『音に身を浸す』

少し長い旅から帰ると大抵いつもそうなるが、
東京で暮らしている自分が本当の自分なのかどうか、
何か、自分というものが自分から乖離してしまったような違和感を
いつも感じてしまう。

何か自分の日常が白日夢か何かででもあるような実体のなさ、
自分のこころはどこかに置き忘れて来たような、
と言って、旅をしていた時の私が本当の私か、というと、
それもふわふわと浮ついて、本当の自分の姿とも思えない。
そんな状態がしばらく続くので困ってしまう。

とりわけ今回の旅は、いまだに自分のこころが定まらなくて
少し困っている。
何か捉えようのない悲しみというか空白感がずうっと胸にしこりのようにある。

そんなときは、音楽を黙って聴いているのがいちばんいい。
その時の心情にぴったりした演歌やポップスなどもいいのだが、
今回はクラシックばかりなぜかぼうっとして聴いていた。
と言っても、家にそんなにクラシックのレコードやCDがあるわけではなく、
あるものを聴いている、というのにすぎないのだが。
あとはYou Tube から拾ったり、i-Tunes で買ったり。

とりわけ私が好きな曲、好きな演奏をご紹介しましょう。

ショパン:ピアノ協奏曲第一番ホ短調
演奏はディヌ・リパッティ。
オットー・アッカーマン指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
1950年録音。

ディヌ・リパッティ(1917~1950年)はルーマニア生まれ。
わずか33歳の若さで悪性リンパ腫でこの世を駆け抜けるように逝ってしまったピアニスト。
聴いていただけばわかりますが、彼のピアノの透明感ある音は、60年も前のモノラル録音
などという条件をはねのけて、今も人のこころを強く打つ、気品と哀調に
満ちています。

うちにはレコードしかないので、You Tube からの貼り付け。
演奏の途中で無残に切れていますが、続きは同じページから聴くことができます。
ピアノに向かって左向きに写っている写真のが、この続き。
オーケストラの前奏はもっと長いのですが、カットされているみたい。

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テーマ : 思うこと
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Re: れんげちゃんへ

そうなの。れんげちゃんに会いたかったよ~。
折角同じ街に行ったのに、旅の予定が重なってたんだよね~。
それが心残りで寂しいの~(笑)。
でも、会ってみたかったのは本当よ。

今晩はちょうど、娘と彼氏が、れんげちゃんの街に行っています。
夕方、空港について、宿にチェックインしたのち、
生き人形の館みたいなのに行きたくて、連休で混雑している街を
這う這うの体で辿り着いたら、閉館間際で、誰もいなくて見られなかったそうです。
でも、そのあと街を方向など一切考えず歩き回ったみたい。
それがすごくよかった、と言ってました。
もしかしたら、偶然れんげちゃん家の前通ったりしたかもね。
かなり歩き回ったようですから。
そして夜になったので、路面電車に乗ったら、宿に帰りつけたとか言ってました。
ホテルから、お城のライトアップ見てたかな~。
明日も同じホテルに泊まって、昼はA市に渡るみたい。 
彼岸花さんも、街を歩く時間はほとんどなかったけど、
ホテルから夜景を楽しみました。
私も、ごそごそ歩き回りたかった~。

No title

それもこれも、ぜ~んぶ彼岸花さんだよ。
いいんじゃ~、それで。
それともっ!?
そんなにれんげに会えなかったのが心残りぃ~?(笑)

Re: ららさんへ

旅から帰って来た時の、なんとなくの現実味のなさというか、違和感。
ららさんもそういうことがおありだと伺ってなんだか少しホッと。

今回の旅は、私にとって、いろいろな意味で、心が二分三分されるような
旅でした。いろいろなことを考えました。
だから少し、元に戻るのに時間がかかりました。

音楽はいいですね。
私はクラシックもそう、詳しくないの。
ららさんは、お家の環境が音楽にあふれていらしたので、
自然に、たくさんお聴きになってらっしゃるみたいですね。
フルトベングラーなんてお若いのによくご存じだなあと驚きました。
驚くほうがおかしいのかな。クラシック好きの方なら皆さん
避けて通れない指揮者と言った方がいいのでしょうか。
私は実はその域には達していず、演奏者によって同じ曲が好きになったり
なにも感じなかったり、というところはわかるけれど、指揮者による
違い、というのは、恥ずかしながらまだ聴き分けられないのです。

でも、このリパッティのショパンは、オーケストラの古色蒼然たる
響きも好き。ひどい録音だなあ、と思われる向きもあるでしょうが、
それとリパッティのピアノの透明さ、ずば抜けた気品の対比が、悲しくて好き。
リパッティという人のことはいつか詳しくご紹介できるといいなと思っています。

ららさんのお好きな曲などまた、いつか教えてくださいね。
コメントありがとうございます。


No title

こんにちは
彼岸花さんの白昼夢のような実体のない感覚、
旅から帰るとららもそんな気分にとらわれます。
現実に住み慣れた家にいるときに、たくさんの自分らしさのほんのつかの間のほんの一部似すぎないような感覚
そして見知らぬ土地を回っているときの方が懐かしい自分と出会えたような・・・
このショパンのコンチェルト
モノクロの映画を見ているような、たとえばフルトベングラー指揮の
演奏を聴いているような、少しこじんまりした柔らかく透明な気品、
実はりバッテリというピアニストは知りませんでした。気品があります。中村紘子さんの演奏のCDを持っています。
第一楽章も好きですが、この第二楽章が大好きです。
ここで、素敵なピアニストの演奏を聞けてとても嬉しいです。

Re: 依里さんへ

音楽も本も、自分の好みのものを深めていくのは楽しいけれど、
おっしゃるように、人の好きなものを聴いて、まったく別な世界をそこに見る、
というのもまた、新しい発見があっていいですよね。
「こんないいものがあったのに、これまで知らずにきたんだ~!」という…。

このリパッティのショパン。うちはレコードプレーヤーが壊れてしまって
今聴けないので、You Tube で聴いてたんですが、あまりにもぶつぶつ切り。
やはりCD買うことにしました。
ラフマニノフ。今日私はたまたま、ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番ハ短調
を聴いてました。
…などと言うと、すごく詳しそうですが、私も音楽は詳しい方では全然ありません。
知らないものばっかリ。でも、人に教えてもらたっリ、たまたま自分で偶然
行きあたったりして、好みの曲を見つけるとすごく嬉しいです。

依里さん、コメントありがとう。
本当はこの記事、引っ込めようかと思ってた。でも、依里さんがつなぎ留めてくれました。

No title

私も1年強ですが遠くにいた事があります。
戻って来た時は、どうも浦島太郎でした。元の暮らしになれるのには、割と時間がかかった記憶があります。

私はあまり音楽personではないのですが、CDを借りたり、ダビングしてくれたものを聞いたり、自分の趣味のものから派生したサウンドトラックCDなどを繰り返し聞いたりします。
自分と違う嗜好の人の好きなものに触れるのは刺激になりますね。

壮大な曲と言うのでしょうか、和音が多い曲みたいなのは、自分が知る数少ないクラッシック作曲家の一人、ラフマニノフの曲くらいかと思っていました。けれど、ショパンが世界中の人々に知られているのは、それなりの理由があるんですね。YouTubeではブチっと切れていますが、ネットのどこかにはフルで落ちてるかも知れませんね。。。
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彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

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