『参院選は野党4党へ ③』


Q14:今の自民党には党内野党がいないって?
 少し前までは、自民党には、好き嫌いは別にして、長老と言えるような議員さんたちがいて、
 内閣が走り過ぎの時には手綱を引き締めるとか、いい意味でそれぞれ多少色の違う
 派閥があって、それらが自民党内で議論のすり合わせをするなど、いわゆる党内での
 切磋琢磨が出来ていたような気がします。
 今の自民党は、安倍色一色です。今の閣僚の顔ぶれを見てください。
 第三次安倍内閣では閣僚のうちの実に13人が、日本最大の右派団体である『日本会議』の
 メンバーです。
 公明党が、連立政権で言わば政権内野党と言える存在出会ってくれればいいのだけれども、
 それがそうなっていない。
 むしろ公明党が、最初は政権に渋い顔をして見せるけれども結局最後には政権の方針を追認する
 という役回りがパターンとして出来てしまって、公明党が安倍政権への国民の不満のガス抜き役に
 完全になってしまっている。
 私は、もしいつか、私たちの後の世代が今を振り返って、『あの時どうして自民党の暴走を
 止められなかったんだろう!』と後悔する時が来るとすれば、公明党の罪は重いと思っています。
 昨年秋の集団的自衛権行使容認を含む安保法制に反対する国会前集会には、創価学会の
 一団もいらっしゃいました。公明党支持の皆さんは『平和の党』のプライドをもう一度取り戻してほしい。
 安倍政権に加担して、この国の財産である平和憲法を変えたりなどさせないでください!

 自民党自体も本来もっと包容力のある政党だったように思います。
 (つい最近のニュースで、2003年に引退していた長老の野中広務氏が『復党』、というのが
 あったが、野中氏あたりが安倍政権のほんとうの意味での厳しいご意見番になってくれればなあ…
 と考えた私は、考えが甘すぎだろうか?)


③内閣法制局がしっかりしていて、内閣が憲法にそぐわないような
  法案を提出するのをチェックできる。

Q15:内閣法制局ってなんなの。
 内閣法制局は、1885(明治18)年、内閣制度の発足とともに作られた組織です。
 政府・内閣の法律顧問団のようなもの。ご存じのように、国会に出されて審議される
 法案は、国会で発議されるいわゆる議員立法と、内閣が提出する閣法とがあります。
 あの『集団的自衛権の行使を含む「国家安全保障基本法案」』は「閣法」(内閣 提出法案)
 でした。内閣法制局はあのような法令案を審査したり、法律問題につき首相や各省大臣等に
 意見を述べるという仕事をしています。
 法令案の審査では、細かく念入りな逐条審査を通して、当該法令案が、憲法を頂点とする
 国法体系との整合性があるかどうか、政府見解や判例との適合性があるかどうかを、
 厳しく審査します。一番わかりやすい例が、あの自衛隊の集団的自衛権行使が
 日本国憲法に違反するかどうか、という大きな大きな問題です。
 歴代内閣法制局は、『集団的自衛権は憲法上認められない』という一貫した立場を
 貫いてきました。自民党歴代内閣もそうだったのです。
 安倍総理の尊敬する祖父である岸信介首相(当時)も、昭和35年(1960年)第034回 国会本会議
 において、日米新安保条約と地位協定の締結についての議論で、社会党佐多忠隆氏の質問に対し、

 『自国と密接な関係にある他の国が侵略された場合に、これを自国が侵害されたと同じような立 場から、
 その侵略されておる他国にまで出かけていってこれを防衛するということが、集団的自衛権の
 中心的の問題になると思います。そういうものは、日本憲法においてそういうことが できないことは
 これは当然でありまして、そういう意味における集団安全保障というものはないのでございます。』

 

 と、明確に、集団的自衛権は日本国憲法下では行使できないと答えているのです。

 その時の議事録があります。
 なかなか興味深いので、興味のある方はお暇のあるときにでも読んでください。
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/ sangiin/034/0512/03402100512006a.html
 今とまったく同じような議論をしています。ただ…安倍氏の祖父の岸信介氏をはじめ、
 与党の国務大臣たちは、昨年の安保国会で、安倍氏らが徹底して同じ文言の読み上げで
 時間稼ぎをしたような、そんな醜い答弁はしていません。真面目に答えています。

 そのように、歴代自民党内閣は、法制局にも諮って、集団的自衛権は行使できないという
 判断をしてきたのです。
 憲法改正を悲願とする安倍首相は、まず、第二次政権発足時、憲法第96条をいじって
 改憲のハードルを低くしようとしました。しかし、憲法学者小林節氏によって、
 「『裏口入学』。憲法改正のルール以前の悪事です。『憲法改正』ではなく『憲法破壊』。論外です。」
 と猛反対されたごとく、多くの反対を受けてとん挫。それでもって、今回の「『解釈改憲』
 による集団的自衛権行使容認」という手に出てきたわけである。

 安倍氏は、まず。この内閣法制局長官の座に、自分に親しい外務省出身の小松一郎氏を
 据えることで第一の障壁を取り払おうとしたことは皆さんの記憶に新しいでしょう。
 1952年の法制局発足以来、内閣法制局長官は、総務省(旧自治省)、財務省(旧大蔵省)、
 経済産業省(旧通商省)、法務省の4省出身者によって占められてきました。また、いずれも
 内閣法制局次長を経てからの内部昇格による就任ということでずっとやってきました。
 ところが安倍氏はこの慣習を崩し、元外務省国際法局長の小松氏を任命したのです。
 この人事は、戦後の内閣法制局の歴史において異例中の異例の人事でした。
 慣例を破ること自体が絶対に悪いとは私は思いません。しかし、内閣法制局は、
 「内閣における『法の番人』」とも俗称されてきたような、極めて専門性と重要性の高い
 部署です。そこに自分の息のかかった部外者を入れて、集団的自衛権行使容認に
 道を開こうとした、総理の手法
は、どうでしょうか。賛成されたものではありません…
 なお、2014年に小松氏が体調不良で長官を退任した後は、内閣法制局次長だった
 横畠裕介が長官に就任したのですが、その横畠氏も、昨年の国会答弁においては、
 与党の政治家同様ぬらりくらりと、新三要件なるものを繰り返していたことは、これまた
 皆さんご記憶の通りです。
 私は『伏魔殿』などと陰口を叩かれつつも、法の番人として頑固に慣例と、法の適合性
 を守ってきた内閣法制局が割合好きでした。横畠氏の答弁を聴きながら、
 『内閣法制局は死んでしまった!……』と悲しく思ったものです。

さて。三つ目の障壁はこうして取り除かれてしまいました。
行政府が暴走しないための4つ目の歯止めはなんでしょうか。
④司法権が、立法府や行政府、あるいは地方自治体の長などの権力から、文字通り
  独立していて、必要な時、公平な判断を下す働きをする。

Q16:司法権の独立って機能してるの?
 これもとても難しい問題です。私自身は、日本においては司法の独立が行政権に比べ
 弱すぎるのではないかと感じることがしばしばです。
 少し前の記事にも書きましたが、砂川事件の最高裁判決というのがありました。
 1957年7月8日に特別調達庁東京調達局が強制測量をした際に、基地拡張に反対する
 デモ隊の一部が、アメリカ軍基地の立ち入り禁止の境界柵を壊し、基地内に数m立ち入った
 として、デモ隊のうち7名が『日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約』
 第六条に基づく施設及び区域並びに『日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定』の
 実施に伴う刑事特別法違反で起訴された事件です。
 一審の東京地方裁判所(裁判長判事・伊達秋雄)は、1959年3月30日、「日本政府がアメリカ軍の
 駐留を許容したのは、日本国憲法第9条2項前段によって禁止される戦力の保持にあたり、
 違憲である。したがって、刑事特別法の罰則は日本国憲法第31条デュー・プロセス・オブ・ロー規定
 (刑罰を受ける際に、その手続きが法律に則ったものでなければならない。また、その法の実体も
 適正であることが要求される)に違反する不合理なものである」と判定し、全員無罪の判決を
 下しました。 だが、検察側は直ちに最高裁判所へ跳躍上告。
 最高裁判所判決(大法廷、裁判長・田中耕太郎長官)は、同年12月16日、「憲法第9条は
 日本が主権国として持つ固有の自衛権を否定しておらず、同条が禁止する戦力とは
 日本国が指揮・管理できる戦力のことであるから、外国の軍隊は戦力にあたらない。したがって、
 アメリカ軍の駐留は憲法及び前文の趣旨に反しない。他方で、日米安全保障条約のように
 高度な政治性をもつ条約については、一見してきわめて明白に違憲無効と認められない限り、
 その内容について違憲かどうかの法的判断を下すことはできない」(統治行為論採用)として
 原判決を破棄し地裁に差し戻したのです。
 田中の差戻し判決に基づき再度審理を行った東京地裁(裁判長・岸盛一)は1961年3月27日、
 罰金2000円の有罪判決を言い渡しました。この判決につき上告を受けた最高裁は1963年12月7日、
 上告棄却を決定し、この有罪判決が確定。

 この砂川事件最高裁判決というものは、極めておかしな、後味の悪い判決となりました。
 これもすでに書いているけれど、田中耕太郎最高裁長官が、日本の判決が出る前に
 マッカーサー大使と面会した際に「伊達判決は全くの誤り」と一審判決破棄・差し戻しを
 示唆していたこと、上告審日程やこの結論方針をアメリカ側に漏らしていたことが
 後にアメリカ国立公文書記録で明らかにされたのです。
 米軍基地の存在を「合憲」とする判決が出ることを望んでいたアメリカ側の意向に沿う
 判決を下すことが既定の方針であったと疑われてもおかしくない長官の行動であり、
 日本の最高裁がアメリカに従属していると言われても仕方がない、まさに『司法権の独立を
 揺るがす』ような判決でありました。
 その上、「最高裁は、日米安全保障条約のように高度な政治性をもつ条約については、
 一見してきわめて明白に違憲無効と認められない限り、その内容について違憲かどうかの
 法的判断を下すことはできない」という、いわゆる『統治行為論』を採用したことによって、
 後の裁判に、難しい問題に関しては最高裁は判断をしない、という悪しき前例をつくった
 判決でもあったのです。(その後、この砂川判決を直接範例として同様の判決を下した裁判が
 多くあるというわけではないようですが、いわゆる過去の数々の原発訴訟、一票の格差の問題、
 また沖縄の普天間基地問題などなど、最重要題に限って裁判所が明確な判決を
 下したがらないように思える例はたくさんあるのではないでしょうか?
。)

 最高裁長官は誰が任命するか。天皇です。だが、指名するのは内閣です。
 長官以外の最高裁の裁判官は、これも内閣が任命します。
 最高裁判事は長官も含め15名ですが、現在その15名中安倍内閣が指名、任命した判事は
 7名います。あとの8名は鳩山、菅、野田の民主党政権任命。しかし、今年はそのうち2名が
 任期が来るので、安倍内閣任命の判事は15名中9名になるでしょう。
 来年17年にはさらに3名に任期が来て、安倍内閣指名の判事は、15名中12名になります。
 そんなことはゆめゆめないと信じたいですが、最高裁判事が、立法権・行政権、…とりわけ
 内閣が任命権を持つゆえに、行政権に忖度などすることなどなきよう祈らずにいられません。
 司法予算(裁判所予算)が国家予算に占める割合は近年わずか0.4%程度であるといいます。
 日弁連などは、市民のための大きな司法の実現のために、司法予算の拡大を緊急の課題
 として掲げています。司法予算を決定するのも政府であるとすれば、予算を削られないために
 司法権がますます行政権に対し委縮することなど、これまたゆめゆめないよう、私も
 日弁連を応援したいと思います。

 話が膨らんでしまったけれども、日米安保条約や地位協定など、外国との条約・協定や国際法規と、
 日本国憲法は、法体系から言ってどちらが上位なのか、ということについて。
 これは近年の解釈では、日本では一応、憲法>条約>国内法、となっているようです。
 でも、沖縄の現状など見ると、この国は、日米条約や地位協定やガイドラインの方が
 上位にあるように思えて仕方がありません。
 同じ第二次世界大戦敗戦国のイタリア共和国、ドイツ連邦共和国が冷戦後に大使館の土地以外の
 管理権を取り戻したのに対し、日米地位協定は1960年以来、運用改善のみで一言一句改定されていません。
 司法は日本の『憲法の番人』です!そこまで行政府の前に下ってしまったら、この国の
 正義はなくなってしまいます!



時の一内閣が暴走しないようにする歯止め。その⑤は、なんでしょうか。
⑤ジャーナリズムがしっかりしている。間違っても権力と癒着などしていないし、権力に
 媚びたり妙な忖度などしていない。


Q17:ジャーナリズムの委縮が言われます。
 これが一番私には嘆かわしいです。
 シャルリー・エブド事件や後藤さん湯川さんの悲劇があった時、私は、しばらく沈黙していた後
 昨年4月、『沈黙…意見を呑み込むということ忖度するということ』というシリーズ記事を書きました。
 書きかけに終わってしまっていますが。
 この、日本独特の『忖度』の空気を、私は、東日本大震災の、福島第一原発事故の
 時から、ほんとうにいやだなあと思い続けてきました。
 それでも、はっきり言って、民主党政権の頃には、ブログなどでこうして個々人が自由に
 意見を述べることに何の躊躇も感じることはなかったです。ジャーナリズムは原子力ムラに
 忖度しまくっていたけれど。
 あれから5年と数カ月。日本のジャーナリズムはどうなったでしょうか。
 安倍政権になってから、世に満ちた『忖度』は、ほんとうに情けなくなるほどです。
 野田政権のときでさえ、原発問題以外では、ジャーナリズムの忖度などあまりなかった。

 ジャーナリズムが死ぬと、なにが怖いですか?
 国民にとって必要な情報が入ってこなくなることです。
 国民が判断する材料がなくなる。
 ジャーナリズムが時の権力になにも物言えなくなるとき。
 こんな怖いことはありません。

 安倍政権は、ジャーナリストに『ソフトな』圧力をかけます。
 しかし、『お願い』であろうがなんだろうが、時の政権から、放送内容についてクレームが来る。
 これは、弱小野党が、『私たちの党にも討論会に参加させてください』と頼むのとは
 わけがちがいます。
 政権からのクレーム、及び、クレームが来そうな予感、は、ジャーナリズムの無用な忖度を生み、
 やがてそれは報道の委縮、となって、ジャーナリズムを殺してしまうのです。
 ジャーナリズムの死んでしまった国…それは悲惨です!それを私たちは
 70年前、経験して知っているはずではありませんか!


 安倍政権による『行政権への権力集中』は、進んでいます。


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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
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