『時を超えて、一人のひとの人生を深く想うということ ① 』

遊んでいる場合じゃない。書かなきゃならない記事は山積しているのだが……

ちょっとこの本のページ、見てください。

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ああ…やっぱり、私のデジカメと腕じゃ、近い距離は全然撮れないな…。
仕方ない、キーボードのタイピング、極めて遅くて苦手なんだけれど、書き写してみるか…

英文見ただけでもう、面倒くさ! ってお思いにならないで、先を読んでくださいね。
これ。一つのクイズ です。^^
そして。一つのクイズと言うだけの記事でなく、実は私のここ2日間ほどの想いも込めた
記事になっていきますので、ぜひ先をお読みくださいね。


Today, by radio, and also on giant hoardings, a rabbi, an admiral notorious
for his links to masonry, a trio of cardinals, a trio, too, of insignificant
politicians (bought and paid for by a rich and corrupt Anglo-Canadian
banking corporation), imform us all of how our country now risks dying of
starvation. A rumour, that's my initial thought as switch off my radio, a
rumour of possibly a hoax. Propaganda, I murmur anxiously, as though,
just by saying so, I might allay my doubts - typical politicians' propaganda.
.........


ああっ!逃げないで。 これ、中味読まなくても、関係ないの… 
実は、この英文は、小説の一部で、実際はまだまだ続くのですが…
さて。これをご覧になって何かお気づきになりましたか?

ちょっと、考える時間を。…ね……



2014_1013_235914-CIMG3265.jpg


この本の中で紹介されている英文なんです。 サイモン・シン著『暗号解読』。
そう。 実は、この英文、『暗号』とは言えないけれど、ある仕掛けがあるのです。

お気づきになりましたか?

…はい。実はこの英文にはアルファベットのE、e の文字が一つも使ってないのです!!!

さらに、驚くことがあります。
実は、この英文の原文は、もともとジョルジュ・ペレックというフランスの作家が、
フランス語で書いたもの。
La Disparition (1969) (邦題『煙滅』)というその小説は、200ぺージはあるという
長い小説なのですが、ペレックは、なんとフランス語で最も頻出度が高い活字E 、e を
一度も使わずに書いているのです。
(ということは、フランス語の基本中の基本語と言える uneも、le、lesなども、
『彼女は』という意味のelleなども一切使えないということだ…!)
それでは、ここに掲げた英文は?

これは、フランス語から他言語に翻訳不可能と言われた(そりゃそうですよね!)ペレックの
その『La Disparition 』を、なんと、ギルバート・アデアというイギリス人が、
やはり、E、eの文字を使わずに英語訳したものなのです!
ほんとだ。これまた英語の頻出語と言える、the、he、she、theyなどが
全然使ってない!

なんと!愉快だと思いませんか?
私は、人間の、こうした無駄遊びとも言えるような精神が大好きです。

しかもペレックはその次に、e以外の母音活字を禁止した(a,i,o,u使用禁止)中編を発表し、
度肝を抜いています。
また、極度に難解なクロスワードパズルを組み上げてみたり、
(当時の)フランス語における新記録という1247語からなる回文を作って見せたり、
「ひとつのマンションの全室の全住人の複雑に絡み合った生活史を、古今東西の名作文学の
マトリックスに絡み合わせて、余すことなく描きあげた超大作『人生使用法』を、
膨大な注釈と登場人物の年表まで付けて上梓」したり。
(*「 」引用部分は下記サイトから。)
http://d.hatena.ne.jp/seul/20130102/1357145187

とにかく、「なんでそんな無駄な実験を!」と常人は考えてしまうような言語遊戯的な作品を
多く上梓しているひとなのです。
こういう風に、特定の文字を使わない制約を『リポグラム(文字おとし)』と言うそうです。
フランス語でEの使用を禁止するだけで、使える語彙は、なんと三分の一に減るそうです。



ジョルジュ・ペレック
(Georges Perec, 1936年3月7日 - 1982年3月3日)。
フランスの小説家、随筆家。パリ出身。ユダヤ系。
本来の苗字はペレツ(Peretz)であり、父方を通じてイツホク・レイブシュ・ペレツの遠縁にあたる。
1965年に長編"Les Choses. Une histoire des années soixante"『物の時代』でデビュー、
同作でルノードー賞を獲得。1967年からは文学グループ「ウリポ」に加わり、
言語遊戯的な作品を多く上梓した。
"Un homme qui dort (1970)"『眠る男』は映画化され、1974年度ジャン・ヴィゴ賞を受賞した。
他の代表作に"La Vie mode d'emploi (1978)"『人生使用法』など。
彼を称えて、小惑星(2817)ペレックが彼の名を取り命名されている。
(Wikipediaより)

                    *


本当に愉快でしょう?
フランス語で一番使う E、eを一度も使わないそんな小説を書く人がいて、
それをまたEの字を使わないで英語に訳すイギリス人がいた……!
ちなみに、日本語訳はいくらなんでも無理でしょう。
ところが、これを実験してみた日本人がいるのです。
『煙滅』(塩塚秀一郎訳、水声社、2010年)。
ただし、当然ながらアルファべット文字国ではない日本。

ここでもう一つクイズ!

それでは、日本語において文章をひらがなに書き表わしたとき、もっとも頻出度の高いひらがなは
なんだと思いになりますか?つまり日本語で最も音としても多く使われているひらがなは?

ある実験によれば、『い』だそうです。
第1位…「い」 第2位…「ん」 第3位…「か」 第4位…「し」
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091179941794.html

塩塚氏は、その、日本語をひらがなで表記した場合にもっとも高い頻度であらわれる
『い』を、しかも『いの段のひらがな』全部ぬきで、翻訳しぬいているのだといいます。
『い』だけでなく、『き』も『し』も『ち』も使わずに。
だから、『隠滅』『消失』というような意味のタイトルが、なぜか『煙滅』となっているのです。
その他にも、いの段の欠落を暗示するさまざまの工夫も織り込んでいます。
『煙滅』について詳しくは、こちらのサイトを。
http://blog.goo.ne.jp/kazenotikara/e/f90b75d8fc417068c29577614bd13079


                      *

ほんとに、世の中には、暇人というか(失礼!)、面白いことを考える人がいるものですよね。
私は、こういう遊び心が大好き。
人間を、ホモ・サピエンス(知恵ある人)と定義する言い方は有名ですが、
オランダの歴史学者ホイジンガは、人間を『ホモ・ルーデンス』(遊ぶ人)と定義しています。
遊戯が人間活動の本質であり,文化を生み出す根源だとする人間観です。
また、フランスの哲学者 H.ベルグソンは、人間を『ホモ・ファーベル』(作る人)と
定義しています。これもわかるなぁ……


                      *

しかし。この記事の本当の主題は、ジョルジュ・ペレックのそうした遊び心について、だけでは
ありません…
でも、さすがに長くなるので、一旦ここで切りましょう。②に続きます。

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Re: 暇人いちばんのりさんへ^^

こんばんは~。
ね。面白いでしょう?
『暗号解読』という本に関しては、そちらにおいでの青年のお一人も
かつて記事を書いてらして、いつか、ペレックの記事書いたら、『書きました~』
って、ご案内しようかなと思っていましたが、恥ずかしがりおばちゃんなんで
まだご案内の声かけていません(笑)。

私も、別に暗号好き、というわけでまないのだけれど、人がやっている
アナグラムとか、こういう言葉の遊びを見るのは(笑)大好きなので、
「ほうほう!」と喜んじゃいました。^^
アルファベットのアナグラムのサイトがあって、面白いです。
誰かが頭で考えてやってるんじゃなくて単純にパソコンで、組み合わせを提示して
くれてるのかな。使えるものは少ないけど。
http://digital-cat.com/web-service/anagram-wordsmith/
たぶん。無料サイトと思うけれど、責任持てません…(笑)

おお!
『スプーナー誤法』!

『Spoonerism : スプーナー ( William Archibal Spooner )が
この手の言い間違いを絶えずしていたから。スプーナーさんは オックスフォード大学、
ニューカレッジの学長という要職を勤めていたが、 ある式典で、
"Conquering Kings their titles take."と いうべきところを、
"Kinkering Congs ..."といったのだそう。 これがスプーナリズムの始まりと
されている。 しかし、後の研究によれば、スプーナーさんが発したとされる
スプーナリズムは、 彼の生徒たちが後日面白おかしく創作したものだということです。』

あるサイトから引用させていただいたんですが、や~、実はこの先生の逸話を
ずうっと探していた。もう、そうね、40年以上前に。
同じ40年以上前、ということでもモディアノの志と随分違うんですが(笑)。

実は亭主が、この癖があって。
『イラク攻撃』が『いくら攻撃』になっちゃうし、もう、ほんとにしょっちゅう!(笑)
家でこんなにしょっちゅうやらかしているくらいだから、外でもやってるんだろうなあ、と
心配で。彼、若い頃学者目指していましたから、この癖は致命的ですよね~。
書くものは不思議と間違わないの。しゃべる時だけ。
でも、講義とかしなくちゃならないでしょ。生徒の前でこれやらかしたら、
若い頃って残酷だから、いっぺんで『あの先生だめだな』ってことになっちゃう。

たぶんね。音感が悪いんだと思うの~。
だって、『ペンション』と『ションペン』って!(笑)
あんまりひどいと、11こ私の方が年下だけど、『落ち着いてしゃべりなさい!』って
怒ってた(笑)
困ったな~、と思ってたら、ちょうどその頃読んだエッセイに、イギリスのある大学の先生が、
この言葉をひっくりかえしていう癖があって、それを『なんとかイズム』とか
『なんとかシンドローム』っていうんだって、書いてあったの。
たぶん丸谷才一のエッセイだったと思うのよ。
「あ!これだ!」と思ったけれど、それがわかったからと言って、夫の癖が治る
わけでなし。とほほ。
結局大学の先生にはならなかったからよかったんだけど、一時は私の方が真剣に
悩んだなぁ。今でも、ときどきやりますが、もうお互いに現世の欲など超越して
仙人みたいになりかかっているので、もういちいち訂正しません。
今日もなんか言ってたけど忘れちゃった!(笑)。
でもね。夫の名誉のために言っておきますが、知的な人ではあるんですよ~。(爆)
大学院博士課程修了で、若い私に学問の方法の基礎教えてくれた…
今でも頭ははっきりしています。

「あれ。なにシンドロームって言ったっけ~?」と、長年思い出そうとしていたけど、
確か丸谷才一のエッセイだったってことは覚えていても、丸谷才一はたくさん
エッセイ書いているからなぁ!(笑)
40年間の疑問が、玄少子さんのお陰で解けました~!
ああ!面白いなあ…

お~っと!
中国にもそりゃいろいろあるでしょうね!なんせ歴史の長い国ですから。

『“車中猴,門東草”。 もうひとり “禾中走,一日夫”」というんです
 こたえは,犯人は兄弟で,その名は申蘭,申春。』

これ。答えを書いてくれてあるからだけど、わかりましたよ~~~!
『車』という字の中の『猴』。『猴』は猿、で『申』ですよね。
門東草は、そのまんま、『蘭』だ。
『禾中走』がちょっとわからなかったけれど、調べてみたら、『禾』は『ノギ』で
以前玄少子さんに教えていただいた辞書『漢典』、お気に入りバー?に入れてあるので
ひいてみたら、?なんだかよくわからなかったけれど、米とか稲に関係ありそうだ。
『走』もこれまた『漢典』は読めない漢字ばかりでわからなかったけれど、
答えがあったから、『申』から逆に考えて、『田』…そうか!『田んぼ』を
貫くのかな?っと思って、ようやく答えの意味がわかりました~~~♪
『一日春』はこれはもう!^^

難解漢詩は,暗号みたいなものでもありますし。掛けことばや隠喩も暗号
みたいなものですしねー。』

あ。ほんとですね!私みたいな初心者には、ほんとに超超超難解なクイズです!(笑)
でも、辞書ひきひき、少しつながりが見えて来たときには、とても嬉しい。^^

それにしても面白いですね~。8~9世紀の中国の作家が、こんな可愛いクイズ書いてたんですね!
そうだろうなあ。前後どちらから読んでも同じな回文も当然あったでしょうね。^^
この回文を作ることをアート作品としてる芸術家がいます。^^
福田尚代さん。
http://journal.books-cotocoto.com/?eid=1243705

ほんと!言葉って興味が尽きないですね♪
暇人じゃないと、たしかに「やってらんない!」ってとこはありますが(爆)。

ビアンカ・ランブランはともかく、
デイヴィッド・ベロス『ジョルジュ・ペレック伝 言葉に明け暮れた生涯』というのが
あるらしい。一度読んでみたいなあ…でも、784頁もある…げへ…重そう…
最近寝転がって本読むので、重たい本、敬遠しちゃうんですぅ。

それではん。おやすみなさ~い♪

暇人いちばんのり!

おもしろいですねえ。
ちょっと一瞬ひるみましたがやっぱり。書いちゃおうっと
すぐコメント書くのはなかなか気が引けるこのごろです~が
って。なんのいーわけだ??

暗号とかアナグラムとかホントにおもしろいですよね!

子供のころシャーロックホームズの「踊る人形」でしたか,モルモン教徒か秘密結社かわすれちゃったけど,人形の絵でアルファベットにしたっていうの,やっぱりEが,解決の糸口でした,
いらい暗号ものの,ミステリーが大好きで,ディクスン・カーとか,あれこれ夢中になりましたおぼえがあります。
エラリークイーンの「間違いの悲劇」とか。これは
Spoonerism スプーナー誤法( 母音をついおき換えてしまう誤り)をつかった語音転換のはなしですが。

ねえ,中国語の暗号文,紹介しますと,父親が殺害された娘の夢に出てきて,
自分を殺した男の名前をつげるんです,敵をうってくれと。それが「殺我的人是(我を殺したのは),
 “車中猴,門東草”。 もうひとり “禾中走,一日夫”」というんです
 こたえは,犯人は兄弟で,その名は申蘭,申春。

唐代の李公佐なんと元和八年!の『謝小娥伝』,と言う話なのですが

こういうのや,
謎かけで,作られた漢詩もあるんです。
あとは上から読んでも下から読んでも意味が通じる詩,とか
漢字は,へんとつくりがあるので複雜ですが,考えればわかる,
いってみれば難解漢詩は,暗号みたいなものでもありますし。掛けことばや隠喩も暗号みたいなものですしねー。
ことばって,ほんとおもしろいです。

そんなたのしみかたもしつつ
ではん,おやすみなさ~い(その④もたのしみ^^。ビアンカ・ランブラン問題の書ですね!読んでないけど)
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
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国境なき医師団
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