『汚染水のこと ②』

そもそも福島第一原発事故は、事故の最初から水との戦いだった…。
私のような素人の目から見ても、あの大量の冷却水はいったいどこへ流れて行くんだろうと
冷却の成否を案じるのと同時に、水の流れて行く先を心配していたものである。
海に流れて行く…それしかないじゃないか…。

2011年。事故当時の民主党及び東電の対応について、毎日新聞がいい記事を書いてくれている。
1~15ページまである長いものだが、今、このように汚染水対策に苦しまずにすんだかもしれない
ターニングポイントがそこからよく読みとれる。長いので、お時間のあるときにでも。
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130907ddm010040006000c2.html

一部抜粋して見よう。一部省略。

 「原発周辺の地下水の状況を調べてほしい」。
中長期対策チームの責任者として汚染水対策を担う馬淵澄夫首相補佐官は4月中旬、東電幹部に要請した。
汚染水が地下水を汚すのを懸念したほか、山側から大量の地下水が建屋に流れ込み、
汚染水の量を拡大させていると考えたからだ。
 東電担当者は「地下水との関連は考えにくい」と渋ったが、調べさせると、建屋直下に
阿武隈山系の地下水流があった。
それでも東電は「汚染水と地下水が混ざり合うことは考えづらい」と反論した。
馬淵氏は国土交通相時代の部下ら直属スタッフ数人で独自調査を始める。
原発の補修工事の際に提出する「不適合報告書」をしらみつぶしに当たり、
過去に地下水が建屋に流入した事例が何度もあったことを突き止めた。


 馬淵チームは5月11日付で作った「地下水汚染防止対策報告書」で「地下水が汚染水と混ざれば
(建屋真下を通る地下水流が汚染水を洗い流し)早ければ半年で海に到達する可能性がある」と警告。
海への直接の流出を防ぐため、すでに検討されていた海側の遮水壁に加え、建屋の四方を
粘土の壁で囲う陸側遮水壁の設置を提言した。検討過程で、粘土式より施工期間が短く、
初期費用が安い凍土式も俎上(そじょう)にのぼった。しかし、土を凍らせて壁にする
凍土式の大規模な施工例は海外にもない。効果に疑問があるとして、候補から消えた。
 馬淵氏は6月11日、福島第1原発に入り、粘土遮水壁の配置計画を固め、14日に
記者発表する段取りだった。だが、11年3月期に1兆2000億円を超える最終赤字を出した東電は
遮水壁の建設負担を恐れた。政府に文書で「1000億円規模のさらなる債務計上となれば、
市場から債務超過の方向と評価される可能性が大きい。ぜひ回避したい」と伝え、再考を迫った。


だが結局、政府も国庫負担や担当府省、予算費目のことなどを考え、馬渕氏の14日
記者発表はならず、事故収束に向けた工程表でも、実現の可能性を調査する「中期的な検討課題」に
とどまり、着工時期や費用は明示されなかった。
「遮水壁は進めてください」。馬淵氏は東電を訪れ、武藤栄副社長に念押ししたが、確約は得られないまま、
馬淵氏は6月末、首相補佐官を外れた。

ああ!この時東電や民主党政府が、予算や手間を惜しまなかったならば、
馬渕氏が首相補佐官を外されず、そのままこの考えで東電を指導していてくれたら、
そして菅政権が菅下ろしのバッシングなどでばたばたせずにいられて、それを全面的に支えていたら、
今頃遮水壁は既に着工され工期の幾分かははかどりを見せていたであろう。
ねがわくは、野田氏でなく馬渕氏が時期民主党代表になっていたら!……

馬渕氏が2年前その実用性を危ぶんだ『凍土壁』案が今頃安倍政権によって採用され
予算もついたようだが、その実効性は依然として疑問。

                  *

そもそも福島第一原発が、今の場所に建設を決定されるまで、どういう場所であったのか
知りたくて、いまさらながらだが、Wikipediaで『福島第一発電所』と検索してみた。
すると、気になる記述があった。

もともと今の福一があるところは、高さ30メートルほどの海岸段丘が長く連なる地形であった。
その高さ30メートルもある丘を、冷却水の取水や津波対策、それから原子炉建屋を強固な岩盤の
上に建てるなどという諸条件を考慮したうえ、20メートルほど掘り下げて
現在の福島第一が出来あがっている。工事が始まったのは1966年。
ああ!この時、津波の想定をもっと厳しくしていたらと悔やまれてならない!

私が気になったのは次の記述。
『敷地造成』という見出しのところにこんなことが書いてある。

『この敷地造成に当たり、掘削必要量は約120万立方メートルであり、地質に適合した
大型機械を使用した。具体的には標高35mから標高27mの間は柔らかい土質で地下水の湧出も少ない
ためのモータースクレーパーを使用し、標高27mから標高10mの間は常に地下水が湧出し
地盤がぬかるみやすい層であったので
ウェルポイント工法で地下水を汲み上げし、
仮排水路も設置しつつ、掘削にホイールローダーが使用された[45]。』

上に引用した馬渕氏と東電のやり取りで、
『東電担当者は「地下水との関連は考えにくい」と渋ったが、調べさせると、建屋直下に
阿武隈山系の地下水流があった。』という記述が正確なら、東電担当者は知っていてしらばくれていたか、
相当に無知だったか、いずれにしても、この時もっと馬渕氏の警告を聞いて真剣に
対応していたら、と残念である。
小出先生等も隋分早くから、遮水壁のこと、言ってらした。
そもそも、一日850トンも地下水を汲みあげなければならないところに
原発が建っているなんて。

ここに、福島第一の航空写真とわかりやすい見取り図を掲げてみる。


              俯瞰図福一


福島第一見取り図


問題の300トンの汚染水漏れを起こしたタンクのある群も見える。

9月13日。東電はタンクの近くを流れる排水溝から採取した水が、ストロンチウムなど
ベータ線を出す放射性物質の濃度が1リットル当たり940ベクレル検出したと発表した。
6日採取分(1リットル当たり120ベクレル)から約8倍に上昇しているが、これは
この排水溝を、7日から高圧洗浄機を使った排水溝の除染作業をしており、東電は
「除染作業で事故の際に飛び散った周囲の放射性物質が集まった可能性がある」と説明しているそうだ。

これを見ると、この時の洗浄水、排水溝から直接海に流してるんじゃなかろうか。
汚染された地面の残留放射性物質も、雨などが降れば、この排水溝から海へ直接流れるだろう。

地下水くみ上げ井戸がたくさんあるなあ…60本もあるのだそうだ。
福一は、すざまじい高線量の溶融した燃料との戦いと同時に、本当に水との戦いを
してるんだなあ…
そのことをよく示してくれているのが、9月12日の東京新聞の記事だ。

『福島第一 汚染水対策綱渡り 建屋周辺地盤 液状化の恐れ』
 東京新聞 こちら特報部:ニュースの追跡より 


『東京電力福島第一原発の汚染水の脅威は、海洋流出による汚染にとどまらない。
現在、海側に流出を食い止める遮水壁を建設中だが、逆に1~4号機周辺の地盤に水がたまり、
軟弱化する恐れが指摘されている。大きな地震が来れば、一気に液状化しかねない。
汚染水対策は文字通り綱渡りの状態だ。(林啓太)

◆遮水壁で地下水たまり「泥沼状態」

「福島原発は沼地に立っているに等しい。地下水の水位の上昇は危機的だ。
大きな地震が起きたら惨事に直結する」。脱原発市民団体「たんぽぽ舎」副代表の
山崎久隆氏はこう警鐘を鳴らす。

原発敷地の地下水位は先月、岩壁を薬剤(水ガラス)で固める工事により、地下水が
流れにくくなり、地表から1.2メートル下まで上昇していた。
地下水位の上昇について、大阪工業大の日置和昭准教授(地盤工学)は
「一般論として基礎の打ち方が浅い建物は水の浮力で浮き上がったり、地盤が弱まり
傾く可能性がある。地震が起きた際は、地盤が液状化しやすくなる」と指摘する。
山崎氏が「沼地」と表現するのは、この原発が地下水の豊富な場所に立地するからだ。
建屋の周辺に地下水くみ上げ井戸が約60本あり、事故前は毎日850トンがくみ上げられていた。

◆埋め立て地の海側周辺軟弱

東電は現在、水ガラスの壁とは別に、海側に全長約800メートルの遮水壁を建設中だ。
来年9月の運用開始を目指す。だが、山崎氏は「遮水壁の前に地下水がたまり、
地盤がさらに緩くなる原因になりかねない」と懸念する。とりわけ、タービン建屋の
海側周辺は埋め立て地。砕石などで埋め立てられており、軟弱だ。
そんな場所で大地震が起きたらどうなるのか。
山崎氏は「震度6の地震で建屋の周辺は液状化する。放射性物質を含む地下水が土砂とともに噴出し、
手が付けられなくなる」と想定する。「建屋も傾斜しかねない。使用済み燃料プールや
冷却水の配管が破壊されれば、大変な事態になる」
4号機では11月中旬から使用済み核燃料プールに保管する1533体の燃料を取り出す作業が始まるが、
地盤の緩みで大きな事故が起こらないか、不安が残る。
燃料はキャスクと呼ばれる容器に入れ、クレーンでつり下げて地上に下ろすが、高低差は約30メートル。
山崎氏は「キャスクの強度は、高さ9メートル以上からの落下には保証できない」と問題視する。
「容器が破損して中の水が抜ければ、数日で発火する。液体窒素をかけるなどの対応ができなければ、
現場に残された残りの燃料を巻き込む火災になり、放射性物質がまき散らされる」

東電広報部の担当者は「液状化は地面の表層部については可能性を否定できない」
としつつも「タービン建屋の下は岩盤なので、液状化の可能性はないと考える」
と安全性を強調している。
一方、東電は1~4号機周辺の土壌を凍らせる凍土の遮水壁を造る予定だが、
元国会事故調査委員会委員の田中三彦氏は「氷は水より体積が大きく、霜柱と同じ原理で
建屋が浮き上がってしまう可能性がある」と別の問題を指摘している。


少し大きな地震が来たら、福島第一の立地点が液状化!?
…考えてみただけで恐ろしい。

こうやって見ただけで、福島第一は、『コントロール下にある』とか
『収束した』などとはとてもとても言えはしないのである。

ついに政府は、こういうことに踏み切った。これが正直なところなのではなかろうか。


『技術、国際公募へ 政府がトリチウム除去で有効策なし』
福島民報 9月14日(土)8時57分配信

 東京電力福島第一原発で高濃度汚染水が漏れた問題を受け、政府の汚染水処理対策委員会は
13日、汚染水からの大量のトリチウム(三重水素)除去などは現時点で有効な対策が
見当たらないとし、技術を国際公募することを決めた。国内外の英知を結集するための専門チームを新設し、
政府が11月までにまとめる汚染水の追加対策に反映させたい考えだ。(2面に関連記事)
 福島第一原発の多核種除去設備(ALPS)は汚染水から約60種類の放射性物質を
処理できるが、トリチウムを除去できない。このため、処理後に海洋放出できる基準値を下回っても、
地元の理解が得られず、敷地内で貯留している。
 経済産業省資源エネルギー庁によると、汚染水が少量の場合はトリチウムの濃度を薄める
技術が開発されている。ただ、同原発の大量の汚染水を処理する技術は確認されていない。
 公募では、接合部をボルトで締める「フランジ型」の地上タンク底部の強度を高める技術や、
汚染水の漏えいが微量でも検知できる手法、モニタリングを担当する作業員の被ばく線量を
減少させる方法なども募る。
 専門チームは廃炉技術を確立するために8月に設立した国際廃炉研究開発機構が事務局を担当する。
汚染水管理や地下水流動など幅広い専門家を加え、提案された技術を評価する。
提案がない場合は国際研究機関などにあらためて開発を働き掛ける。
対策委員会は同日、都内で会議を開き、政府が示した汚染水問題の基本方針への対応などを協議した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130914-00000002-fminpo-l07


ああ…とてもいいことである。
もうメンツとか金がどうだとか言っていられまい。
汚染水対策は無論だが、4号機の使用済み燃料棒取り出し…それからそれに続く
廃炉の技術も、全智をもって、国際協力も仰いで取り組んでほしい。

こんな方法などどうなのだろう。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=280913&g=121201

そしてもう一つ。作業員の待遇を改善しなければ、いずれ、福一は働き手がいない、
またいたとしてもその質の低下や意欲低下から来る重大なミスを犯す…というようなことになり、
こういう人的なことで収束作業が破綻してしまうかもしれない…

国民が声を上げ続けて、政治が真剣にこれらの問題にとり組まざるを得ないよう
していきたいものだ。

最後に。こんな映像見つけた。
福島第一の基礎工事が始まった頃の映像。ああ!この風景!いいところだったのだなあ…。
こういうものを見ていると、日本がまだ若くて希望に燃えていた時代の空気を
私もぱあっと思い出して何やらせつなくなってくる…

誰が悪かったのか……

問題は、これは間違っている!と気づいたとき、立ち止まって道を変えるか引き返す勇気がない
ことなのではあるまいか。
今また日本人はその勇気を問われていると思うのだが。





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Re: スキップさんへ

スキップさん。こんばんは~♪
お訪ねありがとうございます!

『福島第一原発は国民すべての寝床の上にぶら下げられた爆弾のようなものです』

ほんとですよね~!
もう一度、マグニチュード6クラスの地震があったら、円筒をボルトでつなぐフランジ型の
タンクは、毎時千数百ミリシーベルトもの高線量(4時間ずっといたら死ぬという)のところ。
それらが倒れたり漏れ出したりしたら…
また4号機が最も心配ですね。
危機はすぐそこにあるのに、日常は、何事もないかのように進んで、テレビは相変わらずの
お笑いタレント中心の番組をやっています。

私も、出来るものなら、日本脱出…は出来ないなあ…(苦笑)
なんだかんだ言って、やはり自分の故国ですものね。
政治への批判記事は書いているけれど、やはり日本の風土を愛していますから。^^

自民党や東電にはほんとに腹が立つ。でも、何とかしないとどうしようもないので、
五輪のための粗隠し、などという姑息なことではなく、日本という国のことを
本当に真剣に考えて、収束に向けて知見を集め、何とかしてほしいですね。
何よりも、住民の健康にもっと方策を尽くしてほしい。
病院の放射線管理区域のような線量のところに、赤ちゃんや幼児、学童が暮らすという
異常をもっと認識してほしいです。

ありがとうございます~。ぼーちゃん、元気ですか?^^

No title

 汚染水を含め、福島第一原発は国民すべての寝床の上にぶる下げられた爆弾のようなものです。そこに思いが行かないわれわれです。時たま、日本を捨てようかと、ふと思ってしまうことがあります。しかし、この美しい国土と、祖先によって築かれてきた文化を捨て去ることは、たとえm見は外国に逃げようが、心は逃げ切れないですね。騒音ぉおい馬鹿な妄想を笑い、吹き消します。
 許せないのは、五輪誘致に支障が出てきたから福島原発の責任を国が持つと言い出したことです。五輪誘致がなければ、国の責任を明言しなかったということになることです。これは、国防で国民を守るといっている政権にしては、お粗末です。というか、頭にきています、あきれています。期待できません。
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

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