『流星群の夜 2015』

深夜零時 。
パソコンに向かってブログのコメントを書いていると、自室から出てきた夫が、
『あれ?こんばんは流星見に行かないの?』と、笑いながら訊ねる。
オリオン座流星群。
もちろん行きます。これから身支度して出るところです。^^

いつもはタイトスカートの生足だけど、温かい素材のジーンズを履いて、
上は、はや取り出しておいたダウンパーカーを羽織って、毛糸の帽子をかぶって、
熱いお茶を詰めた小さな魔法瓶持って、『A川くん』と名付けた折り畳み式の
ディレクターズ・チェアを小脇に抱えて、さあ、出かけます…

深夜零時の川べりでは、まだ、秋の虫の生き残りが、りーりーり…と、
近くの木立で心細げに鳴いている…
空には上弦の月。
さすがにこの時間では、犬を散歩させる人影もなく、夜の川べりはさみしい。
だが、上の土手の道には街灯が規則的に立って、まるで芝居の画き割のように
道を照らしていて、夜の川原といえども辺りはうっすら明るいのである。
だがまあ、仕方がない。月の光や街頭の灯りが目に入らぬよう、
犬が寝る前に、自分の寝床の上でぐるぐるまわりをして寝位置を決めるように、
チェアの置き場をいろいろ角度試して、最終的にここと決める。

…ああ……
夜と言えど、いろんな音が聞こえてくるものだな…
か細い虫の音。
下を流れる浅い川の水の、小さな滝つぼに落ちる音…
そして、幹線道路じゃ、今、道路のバリアフリー夜間工事の、アスファルト打ちの
転圧機の音が、ダダダダと、高台にある団地群の壁にこだまして返ってくる…。

ああ…見えないな。
小さな短いかけらさえ見えない…
でも、いいんだ。こうして夜外に出て、空を見上げるのは久しぶりだ。
今年も昨年も、一昨年も、…8月のペルセウス座流星群は雨や曇りで見られなかったから。
オリオン座や獅子座の流星群の日は、どうしていたんだっけ…
しょぼんとして、空を見上げる元気もなかったな。
あんなにいつも空を見上げる人間だったのにな。

あたしは、年々、老眼…じゃなくて、近眼の度が進んでいるようで、眼鏡をかけて
いても、あまり遠くが見えない。オリオン座はどこ?
そのうち、オリオン座までが見えなくなるのだろうか…眼鏡買い換えなくっちゃな。

ブログを始めた頃…あたしはもっと情感が艶やかだった…
それを変えてしまったのは、3.11だ。
自然の力のものすごさと、人間の愚かさに絶望してしまったんだ…
あの、次々飲みこま・・・・家々… 次々に崩壊していく原発建屋……
あの悲劇を経験して、それでなお、この社会と人間の性根が少しもよくならないって
一体、どゆこと?!

でも、楽しいことだってあった。
直近は、9月の旅だ。私はそこで、一人の老婦人…おばあさんと知り合いになった。
彼女は、山あいの部落に一人暮らし?
今夜の夕食は、彼女が送ってくれたじゃがいもを、彼女の教えてくれた料理法で
揚げ煮にした。甘い地味噌と少々の醤油を香り付けにからめて味付けする素朴な料理。
同じく送ってくれたモロッコインゲンを、やわらかく茹でて、アンチョビと炒め合わせた。
主菜は、さんまの塩焼き。カボスと大根おろし添え。
美味しかったなあ…料理の腕がいいんじゃない、おばあさんの作って送ってくれた
野菜と、そのこころが美味しかったんだ!
なんで、たった一回きりしかあったことないのに、こんなに懐かしい人なんだろう…

ああ…空は深いなあ……
晴れた夜空は、なんて優しいのだろう…
このままここで眠っちゃったら、気持ちいいだろな。
…寒くはない…。

ピ!ピ!と、二回、電子音が、少し離れたいずれかの家からしてきた…
携帯?と思ったけれど、そうか、あれはお風呂のお湯の温度を上げるか下げるか
した音だな、多分。
一家の主人が仕事から帰ってきていまお風呂に入ろうとしているのかな。
それとも主婦がしまい湯をしているか…
『しまい湯』などという言葉もそのうち死語になるのだろう…

上の道路を、空のタクシーが、ゆっくり通り過ぎていった…
私が、夜の川原にいるのに驚いて、ゆっくり確かめて、通り過ぎたのだろう…

そっか。かれこれ一時間…そろそろ引き上げる潮時かな。
夫が心配するだろう…



…結局、この夜は、眠れぬまま。
4時にもう一度完全装備して、再び川原に出た…
そして、一つだけ。いつもの、はっとするほどくっきりしたものではない、細い流星だったが、
北の明け方を待つ空から、南の方角へ消えていく流れ星を見た…




  
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Re: NANTEIさんへ

NANTEIさん、こんにちは。

鉄火女『流れ星のお龍』ですか!そりゃまた、かっこいいなぁ!^^

はいっ!流星群の夜、となるといつだって、そわそわ落ち着きがなくなる
彼岸花です!(笑)

我が家のあたりも、夜、薄明るいですねえ。
川べりの道を街灯が明るく照らしてくれているのはありがたいのですが、
流星群の夜だけは、邪魔。実に自分勝手なもんです。^^

秋の終りのかそけき虫の音は、本当に、いつもに増してもの想いを誘いますね。
私ね、いつもこの時期、『最後の一ぴき』になっちゃった虫くんの気持ち、
想像してみるんですよ。

『…ああ…誰もいなくなっちゃったなぁ…かわいいあの娘も逝ってしまった…
ボクひとりぼっちになっちゃったのかなあ……』

ってね!(笑)

11月、12月…深夜、ひとりで起きていると、『カネタタキ』という、
とても澄んだ声で鳴く虫が、たまに家の中に入ってきていることが、
数年に一度ほど、あります…
『チ!チ!チ!チ!……』と四度ほど鳴いて黙り込む…し~んとして
またしばらくして、同じように鳴く。
一度、どこで鳴いていてどんな姿の虫なんだろう…と、声を頼りに
部屋のあちこちを探してみたことがありました…
天井板に止まっていた…1センチほどもないような、小さな小さな
コオロギのような姿の虫でした。
こんなちいさな体から、あんな大きな澄んだ音が出るか、と思うくらい。
深夜、そうやって灯火の下、本など読んで起きている時の幽けき虫の声は、

『まるでこの世に自分一人と、虫一匹しか居ないような気がして、』

ほんとに、師匠がおっしゃる通りの、何かこう…孤独の交歓、とでも
いうべきかと思うような、静かな心境になりますね……

『強い酒を飲みたくなるのですねえ(*_*; 』

なぬぅ!?そっちへ行くか?(爆)
いや、でも、わかりますよ。あたしも女でなければそういう心境に多分…。^^

『虫時雨四面楚歌めく外厠』

ああ…!
いいですねえ!
なんだか、この歌の扱っている場面の、極めて日本的情調を、
一瞬、漢詩か?と思うような漢字の多い表記で表わしているところが、なんか
いいなあ、って思いました。(また、おナマを!爆)
表記、って大事ですからねぇ…
私は俳句も短歌も出来ないですが、日本に漢字とひらがなカタカナがあって
ほんとによかったなあ、といつも思います。^^

すだく虫の声に閉ざされて四面楚歌、というこの感じ。わかりますよ~~~!
こうやって、師匠によって一つの句のかたちにされてみて初めて、『おお~~~!!!』
と気付かされたものではありますが、この感覚は自分も知っているな、と
思ってしまう…

私の4歳まで住んでいた農家もこんな感じでしたねえ。
母屋からあれはそうだなあ…20メートルほども離れていたでしょうか。庭の端に
ご不浄はあった。小さな独立した建物でね。^^
兄や姉などは、夜この厠へ行くのが怖くて、いつも二人でお互いを起こし合って
一緒に行っていたという。
行きがけも帰りも兄が先に立って、『・・(姉の名)俺が先に行ってやるから付いてこい!』
と、いかにも兄らしく強そうに言うのですが、実は夜の田舎の庭は背中のあたりの方が怖い!(爆)
『あいつは、昔っからそういうこ狡い知恵が働くやつだったね』と、後年、姉は語っていた(笑)。

あら。せっかくの情趣ある句に、余計な感想を。(爆)

いや~。ほんと。
夜の闇の濃さとか、そういうものを、町に住む今のひとは、知る機会が少なく
なっているでしょうね。
本当の闇って、おそらく、この御句が示すような…、ひたひたと迫るような
言わば、『圧力』を持った闇ですからね。

それで思い出すのですが、先日の旅。
山あいの、大きな建物に泊ったのですが、夜に居るのは、娘とお婿さんと私と
三人だけ。
『ああ、あの時、漆黒の闇というものを、外に出て久しぶりに体験
しときゃよかったなあ!星空もくっきり見えただろうになあ!』と
後になって思ったものですが、その時は、単純に、一人で外に出ていくのが
怖かったんだった!(笑)
だって、疲れ切った娘とお婿さんが早くに寝ちゃって、あたし一人じゃ(笑)。
今になって、もったいないことしたな、と思います。
その、四面楚歌感溢れる漆黒の闇と虫しぐれと、怖いほどの星空を味わう
絶好の機会だったのになあ!^^

すてきなコメント。ありがとうございます!













こんにちは。

流星群と聞くと、なにはさておき飛び出すお方ですか^^
昔「流れ星のお龍」という鉄火女がいたそうな(笑

私の住んでいるところは、中心街の灯りと川鉄など京葉工業地帯の煙突から出る炎、その炎に映えた赤い煙が幾筋も流れて、夜もぼーっと明るい一帯なのです。従ってよほど遠くに行かないと星はおろか、スーパームーンさえもぼんやり。
無粋な町です(^_^;)

かろうじて晩秋の興趣といえば雑草のはびこる庭で鳴く、か細い虫の音ぐらいでしょうか。九月にはあれだけかまびすしかった虫たち。
今はなんという名前かわかりませんが、りん・・りん・・りん・・と、
いつも一匹だけが命を保っているような声しか聞こえません。

テレビと部屋中の灯りを消して耳を澄ましていると、
まるでこの世に自分一人と、虫一匹しか居ないような気がして、
強い酒を飲みたくなるのですねえ(*_*;

そういえば、昔、こんな句を作ったことがあります。
これはまだまだ虫時雨が盛んな時期のものですが・・・

虫時雨四面楚歌めく外厠

子供の頃の記憶です。
そしてその頃の夜空と言えば、星々が手に届くようなところで、
くっきりと瞬いていたような気がします。

今、観測衛星から撮影された夜の地球を見ると、
世界中の大都市からいくつもの鋭い光芒が放たれているのに驚きますね。
と同時に罪悪感のようなものを感じるのはどういうわけでしょう。

人類だけがこのように繁栄していいものだろうか・・・
そして地球の光景すら変えてしまって、いいものだろうか。

そんなことを考えてしまうのです。


Re: スキップさんへ

スキップさん。こんにちは♪

うふふ。多感な女子高生のように、ですか。嬉しいなあ♪

は~い。なんだかね、書きたいことが次から次に出てきて、いつも文が
長くなってしまいます。
つくづく、俳句などには向いていない人間だなあと思ったことがあります。^^
短歌でも、ちと文字数が足りない!(笑)
『ちと』どころじゃないな。5,6千字くらいはたちまち行ってるんじゃないかな(爆)。
一体、平均して、何字くらいの文章書いてるんだろ。
今度数えてみようかな。自分できっとぎょっとするでしょうね。^^

はい。
夏のペルセウス座は、もう3年続きで、流星最大日の前後数日が雨や厚い雲。
久しぶりに、たったひとつですけれど見ることができました。
あ、そう言えば、2年前くらいかな。国会前に行っているとき、人々の
頭上を、大きな綺麗な流星がとぶのを見たことがあったんでした!
殆どの人が、デモの方に集中していたから、気がつかなかったようですが、
私がふと空を見ると、ほんとに綺麗な流れ星が。
普段の日だったんですけれどね。

宇宙を想うと、なんだかせつなくなりますね…
その、ほんと、もう禅問答とか宗教学の領域に入りそうな広大さ、不可思議さ…
そこに、まさに奇跡のようにある美しい星、地球…
そうして…これまた、小さな奇跡のごとく『在る』、自分という存在…

そんなことを、寝転がって空を見上げていると想います。

今日は薄曇りで、それはそれで秋らしい気もしますね。
やがて来る冬を予感させるような、そんな空の色。
こういう日は、静かに過ごすに限ります。
次郎くんと遊び、俳句や川柳をひねる…そういう落ち着いた日々が
幸せな日々なんですよね。^^

私は、今日は、『次郎くん』ならぬ『つれあい』の付き添いで^^病院に行き、
夕方は、9条の会のビラ配りの手伝いに行ってきます。

ありがとうございま~す。


No title

 彼岸花さん、情感、感性は一つも衰えていませんよ。多感な女子高生のようです。次から次と、思いつく、浮かぶ感性をお持ちゆえに、文が長くなるんですね。今回ぐらいの長さであれば、私のような気が短い者でも読みこなせます。最後の最後に流星に出会えてよかったですね。
 宇宙の不思議は人間の不思議を越える人間存在の根源的な関心を抱かせますね。宇宙は広がっているというが、その広がる前の反対側はなんなんだ。学者によると無だそうです。禅僧のようなことをおっしゃいます。宇宙は一つではなくたくさんあるという説も出ているそうですね。宇宙の終わりが実は始まりであるという説もあります。これも禅問答のようですね。これからの研究が楽しみです。
 と壮大な話から現実に帰って、これから、昨日書いた新聞投稿文を読み直して、納得できたら、送信します。そうして、次郎君お散歩、俳句、川柳を作り、昼食でしょうか。こんな日々が愛おしいのです。それではまた。
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/pekai/signup.html
国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/donate/?grid=header02
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