『日本国憲法をなぜ守りたいか その3 みっともない憲法? 』


Q2:日本国憲法って、『みっともない』の? 


安倍首相は、民主党から政権を奪還したばかりの2012年12月、あるネット番組で、
『今後どのようなことを目指すつもりか』という質問を受け、現日本国憲法を「『みっともない
憲法』だから変えたい」と明言している。

その時の書き起こしがあるので載せてみる。
 『あの、日本国憲法の前文にはですね、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
 われらの安全と生存を保持しようと決意した」と書いてあるんですね。つまり、自分たちの
 安全を世界に任せますよと、言っている。
そして、えぇ~「専制と隷従、圧迫と偏狭を
 この地上から永遠に除去しようと務めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」。
 自分たちが専制と隷従、圧迫と偏狭を無くそうと考えているんじゃないのですよ。
 国際社会がそう思っているから、それを褒めてもらおうと、
いじましいんですけどね、
 みっともない憲法ですよ、はっきり言って。これは日本人が作ったんじゃないんですからね。
 こんな憲法を持っている以上ですね、えぇ~外務省も自分たちが発言すると言うのは、
 憲法上、義務づけられていないんだから、それは国際社会に任せるんですからね。
 精神がそうなってしまっているんですね。まぁ、そっから変えていくと言うのが私は大切だと
 思います』



憲法前文はまたあらためて取り上げたいと思っているが、ここではこの安倍総理の
言うところの『みっともない』理由、というものを検討してみよう。安倍氏の言葉から
項目あげしてみる。
1.『自分たちの安全を他国に任せますよ、と言っている
2.『自分たちが専制と隷従、圧迫と偏狭を無くそうと考えているんじゃないのですよ。
 国際社会がそう思っているから、それを褒めてもらおうと、いじましい
3.『これは日本人が作ったんじゃないんですからね』


まず。この発言の中身を分析する前に、首相には憲法を尊重する義務がある
ということを、安倍総理は失念しているらしい。

日本国憲法第99条『天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、
この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。


現日本国憲法には、はっきりとこう謳ってある。
なぜ、このような条項があるのか。それは、先の侵略・戦争のように日本が
天皇の名のもとに権力者たちが暴走し二度と同じ過ちを繰り返すことなどないよう、
天皇自身、そして国政や裁判、その他行政に携わる者たちを戒めるために
ここに明記してあるのである。
そうして、この国の主権は、国民にある。ここに挙げられたような地位および職務
にある者は、そのことを忘れて職権乱用、地位を利用しての越権行為を犯しては
ならないと固く戒めているのである。
そう言った意味で、この条項は、とてもとても重い意味を持つ。

総理大臣も、広義の意味では国務大臣である。その総理大臣が、自国の憲法を
公然と『みっともない』という。これは、憲法尊重義務の違反ではないのか?
この憲法の条項に関し、とても大事なことがあるから示しておくが、それでは、現憲法を
『みっともない』『いじましい』とまで言う、安倍総理の所属する自民党が、2012年に示した
自民党改憲案はどうなのか。比べてみよう。
そこでは、この99条は、以下のように書きかえられている!

第102条(憲法尊重擁護義務)
『1 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
2 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う』


①まず、第二項で、この憲法を尊重し擁護する義務を負う者として現行憲法には
明記されているリストから、『天皇』の名が削除されている

②第二項からは『尊重する』の文言も消えて、ただ『擁護する』という言葉だけになり、
言わば、国会議員等為政者の守るべき義務の要諦が、軽くなってしまっている
③さらには。極めつけはここだ!自民党案では、第一項として、現行憲法には無い
『全て国民は、この憲法を尊重しなければならない』という条項を新たに
入れていることである!
このことを皆さんしっかり認識してください。

今の憲法の三大要素は、『国民主権』『平和主義』『基本的人権の尊重』ということ
である。今の憲法では、国民が主権者であり、その国民を守るために、憲法は
国の政治をつかさどる者、上に立つ者に憲法を守ることを義務付けている
のである。
自民党改憲案では、これを全く理解していないかのように、
国民にも憲法を尊重せよ!と義務付けている
のである!!!しかもこれを
第一項に置くということは、こちらの方が比重がかかっていると解されても仕方ないであろう。

ここだけではない。自民党の改憲案では他にも、国民に『~しなければならない』と
謳っている条項が、数限りなくある。言わば、
自民党憲法案では、『国民主権』の概念が大幅に後退し、
『国民は国のいうことにおとなしく従い、秩序を乱さないようにしなさい』
という、『国家第一』の憲法観、国家観が色濃く滲み出ている。

このこともまたしっかり頭に入れておいてください。


安倍首相が『みっともない』という今の日本国憲法。それと
その安倍氏の所属する自民党の作った改憲案。この二つを比べてみて、
皆さんは、どちらが国の基本理念として優れているとお思いでしょうか?



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『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

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