『日本国憲法をなぜ守りたいか その11 押しつけ憲法?⑥』


Q11: 近衛~佐々木、幣原~松本以外の、日本人による憲法案は無かったの? 

そんなことはない。
いくつか前の記事で書いたように、マッカーサーが近衛に憲法改正案作成を示唆したのが
1945年10月4日。幣原がマッカーサーに首相就任の挨拶に行き、憲法作成のことを
聞いたのが10月11日。それぞれが10月には憲法改正案もしくはその調査を開始
している。新聞なども、GHQの憲法改正指令とこれらの動きを報道している。
そこから、多くの官民両方の団体また個人が、独自に憲法改正案作りに着手したのであった。
後述するが、民間の学者などが集まる憲法研究会が作成した『憲法草案要綱』が
1945年12月26日に発表されているし、近衛、松本らのグループの氏案を試案を含め、
政府関係法曹関係および各政党など、さらには民間の団体及び個人などが
実に以下のごとくたくさん試案を作成したり修正したり意見を発表したりしていたのである。

たとえば以下のリストの冒頭。
マッカーサーが10月に指令を出すその前の9月に既に、内閣法制局、外務省政務局、
また個人としては宮沢俊義らが、ポツダム宣言を受けて憲法改正の要があるかもしれないと
先見し、既に調査検討を始めている
ことである。
だが、これらの動きは、改正の要さえ認識していない政府によって、結局立ち消え
なっている…



憲法改正案一覧(1) 政府等 I
●法制局関連の試案など
 入江俊郎・終戦ト憲法ほか 1945年9月18日~10月23日

●外務省関係
 宮沢俊義・ポツダム宣言ニ基ク憲法、同付属法令改正要点 1945年9月28日
 外務省政務局第一課・自主的即決的施策ノ緊急樹立ニ関スル件 (試案) 1945年10月9日
 田付景一・帝国憲法改正問題試案 1945年10月11日
 [外務省条約局]・憲法改正大綱案 1945年10月11日
 ●その他
 矢部貞治・憲法改正法案(中間報告) 1945年10月3日

憲法改正案一覧(2) 政府等 II
 ●内大臣府
 近衛文麿・帝国憲法ノ改正ニ関シ考査シテ得タル結果ノ要綱 1945年11月22日
 近衛公の憲法改正草案 『毎日新聞』記事 1945年12月21日
 佐々木惣一・帝国憲法改正ノ必要 1945年11月23日
 憲法問題調査委員会
 美濃部達吉・調査会資料 1945年11月14日
 憲法問題調査委員会第一回乃至第四回総会並びに第一回乃至第六回調査会に於て表明せられたる諸意見 1945年12月22日
 入江俊郎・大日本帝国憲法改正試案 1946年1月
 美濃部達吉・美濃部顧問私案 1945年12月22日
 宮沢俊義・大日本帝国憲法改正案 1945年12月22日
 清宮四郎・大日本帝国憲法改正試案 1945年12月22日
 河村又介・大日本帝国憲法改正試案 1946年1月
 小林次郎・大日本帝国憲法改正私案 1945年12月22日
 大池真・帝国憲法改正私案 1945年12月22日
 中村建城・帝国憲法中会計関係規定改正案 1945年12月17日
 古井喜実・憲法改正綱領(未完稿) 1945年12月22日
 奥野健一・憲法第61条改正案 1945年12月22日
 佐藤達夫・憲法改正試草及び追加一 1946年1月3日
 野村淳治・憲法改正に関する意見書 1945年12月26日
 宮沢俊義・甲案 1946年1月4日
 宮沢俊義・乙案 1946年1月4日
 松本烝治・憲法改正私案-原稿 1946年1月4日
 松本烝治・憲法改正私案-謄写版 1946年1月4日
 憲法問題調査委員会・憲法改正要綱(甲案) 1946年1月26日
 憲法問題調査委員会・憲法改正案(乙案) 1946年2月2日
 憲法問題調査委員会試案 『毎日新聞』記事 1946年2月1日
 憲法問題調査委員会・憲法改正要綱 1946年2月8日

憲法改正案一覧(3) 政党、民間グループ、個人 政党
●日本共産党・新憲法の骨子 1945年11月11日
 日本自由党・憲法改正要綱 1946年1月21日
 日本進歩党・憲法改正要綱 1946年2月14日文字色
 日本社会党・憲法改正要綱 1946年2月24日
 日本共産党・日本人民共和国憲法(草案 ) 1946年6月29日
●民間グループ
 憲法研究会・憲法草案要綱 1945年12月26日
 憲法懇談会・日本国憲法草案 1946年3月5日
 大日本弁護士会連合会憲法改正案 1946年1月21日
 東京帝国大学憲法研究委員会報告書 1946年[春]
●個人
 高野岩三郎・日本共和国憲法私案要綱 1945年11月~1945年12月
 高野岩三郎・改正憲法私案要綱 『新生』 1946年2月号
 清瀬一郎・憲法改正条項私見 『法律新報』 1945年12月号
 布施辰治・憲法改正(私案) 1945年12月
 稲田正次・憲法改正私案 1945年12月24日
 里見岸雄・大日本帝国憲法改正案私擬 1946年1月28日


これらのリストは、国立国会図書館のサイト、『日本国憲法の誕生』からお借りしました。
リストの該当ページはhttp://www.ndl.go.jp/constitution/gaisetsu/revision.html#s1

この国立国会図書館のサイトの『資料と解説』では、ほぼ全ての団体個人の草案、
意見書などの実際を読むことができます。
例えば、上記、『1-14 法制局内の憲法改正問題に関する検討では、マッカーサーの指令に
先立つこと一カ月、当時の法制局第一部長入江俊郎の考察を見てみましょう。


終戦ト憲法


入江稿では、
『終戦ニ伴ヒ憲法中研究ヲ要スル事項概ネ左ノ如シ』として、
第十一条(統帥大権)第十二条(編制大権)第十三条(外交大権)中「戦ヲ宣シ和ヲ講ジ及」
第十四条(戒厳大権)第二十条(兵役ノ義務)など、大日本帝国憲法の軍関係の条項が
削除を必要とされるであろうという認識を示している。

『第十一条 天皇ハ軍ヲ統帥ス』をそのままに残している
幣原~松本らの政府案より、はるかに、敗戦の認識、軍解体の認識、ひいては憲法改正の
必要を自覚しているものと言えよう。

それぞれの試案の実際の内容は、『テキストの表示』というボタンをクリックすると
読むことができます。


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Re: んさんへ

んさん。こんばんは。

『ここ最近日本人の人を見抜く能力はそうとう退化した感ありますし・・・ 』

ほんとですねえ…
ま、、昔からそうだったのかもしれませんが。><

都知事選。宇都宮健児さんが、もういちど立候補してくれるなら、
私、全力で応援するけどなあ。ビラ配りでもなんでもやっちゃうよ。^^
ただ、また、いわゆるタレント候補が立候補すると、選挙民は、また
そっちに投票するのだろうな。
とにかくろくな都知事選んできてない都民は、少ししっかりしないと!ですね。

参院選も、皆さん、よく候補者のこと調べて投票してくださいね~~~!
ですね。

んさん。ありがとうございます~。

でも、まあ

「都知事の首を取れない与党の自公」って何っ?て攻め方もあるのか・・・

都議と国会議員は断じて違う!と反論はしそうですが(笑)
「えっ!所詮同じ穴の狢だよね(笑)県か国のレベルの違いだけでさ。」が国民の総じての意見だと自分は思うのですが。

そうそう、再びポンコツ都知事が選ばれた暁ににゃ、東京五輪前に三度都知事選もありますよね、なら今期の都知事選だろうが都議選だろうが何ら問題無いですよね。
まあ、選挙に税金がかかっちゃうのは仕方なさそうだけど。
いかに、ポンコツを回避するべきか?都民は大変じゃのう。

ここ最近日本人の人を見抜く能力はそうとう退化した感ありますし・・・
どうします?仮に三度目のポンコツ都知事が都政を握る事になっちゃうと・・・もう不安しか無いなぁ。

Re: んさんへ

んさん。こんにちは。

舛添問題。語るに落ちて、ここでは全く扱っていませんが、見事に
国政の方の争点隠し、国政の大きな問題から国民の目をそらすための
役には立っていますね。(苦笑)
『偉いぞ!舛添!』、と、これは私の皮肉ですが、安倍政権などは思ってるんじゃ
ないでしょうか。
この国の将来を決めかねない大事な大事な参院選挙の前に、マスコミは
舛添問題ばかり。参院選のほんとうの争点であるべき改憲問題(だって安倍さんが
ほんとにやりたいことはそれだもん!)は影が薄れ、またしても今度の選挙もまた
『アベノミクス』の承認か不承認か、さらにおかしなことに『今回の消費税先送りが
良かったか悪かったか』というのが問われることに問題は矮小化されて行っています。
そんなの、『消費税増税やってよ!』なんて思う人がたくさんいるわけない。
『あ~。先送りされて良かった!安倍の先送り判断正しい』ということになるに決まってる。
そもそもこの問題だって、足りない社会保障費をどこから捻出するか、という根本的
課題が問われるべきであって、最初から『それには消費税増税しかない!』とする
前提が間違っています。
法人税・所得税と言った累進課税的なものに手をつけるべきなのに、そしてまた
国のお金の使い方という大きな問題にこそ手をつけるべきなのに、
最初から『消費税による社会保障費確保』というのが当たり前になってしまっている。
それには民主党の罪、ということもありますね。国民の罪、もあります。
『消費税先送り!安倍さんよくやった!』ということで、今回も自民に投票する人は
多いだろう…
国の借金問題、増えゆく社会保障費、少ない若いものにのしかかる負担…
それは、与野党を超えて、全国民で考えなくてはならないことなのに、とりあえずの
目先の負担が軽減された!と言って、事項にパチパチ拍手送っているようでは。

舛添氏が仮に辞めたとしても(辞めないでしょう彼は。ww)後に誰が来るか
と言っても、自公が推すのはどうせ碌なのこない。橋下、東国原?
橋下氏なんかが来て、安倍氏の国政と橋下氏の都政とで、ファシズム化の両輪が
がっちり回り出して『改憲とポピュリズム政治街道まっしぐら!』になって、
橋下ポピュリズム人気で、国政までおおさか維新が人気回復して、自公プラス
おおさか維新で、日本の時代錯誤な国家主義が復古・伸長していくくらいなら、
『お金にみみっちい舛添氏の公金は無駄使い都政』の方がまだましなくらいなもんです。
うう…悲しいですね!(爆。これこれ!笑ってるばやいじゃないや!)
舛添氏を追及できない都議会議員を選んだのは都民ですからね。私を含め、
選挙民はようく考えて投票しないと。><

都議さんたちは、舛添問題つついて、解散~選挙、などということにしたくないのでしょう。
夏の暑い盛りに選挙運動したくないよね、そうだよね!ってな具合で。
落ちるかもしんないし。舛添つついて何の得にもならないから本気で動かない。

ふう~~~…
溜め息ですね。
んさん。怒り続けていてくださってありがとうございます、です!(笑)
怒るのもエネルギーいりますもんね。^^
昨日今日の蒸し暑さに、ちとバテテいる彼岸花であります!

なぜ?

与党の都議は、とっとと都知事の首をとらない!
長期政権を担える奴なんて稀でしょ?
どーせ次もポンコツの可能性の方が高いんだし。
ぐだぐだと都政を停滞させてんじゃね~よ!

対外的ににかっこ悪いったらありゃしない(笑)

Re:鍵コメさんへ

鍵コメさん。こんにちは!

は~い…日の経つのが早いですね!もう6月も半ばですよ~……

鍵コメさんが、しばし虚脱状態になるのは無理もないです。
ほぼ1年半?、根を詰められてきたんだもん…
その期間だけでなく、実は、あの震災の日から、5年以上、緊張の日々は
続いていたと思います…。
震災の復興はまだもちろん達成はされていないけれど、鍵コメさんにとっては
この春は、ある意味での一段落。
少し長くぼ~~~っとお休みになってもいいんじゃないかなぁ?^^

時期がくれば、また動きたくなりますよ。(笑)

はいっ!
私も、体まで壊したりはしないよう、気をつけますね。^^
そうなんです。これから暑くなるし。連れ合いも、私が長く家を空けるの心細がるし。
まあ、近場で出来る活動なんでもして行くつもりです。

コメント読んでたら、甘いものが食べたくなっちゃった!(笑)
香ばしいヒコーキのクッキー食べたあい……^^
けど、なにもないよなぁ…
あ!冷凍庫にチョコミントアイスがあるっ!(私普段はあんまり冷たいもの食べないし
買わないんだけど)もぐもぐ。今食べながら書いてます♪ ^^

ありがとう♪
鍵コメさんも、少し気にせずのんびりっとなさいますよう。








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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
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