『最高裁裁判官国民審査について』

いつか書こう書こうと思いつつ、これまで記事にしてこなかった④『司法権の独立』
についてだけ、ちょっと書いておこう。今度の衆院選と同時に、最高裁裁判官の国民審査が
あるからだ。
日本の最高裁裁判官は、長官を含めて15人いる。
そのうち12人が、安倍内閣総理大臣が任命した人である。残りの3人は、鳩山、菅、野田の
民主党政権時代の総理3人が、それぞれに任命した人々だ。
今回国民審査にかけられる
•小池裕 •戸倉三郎 •山口厚 •菅野博之 •大谷直人 •木澤克之
•林景一

の7氏は、全員、安倍内閣で任命された人々である。

仮に、明日の衆院選で、自公が大勝しあるいはそれに近い議席を今回も得て、安倍氏の
三選が決まって、2021年まで延びることになれば、最高裁裁判官15人全員が、安倍政権によって
任命された人物と言うことにいずれなる・・・。

このことがどういうことを意味するか、ちょっと考えてみて欲しい。

日本では三権分立が、日本国憲法の要の一つとなっている。
司法府は、行政府からも、立法府からも独立していなければならないのだ。
もし、司法府がいつも時の政権に都合のいい判決をするようなことになったら、こんな
恐ろしいことはない!それは誰にだってわかるだろう?

無論、安倍政権に任命されたからといって、その最高裁裁判官が、政権の言いなりになる、なった、
ということではない。それは一応言っておく。中には毅然とした立派な裁判官ももちろんいる。
最高裁元判事、という人で、その論説を見聞きすると、『ああ、この人は立派な人だった
んなあ・・・』と思わせられる人はたくさんいる。

だが。それでも、同じ政権に15人全員が任命されるという事態は、どう考えてもまずい。
それは、何も安倍政権でなくとも、どの政権でも同じだ。
人は弱いものである・・・自分に便宜を図ってくれるものにははっきりものを言えなくなる・・・
ということは、どこの世界にもある。
だから。
司法権の独立、というような大事なことは、どのような政権下、どのような人達であろうが
きちんと担保されていなければならない。
今、安倍政権には、二つ前の記事で示したように、ほとんどの権力が集中しかかって
しまっている。
ちなみに、安倍政権の任期だって、今年3月5日、自民党が第84回党大会を開き、
総裁任期を「連続2期6年 」から「連続3期9年」に延長する方針を正式決定したから、
安倍晋三自民党総裁は、このたびの衆院選挙後の総裁選で3選されれば、2021年9月
までの在任が可能となったのである!.


こういうことまで、実は皆さん、安倍首相の力は拡張されてきているのですよ!
2021年には、その安倍政権に、最高裁判事15人全員が任命されることになるのです!

今私は、いくつかの記事を、投票日前になんとか仕上げて同時にアップしておきたいと思って
ここ数日頑張っていた・・・。
その中に、安倍内閣に限らず、時の一政権が暴走するのを防ぐための防波堤の一つとして
追加すべきこと
を書こうとしていた。それは、
『官僚の矜持』というようなものである。その『前例踏襲』の体質である。
時の政権の横暴に、ときに内部から抵抗する、そういう官僚の存在だ。
そう聞いて、ひとりのひとの顔が、皆さん、思い浮かぶのではなかろうか。
そう。元文科相事務次官 前川喜平氏、のことだ。

官僚は、政治家の意を受けて、実際に国を動かしていく仕事をする。時に、官僚は
『政治家の意を受ける』というよりは、『政治家を実質的に動かして』、組織の防御に努める
存在でもある。『官僚』というと、私たちにはあまりいいイメージはないのではなかろうか。

しかし。官僚達が、その組織の論理で動いて、頑固にその『先例』『慣習』を変えない、
ということが、逆に、時の一政権の暴走からこの国を守っている、という場面もあるのでは
ないか
と私は思う。
官僚の中には、前川氏のような気骨のある人物もいなくはないのである・・・

ところが。
安倍政権は、2014年5月内閣官房内に、『内閣人事局』なるものを新設設置した。
それまで、各省の事務次官を頂点とする一般職国家公務員(いわゆる事務方)の人事については、
事務方の自律性と無党派性(非政治性)にも配慮して、政治家が介入
することは控えられてきた。

ところが安倍政権は、『内閣人事局』を内閣内に設置することによって、各省の幹部人事を
内閣総理大臣を中心とする内閣が一括して行い、政治主導の行政運営を徹底することに
したのである。人事局は各省庁の審議官級以上の約600人の幹部人事を一元的に管理する。

こう聞いても、なんのこっちゃ、何が問題なのかな?と思われるかもしれない。
だが。これにより、政権の意向に逆らうような、あるいはそこまで行かずとも政権の意向に添って
粛々と動かぬような事務方などは、排されるということになっていく恐れは十分に考えられる・・・

東大の牧原出教授(行政学)は「政権が人事権で官僚を威圧すれば、行政をゆがめる。
官邸や政権がしっかり自制すべきだ」
と指摘している。
また、元内閣総理大臣福田康夫氏も、内閣人事局の運用について『各省庁の中堅以上の
幹部は皆、官邸の顔色を見て仕事をしている。』『政治家が人事をやってはいけない』
と批判している。


みなさん!このように、安倍政権は、各省庁の人事権までもを、『内閣人事局』新設で
その手に一手に掌握することに成功しつつあるのです!
安倍首相の、この目立たぬが、自分に権力を集めていく手法は、実はいろんなところで
行われている。皆さんご存じの、日銀、黒田総裁人事。日銀総裁に就いた財務省OBは、
それまで全員が旧大蔵事務次官経験者。黒田氏のような財務官経験者の起用は前例が
なかったのである。だが、安倍氏はそれを行った。
今、黒田日銀総裁がいわゆる『黒田バズーカ』なるもので、どれほど安倍内閣に貢献
しているかを考えれば、う~ん・・・そこに情実というようなものはないと言いきれるか。
日本の金融・経済のことを考える。それが仕事だと言えば、そりゃそうなのだが・・・。

そして同じく、皆さんの記憶からまだ去ってはいないだろう、内閣法制局長官人事である。
安倍政権は、2013年。内閣法制局法制局長官に、元フランス大使で外務省畑出身の
小松一郎氏を任命した。従来、内閣法制局はキャリア官僚を独自採用せず、各省庁から
参事官以上を出向で受け入れ、局長級以上の幹部になるのは原則、法務省、財務省、
総務省、経済産業省の4省の出身者だけというのが不文律とされ、さらに長官までには、
第一部長→法制次長→長官という履歴が1952年以来崩されていないとされていたところ
である。内閣法制局長官は、内閣法制次長を昇格させるのが慣例だったのに、法制局での
勤務経験がない、しかも外務省出身の小松氏をその座にすえるのは、ほんとに異例の
人事であった。
内閣法制局は、行政府内における法令案の審査や法制に関する調査などを所掌する
機関で、そのチェックの厳しさは、『内閣内の法の番人』と称されることも多いところ
であった。小松氏は安倍総理と親しい間柄で、しかも、その2013年当時は、政府は
集団的自衛権行使の容認に向けた解釈見直しをにらんでいるときだった。
『慣例』と『申し送り』人事の伏魔殿のような機関であった内閣法制局を、変えた!といえば
聞こえはいいが、集団的自衛権行使容認のために、官邸主導で、首相の意向に沿った
体制を整える狙いだったと疑われても仕方ないような人事ではあった・・・。
小松氏は、故人には鞭打つつもりはないので、残念ながら、就任まもなく亡くなられた。
そのあとには、法制局の従来の慣習通り、次長であった横畠祐介氏が長官職に昇進したが、
皆さんご記憶の通り、自衛隊の集団的自衛権行使容認の閣議決定に至るまで、またその後の
安保国会とも言える議場での横畠氏の法制局長官としての答弁は、ぬるりくらりと逃げるだけの
はなはだ不誠実なものであった!
私は、内閣法制局は、『慣例』や『申し送り』だらけの伏魔殿、ではあったかもしれないが、
その『法に対する厳密さ』『頑迷さ』が、日本の法をある意味で守ってきたという側面は
大きかったのではなかったかと思っている。実際、元内閣法制局長官であった、という
人々の言論は、主義一貫して気持ちがいい。
小松氏、横畠氏以降、「内閣の法の番人であった『内閣法制局』は死んだ!」と
私は思っている。

・・・このように、安倍氏は、いろんなところで、この官僚機構などの『慣例』を崩している・・・

ようやく話が最高裁裁判官国民審査に戻るが、安倍政権は、どうやら、この最高裁判事の
選出の慣例をも崩しているようなのだ。

最高裁判所裁判官の任命権は、内閣にある。それは憲法にも書いてある。
だが。これまで最高裁裁判官には不文律の出身別枠組みが存在し、概ね
裁判官出身が6人、弁護士出身4人、検察出身2人、行政出身2人、学者出身が1人と
なっていた。
ところが、今年3月、弁護士出身の大橋氏が定年を迎え、通例なら、大橋氏が弁護士出身
であるから、日本弁護士連合会が弁護士の中から後任者の推薦名簿を最高裁判所
裁判官推薦諮問委員会に提出した。その中から官邸が選ぶというのが、これまでの慣例
であった。だが後任に選ばれたのは、著名な刑法学者で元東大法学部長の山口厚裁判官。
山口氏は昨年8月に東京第一弁護士会に登録したばかりであり、日弁連の推薦名簿に
名前は入っていなかった。つまり学者の枠が増え、弁護士の枠が減らされた、ということに
なったのである。
そんなこと、どうでもいいじゃないか、と思われるかもしれないが、これとは別に、
第2次安倍政権発足後、しばらくした頃。首相官邸で、杉田和博・内閣官房副長官が、
最高裁の人事担当者に、退官する裁判官の後任人事案が候補者一人だけだった
ということについて、候補者を二人にせよとの注文をつけたというのである。
このとき、退官が決まっていたのは、地裁や高裁の裁判官を務めた職業裁判官。
慣例通りに行くならば、同じ「職業裁判官枠」から選ばれるはずだったのだが、官邸側の
杉田氏が注文をつけたと言うことだ。2002年に公表した「最高裁裁判官の任命について」
というペーパーでは、最高裁に最適任候補の意見を聞くことを慣例としていたのに
である。そのとき誰が選ばれたのかは知らないが。

今回国民審査の対象となる裁判官は七人。皆、安倍政権が任命した人々である。
そのうち、弁護士出身の木澤克之裁判官は、獣医学部新設に向けてのプロセスの
透明性と公平性が問題となっている加計学園理事長の加計孝太郎氏と立教大学の
同窓で、同学園監事を務めていたことがある。木澤氏は日弁連の推薦名簿に名前が
入っており、「異例の人事」というわけではないが、この加計問題が紛糾している中で
気になることではある・・・。

なお。上に名前の出てきた杉田 和博氏は、内閣官房副長官であり、この8月、これまた
上に書いた、『内閣人事局長』を兼任するよう、命を受けて今、その職を兼務している。
彼は日本の警察官僚出身である。警察ではほぼ一貫して警備・公安畑を歩み、
警備局長を経て内閣官房で危機管理を担ったひとという・・・。
この人の名は、前川喜平氏の騒ぎのところでも出てきたな・・・
温厚で立派な人らしいが、公安・警備端の人が、内閣人事局長・・・というのは気にはなる。

話を再び裁判官国民審査に戻すが。
というように、安倍政権は、いわば『慣例』『申し送り』の続いてきた官僚機構や組織に手を入れる。
『岩盤規制を壊す』一つなのかもしれないが、そうした長年続いた組織の『不文律』には
容易に権力に屈しない、という、組織としての矜持や見識、という側面も存在する。


時の一政権に何もかもの権力が集中してしまったら、それはもうファシズムの世界だ。
独裁政治の世界だ。
それでなくとも権力というものは、長く続くと腐敗しがちなものだ。
とりわけ、司法権が行政権の下になり、行政府の長などの意向を『忖度』する判決など
出すようになったら・・・こんな怖いことありますか?

すでに日本では、いつからとは言えないけれども・・・地裁などで名判決がでた!と喜んで
いても、高裁~最高裁へ、と上級審にかかるようになればなるほど、地裁などの名判決を
覆す、という例が多くなっていくような気がする。
古い話になるが、1959年の砂川事件で、被告全員無罪とした地裁判決を、最高裁が
差し戻し命令を下し、結局、地裁で全員有罪が確定したあの判決などは、歴史に残る
一大汚点だと私は思っている。

司法権は、何者にも侵されてはならない!
時の一政府に、権力を集めすぎてはいけない!



参考までに書いておくが、アメリカの最高裁判所判事は、一人の首席判事と8人の陪席判事
で構成されている。彼らはいずれも終身制で、本人が死去または自ら引退するまで、その地位を
保証され、弾劾裁判以外の理由では解任されることはない。
終身制!?
と驚いてしまうが、これは、アメリカでもにほんと同じように大統領(日本では首相)が任命する。
大統領は原則任期4年である。その大統領が代わるごとに、最高裁判事の判決が政治に左右
されることなどないよう、最高裁判事達が、司法の独立を守れるよう、アメリカではこういう決まりに
しているのである。
一つの知恵ではないだろうか?
ちなみに、今、アメリカの最高裁判事は、民主党政権時代に選ばれた人が4人。共和党政権で
選ばれた人が5人で、およそバランスがとれている・・・。


まあ。明日、最高裁判所裁判官の国民審査があるので、こういう記事も書いてみた。
明日、私自身は、今回審査にかかる7人のうち、二人を除いて、×をつけようかと考えている。
私はこれまで、この国民審査には関心がなく、×印をつけたことはなかった。
だが、無印にすれば、白紙委任したのと同じになる。裁判官諸氏にますます襟を正して
いただきたいという意味で、今回は、×をつけようかなと思っている。

裁判官達の過去の判決がどのようなものであったかは、こちらが参考になるかも。
これまた、長い記事ですが。><

https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20171017-00076994/

しかし、私たちの自由を守るために、こういう機会に裁判所のことにも
興味を持つのはいいことかもしれない。
『司法』が侵されてはならないのである。



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Re:んさんへ

んさん。最高裁判事の国民投票ですね。
な~に。あたしもこれまでそっちは関心なく(笑)、といって全員×にしちゃうと、
もしかしたら混じってるかもしれない立派な裁判官にまで×しちゃうといけないので、
いつも結局、無印で出してきたんですよ~~~。

だって、どの裁判官が、重大な案件でどういう判断したか、なんて、普通の人には
わかりませんものね。情報も、よほど注意でもしてない限り伝わってこないし。
見ててもふだんそんなに注意して記憶してないし。

でも、今回は、ちょっとね、最高裁裁判官という方々にも『司法』という砦の
緊張感持っていただきたく、いろいろ考えて投票してきました~。

とにかく。お疲れさまでした~~~♪ ^^







Re: 鍵コメさんへ

鍵コメさん、こんにちは~。

ありがとうございます。一所懸命書いてたけど、結局、いくつかは投票日前には
間に合いませんでした。
一応、ネットの選挙運動ルールも守んなきゃいけないだろうし。
また、選挙に関係なく、これからもアップしていきます・・・

夜中に目を覚ましちゃって(笑)、お酒ちょっとのんでみたんだけど、結局眠れず。
仕方ないので、7時が来るのを待って、早々と投票に行ってきました~!^^

帰ってきてから朝ご飯食べて、台風接近の雨音聴きながら少し眠りました~~。

うんうん。選挙って、立候補者の生の姿見てその声聴けると、やっぱり違いますよね。
必死さなどもひしひしと伝わってくるだろうし、やっぱり親しみも湧く。
あたしも今、前のようには自由に動けないので、駅頭の街宣などには行けないんだけど、
一回だけ、あたしの好きな政治家さんが応援弁士に入るというので、買い物がてら
聴きに行けました。
でも、シャイなあたしは、遠くからそっと見ていただけ(笑)。

ツイッターやフェイスブックはありがたいですね。新鮮な情報が、直に伝わって
来るからなぁ・・・!
新聞やテレビなど見ていても、候補者の熱、街の声などは全然伝わってこないです。
それもずいぶん、『中立』というバイアスがかかった報道だからなあ・・・。

はい!ありがとうございます♪
目も相当疲れたので、昨夜は休ませました~。

こちらはもうずうっと前線の雨と台風の雨。10月は晴れの日が本当に少なかった。
急に寒くもなったので、温かくして過ごしま~す!
ありがとう~~~!


しまった!

誰にも×つけなかったよ・・・

勉強不足じゃのう、わし。

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『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

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