『秘密保護法施行を憂う』

2014年12月10日。
とうとう悪法、特定秘密保護法が、本日付で施行されてしまった。
この悪法の問題点やその危うさ危険については、司法界を初め、多くの人が
反対を唱えてきたにもかかわらず、国会において安定多数を占める自公政権は、
ついにこの法を施行まで持ってきてしまったのである。

自民党の歴史の中には、この特定秘密保護法の前身でもあったような『スパイ防止法案』が
1986年に再提出されたときに、日弁連に関係する議員の反対で阻止したという
経過さえかつてはあった。このときの反対派主要議員のひとりが若き日の谷垣禎一氏である。
だが、今の自民党内には、国会議員自身をさえ秘密保護の一言で縛りつける危険性のある
この法案に反対の声を上げる議員ももういない。

まさにすべての点においてこれ以上の起死回生策はなかった(ただし、安倍さん個人にとって、
という意味でですが)と思われるような首相の解散劇から、衆院選挙戦へ。
選挙期間中は、団体によるあまり目立った政治活動は公職選挙法に抵触する怖れありと
石川県選管から指摘を受け、金沢弁護士会が予定していた特定秘密保護法施行に反対する
街頭活動を中止したそうだ。
そういう点でも、なんとこの解散総選挙は、タイミングが熟慮されていることか。

秘密保護法という気味の悪い生きものは、そんな中、静かにその胎動を始めた……。

秘密保護法って、普通に生きてれば、普通の人には関係ないんじゃん?
自衛隊とか米軍とか、要するに防衛関係とか政治のことに首突っ込まなきゃいいんでしょ。

…そう思ってはいないだろうか。

確かに、秘密保護法が始動された2014年12月10日という今日一日は、昨日と同じように
何ごともなく静かに暮れた…
しかし。こうした法律は、すぐにその恐ろしさを発揮せずとも、ある日突然、重大な意味を持って
私たちの前に大きく立ち現れることがある…それが怖いのである。
どこからどこまで、と明確な定義のない取締法は、その運用者の恣意によって拡大解釈し得る。

何よりも私がこういう性質の法を恐れるのは、そうして忌むのは、
人間というものが法律や権力を後ろ盾にした時、どのようにでも変わるのを、先の戦争中の
治安維持法などの多くの事例から学んで察するからである。
法律が施行されなかった昨日まで、近所の交番の気のいい巡査であった人が、
法律施行と共に、ある種の使命感を抱いて、今日から、住民の意識調査や政治的性向に、
突然興味を持つようになる……
新聞記者が、記事を書くのに臆病になっていく……
昨日まで、あまり政治的発言をしなかった人が、突然ヘイト的発言をするようになる……

人間というものは、えてして時代の空気というものに、自分で自覚していずとも
影響を受けるものである…
特定秘密保護法。集団的自衛権行使。……こうしたことが、日本の空気を変えていく…
人々の顔つきを変えていく…そのことを私は憂うのである。

この秘密保護法に関して、私が感じていることを、これ以上ないというほどに
適確に書き表わしてくれている文章を紹介しよう。
筆者は、山崎雅弘氏。
1967年大阪府生まれ。戦史/紛争史の解説記事を『歴史群像』(学研パブリッシング)、
『歴史人』(KKベストセラーズ)等に寄稿。著書は7万部のベストセラー『中東戦争全史』(学研パブリッシング)、
アマゾンKDPの電子書籍『山崎雅弘 戦史ノート』シリーズ(六角堂出版)など。

『【総選挙2014】首相が「どの論点を避けているか」にも目を向けてみる』


ぜひ、みなさん、秘密保護法が施行され、この国のかたちが大きく変えられて
しまおうとしている今、この記事は、ぜひぜひ、お読みください。

とりわけ、私が、深く深く悲しみを持ってうなづいた個所を、一部引用させていただいておきます。

人が歴史を学ぶ意義の一つは、過去と現在と未来が「途切れずに連続している」
という「感覚」を、思考の底流に形作ることだと思います。

現在目の前にある様々な問題は、いきなり目の前に出現したのではなく、ほとんどの場合、
少しずつ視野の中で拡大してきたはずですが、大抵は「はっきりわかるほど大きくなる」または
「深刻化する」まで、その変化には気付かずに見過ごしてしまいます。


それと同様に、社会全体の重要な変化も、唐突に激変するのではなく、漫然と日々を過ごしていると
全然気付かないくらいの緩いスピードで、少しずつ進んでいきます。
20世紀における、あるいは人類史で最悪の政治体制の一つとすら評価されている
ナチス・ドイツの非人道的な独裁も、日本の現副総理が内輪の講演で「あの手口に学ぶ」と述べたように、
多くの国民がその重大さに気付かない程度の遅さで、じわじわと形成されていきました。』


私が特に悲しみと共に心打たれたのは次の一節です。

『実質的な「選択の自由」が与えられた環境で国民が投票できる選挙は、もしかしたら
今回が最後になるかもしれない。』

ほとんどの日本人は、そんな風には考えていないでしょうが、古今東西の戦史や紛争史を調べれば、
それと気付かないまま「最後の民主的選挙」を通り過ぎて、後戻りのできない
「別の政治体制」へと移行した例は、決して少なくありません。



私たちは、あと数日で、その分かれ道に立つのです…


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Re: 海空居士さんへ

海空居士さん、こんばんは!

ほんとに、なんとも絶妙のタイミングで解散総選挙日程を入れたものですよね。
この巧みさには舌を巻いてしまいます。
誰が知恵者なのか、目論見は100%どころか、200%くらいの大成功になりそうですね。
本当に起死回生の解散で、そこのところをあまりよく理解していない国民のおかげで、
安倍政権はこれでもう4年安泰、ということになってしまうのでしょうか。
4年あったら、何でもやりたいこと出来ますね。
本当に、そら恐ろしいです。

安倍さん自体が、ということより、国の空気が変わっていくことが情けないですね。

山崎さんの記事は、私も実は、他のかたのところで教えていただいたのです。^^
ああ、これはすごいなあ、と思って、紹介させていただきました。
今の私の気持ちには、これ以上ないというくらいぴったりときます。
海空居士さんも同じように記事にと思っておいでだったと伺ってうれしいです。

コメント、早速あのあと、手を打ちました。
ありがとうございまっす!!^^

あと2日…。どういう結果が出るでしょうか…。
日本国民の民度が問われますね。




No title

こんばんわ。とうとう稀代の悪法が施行されてしまいましたね。
それも選挙期間中にこっそりと…。まったくふざけた話です。

私も、この山崎さんの記事を見つけて明日にでもアップしようと思っていたところです。良い記事をありがとうございました。ツイートしておきました。

ところで余計なことかもしれませんが、コメントに携帯電話の番号が書いてありますがだいじょうぶでしょうか?ちょっとプライバシー的に問題かと…
さしでがましいことを言って申し訳ありません。合掌
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彼岸花さん

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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

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