『母の歌』


前回の記事で触れた『母の歌』。

私にとってはずうっと幻の歌だったが、この記事を書いて、再び巡り合うことができた。
『母の歌』をブログ上で紹介していてくださった、『エムズの片割れ』ブログさん。
トラックバックをお願いすると、快くOKしてくださった。
心から感謝いたします。
先にも書いたように、私は小学校5年生のとき、この歌でNHK地方局の児童合唱団の
オーディションを受けた。
と、偉そうに言っても、私に突出した歌の才能があったわけではなく、
その後は音楽と縁のない生活を送っている。

だからこれは、合唱団の思い出、というよりは、母との思い出の曲である。
小学校の音楽の先生に言われて、オーディションを受けることになったとき、
自由曲に何を歌うか、先生と相談した。
一人一人が講堂に呼び出されて、先生と曲を決めていく。
その春転校したばかりの私を非常に可愛がってくれていたクラス担任の
江藤先生も立ち会ってくれていた。
子供なので、もっと弾むような、明るい歌、美しい歌は他にも選べたと思う。
しかし私は、私を育てるために、毎日毎日頼まれものの縫物をしている母に、
何かの形で感謝を伝えたかった。
曲を選ぶとき、私がこの『母の歌』を歌いたい、と2人の先生たちに告げたとき、
2人ともちょっと首をかしげた。合唱団員試験には、もっと明るい、
もっと子供らしい曲がいいのでは、と思ったのに違いない。
音楽の先生は、私の声質に合いそうな他の曲をいくつか提示してくれさえした。
でも、「とりあえずまあ、試験の練習だと思って、私たちの前でその歌を
歌ってごらんなさい。」ということになった。

季節はちょうど今頃。いや夏休みに入る少し前くらいだったかな。
緑の匂いのする風が吹き渡る、小学校の講堂のピアノで、音楽の先生は、
前奏を弾き始めた。
私が歌い終わったとき、2人はにっこりして、「これで行きましょう!」と言ってくれた。

さて、これが私がその時歌った『母の歌』。
作詞:野上弥生子、作曲:下総皖一、歌:桑名貞子。

『エムズの片割れ』さんのブログで、昭和34年発行の小学5年生用の音楽の教科書に
この歌は載っていたこともわかった。私の学年の一学年下に該当する。
たぶん私は、この歌は、所属していたクラブ活動の合唱部で使っていた教本で
習ったのだったと思う。
しかも、野上弥生子と言えば、私の尊敬する女性作家。

私は今でもまあそうだが、歌声は細く高い。パートはソプラノだった。
際だって個性のある声では正直いってなかったけれど、少女らしい、
繊細な声ではあったかもしれない。
『エムズの片割れ』さんを通じ、安田祥子さんの歌うものもあることを知った。
でも、私の声質とはまったく似ていない。この桑名貞子さんという方の声の方に
どちらかと言えば近いかもしれない。(むろんそっくりというわけではありません。)

NHKのスタジオに一人入って、慣れぬマイクにおびえながら、でも
母の姿を一所懸命想い、こころをこめて歌う、小学5年生の少女の姿を
想い浮かべながら、お聴きいただけると幸いである。

『エムズの片割れ』さん。貴重なブログを快くお貸しくださり、
心からお礼申し上げます。



『母の歌』

 http://emuzu-2.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_ae37.html?cid=51543733#comment-51543733



スポンサーサイト

テーマ : 思うこと
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメントの投稿

非公開コメント

Re: asobo さんへ

asoboさん。こんにちは。

なんてすてきなプレゼント!
このコメント欄で、音楽の贈り物って初めてだったので、とっても
驚いて、今、嬉しくて飛び上がってしまいました。

二ール・ヤング。とってもとってもすてきな曲です。
さっきから繰り返し繰り返し聴いています。気に入りましたとも!
本当に嬉しいです。

この曲を聴いていらっしゃるときに、昔のお友達から電話なんて
不思議ですてきです。小学校3年生の時のお友達ですか!いいなあ。
私は転校ばかりしていたので、幼馴染という人が全くいないのです。
そんなお話うかがうと、本当にうらやましいです。

私も今日はちょうど、小学校の時のことをいろいろ思い出していました。
いろんな子がいたなあ。でもその後のことはお互い少しも知らないんだよなあ、
などと、いろいろしみじみしながら。
そんなときにこんなやさしい歌の贈り物。ほんとに嬉しかった。
ありがとう、asoboさん。
またよかったら、いろいろ教えてくださいね。
今晩、同じページの他の曲もいろいろ聴かせていただいて楽しく過ごそうと思っています。

いつもすてきな曲をありがとう。

きょうは大好きなニール・ヤングの曲をぼくから。
http://www.youtube.com/watch?v=ZaIegJDyoaQ
この曲をきいてるとき、小3の時同級生だった友達から電話があってじーんときました。
気に入ってもらえるといいな。
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
リンク、トラックバックご自由に。

『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/pekai/signup.html
国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/donate/?grid=header02
最新記事
最新コメント
リンク
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード