『リベラルの結集を ③』

日本にはかつて、戦後に、国内外の政治に反対して学生たちや労働者たち市民たちが大きく立ち上がった
政治運動がいくつもあった。日本の『政治の季節』である。
1959,60年の安保闘争と、1965年から74年までのベトナム戦争反対運動、
1965年から1972年ごろまでの学生の自治、日米安保改定反対・反米などを訴える全共闘運動、
1966年から一部今に続く成田空港建設に関する反対運動である三里塚闘争などがそれである。

戦後の一時期。日本人が国内外の政治の悪に不信を抱き、言論で、あるいはデモで、
ストライキで、一部は武力闘争で立ち上がった時代が、日本にもあったのである。

安保闘争
          (1960年。国会議事堂前に集まる人々)

こうやってデモに参加する者だけではない。
新聞やラジオ、雑誌、…ありとあらゆる手段を使って、人々は政治を語った…
国会では激しい論戦が行われた…

右派、左派共にその主張を熱く語った。
とりわけ左翼的な思想家、文学者、科学者は、学生達などの熱い支持を得て、
この国の思想界をある意味、リードしていたものである…

政治家も、今思い出すと、ああ、懐かしい!と思う、大物政治家たちが
与野党ともにいた。当時も今と同じように足の引っ張り合いや、つまらない政争や、
というものがなかったわけではないけれど、もう少し、政治家の度量が大きかったような
気がする。
自民党だから、と言って、今の安倍氏のように極右的な人ばかりではなかった。
『自民党リベラル』と呼ばれるような大物政治家もいて、国が極端な方向に
走っていくのを牽制したり、いさめたりする働きをしてくれていた。
石橋湛山、前尾繁三郎、三木武夫、鈴木善幸、河野洋平(河野太郎氏の父)……
次にその流れを組むのが、野中広務、谷垣禎一、加藤紘一、山崎拓、河野太郎氏などである…
しかし、山崎拓氏は今期限りで議員辞職。政界から身を引いた。
谷垣氏も、本当は今頃は自民党総裁になっていておかしくない実績を持った人だと思う。
彼も、石原伸晃幹事長の裏切りに近い行為やら、長老陣の圧力やら、何やらわけのわからぬ
谷垣降ろしの空気の中で、9月の総裁選立候補を思いとどまざるをえなくされたような
ところがある…
今の自民党ははっきり言って、昔の自民党より悪くなった…
私は、谷垣氏は自民党の中でも、人間性を感じて好きな方だった…

左派の中にも太っ腹の融通のきく政治家がいて、右派の中にも進歩的な考えをした
人がいて、互いに尊敬しながら議論ができる、というあり方が理想なのであろう。


それにしても今度の衆院選。こんなひどい選択肢しかないなどということが
あっていいのだろうか?

私が悲しいのは、かつてあれほど論壇に自在に縦横にペンをふるった言論人たちが、
今、黙りがちなことである。
いや、大江さん達のように、積極的に、そのご老体に鞭打って(失礼!)デモにも参加し
またネットやその他のメディアで盛んに脱原発を訴えてくださる文化人もいる。
しかし、相対的に見て、あのような福島の惨状を目の当たりにし、
今また極右の政権が誕生しそうな、日本の危機とも言える状況を前にして、
言論人、文化人、学者、評論家…ええい!もう、定義とか呼び方なんてどうでもいいや!
そういう、日本の思想や言論の一方のかたを引っ張っていくべき人々が
今、あきらめてしまったかのように沈黙しているように思えるのが悲しいのである。
学生たちが全体的に無関心に思えるのも、また、言論のプロだけでなく
一般の人々も、この危機に対し、語るのを、いや、怒ることを諦めてしまって
いるようなのが悲しいのである。

黙っていていいのか?
放っておいていいのか?

『11月14日、ヨーロッパ労働組合連盟(ETUC)の呼びかけで、スペイン、ポルトガル、
イタリア、ベルギー、ギリシアなど23カ国・40の労組ナショナルセンターが参加する
画歴史的な大ゼネストとデモが闘われた。EUと各国政府による緊縮プラン・首切りと
増税の攻撃に反対する全ヨーロッパ規模の闘いであり、1000万人を超える労働者が
怒りの声をあげた』そうである。

デモ欧州一斉

http://www.zenshin-s.org/zenshin-s/sokuhou/2012/11/post-1808.html


戦う目的はそれぞれに違うであろう。
だが、デモをしたり、集会をして何かを訴えるのは、言論の自由と同じに
私たちに与えられた権利である!
これはスペイン、マドリッドのデモの光景。
日本のデモとなんと違うことであろう!
ここには、日本のデモ隊に対するような、警官隊・機動隊の厳しい規制網などは
なさそうである。警官隊が警察官や機動隊員や車でバリケードを作って
デモ隊を道路に入れない。デモ隊が一個所に集まらないよう、デモ隊を
交差点などで止めて、細かい人数のグループに分断して行く…
上の1960年の国会議事堂前のデモの光景に比べたって、
今の国会前デモは、規制がどれほど厳しく行われていることか。
国会正面の道路は厳重に封鎖されて、集まった人々は、両側の歩道にいられるだけである。
しかもそれは半分に仕切られて、一方は通路として空けておかねばならない。
狭い場所に、数万とも十数万とも言う人を押し込めておく。
安全を無視したこの規制の目的は何か。
一に、デモ隊が一個所に集結してその規模の大きさが、空撮映像などによって捉えられ
一斉に報道されることを防ぐためとしか思えない。
要するに、反原発・脱原発への民衆の想いを『可視化する』ことへの妨害である!
あろうことか、石原前都知事の東京都は、日比谷公園にデモ隊が集まると言う
国民のこれまで当たり前に出来た行動まで、実質的に出来なくしてしまった!

欧州のような、一部逮捕者が出るようなデモ、官邸前のおとなしいデモ…
どちらがいいとか言えない。
ただ、…デモをすることは、私たちの当然の権利なのだから、と、ジュースを飲みながら、
あるいは恋人と軽いキスをしながら、自由に気楽にデモに参加する欧州の人々…
それに対し、ある種の『悲壮な』決心を抱いて、心に武装してからデモに向かう
日本の人々…そして、なにか、それが特殊な奇妙な人々のする行為という目で、まだまだ
日本では見られがちであること…それを私は悲しむ。
この一年で、随分デモに対する意識は変わってきたけれど。

正当な『生きる権利』を主張することは、国民に与えられた権利である。
その権利は、最初からあったものではないのだ。
長い間にわたって、それこそ多くの人々が血まみれになって戦いとってきた権利である!
デモなどの市民活動をわけもなく毛嫌いする人がいるけれど、今、私たちがこうして
自由にものを言ったり書いたりする権利は、そうした人々の過去の活動によって
勝ち取れられて来たものでもあるのだ…

そうして、その権利は、いとも容易に、いつのまにか権力者によって巧妙に
徐々に制限されていき、いつのまにか気がつけば剥奪されてしまっていた、ということが
いとも容易に起こりうるものでもあるのであることを私たちは忘れてはいけない。
例えば、デモ隊が日比谷公園にいったん集まり、そこからスタートすることが出来なくなったように…
たとえそれが今は些細なことに思えようとも、こうした規制強化は着実に
市民運動の力をそいでいくものなのだ。

また、与えられていた権利がはく奪されるだけでなく、そういう要求さえ抱かぬ国民に
ごく小さいうちから教育されていくと言うことだってありうる!!!
国によって長年にわたり周到に行われてきた原発安全・クリーン教育を思い起こせ。
小学校から、副読本を使って、原発に対する安全刷り込み教育がこの国では
行われて来ていたではないか!
政治家が教育に妙に干渉の手を入れようとするときは、とても用心しなければいけない!

政治家を育てることも、
私たちに与えられた『生きる権利』を守っていくことも、
意識的に私たちが自らの手で行って行こうとしないといけない。
私たちが今、当たり前だと思っている権利。それは容易に奪われ得るものなのだ。


政治家個々のモラルを問う時だ。
政治家の本質を見極める時だ。
政治家はまた、党の拘束などいったん置いて、自分の信義とするところに
一度立ち返ってほしい。

リベラルよ立て!
黙っていてはいけない。

民主党内のリベラルと言える勢力が相当数いるはずである。これらよ立て!
自民党内にだって、河野太郎氏など、自民党リベラルの流れを組む政治家はまだ
いるはずである。これらよ立て!
社民党、共産党、国民の生活が第一、新党日本、みどりの風、反TPP党、(みんなの党?)…
ああ、覚えられなくてぬかしたところ、ごめんなさい!
とにかくこれらリベラルおよびそれに近い弱小政党・会派よ、一致できるところで結束して立て!

国民はこれらを応援して行かないと。
今度の選挙は、日本の将来を、本当に冗談でなく決定的に方向付けてしまう
大事な大事な選挙になるであろう。
要するに、その主張をよく見ればいい。


国民は声を上げよう。
自分の持ち場で語ればいい。
そして、そして。
リベラルの文化人よ。もう少し頑張って外に出てこないか!
3.11後の沈黙。…そして、この極右政権誕生しそうな状況下で、
頼むから、ただ諦めて座していないでくれ!!!







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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
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