『初めて見た洋画』 



初めて私が見た洋画の記憶は、私が小学校5年生の時のことである。
いくら私の年代にしても、ずいぶん遅い方なのではないだろうか。
『制服の処女』『戦場にかける橋』『野ばら』の3本。
これらは1957年、58年に公開されているのだが、
どれを一番先に見たか、記憶がはっきりしない。

『野ばら』はウィーン少年合唱団を題材にしたもの。ミヒャエル・エンデという少年が
主役を務めていた。(作家のミヒャエル・エンデではありません)
これは、私が小学5年生のその頃、ある地方都市のNHKの児童合唱団にいたので、
そこから全員で連れていってもらったのだったと思う。

さて、後の2本は近くの映画館で母と見たのだが、どうして母と洋画など
観に行ったか、というと、券を貰ったから。
当時住んでいたアパートの隣の部屋に、近くの映画館で支配人をしている人が住んでいた。
支配人と言っても、雇われ支配人。
フランク永井という往年の歌手に似た、もう中年にさしかかった人であったが、
その人の奥さんが、若くてちょっとやくざなところのある、綺麗なひとだった。
何かわけあり、という感じを全身に漂わせていたが…

まあ、そのご夫婦が、私たち母子によくしてくれて、その人が勤める東宝系の
映画館や、たまに、街の少し離れたところにある洋画の上映館の切符を
くれていたのである。

『制服の処女』は自分より少し上の年頃の少女たちを描いたものだったので、
印象的だった。
ドイツの寄宿制の女学校に一人の少女が転校してくる。
寄宿生の憧れの的の美しい女の先生。
母を失ったばかりの主人公もその人に憧れ、あるときその愛を皆の前で公言してしまう。
そのためにその女教師は叱責され、学校を去らねばならなくなる。
それを悲しみ責任を感じた少女は、学内で飛び降り自殺を図ろうとする…そんな筋立て。

その時主役のその少女を演じたのがロミー・シュナイダーである。
額の広い、少女ながら知的なその独特の風貌に私は魅かれた。
そのあとも劇場で洋画を見るという機会は、ほとんどなかったが、
『スクリーン』などの映画雑誌はよく見て、たくさんの女優さん男優さんの
顔と名と出演作を記憶した。

ロミー・シュナイダーは歳を重ねるごとに、その知的な美しさに
磨きがかかっていき、また本来の可愛らしさが貴族的な風貌や仕草の陰から
時折覗いて、私は大好きな女優さんだった。

先日、彼女が少しだけカメオ出演している映画を見、
また、『ボッカチオ’70』という、1963年公開のオムニバス映画に
彼女が出ているDVDを借りてきて見た。
やはり可愛らしく、しかも、他の女優さんにない、どこか貴族的で、
どこかはかなげな美しさが見られて、やっぱりロミー・シュナイダーは
好きだなあと、あらためて思った。

若い皆さんはまったくその名もご存じないだろうな。
その個人としての生涯は悲しい。
が、ここでは語らずにおこう。


彼女の不思議な目の色と、その輝き。
頬や顎の独特な感じ、そしてその唇のカーヴの絶妙の優しさ美しさ。
少女のようにも、王女のようにも、娼婦のようにも、そうして、この上なく
気品のある大人の女性としても… どの顔も魅力的なひとだった。


今晩も曲をお送りします。
ロミー・シュナイダーとは直接関係ないけれど、彼女はオーストリア、ウイーン生まれ。
フランス人を愛し、ナチを糾弾する映画に出続けた。
そのためもあってドイツと微妙な関係にあった彼女。一種の祖国喪失者でもあった。
イタリア映画にも出ている。

ドイツ、フランス、イタリア…ということで、イタリア生まれのイタリア・スペイン混血の
女性歌手による『ILove Paris』のドイツ語での歌唱をお送りする。
『ILove Paris』はもともと、アメリカのコール・ポーターによる
ミュージカル『Can Can』のテーマ曲で…ああ、ややこしい。
ロミー・シュナイダーもそうだが、ヨーロッパの人の国籍って…
とにかくお聴きください。
私はドイツ語の響きが好きで、この歌もドイツ語の歌唱がとってもかっこよく聞こえるのだが。
歌手は私などにはとても懐かしい、何ケ国語も操る実力派カテリーナ・バレンテ。
 

この歌を、佳人ロミー・シュナイダーに捧げよう…

http://www.youtube.com/watch?v=kjRV7bcL0MU
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

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