『三人のお嬢さんへ』

『黒い霧 政治というもの』という記事を書きました。
シチリア独立運動の闘士でもあった、山賊サルバトーレ・ジュリアーノの
映画を見たことから始まって、沖縄問題、我が国の防衛問題にまで話を広げた
固い記事だったのですが、お若いお嬢さん三人が、真摯に反応してきて
くださいました。

コメントへのお礼のつもりで、もう一度この問題を取り上げてみたいと思います。
参議院選挙がいよいよ告知されましたが、鳩山さん退陣と共に、国民の関心は
あっという間に沖縄から離れ、消費税増税ということの方に移っていっているように思います。
なんと、風向きが変わるのが速い国民なんでしょう。
というよりは、現政権の消費税の問題については真剣に語るけれども、沖縄問題は
スルーしたいという意図が見え見えで、そこをマスコミもあまりつつかないからでしょうか。
沖縄の人が怒るのも無理はありません。

私は、沖縄問題を語るには、日本の防衛をどうするか、という議論なしでは、
根本的な解決策はないと思う者です。
先日の記事と同じことを言っても仕方がないので、結論から先に言わせていただきます。
私は、日本は今の憲法の精神を遵守して、平和国家に徹するべきだと考えています。

そんなの理想論で現実的ではないよ、と自分でもちらっと思います。
でも、それしか私にはどうしても考えようがないのです。
北朝鮮の問題。中国とのこれから…。
本当に、アメリカの核の傘から自ら出て、丸腰になって大丈夫なのか。
自国の軍備さえ必要なしと、徹底して非戦を貫こうとしても、勝手に
どこかの国が攻撃してきたらどうする?
アメリカから離れることによって、貿易、国交問題が危うくならないか?
…心配はたくさんあります。

でも、逆から考えてみましょう。
アメリカに守ってもらっていて、それでは本当に安全なのか?
日本も軍備して、核まで配備したとして、それで本当に安全なのか?

私には、一番の安全は、日本が世界のお手本になるような、平和主義を貫く国に
なることが、一番の安全なのではないかと思われてなりません。
よその国が攻撃したりするのをためらうほどの、世界のお手本となる国。
小さな国ですが、中南米のコスタリカはその道を歩いていっています。

コスタリカは、憲法で軍隊を持たないことを謳い、軍事費を教育費に充てる。
周囲の国で紛争が起きると、仲裁役を買って出る。アメリカのアフガニスタン侵攻に
大統領が賛成の意思表示をすると、大学生が、大統領の憲法違反を訴え、
裁判所がこれを認めました。それで、コスタリカはアフガニスタン侵攻に賛成した条項を
撤回してもらっています。つまり、非戦を貫こうとしたのです。
本当に、小さな国ながら頑張っています。
アリアス大統領という人はノーベル平和賞を貰っています。
詳しくは、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%AB

日本がこういうことが出来ないとは私は思えないのです。
非戦を貫きながら、世界のリーダーとなる国づくりをすることはできる筈と思っています。

依里さんは、私の記事をトラックバックしてくださって、そこで、
日本、ハワイ、グアムの各国で米軍基地問題を考えている人々の、沖縄問題に関するインタヴューを
載せてくれています。私の英語力は拙く、完全にわかったとは言い切れませんが、
依里さんの記事の助けを借りれば、ハワイ、グアムにおける米軍基地の問題は、
沖縄と同じかあるいはさらに複雑な大きな問題であることが読みとれました。

私も、グアムなどはアメリカの一部なんだから、沖縄の基地はグアムとかハワイに
分散してお引き取り願いたい。日本に米軍基地はおきたくない、と単純に思っていました。
しかしそれは厄介事を、右から左に移しただけ。自分のところで厭なことを、
グアムの人々などに押しつけようとしていただけ、ということを再認識させられました。
グアムなどはひどい。大国の思惑によって勝手に次々に占領されることの連続です。
スペイン、アメリカ、日本、アメリカ。
アメリカの準州となった今も、基地などの問題に関しては自分たちの意見を米議会で
述べる権利さえない。ただ一方的におしつけられるだけです。

いったい大国というのはなんなのでしょう。
よその国に勝手に『援助』という美名のもと軍事、政治両面から介入していく。
そこで陣取り合戦をする。しまいには一つの国、ひとつの国民を真っ二つに分断してしまう。
歴史上、イギリス、フランス、スペイン、ポルトガル、そして何よりアメリカ、旧ソ連
そして忘れてならないのは、日本も。
これらの国々はいったいこれまで世界でどれほどの紛争を巻き起こして来たことでしょう。
常に、何らかの謳い文句はあります。『民族の独立を促すため』とか、
『ならず者国家を罰するため』とか、いろいろいろいろ、美しい謳い文句や、かっこいい
作戦名が。でも実はその実態は、そこの土地に自分たちの軍や民間人を送り込んで
そこで何らかの既得権を得ようとしているだけのように思われます。
別の大きな目的は、自国の軍需産業をもうけさせるため。政治家が自らの選挙に勝つため。

私は最近、古い映画を見ています。中には1930年代くらいの民族独立運動や、
それからぐあーっと第二次世界大戦へ突入していく時代の映画を。
たとえば『Behold A Pale Horse』(『青ざめた馬を見よ』日本での公開名は『日曜日には鼠を殺せ』)
これは1936年に始まったスペイン内乱で戦ったゲリラのその後のことを描いた映画です。
その始まりのシーン。
ここに、少年たちが、銃の扱い方を訓練させられているシーンが出てきます。
本当にまだ子供。
スペイン内乱は、共和国軍と、イタリア・ドイツのファシズム国家を後ろ盾にした反乱軍との
戦いです。ここで、多くのスペイン人が、真っ二つに分かれて戦った。
同じ街の人間でありながら、同じ家族でありながら共和国軍と反乱軍に別れて戦い
憎しみを募らせていく。どちらにもくみしていないのに疑われて殺されるものも多くいた。
ピカソの『ゲルニカ』は、この内戦の悲惨を厳しく非難した絵です。
乙山さんからのトラックバックとして私が以前ブログでアップしたパブロ・カザルスの
『カタロニア讃歌』も、この悲しみを歌ったものです。
このスペイン内乱のときは、イギリス、フランス、アメリカは、
ドイツ・イタリアのファシズム政権が反乱軍を応援するのを横目に見ながら『静観する』という形で
逆にスペインの民衆の苦しみを広げました。

いったいこれらの大国のすることして、してきたことはなんだったのでしょう。
朝鮮半島の現在の問題の複雑さ。それにアメリカ、旧ソ連、中国がどうかかわっていたでしょう。

アメリカ。……いったいアメリカってなんなのでしょう。
勿論素晴らしいところはたくさんある国です。
でも、日本はいい加減、アメリカに守ってもらう、という幻想を少し捨てて、
日本が世界の中でお手本となるような平和国家になるという、第三の道を
考えてみてもいい時期に来ているのではないでしょうか。

私の行っているのは綺麗事かなあ。青臭い議論でしょうか。
でも、私は世界の行く末がとってもとっても心配なのです。
私はいずれそう長くはこの世にいない。それでも、です。
若い人が生きてゆくこの日本が、この地球がほんとに心配です。
前のブログで、私は私なりに一所懸命、国の未来を案じて原発のこと、政治のこと、
いろいろ書いてきました。
でも、自分の感覚がもうとても古臭く、時代に即してない気がしてきて、
話しても声は届かないな、そう思って話すのをやめてしまいました。
このブログでは、自分の感情の内面ばかりを見つめています。

でも時々はっと目が醒めて(笑)これでいいのか?と思う。
今回も一本の映画から、『黒い霧』の記事になりました。
私は、子供のような青年を戦場に送りこむようなことはいやなのです。
ひとり言のように記事にしたら、お嬢さんたちが反応してきてくれた。
一人一人がしっかりした意識を持ったお嬢さんたちです。
彼岸花、ちょっと、いや、すごく安心しました。
お礼の代わりに、これ、書いておきます。ありがとう。




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Re: 依里さんへ

依里さんのしっかりしたお考えを伺えて、とても嬉しかったです。
沖縄の基地問題に関する記事では、私の方こそ勉強させてもらいました。
どうしても、日本内部からの視点でしか、見ないでしょう。
だから、グアムに持って行ってよ、という感じにどうしてもなってしまう。
依里さんのアップなさったインタヴューで、ハワイやグアムの人の気持ちなど
知って、ほんとに、世界の問題は、日本だけの感覚で考えてはまずいなあ、
と思わされました。まだ私などの感覚は、『パールハーバー攻撃をなんで
そんなに大袈裟に言うの?広島長崎にしたことを考えてみなさいよ』という感覚
から脱しきれていませんね。

自分の日々の生活の細かい一つ一つが、実は、ちゃんと世界とつながっているという
時代になりました。この一本の薔薇の切り花が、アフリカの巨大温室で栽培され、
そこで働けるものと働けないものの生活格差や、深刻な水不足問題を生んでいるのだろう、
…そんなことは、普通考えてもみませんものね。でも、そうらしいのです。

情報に流されるのではなく、数ある情報を自分で分析して、それに対する
自分の考えを持つ。そうしてより良いことのために行動する、ということ。
とっても難しいことですね。特に最後の『行動する』、ということが一番難しい。

依里さんの記事、全部読んでいます。
アメリカに対するアンビバレンツな感情。きっとそれはおおくの人が抱いている思いですよね。
好きで憧れもたくさん抱くのだけれど、その独善的な軍事、経済、政治の姿勢にたいしては
嘆息…!という。
日本には、アメリカと堂々と議論できる国になってほしいんですけれどね。
政治を育てていくのは国民ですから、私たちもしっかりしないと、です。
いつも、ありがとう。

No title

私の知識不足を補って下さってありがとうございます。
自分のブログでちょっと横着して、曖昧な書き方をした所がありました。

私も時々、こう言った問題を真剣に考えてみたりします。
どうしようもなく堂々巡りになってしまう問題ではありますが、私個人としては他の地域に基地を押し付けるのではなく、いい加減『減らす』と言う方向に動いて欲しい、そう思います。
憲法の改正には反対です。

こんなにまでアメリカのご機嫌を伺う必要がどこにあるのだろうか、と思う一方、もしかしたら国民が知らされていない何かしらの事情が背後にあるのかもしれない、そうも疑ったりします。

急成長を遂げる例の国を牽制する為に、周辺地域に米軍を配置してその国を包囲するのが目的だそうですが、どうも短絡的と言うか、どこもが軍事国家を目指した時代とちっとも変わってないと思うと、進歩のなさに溜息をついてしまいます。
今の時代、もっと違う外交方法がないものだろうか、と。

さて、私もブログには内面を書く事が多いのですが、浅い知識ながらも社会情勢には興味があるので時々投稿します。
自分には発信している、と言う意識は余りなく、頭の中を整理する為に書いているブログと言う認識があるので、ノンジャンルで、読み手がいてもいなくても、好きなように投稿しています(笑)

Re: morinofさんへ

morinof さん、ありがとうございます。

とっても素朴に考えたことを書いてみました。
ずうっと欧米先進諸国、そして日本がアジア、アフリカ、中南米などで
やってきたことを考えると、彼らの正義っていったいなんだったのだろう、
一体誰のためだったんだろう、と思ってしまうんです。

勿論美辞麗句で政治的、軍事的介入の理由はいろいろ言っているけれど、
住人のためなんかじゃありません。自国の国民のためですらない。
本当にごく一部の人間、王侯貴族や、教会や大金持ち、資本家、政治家…
のために、そこで権益を得るのが目的なんですよね。
そんな目的のために、国を挙げていかがわしい宣伝活動を派手に行って、
国民のムードをその侵略を是とする方向に持っていく。
そうして真っ先に戦場に送られるのは、爆撃で死ぬのは、弱いものからです。

アメリカはまだ、変わらぬ論理で動いている。
それにただ追随して、ただ守ってもらってるだけでいいのか、そう思ってしまいます。
戦争だけでなく、経済の問題もそうですね。

庶民の膚の感覚では、それはおかしいでしょ!と思うことが、堂々と行われ、
それを止めることすらできない。サブプライムローンの問題などがそうでした。
メキシコ湾の原油流出事故もそうですが、どこか世界のネジがゆるんでるというか、
間違ってるというか、歪んでいるというか、納得できないことばかりですね。
人間の叡智の使いどころが間違っているとしか思えない。

人間てもっと素晴らしいもの、と思いたいんです。実際素晴らしいものだと思う。
でも、どこか何かその力の発揮場所というか、方法も含めて、とんでもなく
誤ったことを皆でしでかしてしまうことがありますね。
個人の生き方もそうですが。
広島マツダの死傷事件などにもそれは感じます。

人間はもっと良く生きられるはずなのになあ、…そういつも思ってしまいます。
科学技術、政治…、本来人間のためにあるはずのものが、
経済活動それ自体が目的になっているからじゃないかしら、と思うんですが。
それも、国民のための、というよりは、一部の金持ちや政治家のための…

morinof さん、ありがとうございました。

なにを守れるのか。

あれだけの軍備や優れた技術が在るはずなのに、どうしてメキシコ湾の原油流出が
止められないのでしょう。
たかだか1500mの海底から噴き出るたった一本のパイプをも塞げないなんて。
あの高温高圧や真空の中で生かされてきたNASAの技術って一体何のお役に立つんでしょう。
各国が競い合って創設をはじめている、陸・海・空に続く「宇宙軍」て本当に必要なのでしょうか。
何に知恵を絞り、金を使わなきゃならないのか。今こそ総力を挙げて地球防衛軍「サンダーバード」を
本気で考えた方がいいのではないかと真剣に考えています。
こうしている間にも流出する原油による漁業被害、環境汚染が広がり、宮崎の口蹄疫も
終わりのない戦いを強いられています。
軍隊って一体何を守っているんでしょうね。科学って、技術って何のために有るんでしょう。
はたして私たちは、政府の言う処の「国民」の枠に含まれているのでしょうか。
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
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