『こんな本を買った』 其の一

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こんな本買いました。
以前、ある方が勧めていらした本。
評論家、川本三郎さんの本。2000年初版発行。
川本三郎さんは、私が好きな文筆家。
『大正幻影』『都市の感受性』『感覚の変容』『東京残影』
など、いわゆる都市ものは昔、よく読んでいた。

昭和30年代。
それは日本の映画産業がもっとも盛んだった頃。
本によれば、現在(2000年)日本では僅か2000館強になってしまった映画館が、
昭和33年当時は7000館以上あったという。
国民一人当たり平均して年に12回映画を見ていたという時代。
それは現在の約8倍であるという。
それほど当時の人々にとって、映画は大事な娯楽であったということか。

ハリウッドでは綺羅星のごとく、スケールの大きい、そして美しい男優や女優たちが
いて、次々に素晴らしい映画が作られ世界に送り出されていた。
そんな時代に少年期を過ごした川本三郎さんの、映画華やかなりし時代への
回想記である。

次々に懐かしい映画スターの名前が出てくる。
そうして、名作の数々の名が。
スペンサー・トレイシー、ヘンリー・フォンダ、アンソニー・クイン、
バート・ランカスター、ロック・ハドソン、ジェームス・ディーン、
ジョン・ウェイン、ジェームズ・スチュアート、グレゴリー・ペック、
クラーク・ゲーブル、ゲイリー・クーパー、ジャック・レモン・・・
エリザベス・テイラー、オードリー・ヘップバーン、・・・
どちらかというと、男優の名の方が多く出てきますね。

ああ、懐かしい!

と言っても、昭和三十年代、というと、私が小学校から高校にかけて。
その頃母が、人さまの浴衣を一日一枚超スピードで縫いあげて、それで500円くらい
貰っていたように思うから、150円も出して映画に行くことなど出来なかった。
だから私がこういう映画スターや名作の数々を知っているのは、
殆ど『スクリーン』などの雑誌による知識であった。
後は大人になってから、再上映を見たり、テレビで放映されるのを見たもの。
・・・それでも、巻末の映画のタイトル一覧を見ると、結構見ている。
俳優の名前もほとんど知っているし、顔もすぐに浮かぶ。

私が好きだった映画・・・
『アラバマ物語』『十二人の怒れる男』『スミス都へ行く』『オズの魔法使い』
『市民ケーン』『ジェニーの肖像』『わが谷は緑なりき』・・・
ああ、どれを挙げていいかわからない!他にもいっぱい!
見てなくて見たいものもいっぱい!

これからしばらく、この本が寝る前のお楽しみ。


今日は黄金期のアメリカ映画に敬意を表して、こんな有名な曲を。
お若い皆さんも、当時の西部劇の雰囲気をちらとでも、味わいになれるかもしれません。



『High Noon』(邦題『真昼の決闘』)
1952年(昭和27年)。アメリカ。
監督 フレッド・ジンネマン
製作 スタンリー・クレイマー
脚本 カール・フォアマン
出演者 ゲイリー・クーパー、グレース・ケリー
音楽 ディミトリー・ティオムキン

脚本のカール・フォアマンは、アメリカの『赤狩り』に
巻き込まれる。『赤狩り』というのは、全米を吹き荒れた共産党排斥運動。
『フォアマンは、ワシントンの非米活動委員会に召喚されたが言論の自由を保障する憲法を盾に
証言を拒否した・・・フォアマンはハリウッドでの仕事が出来なくなり、イギリスに渡った。』
製作のスタンリー・クレイマーや監督フレッド・ジンネマン、主演のゲイリー・クーパー
などは、脚本カール・フォアマンの名を映画のクレジットに残すことで、
彼を間接的に支援。ジョン・ウェインなどが痛烈に非難したのと対照的である。
この映画に多くのページを割いている川本さんの『言論の自由』『思想信条の自由』
というものに対する姿勢もわかろうというもの。
極めて低予算の中。僅か28日で作られた、西部劇の名作中の名作。
昭和27年の作だが、そういった諸々のことに敬意を表して、ここで取り上げたい。

前にエリザベス・テイラーと並び評された美女中の美女として、
グレース・ケリーの似顔絵を描いたことがあるが、この頃新人だった彼女がクーパーの妻役で出ている。
http://clusteramaryllis45.blog61.fc2.com/blog-entry-134.html


ああ、いい本だな。
一つ一つの映画が、語ってもその魅力が汲みつくせぬほどの名画ぞろいの上、
川本三郎さんの映画に対する熱い想いが溢れていて、一篇一篇を
香り高い珈琲か何かのように、ゆっくり味わいながら楽しみたい気分。
勿論未見のもので手に入るものは見たいし、観たものももう一度見直してみたい。

一篇一篇の文章、一作一作の映画に対して、オマージュ記事を書きたいくらいだ。

そう。これからだんだん夜が長くなる。
蝉の声もいつしかパタリとやんだ。昨日あたりまでは鳴いていた気がするが。
夏の終わりはいつでもこころ寂しい。秋の初めはなぜか人恋しい。
その人恋しい季節を、どう過ごそうかと思っていたが、この本を味わいつくす
ことで、長くなっていく夜を過ごすことにしてみようかな・・・。


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ジャンル : 学問・文化・芸術

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Re: 乙山さんへ

乙山さん。こんにちは。

川本三郎さんはいいですね。
残念ながら『はるかな本、遠い絵』は読んだことがありませんでした。
良さそうですね。
川本三郎さんと村上春樹さん・・・
実は私もずっと、なんとなく雰囲気が似てるな、と感じていました。
何か外見も似てる感じがするし、漂わせている雰囲気が似てますよね。
ともに、精神の清潔感を感じさせられるところとか。その博識ぶりとか。
アメリカ文学とのかかわり方とか、他にも共通点がありますね。
ほんとう。兄弟と言っても信じられるかも、ですね。

昼間の暑さはそう変わらないけれど、夜がだいぶ涼しくなってきました。
少し楽になりますね。
お気づかいいただきありがとうございます。
乙山さんもどうぞ、ゆく夏を十二分にご堪能なさいますよう。

川本三郎

彼岸花さん、こんにちは。
以前川本三郎さんの『はるかな本、遠い絵』という本を
読んだことがあります。
味わいのある文章だったように覚えています。

ところで、川本三郎さんの容貌は
村上春樹さんになんとなく似ているように思いました。
兄弟です、とお二人が並んでもだれも疑わないのでは?
もちろんこれは乙山の戯言です。

残暑が厳しいですね。
御身体お大事に。
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
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