『豊かな国って? ②』

今日、7月15日の朝日新聞には、考えさせられる記事がたくさん載っていた。
その一つ一つが、いくら語っても語り尽くせないほど重い大きな問題であるが、
参院選前の今、この国の『かたち』をざっと掴みなおすために、私が気になった記事の
断片を、ここで載せてみよう。青字部分以外はほぼ朝日新聞からの引用である。


              ***


『被災地は忘れ去られたようなもんだ。参院選にはなんも期待してねぇ』
(岩手県陸前高田市の仮設住宅に妻と暮らす90歳の男性のことば。)

『安倍政権は今年1月、民主党政権が決めた「11年度から5年間で19兆円」の
復興予算枠を25兆円に拡大。うち10.5兆円は復興増税でまかなう。
だが、11~12年度の復興予算約17兆円のうち少なくとも約2兆円が
被災地以外に流用された。全国の林道整備やご当地アイドルの活動費にあてる
といった使い道も批判を浴びた。』 


              ***

読者投稿欄『声』より
            福島県 S.Y(介護職 52歳)

『原発事故で、嫁いだ福島県楢葉町を追われ、会津の地で避難生活をして3年目。
原発により近い富岡町の実家の前には帰還困難区域のバリケードが張られ、家は
ネズミの巣と化した。田畑は一面草だらけだ。生まれ育ち、子どもを生み育てた
大切な土地の風景はすっかり変わり果てた。
両親は先の戦争で辛酸をなめた世代だ。80歳を過ぎて、なぜ安住の地を追われなければ
ならないのか。国は戦争で国民の命を傷つけ、経済のために原発を推進し、
その結果がこの福島の惨状である。政府は経済を立て直しているというが、
私たち避難生活者の基本的な人権を尊重しようともせず、上っ面な復興の言葉だけが
並べられている。
原発事故後の処理は先が見えない。福島第一原発4号機に残る核燃料棒が、いまだに
いつどうなるのかわからない恐怖。被曝を恐れながら働かざるをえない労働者たち。
除染が行き届かず、放射能が高い土地で否おうなく子育てをせざるをえない親たちの苦悩。
原発の再稼働に向けて動き出している今、福島の現実は、将来、日本全土で起こる
可能性があることだ。今回の参院選では熟慮を重ねて、重い一票を投じてくださることを
切に願う。』


『朝日歌壇』より
            福島市  美原凍子

そこかしこまっさらの土敷かれいて他人顔なる除染後の街


            ***

読者投稿欄『声』より
            福岡県 M.S (主婦 65歳)

生涯反核を訴え続けた兄の山口仙二が6日、82歳の生涯を終えました。
私が学校に上がる前でした。夜遅くまで、「車いすの原爆語り部」として知られた
故・渡辺千恵子さんの自宅で会合を開き、熱く語る兄の話を横で待ちながら聞いたのを
思い出します。後に結成される「長崎原爆乙女の会」に向けた会合だったのでしょう。
(中略)…入退院を繰り返し、見舞いに行くと「頑張ります」と力強く語っていた兄。
(中略)…あなたが生きている姿だけでも「反核」を訴える力があったのですね。
私も微力ながら、孫たちに平和の尊さを語り続けて行きます。
兄さん、大変な人生を目の当たりに見せていただきありがとうございました。
どうぞ安らかにお眠りください。


           ***

読者投稿欄『声』より
           神奈川県 K.S (元中学校教員 62歳)

横浜の市立中学校で副読本の回収が行われている。横浜の自然や歴史などをまとめた
副読本「わかるヨコハマ」は、…(中略)…「軍隊や警察、(中略)自警団などは
朝鮮人に対する迫害と虐殺を行い、また中国人をも殺傷した」という歴史学の定説に
従って書いた部分を問題視した一部の市議が議会で改訂と回収を要求し、前教育長が
受け入れたからだ。
(中略)…横浜市教委は回収本をどう処理するのだろうか。焼却なら文字通りの
「焚書」となる。


           ***

『文化の扉』「自立・連帯・考える契機」
           石田衣良 (作家)

『(カミュの作品について)ただ描かれる連帯は、(3.11後に)日本で起こった
愛国心の揺り戻しのようなものとは違う』



           ***


『限界にっぽん』第4部 続「追い出し部屋」②

『「いつまで、こんな作業を繰り返すのだろう」
蒸し暑い巨大倉庫の中で40歳の男性は、本やおもちゃを入れたカートを押しながら、
ぼんやりと考える。インターネット通販の世界大手、アマゾン・ドット・コム。
その物流拠点「市川フルフィルメントセンター(FC)」(千葉県市川市)で働き始めて
4ヶ月に入った。
日本通運の中間管理職だった。都内の支店から市川FCの中にある日通の「アマゾン首都圏事務所」
に配属された。仕事は、予想もしなかった「ピッキング」と呼ばれる作業だった。
(中略)…手に持ったバーコードを読みとる端末機の液晶画面に、その商品の棚の位置などを
示すアルファベットと数字のコードが送られてくる。その場所を見つけたら、端末機をあてる。
(中略)…「端末機の指示で動き、人と会話することもほとんどない。まるで、自分が
機械になったような気分にさえなる」』
『社内では「アマゾン異動者」と呼ばれ、それまで使っていた個人用のパソコンは取り上げられた。
一方で新たな職場には専用のロッカーも机もない。』
『運輸業界の過当競争が進む中で、日通は4月からの新中期経営計画で「国内事業の経営体質強化」
を掲げ、全国に約170ある一般支店の統廃合や首都圏営業所の合理化などを打ち出した。
「ペリカン便」で知られた宅配事業が不振のため他社に譲渡され、管理部門などに余剰人員が
生まれるなど、厳しいリストラの下地は他にもあった。』
『「便利さ」を売りに急成長するグローバル企業のすそ野で、会社人生が急変した
中間管理職がさまよう。(中略)…
不安にかられる中で、帰宅する電車の席に身を沈め、思い浮かべるのは家で待つ家族のことだ。
子どももまだ就学中。進学にもお金がかかる。残業がほとんどないため、月7万~10万円は
収入が減った。』


       去年、日本の非正規労働者が全労働者に占める割合は、過去最高の38.2%に
       上ったという。
       安倍政権の規制改革会議は、一定の勤務地や職務、労働時間で働く「限定正社員」
       雇用ルール作りを求める答申をまとめた。今秋から検討を始め、2014年度中に
       整備するよう求めている。事業所閉鎖や業務縮小などがあった場合、
       一般の正社員より解雇しやすくなる
見込みで、労働問題に取り組む弁護士らからは、
       「理不尽な解雇の横行につながる」と懸念する声が上がる。(東京新聞6月7日)



            ***


『公約を問う』「11 子育て支援」

『生まれてくる子どもの数が減り続け、人口減少時代に入った日本。各党は一様に子育て支援を
訴え、保育の受け皿充実を強調する。ただ、少子化は、働く環境の厳しさなどから結婚や出産を
ためらう若者が多いことも大きな要因だ。根本を見据えた打開策は少ない』
『女性の活躍を言うのなら、まず長時間労働を解消してほしい。男女ともに育児に参加出来る
環境を作らないと、女性の負担が増すばかりだ』


            ***


『私の視点』 『日本の教育』
            岡田昭人 (東京外国語大学教授)

『教育基本法には、すべての国民は人種、性別、経済的地位に限らず、等しく
その能力に応ずる教育を受ける機会が保障されると明記された。
しかし、近年の教育改革は学校教育に市場原理を導入した。(中略)…公立小・中学校に
通う子どもを持つ保護者の6割が教育格差を「当然だ」「やむを得ない」と考えているという。
(中略)…
このままでは、子どもの学習機会や将来の職業選択の際に「勝ち組」家庭がますます有利になる。
私たちは今こそ教育の機会均等の意義を真剣に見直すべきではないか。
すべての人々に公平な教育機会が保障されてこそ、公正で健全な競争が生みだされ、
協調性のある安定した社会の実現が期待される。そのためにも、副教材費や給食費などの
家庭負担の軽減、給付型奨学金制度の拡充、生涯を通じた「セカンドチャンス」の
保障など、思い切った制度改革を早急に進めるべきだ。』
   
         安倍政権は、この春から、祖父母が孫に教育資金として与える場合は、
         1500万円までを非課税にする制度
を始めた。大和総研チーフエコノミストの
         熊谷亮丸氏は言う。
        「実際、制度を活用する信託銀行への申込額は七百億円を超え、お金は動いて
         います。自分が本来行きたい大学を選んだり、塾や習い事産業が活性化する
         効果もあるでしょう。」
         一方、中央大文学部教授の山田昌弘氏は心配する。
        「そうなると格差問題も心配。こうした状況では救われるのは
         祖父母にお金がある人だけです
。そこでこういう制度を導入すると、
         ああ祖父母が出すんだから、公費で負担しなくていいやということになりかねず、
         格差が固定化していきます。」
 


             ***

『参院 自民で単独過半数 賛成36% 反対47%』
                             (連続世論調査結果)


             ***

         
         ・置き去られた被災地、見捨てられようとしている福島。
         ・広島、長崎…戦争の記憶は風化していく…
         ・関東大震災時、日中戦争時…日本人が朝鮮や中国の人々、アジアの人々に対して
          してきたことを、なかったことにしようとする歴史修正主義の動きの加速化。
         ・3.11後になぜか急速に頭をもたげてきた『愛国心』『皇国史観』など
          右傾化の動き。
         ・『追い出し部屋』などという言葉が象徴する、この国の雇用の不安定化。
          非正規労働者の増加。
         ・少子高齢化問題。
         ・格差の増大。親の経済力の格差が子の教育の機会の格差を生むという格差の連鎖。
         ・自民党の衆院選での圧勝。強烈な一党支配の序章……

         これらが、今の日本の国の『かたち』のほんの一部だ。
         苛酷な競争社会、格差社会を生むグローバル社会の論理が私たちを襲う。
         何もかも国にお任せ、将来の安定も会社にお任せ、という時代は残念ながら
         過ぎてしまった。強い政府にお任せしていればいい、というのではすまないのだ。
         私たちの将来、子どもたちの将来を選びとっていくのは私たち自身である。
         与党も野党もない。
         主権者は私たちなのだ!

         皆でこの国のことを必死で考えて行かねばならない時代が来ている。

    
         最後に載せた世論調査の数字に現れた、国民の良識を信じたい……。


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Re: 鍵コメさんへ

鍵コメさん。こんばんは。
コメント嬉しいです♪

ほんとですねえ。まだがっかりするのは早いけれど、こうなったら、
政権内部の若い力に望みをかけてみることもありかもですね。
先日、自民党1年生議員で、秋本真利(37)、勝俣孝明(37)、小倉将信(32)
という3人の方が、党の原発政策に疑問を呈してるって、書いてありましたね。
小泉進次郎氏なども一応脱原発。党内には、安倍政権の極右的方向に
危惧を抱く人もいると思います。
惜しむらく、野中広務氏、加藤紘一氏、山崎拓氏などの、自民党内の
良識派が、引退したり力を失ったことですね。
谷垣禎一氏なども、自民党の中ではましな方でした。
とにかく安倍氏は、私は仇敵のごとく思っています!(苦笑)

ネット運動解禁で、若い人が少し政治に興味を持ってくれるようになり、
いろいろな情報を読んでくれるといいですね。まともな神経してるなら、
今の自民党を選ぶというのは考えられないですけれどね。
ちょっとずつでも、鍵コメさんたちの声が伝わっていくといいなと思います。

あ。その件はどうかお気になさらず。^^
かえって申しわけありません。
あと少し。頑張りましょう♪
ありがとうございます♪

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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
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