『参院選に向けて⑧ 消費税と軽減税率その2』


前頁のグラフをもう一度載せる。


グラフ①『付加価値税率(標準税率及び食料品に対する適用税率)の国際比較』
消費税と軽減税率 各国比較 2015年
(備考)
1.日本の消費税率8%のうち、1.7%相当は地方消費税(地方税)である。
2.カナダにおいては、連邦の財貨・サービス税(付加価値税)の他に、ほとんどの州で州の付加価値税等が課される(例:オンタリオ州 8%)。
3.アメリカは、州、郡、市により小売売上税が課されている(例:ニューヨーク州及びニューヨーク市の合計 8.875%)。


これは財務省ホームページからお借りした。https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/102.htm



さて。単純にこの棒グラフの数値だけを見ていては、その国の実態が見えないとは
どういうことか。
消費税増税を推進あるいは仕方なし、とする者は、よく、『日本の消費税は、欧米諸国に
比べてかなり安い』
と言う。まだまだ国民の苦しみ方が足りない、とでも言うようだ。
だが、本当にそうなのだろうか?


1.日本の消費税は本当にそんなに安いのか?


国民の消費税の負担の軽重を見るときに、税率だけを見ていてはその実態は
わからない、とはこういうことだ。


グラフ②『所得・消費・資産等の税収構成比の国際比較(国税+地方税)』

所得・消費・資産等の税収構成比の国際比較(国税+地方税)

1.日本は平成24年度(2012年度)実績、諸外国は、OECD "Revenue Statistics 1965-2013"及び同 "National Accounts"による。
なお、日本の平成27年度(2015年度)予算における税収構成比は、個人所得課税:30.2%、法人所得課税:21.1%、消費課税:34.7%、
資産課税等:14.0%となっている。

財務省ホームページからお借りしました。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/016.htm


グラフ①で、日本の消費税率は、諸外国とりわけ西側先進諸国に比べて低い、ということを
言った。
だが、上のグラフ②を見てみよう。これは、各国の総税収に対する消費税、所得税等の
税収の割合を示すグラフである。財務省の資料である。
これを見ると、日本における国家の税収に占める消費税による収入分は、30.7%。
このグラフは、平成24年(2012年)、消費税が5%だった時の比較グラフである。
下に小さく備考がついているが、8%に上がった平成27年時点では、この数値が34,7%
になった、と書いてある。17年に10%に上がれば、国の税収に占める消費税税収は、
当然もっと比率が高くなるであろう。

え?税率5%(うち国税分は4%)なのに消費税による税収は、30.7%?
30.7%なら、スウェーデン、フランスなどと比べてさほど少なくないじゃないか。
グラフ①で見るほどの、先進諸国に比べての差はない。
税率は5%だが、税収は30.7%。この違いは、どこから来るのか。
これはつまり、日本の消費税の対象項目が先進諸国と比べ多く、しかも食品など
生活必需品にも等しく税率がかかっているからだ。
すなわち、
日本は、税率が低いが、薄く広く消費税を徴収しているということだ。
日本の消費税による税負担は、今でも結構大きいのだということがわかる。
17年、消費税が10%になると、消費税収が国の収入に占める割合はさらに増え、
仮に外食を除く食料品だけが8%に据え置かれたとて、庶民の痛税感は和らぎはしまい。
食品だって8%はかかるのだから。それなら今の税率とかわらない。
同じ10%でも、食料品は0%、というオーストラリアや韓国に比べれば、
その負担感は仮に食品が8%に据えおかれたとて大きいであろう。

全然『軽減』なんかじゃない!




下の表は字が細かくて申しわけないが、これも財務省の資料である。
主要国の消費税の、なにに課税され、何は免除され、何は軽減されているかの一覧表。
2015年1月現在の資料である。


グラフ③『主要国の付加価値税の概要』

主要国の付加価値税の概要
財務省ホームページからお借りしました。http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/108.htm


●例えば、課税されないもの(非課税)の項目を見て行くと、『土地の譲渡・賃貸、
住宅の賃貸、金融・保険、医療、教育、福祉等』と、日本も諸外国もほぼ同じような
項目が並んでいるが、フランス、ドイツでは郵便も課税されない。

●ゼロ税率、すなわちまったく課税されない項目は、日本ではご承知の通り、上記以外ないが、
イギリスでは消費税は20%と日本より高いが、食料品、水道水、新聞、雑誌・書籍、
国内旅客輸送、医薬品、居住用建物の建築、障害者用機器等、は消費税ゼロ
である。

フランスでは、消費税20%で、ゼロ税率もないが、食料品は5.5%で日本より安く、
書籍も5.5%、新聞、雑誌、医薬品はなんと2.1%である!(このあたり、知を重んじる
フランスの価値観が出ているなぁ…)
社会福祉を雇用・出産・育児など、若者や子どもを対象とする分野に大きく広げている
子ども手当も、子どもが増えるほど手厚くなる。子どもが多いと、国鉄でも動物園・美術館でも割引。
新学期手当て(新学期ごとに給付される手当金で、学用品など新学期に発生する費用を
補償する
)も給付される。
未婚の母も含めて、さまざまな形で出産・子育ての支援態勢が整えられている。
出生率が2.1まで上がっている。
”認定保育ママ”といって子育てを終えた主婦が登録し、働く女性の子どもを預かる制度をはじめ、
働きながら子育てする女性を社会全体で支えるシステムが非常に充実している』
青文字部分は、こちらのサイトからの引用。http://itmama.jp/2014/03/05/56428/

おっと!いいグラフが見つかった。これを見れば、日本とフランスの子育て支援の
手厚さの違いが一目瞭然だ。
なんと、『内閣府』製作だ。内閣府、いい仕事してるじゃないですか。
こんないいデータを生かすも生かさないも政治家の力量と仕事だ。

グラフ④『日本・フランスにみる家族給付(年額)の比較
(第1子誕生、2年後第2子誕生のケース)』

日本・フランスにみる家族給付(年額)の比較
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2005/17webhonpen/html/h1420500.html



残念。10年前の17年度版『少子化社会白書』だった!
最新版22年度版を見たが、こういうわかりやすいグラフはなかった。
しかし、10年前に、日本フランスでこれだけ違いが象徴的にあるということは、結局
現在の日仏間の出生率の違いに表れているのではなかろうか。
2014年時点の日本の出生率1.42。フランスは1.99。先進国中最も高い。

これはただ、金銭的支援の数値の差、だけではないと思う。これだけ子供と母親に手厚い
ということは、思想そのものが根本から違うのではなかろうか。消費税が書籍は5.5%、
新聞、雑誌、医薬品はなんと2.1%、などと低いことなども含め、何やら、国の、
政治に対する理想と言うか、文化そのものがどこか違うような気がして仕方がない。


●世界で住みやすい国、高福祉の国の常に上位にいるスウェーデンは…。
消費税なんと25%で、ゼロ税率は、病院で処方してもらう医薬品のみが対象。
軽減も、食糧品、外食サービス、宿泊施設の利用は、12%で、日本より高い。
だが、新聞、書籍、雑誌、スポーツ観戦、映画、旅客輸送は6%と、17年度からの日本より安い。
(ああ!隣の芝生は青い、だが、この項目にも、スウェーデンの、『文化芸術』を尊重するという考え方が
表れているなぁ!)
でも、これだけ見る限りでは、スウェーデンは、日本より痛税感が大きそうだ。それなのに
なぜ、スウェーデンは、住みやすい国と言われ続けるのか?
…答えは皆さん、とっくにご承知でいられるだろう。
『スウェーデンは、消費税が高い代わりに、社会保障が充実しているのである。
スウェーデンは医療費が19歳未満は無料。また、自己負担上限額が設定されており、
例えば入院した場合には1日あたり80クローネ(日本円で約1,280円/1クローネ16円で換算)、
薬などの薬剤費は年間で1,800クローネ(日本円で約28,800円/1クローネ16円で換算)。
さらに教育費も大学院まで無料となっており、給食費もかからない』

青文字部分は、こちらのサイトなどからの引用。
http://suzie-news.jp/archives/6314

                   ***

上記、フランスやスウェーデンの例に見るように、その国の税制を見るときに、ただ税率が
高いか低いか、国の収入に対するその割合が大きいか小さいか、だけを見ては、
その国の民の暮らしは推し量れない。どのくらい納めた税金が社会福祉や社会サービスとなって
再び国民の生活を潤すか、という『還元度』が問題となってくるのだ。


グラフ⑤『主要国の国民負担率と還元率』(参考)
 下記サイトさんからお借りしたのだが、残念ながら、年度、計算法などの詳細がない。
したがって、『参考』という扱いにしていただく。
http://rh-guide.com/tokusyu/syohizei_uso3.html

国名日本アメリカイギリスドイツフランススウェーデン
国民負担率39.5%34.9%48.3%52.4%61.2%64.8%
還元率24.0%17.1%28.1%38.8%38.8%41.5%
還元/負担60.8%49.0%58.2%74.0%63.4%64.0%







『国民負担率』とは、国民が納める『税金+社会保険料(年金や健康保険や失業保険など)』
の国民所得に対する比率のことである。この国民負担率に関しては、財務省のデータが
公開されているのだが、その計算方法について、ここには国民が税金で分担している
国の借金の分が計算に入っていない。意図的に日本の国民負担率が低く見えるように
計算されているのではないかという批判があるようだ。
だから、これも参考までに。URLを一応載せておく。
https://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/basic_data/201502/sy2702o.pdf
これ(2012年度資料)によれば、日本の国民負担率は27位、40.5%。
1位のルクセンブルグは94.1%、2位のデンマークは67.8%である!

大事なことは、国民負担率というこの数字、国民が納める税金や社会保険料の合計比率が
国民の感じる負担感そのままの数値ではない、ということである。
国民が、ようするに国からどれほど実際に社会保障の恩恵を受けているか、という
『還元率』が問題になってくるのである。

具体的に例を挙げて行った方がいいだろう。

例えば、デンマークはグラフ①で、消費税が25%で、何と食料品にかかる税率も25%
と書いた。なんと高いのだろう!財務省発表国民負担率でもデンマークは2位の67.8%である。
これだけ見れば、デンマークはとんでもない高負担の国だ。
だが。
2008年デンマーク統計局資料によれば、デンマークの税金は国民のために次のように
使われているという。

 ①、国民年金、休業手当、教育援助金、住宅援助金、等 42.6%
 ②、保健、医療費                         14.1%
 ③、教育費                             14.9%
 ④、文化、余暇、環境関係費                   4.1%

 ⑤、行政管理費                          12.4%
 ⑥、警察、防衛費                          4.9%
 ⑦、道路、交通、運輸費                      3.5%
 ⑧、企業促進関係費                        3.5%
 ①~④は直接国民生活に還元される。合計75.7%が国民還元率という事になります。
 (「世界一幸福な国デンマークの暮らし方」PHP新書=千葉忠夫著から)
http://blogs.yahoo.co.jp/kopen349/5242869.html

青文字部分は、上記サイトから得た情報だが、同じく上記サイトによれば、
『①、総選挙後の減税に反対 64% ②、減税に賛成 23%
 これは昨年(2011年。彼岸花補足)秋のデンマーク総選挙前, 6月のギャラップ調査です。』

はああああ~ッ??
『減税に反対 64%、減税に賛成 23%??』
日本でこんな数字考えられるだろうか?
つまり、デンマーク国民は、国による税の使われ方に満足しているということである。
また、これは結局、国民が政府を信用している、ということではないだろうか?


他の消費税率の高い先進国を見て行こう。以下。こちらのサイトから引用させていただいた。
http://suzie-news.jp/archives/6314
●アイスランド。消費税25.5%。日本と同じく火山国。電力は地熱でまかなわれている。
大学までの学費が無料。シングルマザー、障がい者、高齢者に対して手厚い補助。
●ノルウェー。消費税25%。出産費用、大学までの学費はほぼ無料。
●フィンランド。消費税24%。ただし食料品の税率は14%。医療費、学費は無料。
本、薬などは10%。嗜好品のアルコールは29.9%で、タバコに至っては81.3%。
学力世界一を誇るフィンランドは、少人数制のクラスでしかも受験戦争も学校間格差もない
手厚い教育を受けられる。

ここで挙げた例は、聞き書きに過ぎない。これらの国々も年年事情は変わって行くのであろうし、
国民がこれで皆満足と言うこともありえないだろう。
また、日本とこれらの国々のそもそも抱える条件も違う。
私は、これら主に北欧諸国のモデルに従え、と言っているわけではない。

だが。消費税のありようについては、もっと、私たち国民自身が、真剣に考えてみる
必要はあるのではないだろうか。
税金が上がる、と言うと、とにかく何が何でも反対する…
でも、いったん決まってしまうと、急激に関心は薄れて、自分たちの納めた税金が
どう使われようともうあまり関心がない…
政治を原則信じることが出来ない…(これは国民の罪ばかりではない。悲しいことだが)
政治家も国民も、自分たちの利益、自分たちの世代のことばかり考えていては
いけないのではないかと思う。

さてと…。そう消費税のことばかりは書いていられない。
あと一つ、まとめの記事を書いたら、次に進もう…
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Re:えめる。さんへ

えめるちゃあん!…という雰囲気じゃないかな、この記事は(笑)。
えめる。さん。こんばんは~♪

> 日本の政治は、国民をないがしろにしすぎているね

ほんと、ほんと!そうですよねっ!?
あのね。子供が小学校や中学校に上がるのに、ランドセルや制服やカバンや
さまざまな学用品をそろえるのが、一人親家庭にとっては、大変な経済的
困難、って記事、ついこの間見たのよ。無論この日本のことです。
今、シーズン的に、ランドセルとかピッカピカのデスクセットとかの
コマーシャル多いでしょ。それ見ながら、『ランドセル、3万も4万円も
するのかあ…一体、学用品全部そろえるのにいくらかかるんだろう!』って
心配になる。中学生高校生だって、制服(夏・冬・合い服)、かばん、靴、運動着、
スポーツバッグ…そろえるのきっと大変ですよね…。

ところが、記事にもしたけれど、フランスの子供に対する支援の手厚さ!
…なんか涙が出てきそうですよ。新学期の学用品支援もちゃんとある…

ね~…よその国が何でもかんでもいいというわけじゃないけれど、こういう差も
ちょっと知っておいてもいいかもですね。
私も、記事書きながらいろいろ学んでいます…
これはもう、安倍内閣がどうの野党がどうの、という問題じゃないなあ…

えめる。さん、コメントありがとう~~~♪
あたしあんまりこのごろ、のんびり『おひとり様』してない!(笑)

No title

日本人がどこまでもお人好しで搾取の対象として優秀なのは(皮肉)
日本人気質とは違うと思います
我慢強いというのとも違う
じゃあなんだっていうと、無知……
外国で危険なニュース事あるごとに、日本は平和でいい国だっていう声がでるのだけど
それを聞くたびに、なーんか絶対にそれ違うって気がしてならなかったけど
こうしてわかりやすくハッキリと説明してくださって
納得できました
日本の政治は、国民をないがしろにしすぎているね
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/pekai/signup.html
国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/donate/?grid=header02
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