『学問は権力の下僕ではない…京大有志の声明』

学問は権力の下僕ではない…京大有志の声明、共感広がる
                  朝日新聞2015年7月18日22時20分     増谷文生

                             


 衆院を通過し、審議が参院に移ることになった安全保障関連法案。憲法学者らから「法案は違憲」
との指摘を受けながら成立へ突き進む安倍政権に対し、一風変わったメッセージで待ったを
かけようとする動きがある。インターネットや口コミを通じ、賛同者がじわり広がっている。

 安保法案の採決が衆院特別委員会で強行された15日の前夜、京都大吉田キャンパス
(京都市)の教室で、詩のような声明書が読み上げられた。
 京都大人文科学研究所で准教授を務める藤原辰史(たつし)さん(38)が、ゆっくりと読んでいく。
学者、研究者、市民合わせて賛同者が3万人を超えた「安全保障関連法案に反対する学者の会」
と学生たちによる緊急シンポジウムの場。約600人の参加者でぎゅうぎゅう詰めになり、
熱気が漂う教室が静寂に包まれる。

 太平洋戦争が終わってから70年。沖縄の人たちは今も米軍基地と向き合う。
集団的自衛権を使い、自衛隊が海外で武力を行使することを認める安保法案は
様々な危険性をはらむ。
 戦後70年間、憲法9条のもとで戦争を放棄してきた日本。声明書は、こうした姿勢を
変えて米国との関係を強化したうえでの「積極的平和主義」を推し進めようとする安倍政権に
疑問を投げかける。そして、太平洋戦争で大学が戦争に協力したことへの反省も込め、決意を示す。

 藤原さんが1分半ほどかけて読み終えると、教室内に拍手が10秒ほど続いた。

   ■ □ ■

 声明書を作ったのは、今月2日に立ち上がった「自由と平和のための京大有志の会」。
ふだんは戦時中の食べ物の歴史を研究する傍ら、安保法案などについて同僚や学生と
議論している藤原さんが草稿を書いた。

 ホームページ(http://www.kyotounivfreedom.com/)に声明書を載せると、ツイッターなどを
通じネット空間に拡散。「歴史をふまえた名文」「ハートを撃ち抜かれました」といった書き込み
とともに賛同する人も増え、フェイスブックで賛意を示す「いいね!」は1万9千件に達した。
北海道や静岡などの集会で声明書を読んだという連絡も寄せられ、藤原さんは「勇気づけられます」
と話す。

 教員や留学生には翻訳を買って出る人も。英語、中国語、韓国語、ポーランド語、イタリア語、
アラビア語などの声明書ができ、ホームページに載っている。藤原さんは「学者、学生、市民が
自由に発想し、議論ができる勉強会を企画していく。市民の目線で戦争の愚かさ、平和や自由の
大切さについて考え、その成果を発信していきたい」と話している。(増谷文生)
   


                      ◇

■「自由と平和のための京大有志の会」の声明書(全文)


戦争は、防衛を名目に始まる。

戦争は、兵器産業に富をもたらす。

戦争は、すぐに制御が効かなくなる。


戦争は、始めるよりも終えるほうが難しい。

戦争は、兵士だけでなく、老人や子どもにも災いをもたらす。

戦争は、人々の四肢だけでなく、心の中にも深い傷を負わせる。


精神は、操作の対象物ではない。

生命は、誰かの持ち駒ではない。


海は、基地に押しつぶされてはならない。

空は、戦闘機の爆音に消されてはならない。


血を流すことを貢献と考える普通の国よりは、

知を生み出すことを誇る特殊な国に生きたい。


学問は、戦争の武器ではない。

学問は、商売の道具ではない。

学問は、権力の下僕ではない。


生きる場所と考える自由を守り、創るために、

私たちはまず、思い上がった権力にくさびを打ちこまなくてはならない。







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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

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