカナダの姿だ』

目に障がいを持つ人、四肢麻痺のひと、性的弱者であることをオープンにしたひと、・・・
さまざまな宗教的背景、人種の多様性…こういう内閣をつくることを、『ポピュリズム』と
批判し、素人集団のような新内閣の実力は未知数と揶揄することは容易だ。
また、私のこの記事を、『他人の庭の芝生は青い』式だね、と見る人もいてもかまわない。
だが、私は、このカナダの新しい風を、正直言ってうらやましく思う。

これだけではなくて、カナダの新首相は…
●カナダのトルドー首相は11月16日、過激派組織「イスラム国」に対する空爆から
離脱する考えを示した。パリの同時テロ後も方針に変わりがないことを確認。
(ただし、「『イスラム国』に対する有志連合から離れる考えはなく、イラク北部で
クルド人部隊に対して行っている訓練を強化する方針は変わらない)
●2015年年内にシリア難民2万5000人受け入れへ。
●ハーパー前保守党政権時代に定められたムスリム女性の「二カーブ着用禁止法」が
宗教の自由に反するとして最高裁まで争われていたが、発足したトルドー新政権は
上訴を取り下げた。
富裕層への課税を強化、低所得・中間層の底上げを目指す。
●前政権による環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意を受けて発表した総額43億カナダドル
(32億ドル)の農家支援策を見直す方針を示す。TPPをめぐっては、カナダの新政権が
批准を目指すかどうか不透明感が強まっている。自由党新政権は6000ページに及ぶ
TPP文書を精査する方針を表明したほか、大筋合意の内容について、パブリックコメントを
募集する意向も示している。TPP担当相は「補償の重要性は認識しつつも、どのような補償をすべきか
見直している」としたうえで「政府は合意全体の精査を進めている最中で、現時点で
特定の対策を約束することは不適切だ」と述べた。
日本ではTPP合意の前に既にTPP関連での対策費3403億円を補正予算で計上。TPP文書は
日本語版のものさえない!
いったいそれでどうやって精査できたというのか!!!)

女性閣僚が50%というのは、世界では第三位である。
2015年データによれば、一位フィンランドは62.5%、二位スウェーデンは50.2%。

http://www.globalnote.jp/post-14079.html
ちなみに、日本の現第三次安倍改造内閣では、閣僚19人中女性は3名。わずかに15.8%である。
世界各国の男女平等の度合いを指数化した世界経済フォーラム(WEF)の2015年版
「ジェンダー・ギャップ指数」によれば、104位。これはまだ安倍内閣に5人の女性閣僚が
いた頃の数字か。
同指数は女性の地位を経済、教育、政治、健康の4分野で分析するもの。
日本の男女平等の度合いは、総合では調査対象145カ国のうち101位!
女性の労働参加率が低く、男性との賃金格差も大きいため経済で106位だったのが響く。

さらに。第二次安倍内閣の時と合わせれば、女性閣僚は実数7名であるが、その7名中5人が
選択的夫婦別姓制度導入に反対の女性たちである。
安倍首相、高市早苗氏は女系天皇に反対。

ふ~~う・・・

                ***

こうやってカナダに10年ぶりに生まれた中道左派の新政権、トルドー政権ばかりを
称賛していると、『隣の芝生は青い』といか、党首が文句なしのハンサムだからだろう、とか、
彼もまた、安倍首相と同様掛け値なしの超エリート政治一家の出であるぞ。
日頃の『世襲議員』批判はどこへ行った?!と言われるかもしれない。
だが、私のこの記事は、トルドー首相のことばかりが言いたいのではない。
続きを書いていこう。  

●2014年2月。イタリアでは中道左派・民主党のレンツィ政権が誕生。
 レンツィは当時39歳。閣僚の平均年齢は閣僚の平均年齢は47.8才。
 イタリアも女性閣僚の比率はカナダ新政権と同じ50%。

●2015年9月。イギリスでは、ジェレミー・コービンが労働党党首選で圧勝。
 コービンなんて勝つわけがない、またコービンでは保守党との選挙選に勝てないと
 思って見くびっていたらしい同じ労働党議員たちやあのブレア元首相もびっくりする
 60%もの支持票を集めた。
 ご存じのとおり、イギリスの政治は、ブレアの労働党政権時代といえども、保守党と
 あまり差がない政策を実行し、アメリカの戦争にも加担して来ている。
 ところがこのコービン氏は、過激とも言えるほどの社会主義的政策を掲げている。
 彼は戦争にも核にも明確に反対。2015年8月の原爆70年年忌にはロンドンで開催された
 式典でも、いつものように核兵器廃絶を訴える演説を行っている。
 保守党でも労働党でも政治なんて変わらない、イギリスの格差はなくなりはしない…と
 政治にあきらめをつけてしまっていた国民は、このコービン氏の語るイギリスいや世界の
 ありように、新鮮な驚きを見出したのであろう。



②ジェレミー・コービン 

 
 コービン氏はまた、緊縮財政や王室制度そのもの(すごい!)にも反対している。
 原子力には反対で、クリーンエネルギーにも力を注いでいる。
 素晴らしいのは、氏は選挙資金をクラウド・ファンディング…少額の草の根献金で集めて
 やっていることだ。
 氏のひととなりの素晴らしさについて詳しくはこちら2つのサイトを。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/bradymikako/20150809-00048313/

http://bylines.news.yahoo.co.jp/bradymikako/20150809-00048313/
すぐ消えるかもしれないので、彼の演説の一部を、追記のところにコピーしておく。
だが、素晴らしい希望の記事なので、ぜひ、消えないうちに見てみてください。


●2015年11月。オーストラリアの自由党の党首選でターンブル氏が勝利を収め、
新首相に就任。前任のアボット氏は、安倍晋三首相を「最高の友人」と呼び、日豪の
蜜月関係を築き、共通の同盟国である米国とともに安全保障関係の強化も進めて
中国を牽制した人物である。
それに対し、マルコム・ターンブル氏は、政界きっての中国通。
記者、弁護士、米金融大手ゴールドマン・サックス幹部、共和制運動の指導者を経て、
2004年に連邦議員に当選して政界入り。豪州長者番付に載るほどの大富豪だが、
排出権取引や同性婚を支持するリベラル派で、庶民層の人気も高い。

そもそも、オーストラリアは、ケビン・マイケル・ラッド氏を党首とする穏健左派である労働党が、
政権をとっていた時は、再生可能エネルギー政策を推進していた。オーストラリアには
原子力発電所もない。ラッド氏は西側首脳として初めて被爆地・広島を訪問したひと。
2008年2月13日には、先住民族アボリジニに向けて、『国家としての謝罪』演説という
歴史的英断をした首相でもあった。
大学では中国語と中国史を専攻し流暢な北京語を話す。漢字名「陸克文」は自ら選んだもの。
オーストラリア政界きっての中国通であった。
そのラッド氏に代わって2013年に政権を取ったアボット氏は、ラッド氏のクリーンエネルギー政策を
百八十度転換。風力発電などのクリーンエネルギーから石炭重視へと、時代の流れに逆行するような
政策をとる。
『石炭が我が国の発展を支えてきた。石炭は我が国のエネルギーミックスの重要な構成要素で
あり続け、人類にとっていいものである』という思想のもとに、労働党政権が導入した炭素税と
鉱物資源利用税を廃止。サメの殺害や国立公園内で家畜放牧の解禁、グレートバリアリーフ
への土砂廃棄の許可、ユネスコに対しタスマニア原生林を世界遺産登録から外す事を要望。

インデペンデント紙は『オーストラリア史上、自国の環境に最も優しくない』首相と評し、
ニューズウィーク紙は『オーストラリアに、ではなく『地球』にとって、かもしれない』と揶揄した
ほどであった。

安倍総理と非常にウマが合ったというアボット氏。上のセリフの『石炭』を、『原子力発電』
に置き換えれば、それはそのまま安倍政権のエネルギー政策になりはしないか。
『原発が我が国の発展を支えてきた。原発は我が国のエネルギーミックスの重要な構成要素で
あり続け、人類にとっていいものである』

さて。同じ保守派政党自由党ではあるが、アボット氏に代わってオーストラリアを率いる
ことになったターンブル氏。穏健なリベラルで、中国通と言うが、一体どのような政治を
していくだろうか。少なくとも、クリーンなイメージだったオーストラリアのエネルギー政策を
汚し、アメリカ、日本などと共に強硬な中国封じ込めの方針をとってきたダーティで強面な
イメージのアボット氏が退陣したことは、私には大歓迎である。



●スペインには、「Podemos」(ポデモス)が生まれた。
以下の内容は、こちらのサイトからお借りした。
http://thepage.jp/detail/20150110-00000005-wordleaf?page=3
ポデモスは、2014年1月にできたばかりの新政党で、ほとんどネットを使った運動だけで、
5月の欧州議会選挙でスペイン第4の政治勢力となった。
結党大会が同年10月で、執行部が
作られたのは11月。それでも各種世論調査では、断トツの支持率を得ているという。
現在総選挙を行なうと、下院350議席中、ポデモスが100を超える議席を獲得すると
予想されているくらいだそうだ。
『ポデモス』とは、オバマ氏が2008年のアメリカ大統領選挙で使った「Yes, we can!」という
キャッチフレーズに対応するスペイン語。
ポデモスは、左翼というよりも、市民の政治への声を強めようという市民運動の延長上に
その理念がある政党である。
スペインは、1975年にフランコ将軍が死去するまで40年もの間、独裁制の下にあり、その後
急速に民主化を遂げた。だが、現在の1978年憲法体制の下での保守の人民党(PP)と
社会労働党(PSOE)の二大政党制が閉鎖的な特権階層(カースト)を作っていると
ポデモスは考える。市民は、政治から排除され、無力感を持っている。そこで、政治を
市民の手に取り戻そうと作ったのがポデモス
である。



ポデモス


ポデモスの発起人のほとんどは、40代までの若手の大学教授たち。
上の写真は、書記長のパブロ・イグレシアス氏。
1978年生まれ36歳。常にノーネクタイで、カジュアルなシャツ姿。
2008年に提出した博士論文が高く評価され、2011年まで母校でも教鞭を執ったインテリである。

イグレシアス氏たちは、PPとPSOEの二大政党制がつくる特権階層「カースト」が、権力を独占し、
政党幹部だけでなく、政府官僚機構、司法府、企業や公社などのポストを独占し、たらい回し人事を
行なっていると指摘する。そこで、彼らは、二大政党制を解体して、政治、経済、社会の民主化を
達成しなければならないと主張している。


この記述を呼んで、日本のことを思い浮かべないだろうか。
日本でも、集団的自衛権は違憲だとする憲法学者などが立ち上がり、
『安全保障関連法に反対する学者の会』などを結成しているが、なんだかあんまりいっぱい
団体があり過ぎて、私もどれがどれやらわからなくなってしまっている。
ポデモスのように一つにすっきりまとまって大きな力にできないものか。




●さて。最後に来るのが皆さんご存じのこのひと。


バーニー・サンダース



無論、アメリカ民主党の大統領候補で、今、ヒラリーを猛追しているバーニー(バーナード)・サンダース
上院議員である。
自ら民主社会主義者であると名乗っていて、合衆国上院初の社会主義者の議員となった。
日本の共産主義嫌い体質どころではない、根深い共産主義・社会主義への恐怖と嫌悪を
抱くあのアメリカで、サンダースのような社会主義者を自ら名乗る人物が、ヒラリーと
並ぶほどの人気を得るというのも、格差是正を前面に掲げ、公立大学の授業料無料化
などを唱えるサンダース氏の訴えが、若者に響いているということだろう。
金融危機に伴う就職難や重い学生ローンに直面し、経済格差を実感している若年層が
サンダース氏の支持層の中心にある。
それは、2011年9月に起きたあの、『ウォールストリート占拠運動』で、アメリカ経済界、政界に
対し抗議運動を展開した若者たちが、今、サンダース氏の後ろにいて応援している
のだと
いうことなのである。
ニール・ヤングやサイモン&ガーファンクルのアート・ガーファンクル、哲学者ノーム・チョムスキー
などもサンダース氏を応援しているという。

今、日本ではSEALDsを中心とした若い人々の政治運動が起こっている。
これをさまざまに批判・揶揄したりして、まるでこれを若い芽のうちにつぶしてしまいたいのか
と思うような人々もいる。曰く、政治の言葉が幼いとかファッションが派手だとか。
このウォールストリート占拠運動も、当時いろいろなことが言われていたものだ。
どうせ学生たちの気まぐれだ。寒くなったら終息してしまうさ、とかいろいろに…
だが、私はそうは思わない。
若い人々がこうやって政治に目覚めて行くこと…それは仮に一時的な運動に終わろうと
目立った成果を上げられなかろうと、エネルギーや熱がいつか冷めて行こうと、
その流れは、一時は目に見えない伏流となって地下にもぐろうと、いつかまた何か
あった時には再びそのエネルギーを再集結させるものだと考えている。

バーニー・サンダースの政策はこういうものだ。

・最低時給を15ドルに上げる
・全国民の医療保障&社会保障制度の拡大
・公立大学の授業料無償化
・人種間の平等の実現と公民権の擁護
・警察法、刑務所法、薬品法の改正
・環境問題に取り組み、キーストーンXL計画(米大陸を横断する石油パイプライン計画)に反対する
・富裕層への課税&企業助成政策の廃止
・TPP反対&海外アウトソーシング反対
・崩壊しかかっているインフラの再建
・労働者が組合に入る権利を支援
・病気休暇中の保障を全労働者に
・有給休暇を全労働者に
・家族休暇・医療休暇を全労働者に
・男女の賃金平等化
・質の高い保育サービス
・子供の貧困と若年者失業の削減
・市民権獲得の道を開くための移民法の改正
・全国民の選挙権の保障
・政治家への企業による大口献金の禁止


なんて素晴らしいんだろう!


                 ***



さて。急に調子を変えて、一枚のTシャツの写真をお見せしてみる。



2016_0208_075131-CIMG6025.jpg


実はこれ。サンダースを応援するTシャツ。ブログを通じての友人Sさんが、送ってくださったものだ。
『これを着て、署名集めやデモに行ってくださいね』と。
着させていただきますとも!
色も私の好きな色。写真よりもっと、グレーがかったブルーですてきです。 ^^
春になったら、これ着て安保法制撤回、改憲阻止の運動なんでもしますよ~。

日本にも新しい政治の風を吹かせたい。
Sさん。ありがとう!!!


                  ***

さて。この記事で私が真に言いたいことはなにか。
それは、政治に早々と見切りをつけてしまうな、ということである…

今、日本人は、そういうあきらめの中にいまいか。
他に託するところがないから、消極的選択で安倍政権でもしかたがないや……
世界では、トランプ氏やフランスのル・ペン氏のような極右が勢いを増し、
長年左翼体制の国々が多かった中南米、南米諸国でも、それらが原油安など
経済政策のつまづきと社会不安の増大によって力を失っていき、
代わりに右派政権が台頭してきつつある……
確かに、それも、世界の大きな流れではある。
しかし、どうですか。上記の国々での動き。
ここには挙げていないけれども、ドイツではキリスト教民主同盟のメルケルが、
保守ではあるものの、脱原発、移民受け入れなど左派顔負けの柔軟さでがんばっている。
(フランスは、…一応、オランドは社会党である…右派政権のサルコジとさして変わりは
ないようにも思えるけれども。)
世界が、極右政権などの方へ雪崩打って進んでいるわけでは決してない。
反対の動きも…行き過ぎたものを引き戻そうとする動きも、決して止まってはいない。


一つの国で、長年同一の色の政権が続けば、あるいは時の政権に権力が集中しすぎれば、
それは腐敗したり硬直を起こしたり暴走したりしがちなのは、長年の自民党政権に
一度はNO!を突き付けてみたこともあるのだから日本人にだってわかっているだろう。
今の日本はどうか。安倍政権は、権力の何もかもを掌中に収めつつある…

しかし、日本を覆っているのは、どうせ選挙に行ったって、この国は変わりはしないさ…
という、政治に対するあきらめムードである。
これらの国々を見てほしい。新しい新鮮な風を求める動きはいつも負けてはいない。
暴力的な革命でも起こしたか。
いいえ。
そんなものは起きてはいない。
国民が、政治をあきらめず、一票の権利を行使しているからである。
そして、自分がその政策をいいと思う者を、日常的に応援する、そういうことが
当たり前に行われているからだ…

日本ではどうして、そういう草の根の運動が起こらないのか。
国民が諦めたら、その国は終わりだ。

今回は敢えて、皆さんもよく知る海外の国の政権交代または党首交代の事情を
少しだけ紹介してみた。
清新な風が吹き始めている国もありますよ。


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プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/pekai/signup.html
国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/donate/?grid=header02
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