『岩手からの便り』

1月のある日。嬉しいお荷物が届きました。


CIMG9528.jpg


中には、贈ってくれた方の心映えを忍ばせるように、
こんなお菓子たちが綺麗に箱詰めされて入っていました。
わたしの好きな南部せんべいなど北国の香りを伝える、心のこもったお菓子たち。

その中の一つ。
ピーナッツ味の割りみそせんべい。
上の方に小さな写真が載っています。

CIMG9544.jpg



『在りし日のおもかげです』と書いてある。
立派な蔵造りの商店です。
『八木澤商店』
文化4年(1807年)酒造業創業。岩手県陸前高田発祥の老舗。
そこの醤油は何度も醤油品評会で農林水産大臣賞を獲っていた…。

しかし平成23年3月11日。
あの東日本大震災により、陸前高田市は壊滅的被害を受け、
八木澤商店も蔵、製造工場を全壊、流失してしまいます。
この写真は被災前の面影。
でも、八木澤商店の皆さんは雄々しく立ち上がります。
工場を借りて醤油製造再開。現在、陸前高田市内陸部に新店舗を立ち上げ営業中。

この南部せんべいは、その八木澤商店の味噌を使ったタレを染み込ませて
作ったものなんです。

送られてきたお菓子は、皆、岩手県の銘菓。
これを一つひとつ選んで箱に詰めてくださった贈り主のお気持ちや、
これらを作った人々の復興への想いをかみしめながら、一つ一つ見入っていると、
不覚にも涙が出てきそうになりました…!

進まぬ政府の復興策…。
本当に被災地の気持ちになって進められているのかどうなのか。
『絆』を謳いあげた最初の頃の国民の熱狂も去って、どんどん忘れ去られていきそうな焦り…。
国をあてにばかりしていられない…自分たちで立ち上がろう!
…そういう動きが加速化していると言います…。

これは実は、『布ぅ楽雑記』のクウ―ママさんから送っていただいたものです。


綺麗に詰められたお菓子たちの一番上に入れてあったのがこれです。
あ。見覚えのある布!!!
これ。去年の夏。私がお送りした布たちの一部なんです!


CIMG9533.jpg


クウ―ママさんは、同じ岩手で、
被災した方々のおこころを何とか慰め、また同時に、少しでも収入の道につなげられないかと、
得意の手仕事の技を活かして、ワークショップ『ててごとひろば』を立ちあげられました。

クウ―ママさんは『ててごとひろば』だけでなく『羅針盤』( save iwate 東日本大震災被災地支援チーム〉でも、
ものづくりを通して、被災地復興のお手伝いをなさっています。
ここには被災なさって今仮設住宅などにお住まいの方などもおいでになって、
クウ―ママさんの指導のもと、いらなくなった衣類や古い布を利用して、
綺麗なバッグやカードケース、ひざかけ、風呂敷、ふくさ、…など
皆でワイワイいながら楽しく作ります。そしてそれらの売り上げは、復興の一助に。

私は去年の夏、それまでたくさんリフォーム用に集めていた古い着物地などを、
使っていただけないだろうかと、クウ―ママさんにお願いしてみたのです。


その古い布の一部が、このような美しい作品になって、『羅針盤』で売られることになりました。
これは袱紗です。テーブルナプキンにも、インテリアの敷物としてもいろいろにアイディアで活かせそう。
クウ―ママさんが、「こんなふうに役に立っていますよ」って、私に送って来てくださったのです♪
まあ、なんと優しい作品に仕上がって戻って来てくれたことでしょう!

裏には、やはり着物の裏地が再利用して使ってあります。淡い黄色のぼかしの。

まあ。この手触り!
…これは触った人にしか伝わらないだろうなあ…
この柔らかさ、なのにこのしっかりした感触!
これはミシンで縫っては絶対に出せないやわらかさです。
一針一針、ひとが手で縫う…それでしか出せないやわらかさです。

人間の手仕事の技の不思議さ…これは手に取ったひと、経験のある人にしかわかっていただけないかも。


…こうして、あちこちから集まった小さな端布が、クウ―ママさん達の手によって、
一つ一つ、見事な作品になって蘇っています。
そして、その中の一つが、私の元にこうやって里帰りして来てくれました!

ク―ママさん達の支援は、震災後全国から集まった支援物資の洋服類などのうち、
厚ぼったすぎるとかいろいろな理由で引き取り手がなかった布たちを
暖かいひざかけや、被災地の小学校のクリスマス会の可愛いオーナメントなどに蘇らせる…
その、集まった物たちを無駄にしないで活かす…その意味でだけでなく、
こころの支援にもなっています。
仮設住宅にぽつんといらしても、被災者の方々はどうしても思い出の辛さや孤独に
引きこもりがちになります…
何とか、外に出てきていただいて、こうして一緒におしゃべりをしながら、手を動かす…
それが作品を作る楽しさだけでなく、こころの支援にも、また小さな収入の道にも…
といった、幾重もの支援になっているのです。

クウ―ママさん達の活動は、岩手タイムズなど地元の新聞やテレビでもいろいろ報道されたそうです。
私も、ほんのちょっとだけどお役に立てたかな…
こうやって見事な袱紗という作品に生まれ変わって来てくれた小さな絹の端布…。
立ち上がろう!支えよう!という東北のこころを胸に刻み込んで、大切にしたいと思います。

さて。
そのク―ママさんのところで、別の活動のことを聞きました。

岩手県大槌町。
震災後に町長をはじめとした町役場の幹部が全員行方不明になられてしまったこと、
地域紙であった「岩手東海新聞」が廃刊したことで、情報が閉ざされていました。
しかし、地元の人々が立ち上がり、2012年8月から活動を始め、
READYFOR?(津波被害で「沈黙」した町 岩手県大槌に地域メディアを創る)
の支援を得て、大槌の「今」を伝えるメディア「大槌みらい新聞」を立ち上げます。
町民レポーターも多く募集。地元に密着した地元の今、を伝える活動をしています。

その中の一つの活動。

『大槌町のおばあちゃんたちの写真展』

被災なさったお年寄りなどは、仮設住宅にどうしても悲しみを抱えたまま閉じこもりがち。
そんな方々にデジカメを持ってもらって、写真を撮ることを勧めてみよう。
外に出ていって若い支援の人々や、同じ被災者同士、写真を撮ることで
繋がっていければ、少しでも元気を出していただけるのではないか…

そうしたアイディアから始まった活動です。
最初のうち、デジカメなど触ったこともないから、と、尻込みしていらした方々も、
身近の人々やもの、風景などの写真を撮って、それをお互いに見せ合ったりしているうち、
だんだん楽しくなっていって、積極的になっていらっしゃいます。

それならば、これらの大槌町のお年寄りたちのお撮りになった写真。東京で
写真展を開けないか、と言うふうに話が膨らんでいきました…。

生きていく張り合いとなれればいいな、そして、大槌町の今を、少しでも
東京など多くの人に知ってもらいたい…そういう想いで、今、スタッフのみなさん、
頑張っていらっしゃいます。
今、その資金集めと、東京での展覧会開催場所を探していらっしゃるようなのです。

私もそれで、こうやって情報拡散させていただくことにしました。
どこか、いい開催場所ないものでしょうか…


…こうして、政府からの支援がなかなかいき届かない中、被災地の方々は
自力で立ち上がろうと懸命です。
それを支援する多くの方々もいらっしゃいます。
でも、東京の私などもそうですが、離れているとどうしても日々の暮らしの中に
被災地の方々のことは忘れてしまいがちになります。

小さなことでも出来ることを…


そう自分にも言い聞かせ、また願う私です。
クウ―ママさん。ありがとう♪







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Re: クウ―ママさんへ

クウ―ママさん。こんにちは。^^
見ました、見ましたよ。
目標、早く達成できてよかったですね。それに、いい展覧会場も
みつかったようでよかった!
さっき、目黒のその建物もネットで見てみたんですが、なかなか良さそうですね。
和室があるというのは、遠くからおいでになる、とりわけお年寄りの方々には
くつろげていいんじゃないでしょうか。
3月の展覧会。大勢の方が見に来てくださるといいですねえ。
きっと今ごろは、会場もはっきり決まって、参加なさる方々は大はりきりで
写真撮ってらっしゃるでしょうね。

実はNANTEIさんも、会場のことでは、お気にかけてくださったんですよ~。^^
早速ご報告しておきま~す♪
よかったよかった。
この会場の近くには、旧朝香宮邸を利用した東京都庭園美術館というのがあるのですが、
残念ながら、今は改修中で見ることが出来ませ~ん。
いつか行こう行こうと思っていて、いい機会だったのに残念~!

大槌町の皆さんの現状。少しでも多くの人が写真展を見に来てくれて、
さらに支援の輪が広がっていくといいですねえ。^^
クウ―ママさん。ありがとう~!









No title

彼岸花さ〜ん 写真展のこと紹介をありがとうございました。
会場探しのお手間も、ありがとうございました。
今日、覗いてみたら、目標金額達成して会場も目黒のギャラリーに決まったと載っていました。 わたしは関係者ではないのですが、大槌町はご縁が有った土地なので、とても嬉しいです。 こちらの記事から行って見てくださった方々にも、ありがとうございました。
凄いことですね! 人の心・・
沢山の人に、見てもらえるといいですね^^

Re: NANTEIさんへ

NANTEIさん。こんにちは。^^
優しいコメント、ありがとうございます。

はい。クウ―ママさん達の活動に、私もちょっとだけ載せさせていただきました!
でも、クウーママさんも、お仲間の皆さんもそうですが、実際に立ち上げる勇気、
そしてそれを続けていく大変さ…。
ほんのちょっと外からお手伝いするのとは大違いです。
被災地の方々は毎日が戦いですものね…。

ここにおいでになるあの松井大門先生は、被災地に実際に入られて、
流失してしまった風景を絵に描き起こしていらっしゃるんですが、
なんと、ここに小さく写真が出ている八木澤商店もお描きになるそうなんですよ。
また、絵が出来上がったら、皆さんにご紹介したいと思います。^^

NANTEIさん。わたしの小さなつぶやき。おこころにかけてくださってありがとうございます!
銀座!いいですねえ…!
おこころづかい、ありがとうございます!
どうか、ご無理はなさらないでくださいね。
不確かな話を持ち込んで、NANTEIさんとその方のご関係がぎくしゃくするなどと
いうことになってはとんでもなく申しわけないことですから。^^

私も、この大槌町のプロジェクトの方々と、まだ連絡がよく取れないんです。
facebook やっていれば連絡しやすいんでしょうけれど、私、やってないし…
メールを送ってみてはいるのですが返事がまだです。
会場の選定がどのくらい進んでいるのか…今のところ伝わってきません。
あまり予算は使えないのでしょうしね。大体いくらくらいと考えてらっしゃるのか、
それがわかると探すお手伝いもしやすくなるのですが…
3月8日頃と考えていらっしゃるみたいだけど、それまでに資金が集まるのか、
会場が間に合うのか、・・・・傍ながらちょっと心配。^^

こうした展覧会などの関係のことは、NANTEIさんはお仕事で
詳しくてらっしゃる…。こうやっておこころにかけてくださって声かけてくださっただけで
もうとてもとても嬉しいです。
ありがとうございます♪


こんにちは。

なんと言っていいのか、とても救われる話でした。

そしてクウーママさんらしい心遣い。
その優しいかぎりの心遣いは、また、
いく重もの支援の輪に繋がっているのだと、思いました。

懸命だけどしなやかな心を失わない方々の活動、
是非多くの人に知ってもらいたいと思いますが、
一時期は画廊の主何人かと懇意でしたが、
定年を機に仕事関係はもとよりアート関係の人脈も、
キッパリと没交渉にしてしまいましたので、残念ながらお役に立てません。

ただ、ひとつだけ銀座の裏通りに小さな画廊があって、
そこの素人から画廊主になった妙な人物とは、面識がありますので、
話を持っていこうかと思っています。
ですが、可能性半々以下かなとも・・・。



Re: morinof さんへ

morinofさん。こんばんは~♪

ええ。そうなんです!
記事。覚えていてくださって嬉しいです。
ね。すてきな作品に生まれ変わったでしょう~~?^^
私がお送りしたのは、あまりここでは見えていない地味な方の柄。
それが、はっきりしたいい柄の布と組み合わせていただいたら、
こんなに生きてきました!

なんと言っても、手触りがすごくいいんですよ。
銘仙という絹布は、しゃきっとしてるんです。
でも、使いこまれてだいぶ柔らかくなっている。それにピシッとアイロンかけて、
そして、手で一針一針縫うと、とっても張りがあるのに柔らかい
立派な袱紗に。

昔ね。母が、和裁して私を育ててくれたでしょう。
毎晩毎晩夜なべ仕事していました…。夜中ふっと眼を覚ますと、
私の方に明かりが来ないよう、電灯の笠に風呂敷かけたその下で
まだ縫い物してる母がいました…。
morinof さんの見せてくださったあんな裁ち台で、翌日縫う分の着物を裁っていたことも。^^

毎日毎晩大変。ミシンがあったら、ささ~っと縫えてさぞ楽だろうなあ、と
子供心に思ってある時そう言いましたら、和服はミシンで縫っちゃ駄目なんだと。
着物着て立ったり座ったりするのに、手縫いの方が要するに糸の「遊び」がある。
布へのあたりも柔らかいのだと。
ふうん、そんなものかなあ、と思っていましたが、
クウ―ママさんのこういう作品を手にすると、母が言っていたことが
ほんとだったんだなあ!って思わされます。
そんなこともあって、余計になんだかしみじみとしたのでした。^^

嬉しいコメント。ありがとうございま~す♪



嬉しいですね

ああ、あの時の布ですね
こうして再び活かされているのを見ると
何だか私まで嬉しくなってきます。

Re: 大門先生へ

> 八木澤商店の蔵も絵に描くよぅうううう
> 待っててね~~~~~

先生!
わあっ!ほんと!ほんとですかぁっ!^^
それは嬉しいなあ! すっごく楽しみですぅ。
実は、この記事書きながら、ずうっと先生とれんげちゃんのこと思っていたんですよ~♪
先生たちがお訪ねになったかたがたのこと…

楽しみにしてますっ♪
ありがとうございます♪



No title

八木澤商店の蔵も絵に描くよぅうううう
待っててね~~~~~
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/pekai/signup.html
国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/donate/?grid=header02
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