『参院選に向けて⑨ 消費税と軽減税率その3』


Ⅰ.消費税の特徴

消費税は。
赤ちゃんからお年寄りまで対象が広く、しかも否応なしに徴収できる。
法人税や所得税に比べて景気によって大きく上がり下がりするということが比較的
少なく、したがって安定した財源である。

だからこそ今では147カ国という多くの国で取り入れられているのだろう。

が、消費税にはデメリットはないのだろうか。
ある。それは、何より、低所得の者ほど負担が大きいというその逆進性である。
一つの例。もうすぐ新学年である。子供にランドセルを買ってやらねばならないという
家庭は多いだろう。おじいちゃんおばあちゃんなどからお祝い金をもらえる家庭はいい。
でも例えば、生活保護も受けていないで頑張って、仮に高めに見積もって900円の時給で
フルに働いたとして15万円そこそこの月収(年収180万)でぎりぎりの生活をしている
母子家庭などの親が、子供に3万円のランドセルを仮に買ってそれが32,400円になる場合と、
年収1,500万円もあるような家庭が5万円のランドセルを買って34,000円払う場合と、
どっちが生活に与える影響が大きいか。
考えるまでもないだろう。
自治体によっては2、3万円くらいの入学準備補助金が出るところもあるかもしれないが、
ランドセル一つ買ったら、なくなってしまう。その他に、体操着、上履き、リコーダー、…
最低限買い整えてやらねばならないものは、次から次に出てくるだろう…

そのように、消費税というものは、生活の豊かな者にはさほど税としての負担感がなく、
生活の苦しい者ほど負担を大きく感じるというのが一番の問題である。

消費税が増税されると、景気に響く、などということもそのデメリットとして挙げられることが多いが、
それは何も消費税でなくとも、法人税だって所得税だって税率が上がれば景気に響くという点では
同じだから、消費税だけの特徴とも言えないだろう。
消費税のデメリットは、一にその逆進性、逆累進性であると言えるだろう。


さて。この国には圧倒的かつ深刻な財源不足問題が大きく言って2つある。

●日本の少子高齢化は待ったなし。現役世代の減少と老齢人口の有無を言わせぬ増加
による社会保障費の不足は、これまた待ったなしである。
●日本の国の借金は、累積1000兆円を超えている。これを現在の世代が自らの
暮らしのために先送り先送りを続けていいのか?


グラフ①『平成27年度一般会計予算』(財務省ホームページより)

27年度 歳入
日本ではすでに、国の収入の一番比率が大きいものが消費税、となっている。
この円グラフでは、公債という借金も収入のうちに加えているから、17.8%だが、
それを除いた純粋の収入に占める割合は、31%だ。)





Ⅱ.社会保障費と借金返済の財源をどこに求めるか。

これには大きく言って3つの選択肢があると思う。そのそれぞれに選択肢がある。
皆さんに一緒に考えてもらいたいのは、これらの部分である。

選択肢1.今まで通り、消費税をメインに考える。
  ①消費税は、増税しない歳出削減で現状維持または財源を生み出す。
  ②消費税を小幅に上げて、軽減税率を適用する。
  ③消費税を20%以上などに大幅に上げて、社会福祉や社会サービスを手厚くする。
   軽減税率も適用北欧モデル
選択肢2.消費税の比率を減らして、別のもの(たとえば法人税など)を増税する。
  ①法人税 ②所得税 ③相続税 ④以上の組み合わせ ⑤新設税
選択肢3.消費税以外の全く新しい方法を探る



これらのいくつかについて、可能性を少し考えてみよう。
選択肢1.①消費税は増税しない。歳出削減で現状維持または財源を生み出す。

この歳出削減の一例は、民主党政権のときに、いわゆる『事業仕分け』の名で
『行政刷新会議』がやってみた方法である。
国民への透明性を確保しながら、予算執行の現場の実態を踏まえて、
そもそも事業が必要か否かを判断し、財源の捻出を図るとともに、政策、制度、組織等について
今後の課題を摘出しようとした。

結果は、当初目標としていた3兆円には届かず、1.7兆円が見直し・国庫返済との判定になった。
これは、仕分けの対象となった側からの批判も当然多く、また官僚の抵抗などもあって(?)、
成功したとは言いかねる試みであったが、私は実は高く評価している。

この日本の政治機構には膨大な無駄がある。そして多くの事業が不透明なまま、
慣習的に継続されていたりする。そういった政治機構の暗闇にメスを入れたことは、大変な
果敢な試みであったと思うのである。例えば、
独立行政法人及び公益法人が行う事業が、本来法人が有する専門性、機動性等のメリットを
活かしきれずに、非効率・不要な事業の温存等の問題を抱えている
こと』
『特別会計を仕分ける。特別会計の18会計、51勘定のゼロベースと呼ぶ根本的な見直し、
積立金の規模、資産の処分や活用、事業主体の変更可否、特別会計制度の見直し
など』
従来の予算に大きな問題があることが明らかにされた。とりわけ、政策、事業等の目的、必要性に
重点が置かれ、実施手段についての検証が十分ではない
ことが判明した」と総括』
『今回仕分けでは対象となってない事業についても、重複排除、補助金交付の効率化、
モデル事業、広報・パンフレット・イベント等、IT調達、公益法人及び独立行政法人等の
基金の見直し、独立行政法人・公益法人向け支出の見直し、特別会計の事業の見直し、
という8項目の横断的見直しの基準で、各省庁において見直す
とした』
ことなど。
(青文字部分Wikipediaより引用)

民主党政権の失敗と共に、彼らがやったこの政治機構の見直しも、スパコンがどうの、
JAXAの仕分けはどうだったのと、個別の問題があげつらわれて、この壮大な試み自体が
笑いものにされた感があるが、私はこの試みが継続完遂されなかったことをとてもとても残念に思う。
これがもし仮に今も続けられていたならば、壮大な無駄があぶり出され、巨大なお金が
国庫に戻っていたろう
と思うのだ。
また、行政刷新会議では、事業仕分け後、『予算編成過程の公開の重要性を再確認した』と
報告したが、私はこの試みが第一に国民への『透明性』『公開性』を重要視したことを、
何よりも本当に画期的なことだったと今も思うのである。
自民党安倍政権になって、せっかくのその政治の透明性、公開性は、また再び
なくなってしまった……

共産党の主張も、この選択肢1の①とほぼ同じと言っていいだろう。
ただし彼らが訴えているのは、『消費税そのものの廃止』だから、選択肢3.とも言える。


選択肢1.②消費税を小幅に上げて、軽減税率を適用する。

これが、現在、、政府が取ろうとしている道である。
だが、実際問題として、消費税が8%から10%に上がり、軽減税率が外食を除く食料品に
適用されたとしても、国民が感じる税の軽減感は、一体どれほどの者だろうかと思ってしまう。
オーストラリアや韓国のように、食料品が0%になるというのなら話は別だが、8%ということは
今と同じじゃないか。これでは『軽減』でもなんでもない!
軽減するための財源1兆円もまだ確保されてはいない
まして、本来『社会保障との一体改革』であったはずの消費税が、法人税や所得税の
減税によって相殺
されてしまう
という、その理不尽な仕組みのもとでは
一体何のための庶民の苦しみかわからなくなってしまう!
実は誰も、2017年4月からのこの増税案をやりたい者はいないのではなかろうか…。




選択肢1.③消費税を20%以上などに大幅に上げて、社会福祉や
社会サービスを手厚くする。軽減税率も適用。(北欧モデル)


この選択肢については、前の記事で北欧諸国の例をいくつか挙げて、こういう
こともできるのだとう可能性を提示してみた。
だが、残念なことに、日本でこの北欧モデルを採用するには、大きな障害があると思う。
一つには、既に日本が、巨額の借金を背負っていることである。仮に消費税を30%、いや
40%くらいにでもしない限り、1,000兆円という借金(グラフ①で見ると年に37兆円ずつ
増えて行く!)は返済していけないだろうし、グラフ①の歳出で見る通り、年に23兆円
(歳出の24%!)も国債償還や利払いに充てなければならないのでは、高い消費税に
見合うだけの社会保障や社会サービスを十分に提供できないかもしれない。
それが得られなければ、どうして国民は30%もの消費税を払う気になろうか!
この、巨大な国の負債。これを生んだのはどの党の政権だったろうか。自民党である!!
このことを国民はもう忘れたのか!!!


一つには、また、これも悲しいことだが、私たち国民は、すでに、政府というものを
信じられなくなっている…

日本がこの北欧諸国のように、税金が高負担ではあるが、その代わり高福祉で、
子育てにも、老後にも心配がなく、現役世代も生活を楽しめる…、というような租税制度に
大きく切り替えるには、国も国民も相当の強い覚悟を必要とするだろう。忍耐もだ。
『高い税金を払う代わりに、生活の安定は任せたよ』。
国家と国民の間に、この契約が成立するためには、国民の国への『楽天的な』と言えるほどの
信頼がなければならないだろう。

残念ながら、この日本においては、国民にそうした信頼感を抱かせるような政治家は…政権は…
そう、戦後ずっと、現在も…、ほぼ皆無と言っていいだろう…
(かろうじて、石橋湛山内閣と、あの田中角栄内閣ぐらいか。庶民に親しまれたのは。)
戦争中に至っては、国民は、国家によってあの悲惨を味わったのだから、論外!
いや。『参院選に向けて①』にも書いたように、今の日本人の悲しい政治不信、国家不信は、
あの戦争を経験したことが大きな傷となりしこりとなり澱となって、心の奥底に
『国家なんて信じられるものか!』という、悲しい習性となってこびりつき残ったのだと
私は考えているのだ……





長くなるので、選択肢3.以降は、次の記事で書こう。


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Re:鍵コメさんへ

鍵コメさん。こんばんは~。

情報ありがとうございます。とてもわかりやすい情報でした。
本も読んでみたいなあ。

オーストラリアでも実は炭素税導入してたんですね。労働党ラッド党首の頃。
オーストラリアは原発もないクリーンエネルギーの国だった。
ところが安倍さんとも馬が合ったらしい前首相アボットさんが、炭素税廃止して
あろうことか、石炭中心のエネルギー政策に変えちゃった!
きっと、石炭業界から強い圧力だのあるいは利益関係だのがあったのでしょう…
でも、アボットさんは同じ自由党のターンブルさんに党首を取って代わられて降板。
良かった!。^^ターンブルさんはリベラルだというから。

教えていただいたように、こうやっていくつかの国ではすでに実績があるんですよね。
国の財源問題もそれは大事なことだけれど、地球温暖化も待ったなし。
その両方に貢献するなら、炭素税。真剣に考えてみなければ!、ですね。

この記事で書こうと思っていたんですが、長くなりそう。きちんと取り扱いたいので
別記事で書かせていただきます。

いつもありがとうございます♪



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鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

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