『立憲民主党誕生に寄せて ⑤』

さて。ようやく本論だ。

『立憲民主主義とは何か』

その前に、民主主義とは何か。民主制とは、民主主義政体とは何か。
実はそれを語るのは非常にむつかしい。民主主義についての本を何冊も何冊も
読んでみたけれど、私などには到底一言で書き表せるようなものでない。
この言葉の歴史や、定義の変遷など書いていると、とんでもなく長く難しくなってしまうから、
一応ざっと、私がここでこの言葉を使う場合のとらえ方だけ、書いておこう。

『民主主義(政体)とは、社会なりなんなりのある共同体のその一人一人の構成員が、
その集団のいろいろな物事を決めていく際に、みな平等に参加して発言する権利を
保障されているシステム。またその考え方』

とでも言えばいいのかな。
要するに、社会の主役は、その構成員一人一人である。そしてその、社会の構成員が、
みんな平等に政治に参加できる仕組み、またそういう考え方。ということだ。

実は、これにもいろいろなありようがある。
一人一人の構成員が、みんな直接政治に参加していろいろなことを決めていくのなら、
『直接民主制』だ。
しかし、『立憲民主党誕生に寄せて ②』でも書いたけれど、現実の政治…日本の
ような国レベルの政治、となると、もちろん国民全員が一堂に会して国の様々なことを
決めていくなどということは当然、出来ない。
そこで、日本では、『間接民主制』…『議会制民主主義』という考え方を採っていて、
私たち国民は、『選挙』によって選ばれた私たちの『代表』を議会に送り込んで、
そこで、その人たちに私たちの代わりに、いろいろなことを議論し決定してもらう

という形態をとっているのである。

今、私たちは、その私たちの代表、すなわち『国会議員』、を選ぶための選挙戦
真っ最中である。
だが。今ここで、『私たちの代わりに』という文を私が強調して記したように、
国会議員は、私たちの代理として国のいろいろなことを決めるよう、私たち国民によって
その仕事とそれに伴う諸権利や身分を、一定期間、仮に『付託』されている
のであって、
決してそれは、永久のもの、また無制限の権利などではない
ということを、しっかりと
確認しておかねばならない。

しかし、この『民主主義』のその現実の社会でのありようは、その
もともとの理念や理想からは程遠いものになっていってしまいつつある…

そのことは、今、選挙戦のただなかにある日本国民の多くが、ひしひしと身をもって
お感じになっていらっしゃることではないだろうか?

まずは、今回の衆院選の発端となった、安倍首相による、突然の『解散』宣言だ。
この度の解散総選挙に大義がない。いや、それどころか、安倍首相が、自身の
『森友・加計学園問題への追及から逃れるために打った、身勝手な
解散劇』
ととらえている国民は多いのではないだろうか。
そしてその奥にはさらに、自分の代でとにかくどこでもいいから憲法を変えたい…
『あの「日本国憲法」を変えたのは自分だ!』という足跡を残したい、
という、安倍首相個人の情念、
私に言わせれば、「妄執」がある…。

行政府の長である内閣総理大臣。だが、それが、自分にとって自党にとって好都合の時に
恣意的に、気ままに『解散』を打っていいものかどうか。
首相の解散権、などということは、実は憲法のどこにも書かれていない。
天皇の国事行為としての『衆議院解散』を記した憲法第7条を拡大解釈しているだけだ
という指摘も法学者などの間にあるくらいだ。

今回の、いわば『安倍総理のための、安倍総理による』解散総選挙に、
どのくらいの費用がかかるものかというと、およそ600億円くらいだそうだ。


600億円……その金額は馬鹿に出来ない大きなものだ。
例えば、今、日々大変な過重労働しかも責任の重い介護や保育の仕事に
就いている人5万人分の月収を、20万円から30万円に、つまり月に10万円、
1年間上げることが出来るほどの金額である。月1万円のアップなら、50万人分だ!

そんな巨額の費用がかかる総選挙。
それが、『まっとうに』行われるのなら、まあいい。

だが。安倍首相は、この度の解散の大義を十分に説明できないばかりか、(『国難選挙』
などと、北朝鮮の脅威を煽ってはいるが)、そもそも、森友・加計問題はまだ十分に
納得のいく説明がなされていない、と考える国民が60%も70%もいる中で、その
説明のために野党から要求された臨時国会を3か月も開かず放置した末に、9月、
開いたとたんに一切の審議もなされないまま、いきなりの冒頭解散、という暴挙に
出た。
これは、私たち国民が、「一定期間だけ、安倍晋三という人に仮に付託した」
代議員の資格
を、その信義を、踏みにじる行為ではないのだろうか??!!

それは、都政を放り出して国政の権力ゲームに乗り出した小池都知事についても
同じだし、また、【『民進党』という一つの党】に投票したのでもあったその選挙民からの
付託を、軽々に裏切った前原民進党代表らの行動
についても同じである。


            ***

だが。日本の選挙の仕組みには、そういう政治家個々人の人間性の問題ということ
のほかにも、本当に多くの問題がある。

『民主主義は、もはや機能していない』という批判があるようだ。
日本は議会制民主主義を採っているが、その問題点などが噴出しているのである。
その要因の例を挙げれば。
①一票の格差の問題。
②小選挙区制の抱える問題。
  現実にこの選挙でも、小選挙区制であまりにも『死票』が出てしまい、国民の民意が
  必ずしも選挙結果に正しく反映されない、などという問題がある…
③世襲議員の問題。
  日本などでとりわけ顕著にみられる傾向だけれども、二世三世のいわゆる世襲議員が
  あまりにも多くなってしまっているために、それら、親や祖父らの地元の『地盤』や、
  名門の『看板』そして潤沢な政治資金という『鞄』…いわゆる『三つのバン』を最初から
  持っている世襲議員たちには、無名かつ無地盤の新人候補には太刀打ちが出来にくい。
  そもそも立候補するには、衆院だと小選挙区で300万円、比例区では600万円という
  「供託金」を用意しなければならないということから、圧倒的に、志はあっても無名の
  新人は当選できにくい、そもそも立候補さえしにくいというハンディがあるのも問題だ。
④党員候補と無所属候補との間の選挙戦におけるあまりにも大きなハンディの差。
⑤選挙民への情報の質と量の問題。
これは公職選挙法そのものの矛盾点、不可思議さなどと関係してくる。
 日本の選挙運動に関するもろもろのおかしさ。例えば、選挙期間中の被選挙者、および
 その応援運動をする者への不要かつ非合理な縛りが多すぎる
ことなどである。
 選挙期間も短いし、選挙民が各候補者について知りうるに十分とはとても言えない現状。

 とりわけ今回の、安倍首相による『解散権乱用』ともいうべき国会冒頭での解散、
 などという抜き打ち的ケースでは、与党以外の各政党の選挙への準備が十分に行われない
 可能性
がある。それができないということは、私たち有権者への情報も、不十分かつ
 不公平なものとならざるを得ないということとほぼイコール
であろう。



…。これらはいわば、民主主義(及びその政体、制度)の「入り口」に関するものである。
それでは、民主主義の中身そのもの、についてはどうだろう。

⑥『多数決原理』そのものの問題点。

  …。これが一番大きな問題であろう。
  集団の一員である私たちは、日常のあらゆる場面…例えば学校、町会、会社レベルから
  国会に至るまで、あらゆる場や機会に、この『多数決』の場面に遭遇する。
  そしてそれが、構成員の全員の心からの賛成を得られることはまれであって、多くは
  議論は時間切れということをもって途中でうち切られて『採決』となることが往々にして多い
のは
  皆さん当然ご承知でいらっしゃるだろう。

  そこでは、その案件への議決の『多数派』の意見が採用されることになる。
  そこで、一部の『少数派』の意見が、単に切り捨てられてしまうのではなく、それも
  構成員の意見の大事な一部として、のちの議論や実行に生かされていくのであればいいが、

  この社会では往々にして、少数派意見つまり多数決で負けた方の意見というものは
  軽視され、無視され、葬られてしまうことが起こってくる…



つまり、『民主主義』が正しく機能するためのそもそもの大事な条件…
『社会の構成員に等しく政治参加の機会があること』 『そしてその
民意は、公正に反映されること』という、前提そのものが崩れている

のである…




さて。ここからが大事なことである!

結果次第でこの国の形を変えてしまう怖れのある衆院選の投票日3日前の今、
とても大事なことなので、我慢して協調部分だけでもせめてお読みくださるとうれしいです。


この記事、下の記事 に続く。順次書いてアップしていきます。


            ***


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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

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