『72年目の夏に思うこと ①』


『ああ・・・記事を書かねば・・・』と思いつつ、夏が過ぎていく・・・。

ここ数年、夏に、とりわけ8月に、記事の数が少なくなっている・・・
書くことがないのではない。ありすぎて、どこから手をつけるべきか逡巡しているうちに、
書く気力も時宜も失ってしまう・・・ということが続いてきたのである。
書かずにいた記事は、こころの中に澱のように沈殿して溜まっていって、なおさらに書くことを
難しく、気重に、していく・・・・・・

ふ~~・・・・・・・・・

森友学園問題。加計学園問題、自衛隊の日報隠蔽問題・・・・・・
共謀罪法成立・・・・・・
北朝鮮の脅威の名目を借りたとどめを知らぬ安倍内閣の軍備増強・・・
『日本ファースト』なるいかがわしい政治団体の立ち上げ・・・
自民党と変わらぬ思想を持つ前原氏に集まる民進党議員・・・(ばかじゃないの?!
自民党と鮮明に異なる旗を掲げなければ、民進党はお終いだと言うことがまだわかってない!)
やれやれ・・・全く、出るのは溜息ばかりだ。

しかし、どの問題も、徹底的な追及はなされないままに、十分な論議も尽くされないままに、
また、この夏も過ぎていこうとしている・・・
そしていつしか、マスコミも、国民も・・・安倍政権にとって都合のいいことに、それらを忘れて
行くのである・・・・・・
私もまた、発言しなければ、同じことだ。

仕方がない。溜まった澱は少しずつ掬い取らねば・・・・・・。
書きかけのままの記事がたくさんある。まずはそれらを一つずつ仕上げてアップしていこうか・・・。
その前に。是非、観ることをお勧めしたい映像をご紹介しておく。


              ***


1.『戦場ぬ止み』(いくさば ぬ とぅどぅみ)





何で、これまで私は、この映像を見なかったのだろう・・・

結局、私も、沖縄の苦しみを『他人事』としてしか見ていなかったからだ・・・。

先の戦争で、日本の罪を一身に引き受けさせられて、戦場となってしまった沖縄・・・
本土と天皇の安泰と引き換えに、基地の島となってしまった沖縄・・・
普天間基地の辺野古への移転問題で、その沖縄の民を、『国』が『国家権力』でもって
さらに分断していく・・・
辺野古の海をふるさと沖縄を守れと移転に強固に反対する者・・・生活のために反対はしないという者・・・
基地反対運動の支援に外部から来た支援者たち・・・それらを国家が分断していくのだ。

2014年の翁長知事の誕生は、その分断された沖縄が、一つになれる!と、住民たちが
狂喜した瞬間だった。そのすぐあとに行われた衆院選の結果もオール沖縄の圧倒的勝利であった。
それらの選挙結果は、沖縄は辺野古移転に反対する!という、沖縄県人の政府へのNO!という
重い回答であったはずだ。
しかし。そのわずか三ヶ月後の2015年3月、辺野古の海のボーリング調査は、政府によって
強制的に再開される・・・県警や機動隊、海上保安官らに排除される反対住民たち・・・。

この映画は、2015年制作のものである。
だから、映画はそこまででストップしている・・・
その後の動きは、皆さんもおよそご存じでいらっしゃるだろう。
安倍政権は、沖縄の声に全く耳を貸さないで、辺野古の海は、着々とアメリカのための巨大
海上基地へと形を変えられつつある。
3年前、あれほどの熱狂と感動でもって迎えられた翁長新県知事は、今、冷酷な政府の対応と
県民の期待の間に板挟みになって、孤立と憂愁を深めつつある・・・

私は、日本国民として、沖縄のために何をしてきたか!
沖縄の問題は、日本という国が抱える歪みが、もっとも先鋭的な形で表われているのだということ、
沖縄の問題は、日本政府ばかりではない、私たち日本人全員に突きつけられた重い重い課題だ
ということ。
2年前の映画ではあるが、沖縄の現状、そして安倍政権、日本の政府というものの非情が
この映画一つ見れば、心に突き刺さるほどにわかる・・・
是非、レンタルででもいい、ご覧ください。



2.NHKスペシャル『戦慄の記録 インパール』
   2017年8月15日放送
   再放送:8月26日(土)午前0時50分~2時03分(25日深夜) 


再放送が25日深夜(26日の午前0時50分から)あるので、これも是非ご覧ください。
実は、You Tubeにはすでに全編がアップされているのだけれど(You Tubeで『インパール』と
検索すれば、『戦慄の記録 インパール』は出てきます。ちなみに、NHKでは、今夏、インパールに
先だって、『731部隊』のこと、8月15日以降も樺太で行われた戦闘のことなどもやった
のだが、その映像もある。『731部隊』の記録は、私には物足りなかった。731部隊のひどい
現実は、そんな程度のものではなかったはずだ……)一応、NHKの番組サイトを載せておく。
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20170815

インパール作戦。
1944年(昭和19年)3月から7月初旬まで。連合国の中国支援の軍事物資ルートを遮断する
ために、日本軍はビルマの密林をぬけインド北東部にある都市インパールの包囲攻略を
目指した。
日本軍にとって太平洋戦争史上もっとも愚劣で無謀で悲惨な結果となった作戦の一つ。
食料・弾薬などの補給線を軽視した作戦により、多くの犠牲を出して歴史的敗北を喫した。
3ヶ月間の総兵力およそ92,000。うち、およそ30,000人が命を落とした。
戦闘で命を落とした者よりは、飢餓とマラリアなどの病で『野垂れ死』とも言っていい
無残な死に方をした兵士の方が遙かに多かった。日本兵の死骸が累々と続く道は、
『白骨街道』と呼ばれた・・・
作戦立案し強固にこの作戦を進めた牟田口廉也中将を初めとして、これらの作戦の失敗と
兵の無残な死に責任を負うべき軍の上層部は、誰一人として戦後責任をとっていない。

いつかインパール作戦について書こう書こうと思いつつこれまで、まだ書けないでいる。
本当は、火野葦平の『土と兵隊』『麦と兵隊』などの記事を書いたその後、大本営報道班
の一員として彼がインパール作戦を視察した経験を元にして書いた小説『密林と兵隊 青春と泥濘』
のことを書こうとしていたのだが。
いつか必ず書こうと思う。

半藤一利、保阪正康氏の対談『昭和の名将と愚将』(文春新書、2008年)という
本がある。
そこから少し引用しよう。

保坂 『私は牟田口には会えませんでしたが、インパール作戦に参加した元兵士には
    ずいぶんお会いしました。彼らには共通する言動がありまして、大体は数珠を
    握りしめながら話すのです。そして牟田口軍司令官の名前を出すと、元兵士のだれもが
    必ずと言っていいほどブルブル身を震わせて怒った。「インパール作戦での日本軍兵士の
    第一の敵は軍司令官(牟田口のこと)、第二は雨期とマラリアの蚊、第三は飢餓、そして
    英印軍はやっと四番目だと戦場で話し合った」と言う生存兵士もいました。
    牟田口が前線から離れた「ビルマの軽井沢」と呼ばれた地域で栄華をきわめた生活を
    しているといううわさは矢のように前線の兵士に伝わっていたようですし、実際に牟田口は
    そこからひたすら「前進あるのみ」と命令をだしていた』
半藤 『しかも作戦の失敗を部下の三人の師団長たちに押し付けて、自分は責任を問われぬまま
    生き延びたんですから、前線にいた兵士たちの憎しみは並大抵ではないはずです』
保坂 『ええ。インドからビルマヘ、仲間たちの死体で埋め尽くされた「白骨街道」を引き上げて
    きた無念の思いは生涯消えることばなかったと思いますね』
(中略)
保坂 『「あの男は許せない。戦後も刺し違えようと思っていた」と言った人、「牟田口が
    畳の上で死んだのだけは許せない」と言った人もおりました』


火野葦平の上記『密林と兵隊』では、フィクションではあるが、火野が取材しておそらく
聞き取ったか耳にしたそうした上層部の腐敗と兵士たちの憤怒が、火野自身の
怒りの筆で、鬼気迫る迫力で描き出されている・・・
 
              ◆


実は、インパール作戦についてのNHK番組としては、1993年に同じNHKが制作した
下記の番組のほうがきめ細かい作りかもしれない。
8月25日深夜のNHKスペシャルを見られない方は、こちらをどうぞ。
ただ、今度の25日深夜の再放送の方をぜひ見てほしいその理由は、NHK取材班が
頑張って、73年前、日本軍兵士たちが行軍した同じ道を…道なき道を…たどってみた
実際のカラー映像があることである。
そうして、3万もの兵士たちが、どこで死んだか、どのように死んでいったかを地図上に
分布図で示していることである……その絶対的量!
さらには、今回新たに証言しようとした元日本軍兵士の方もおられて、自分が死ぬ前に
長い長い間の沈黙を破り、事実を証言しておこうとしたそれらの人々の話を、是非
一人でも多くの人に聞いてもらいたいからでもある…中には、飢えのあまり、仲間の
兵隊の死体を食べたという証言もある……
熱帯雨林の草木の、息が詰まるように生い茂る道なき道を、かつて自分たちの父や兄や
叔父や祖父などが…、進軍し、そして無残に死んでいったのだという実感が、圧倒的な
重みで伝わってくるはずだ…。





*私はここで、牟田口廉也中将を厳しく批判して書いているが、25日のNHKインパール作戦
についての番組で、牟田口氏の親戚のお一人が、貴重な資料を番組のために提供して
くださっているその勇気に感謝したい。牟田口廉也中将を責めることが、遺族の方々への批難と
なってはならないと思う。
またいつか別の記事で書きたいが、旧日本軍兵士たちは、とても口にできないようなことを
数々、アジアの各地で目にし、あるいは自ら犯してきた…。
多くの兵士たちは、生涯その重みを抱えて、何も語らぬまま、語れぬまますでに亡くなられている…
だが、最晩年という今になって、長い長い間口にできなかったことをぽつりぽつりと語りだした
人々がいる…
彼らを責めてもならない。
なによりその話を聞いてほしい。
事実を知ることが大事なのだ…


            ◆



私がインパール作戦など日本軍の不条理を追及することは、単に、日本人兵士の死を
悼んで、当時の陸海軍上層部および政府、そして総責任者たる昭和天皇の責任を
問おうとしているだけなのではない。
およそ『国家』というものが、時に自分の国民にどういう不条理を強いるものか、ということを
書こうとしている。
それは、ひいては、『国家』というものが、他国の民に何をしうるか、ということを示唆する
ことにも必ずつながっていく
と信ずるからである。
自国の民をさえ無慚に戦場で無駄死にさせうる『国家』『軍』というものが、他国の民に優しいと
いうことがあるはずがないのである。
自国の兵をさえも、いくらでも替えのある『ただの捨て駒』としか考えない『国家』や『軍』
というものが、他国の兵や民に対してどういう態度をとるか・・・。
その非道は…少し想像してみればわかる。

私は、かつての大日本帝国とその軍が中国や朝鮮半島はじめアジアの各地で犯した罪は、
それらが、自国の民に対して犯した罪と、表裏一体なのではないかと考えてきた…。

もちろん、『国家』や『軍』というものの中味は、その実体をなすものは、私たち日本人自身、
私たち日本国民一人一人である。
国家の罪を考える、ということは、私たち国民一人一人の罪を考える、というのでなければ
おかしい。


そういう視点に立つとき、日本の戦争を日本の側からぎりぎりと見つめていくことは、
日本が他国にしてきたことの罪を、ぎりぎりと見つめることに必ずつながっていくと考える。

そしてそれは、かつての戦争を振り返ることにとどまらない。
現在この国で起きていること…世界で起きていること…そこに必ずつながっていくと
私は信じている。インパールは、時代を超えて、辺野古とつながっている…
そしてそれは、福島第一原発事故ともつながっている。
さらにそれは、加計・森友問題、自衛隊日報隠蔽問題ともつながってくるのである・・・・・・。

過去を凝視しないものは現実をも見ようとはしない。

過去を一つの視点からぎりぎりと徹底して見つめていけば、それは必ず『普遍』と
いつかつながっていくと信じて私は記事を書いている……。



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Re:オッカイポさんへ

オッカイポさん。こんばんは。初めまして。^^

身に余るお言葉、頂戴しまして、嬉しいです。
もともとは、好きな記事。美しい記事を書きたいと思って始めたブログでしたが、
東日本大震災、福島第一原発事故以降、すっかり政治的なことの多いブログに
なってしまいました。
それでも、そのように言っていただけますと、書き続ける勇気が出てきます。
本当にありがとうございます。

先の戦争・・・。これをしっかり見つめずには、なにか何事も語れないような気が
よくします・・・。いろいろ考えていくと、どの問題もそこに突きあたる・・・

ブログ。拝見させていただきましたが、ほんとですね。オッカイポさんご自身と
奥様と・・・ほんの少し状況が違っていたら、お生まれになっていらっしゃらなかった・・・
考えてみれば、一人一人のいのちがこの世に存在すること・・・その一つ一つが
奇跡のようなものですね・・・。
戦争は、それを、断ち切ってしまいます・・・

お名前の由来も拝見しました。
不思議なお名前・・・なんとなくアイヌ語っぽいな、って思っていたところでした。
やはりなあ・・・。
いい名前をつけていただきましたね。^^
沖縄と共に、アイヌの文化や伝統も、本土の人間は大事にしてきませんでした。
そうしたことも、戦争の事実と共に、若い人々に伝えていきたいものですね。

ご訪問とコメント。本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願い申し上げます。

No title

初めまして、オッカイポと申します。
貴ブログを、敬意をもって読ませていただいております。
拙ブログに自分の事を少々書いていますが、先の大戦中にほんの少しだけ状況が変わっていれば、今の私は無いという事を、この歳になってしみじみと感じます。また、妻の父親も、シベリアに抑留される寸前で、病気を理由にまぬがれ、内地に帰還しています。そんな様々な状況(奇跡とは言いませんが)の上で、今のお前が存在するという事を、子供たちに伝えています。
今後のご活躍をお祈り申し上げます。

プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
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