『どくだみ荘日乗』
どくだみ荘にどくだみの白い花が咲いた。
どくだみ荘を都の片隅に開いてから、…8か月。
まだ一年たたないんだな。
随分いろいろなことがあって、長かった気がするけれども。
どくだみの葉や茎の香りはみなさんご存知でいらっしゃるかな。
それはもう、青臭い、人によってはウッ!と顔をそむけるかもしれない香りである。
普通、日本人のイメージでは、どくだみは、夏が来る前の庭の隅などにひっそり生えていて
手折ったり踏みつけたりすると臭い香りが辺り一面に漂い、手についた臭いも
こすったくらいでは抜けないので、これを嫌う人の方が多いのではないだろうか。
カメムシや、へクソカズラの臭いが嫌われるのと同じように。
でも、この香りを好む人もいる。私もこの青臭いにおいが好きである。
梅雨入り前のこの季節もいいし。
だから、自分のブログのタイトルにもしたくらいだ。
どくだみはフランスでは高級香料として、香水にも使われているんですよ、
と教えてくださった方がいらした。
と、ある本で、『どくだみの香りはアルデヒド』という記述に巡り合った。
アルデヒドC-12は、シャネルの5番にも使われているという。
そこで早速、シャネルNo.5を試しに嗅いでみたが、ピンとこない。
他の香料もたくさん入っているので、どくだみの香りをそこから嗅ぎ分けられない。
どくだみの香料は高級で、特に揮発性が強いというから、素人の私などが
嗅ぎ分けられるものでもないのだろう。
香料としてのどくだみが他の香料と調合されて製品化されて出てきたものと、
庭でどくだみそのものを踏みつけたり手折ったりしたときに立ち昇る、あの独特な清冽な香気。
それが違っていて当たり前だ。
どくだみそのものの香りのイメージを持つ香水をいつか見つけたい、とは思うが、
おそらくそれは『幻の香水』として、見つからぬままになるのだろうな。
どくだみの白い花。
葉っぱや茎の香りはご存知の方はいらしても、花そのものの香りはあまり知らない方が
多いのではないだろうか。今、街の路地のあちこちにこの花がみられるでしょう。
興味をもたれた方は、一輪手折ってみてください。
葉っぱとはまた違った、ひそやかでつつましい香りがする。
花びらに見えるのは苞。黄色いおしべに見えるところが花。
苞は、こういった少し肉質の白い花によくあるような、香気がする。
そこに、かすかな花粉の香りが加わる。
花粉の香りってご存知?これもいちど嗅いだら覚えてしまえる香りである。
秋になって黄色い小菊で、おしべのたくさん集まって盛り上がった種類のがあったら
嗅いでみてくださいね。淡い幼い日の記憶を想いおこさせるような香り。
白い花と言えば、我が家の周囲を満たしているのは、どくだみの香りではなく、
庭のフェンスに這わせてあるテイカカズラの香りである。
どくだみは触れられれば強く香るが、なにもしなければつつましくそこにいるだけ(笑)。
これがテイカカズラ。我が家の庭に合うのか、随分広がって大きくなった。
これはもう素晴らしい香りである。白い花特有の、気品のある甘い香り。
朝起きて窓を開け放つと、その香りが家の中になだれ込んでくる。
外出をして家の近くまで戻ってくると、あたり一帯いにいい香り。
我が家の裏庭から漂ってくるのである。
どくだみ荘・・・。
これを書いているたった今、ウグイスがどこかで鳴いている。
昨夜もホトトギスは鳴いていた。
静かに、時だけが流れていく・・・
私はあることを始めることにする。一日に決めた時間を取って勉強する。
何をするかは内緒。少し形になってきたらお話しします。
いくつになっても夢は持たなくっちゃね。
こころを干からびさせてはいけないわね。
どくだみ荘を開いて一周年、というころまでには少し形にしていたいな。