『選挙の争点 ①』

政府は消費税を8%から10%に上げるのを、1年半先送り。そして、この21日にも
衆院を解散。選挙で、この増税先送りの件とアベノミクスへの評価を国民に問うのだという。
総理自身の言葉を借りればこうだ。

『税制こそ議会制民主主義と言ってもいい。その税制において大きな変更を行う以上、
国民に信を問うべきであると考えた』


ちょっと待ってほしい。
税制も大切なことだが、『税制』というところに、『原発比率とエネルギー政策』や
『沖縄米軍基地辺野古移転問題』、『取材・表現の自由(秘密保護法)』、『日本の国防問題
(自衛隊の集団的自衛権行使容認)』
などということばを置いてみるということは、この政権ではこれまでその気配さえなかったではないか?!
これらも、日本という国の形を変えてしまうほどの大きな問題であったはずだ。
本来ならば、その一つ一つが、国政を揺るがすほどの大問題であって、
ほんとうはこれらについて国会での充分に時間をかけた討議は無論のこと、国民を巻き込んでの
数年にわたる議論くらいしてしかるべきほどの大きな問題ばかりである。

しかしながら、この政権は、上記の問題のそれぞれで『国民の信を問う』どころか、
国民や当該地の住民の大きな反対の声も、もっと議論を深めてから決めることにして欲しいという
切なる願いもよそに、衆参両院での圧倒的多数の力を背景に、立法府である国会における
ろくな議論もないまま、殆ど行政の府の政府のやりたいままに決定してきたのではなかったろうか。

そもそも総理がここで口にした『議会制民主主義』という言葉の、本来の意味とは何だろうか。
それは、本来、 主権は国民にあるのだが、国民が全員政治に直接参加することは実質的に出来ない。
したがって、国民から選ばれた代表が議会で立法権を代わりに行使するということである。
国政においては、衆院選で第一党となった政党が内閣を担当するという大日本帝国憲法以来の
『憲政の常道』が、原則、日本国憲法下においても慣例的に行われているために、
行政権も、結果的に衆院で第一党を取った政党が国民の代わりに政権を担当することになっている。

しかし、司法・行政・立法の三権分立というのが、近代国家の憲法上の普遍的
基本原理であるということは誰しも知るところである。
いったいなぜ、権力を分立させなくてはならないのか。
権力が単一の機関に集中することによる権利の濫用を抑止し、国民の権利・自由の確保を
保障するためである。
権力分立の対義語は権力集中(権力集中制)である。

戦後69年という歴史の中でも、今の安倍政権ほど権力が一内閣という行政府に集中したことは、
かつて見られなかった現象ではないのだろうか。
司法・行政・立法という公的機関の分立のバランスを欠くのみでなく、その権力は、
民間の権力監視装置とも言うべき新聞・放送の報道分野にまで今、その影響力が及んで行きつつある…
日本の公共放送たるNHKの人事然り。
政治資金問題に関して例の『撃ち方やめ』発言を総理のものとしてしまった誤解は、
なにも朝日だけでなく、毎日、読売、産経、日経など報道各社が等しく朝刊で報じたので
あったにもかかわらず、総理は国会答弁で朝日新聞のみを名指しして『捏造』との発言。
http://sp.mainichi.jp/opinion/news/20141102k0000m070111000c.html
これほど一国の総理が特定の新聞に対してのみむきつけな批判をするとは…。
ジャーナリズムというものは、国政や地方行政の外側にあって、司法と共に、
行政・立法機関の暴走を止める、いわば第4の権とも言えるものなのではなかろうか。
しかし、ときの政権担当政党が、極端なジャーナリズム批判に傾けば、
ジャーナリズムはやがて、その意を迎えるようになり自由な言論や批判は委縮してしまう。
…そのことは、私たちは、あの日中・太平洋戦争に至る過程で、いやというほど見て来た
筈ではなかったろうか?

ましてこの政権は、昨年、同じく国会における充分な審議もないままに、また、国会・官邸周辺を
取り巻いて反対を叫ぶ多くの国民の声も、議員・司法関連の諸機関・諸文化団体・諸宗教団体、
地方自治体…それら多くの団体の反対声明も、新聞等における国民の投書に見る国民一般の声も
無視して、秘密保護法を、ただ国会で多数を占めるというその力でもって押しとおして決めてしまっている。
そうして、その法律は、この数週間内にも施行されようとしているのである。

残念ながら、私たち国民は、現政府がこの『議会制民主主義』を、実質的に無視して、
一内閣の閣議決定によって、国家の根幹である憲法の『戦争の放棄』の精神を
事実上無効にしてしまっても、言論の自由を侵害されても何も文句はいえない。
なぜならば、私たち自身がこの内閣を2年前に選んでしまったからである。


しかし。
衆院選挙が思いがけず、4年の時を待たずにやってくることになった。
巷では、『争点のない選挙』とか『大義なき選挙』とか、『消費税増税選挙』とか
いろいろ否定的、消極的に語られていることが多いように見受けられるけれども、
今から国民のムードはすでに、『投票に行っても仕方がない…』とか『入れたい政党がない』とか
早くも投げやりな感じが漂っている気がするけれども、今度の衆院選は、ほんとうにそんな
意味のない選挙なのだろうか?

とんでもない!
私たち国民には、先の衆参両院選挙以上の重大な選択が突きつけられているのだということを
知っておかねばならないと私は思う。
以下、出来るだけ箇条書きになどしながら、今度の選挙の重要さや、その争点について
考えて行ってみたい……。







スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

Re:NANTEIさんへ

NANTEIさん、おはようございます。

教える、だなんて、とんでもないです。私も、どうしたらいいのか溜息ばかり。
本当に、この狙いが見え見えの、茶番としか言いようのない選挙、
しかし自公を勝たせれば、憲法改正、原発再稼働、辺野古基地の固定化、
アメリカと共に戦争できる国へまっしぐらのこの政権に、それらへのお墨付きを
与えてしまうことになってしまいます!
それだけは避けたい!
しかし、自民党に代わりうる野党はないです…
この状況をどう打開したらいいのか。
とにかく、選挙民に少しでも関心を持ってもらうことが第一歩、と、重い腰を上げてみました…

書いていて自分でも、気が重いです。(苦笑)

昨日の朝日新聞第一面は、高倉健さんのことが出ていて、そしてその隣に、
『愚直な政治忘れたのか』という朝日新聞、星浩特別編集委員の政権への苦言が
載っていましたね。不器用に、愚直なまでに誠実に生きたひとりの人と、
言葉や党利党略だけが先走りして国民に誠実に向き合わない政治家と……

きっと書いていて虚しい気分になるだろうということはわかっているのですが、
それでも、自分の頭を整理するためにも書いてみます。
ありがとうございます。

こんにちは。

大義のない解散、総選挙と言われてますが、姑息な考えが見え見えですね。
「集団的自衛権」「原発再稼働」「TPP交渉」「辺野古」「景気」・・・
全てに出口が見いだせなくなった故に、改めて数の力で強行突破しようという思惑。
野党は準備不足の上に相変わらずの離合集散。
何のための選挙か理解に苦しむ上に、年末の慌しい時期の選挙では投票率も伸びず、
そうなると組織票で有利な政権党が現勢力を保てる筈との読みでしょう。

一方で地方あるいは都市部貧困層が求めるのは、景気回復が大多数だと思います。
総選挙の争点も当然、景気と増税ということになります。
有権者にとっていやいやながらの選択は、有象無象の野党ではなく自公かまたは棄権でしょう。

自公は急遽、軽減税率案を掲げて増税批判から身をかわそうとしています。
軽減税率なんてこの日本で、そうそう簡単に実現するものではありませんね。

ともかく茶番もいいところの総選挙。
しかし彼岸花さんがおっしゃるように、
白けてばかりいてはますますこの国が虫食いだらけになってしまう。
坂から転げ落ち始めた日本を、なんとか食い止めなければならない大切な選挙だと思います。

私たちにできるのは、総花の公約に惑わされることなく、
健全野党あるいは納得のゆく政策を掲げる候補者に、一票を投じることではないでしょうか。

彼岸花さん、ご苦労なことですが、
良き選択の指針を教えていただきたいと思っております。
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
リンク、トラックバックご自由に。

『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/pekai/signup.html
国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/donate/?grid=header02
最新記事
最新コメント
リンク
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード