『晩秋の飾り窓 其の二』



老婦人が今も現役で切り盛りする小さな美容院の近くには、
金魚や小鳥を扱ううらぶれた感じのペットショップがある。
今流行りの、ミニチュアダックスフンドやチワワなどの犬でも売れば儲けようものを。


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ところが実は、数日前の新聞に載っていたのだが、この頃お魚を飼う人が急増しているそうである。
1950、60年代くらいだったかな、熱帯魚がブームになった時代があって、
応接間に革張りのソファとガラスの天板のテーブル。観葉植物、
そして、ネオンテトラやグッピーなどの熱帯魚の水槽…というのが
定番の時代があったっけが。
人々の生活が、戦後ようやく豊かになり始め、家に応接間、などというものを
庶民も持ち始めた時代である。
それを第一次熱帯魚ブームとするなら、バブルがはじける少し前の時代が
第二次熱帯魚ブームなのかな。
この頃、水槽に関する技術が飛躍的に発展して、しかも、水草、石、照明など、
熱帯魚の水槽を総合的に美しく演出することが始まった。

しかし、景気が悪くなると、生活の余裕も気持ちの余裕もなくなり、
熱帯魚などを飼うのは一時下火になっていたと思う。
私はそういう感覚で、このペットショップのうらぶれ方を見ていた。
今どき、魚や小鳥を売るこんな店、やっていけるのだろうか、と思っていたが、
そうなのか。魚を飼うのがまた流行りだしているのか・・・。
なんでも、ひとり暮らしで寂しい、などという人が飼うのだそうである。
犬や猫ほど、手間もお金もかからないし、独身者のアパートでも
気兼ねなく飼えるから。
生きものを育てるという経済的な余裕や、精神的ゆとりから飼っていた
第二次ブームとは違い、今は、寂しさを紛らすために飼う人が多いのだろうか。

赤い子がたくさん!
この子もあの子も、どの子も真っ赤。
お前たち。ずいぶ赤いわね・・・。


私もガラスに顔を寄せて、そんなことを話しかけてみる。
これで一匹一匹、生きているんだからなあ。
私の命も、この子たち一匹一匹の命も、いのちの重さということでは
なんの変りもないのよ。

ポニョがいっぱい・・・・。



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テーマ : 思うこと
ジャンル : 学問・文化・芸術

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Re: さおるさんへ

さおるさん。
私のこと、そんなふうに言ってくださってありがとう。
とってもすてきな表現していただいて、恥ずかし嬉しいです。

時代の流れに乗り遅れたものは、消えていくのが世の習い。
そうやって社会の新陳代謝が行われ、世代交代が行われて行く。
それは仕方ないんですけど、あまりにもそのスピードが
早すぎる気もします。余韻もなくいろんなものが消されて行く。

時代の流れだから、とあきらめてしまえば楽なのでしょうが、
消えさる前に、せめて小さな記憶としてでも残しておきたい。
そんな気分です。
そうして、絶対これは消したくないと思うものたちがある。
紙の本とか、フィルムとか、雑種の犬とか、油絵具とか…
そんなものが消えてしまった世の中が来たら、なんと味気ないことでしょうか。
それには断固、闘わなくっちゃね(笑)。

さおるさん。いつも優しい言葉をありがとう♪

No title

こんにちわ。
お前たちずいぶんあかいわね。
って、彼岸花さんのつぶやきに、おもわず笑ってしまいました。

美容室の明かり、金魚の群れる赤。ミニ行灯のともしび。

消えてゆくものには、憂愁の美がありますね。。
なんだか、今度は、涙ぐみそうですが。。。

そんなうらぶれていく店舗の並ぶ前に、足をとめて
その店の店主に、その店の歴史におもいを馳せる彼岸花さん。

だれもあしをとめなくなったその場所で、送り届ける人が、
居てくれること。

彼岸花さんこそ、ひとつ灯る あかりのようです。

Re: 依里さんへ

依里さん。こんばんは。

ね。ポニョみたいでしょ。
しばらく見つめていてしまいました。
夕暮れの、夕食の支度時に、そんなところで自転車停めて、
お魚や小鳥を覗きこんでいる私の姿を想像してください(笑)。
ひま人だな~。

依里さん、なんだかかわいい。あなたのお顔を想像してしまいます(笑)。
きっと、心の内にとっても茶目っ気のある方なのね。
あなたのそういう側面がとってもいいなあ、と思う彼岸花さんです。

No title

あ、ホント。
ポニョがいっぱい。。。
って、あれ?なにをコメントしようと思ったんでしたっけ・・・?

Re: そらまめさんへ

そらさん、こんばんは。

そうなんですよね。空前のペットブームの陰で、年間50万とも60万とも
言われる数の犬や猫がごみのように処分されているのですよね。
私は、今のペットブームには、一種異常なものを感じてしまうのです。
川原を飼い主とお散歩している犬たち。
雑種の割合が、極端に少なくなってるんですよ。
それだけ、人間が管理しているってことですよね。
雑種犬もいない世の中…なにかぞっとするものを感じてしまうのです。
少し弱かったり毛色が悪かったりすると、買ってくれる人がいない。
そうした犬や猫たちは、薬殺処分やガス室で死んでいくんですね。

私も、犬は大好きなのです。
あんなに人に真心を尽くす生き物はいません。
『上等』なこころを持っているとさえ思う。
犬猫にかぎらず、生きものを飼うのなら、最後まで責任を持って欲しいですよね。

そらまめさん、ありがとう。

No title

よく伺うブロガーさんで、保護された犬を里親が見つかるまで預かりをする
方がいます。
センターに引き取られた犬たちは様々な理由がありますが、一番多いのが
ブリーダーと称して狭いゲージで子犬を産ませるだけために飼われている
『多頭飼い』から保護、または処理を目的で連れてこられるケースです。
ペットブームの裏の人間の残酷さ・・・強く思い知らされます。

この記事とは全く関係なかったのですが、写真の水槽の中の赤い金魚郡
を見て思い出してしまいました。すいません。

でも水槽の中の魚って見ていて飽きませんよね。(笑)

Re: 魚屋栄吉さんへ

魚屋栄吉さま、ありがとうございます。

お褒めにあずかると、また頑張って続けようかな、という気にもなります。

お魚は私は、むか~し昔、ガラスの鉢で金魚飼ったことが
一度だけあります。金魚すくいで一匹だけ貰った赤い金魚。
確かに。昔は今のような、便利な装置が
なかったので、水道水を一日洗面器にためておいて、
ガラス鉢の水と一部とりかえる、などという、手間のかかることを
一所懸命やってました。
でも、餌をやりすぎちゃうんですよね。
一か月ほどで果敢なくなってしまいました。ああ!

6年も7年も元気でいさせて、そんなに大きくなるまで飼ってらしたなんて
すごいです。うちの近くのお宅の庭にも、緑色の苔のはえた割合小さな
水槽の中で、巨大になった金魚が泳いでいます。
雨に打たれ、太陽が照りつけて水の温度が上がっても、平気平気。
あの水ごけなどがいいのでしょうね。

空前のぺットブーム。何がしかの寂しさを多くの人が抱えて
生きているのでしょうか。
ありがとうございました。

Re:HOBO さんへ

グッピーですか。
私が小学生くらいの頃、流行ったことがありましたねー。
でも、HOBOさんは、まだ生まれてらっしゃらないくらいでしょうから、
ご存じないですよね。
ライティングなどをしだしたのは、第二次のブーム、バブルがはじける直前
くらいらしいですから、その頃でしょうか。
お母様もきっと、水槽の中のお魚たちをご覧になって、
なにかを想っていらしたのでしょうね。

お魚が、狭いところなんだけれども、泳ぎ回っているのを見ると、
心が落ち着いてきますね。私もここのペットショップの前を通る時は、
この赤いお魚たちをつい見てしまいます。
後は、隣の小鳥たちをちょっと覗いて。

犬はいいですよ~。でも飼うんなら私は雑種の犬がいいな。

Re: waravino さんへ

waravinoさん。
なんとなく飄々として味わい深いコメントを、いつもありがとうございます。
メダカの入ったプラスチックの水槽。台風でどこかへ飛んで行った、
というところを読んで、笑ってはメダカたちに可愛そうなんですが、
でも、笑ってしまいました。
風にとばされた水槽は、側溝の近くに着地して、メダカたちはそこから
川に泳ぎ着いた、ということにしておきましょう。
「waravinoさん。3年間。お世話になりました~!」と、手を振りながらね。
あ。手はないから、尾びれを振りながら、ですね(笑)。

生きものというものは、飼うとなぜかずうっと心に残るものですね。

No title

彼岸花さん、こんばんは。

いつも面白い記事楽しんでいます。

今は、ペットブームですよね。彼岸花さんの書いているように一人暮らしの人が増えたのかな。
金魚を買うのもえさをやったり、水を替えたり大変ですね。
昔、子供のとき、金魚飼ってたけど、結構大きくなりましたよ。10cm以上ぐらい。6年も7年もかかったような記憶があります。
ペットは人間より寿命が短く、お別れが来るのが辛いですね。亀は万年か?

では、また。遊びに来ます。

けっこう面倒でした!

ぼくはグッピーを飼ったことがありますよ。オスとメスではしっぽの長さ
がちがったり、ライティングぅ~したらきれいで、母は「いいものだね~
魚も」とか言っていつも眺めてましたね。でもいろいろ病気とかがあるみ
たいで結局かわいそうなことをしました。生きものはむずかしいです。

以前、会社でカメを飼ってまして、ものすごくでかくなったのでペット
ショップにひきとってもらったことがあります。そのあとたまにその店を
のぞくたびにそこの店主に皮肉をいわれました。「このカメは凶暴でね~、
ほかのカメにケンカを売ったり、性格がよろしくない」だって。
水槽の内側から飼い主の根性が見えるんでしょうね。やはり環境づくりが
大切。ただ餌をあたえて飼ったつもりではかわいそう。でかくなったから
引き取ってくれですからねえ、最低です。むずかしいです。ペットは。
こころが通じ合うという意味では犬なんかいいのでしょうかね。
うぉんうぉん!

hobo

こんばんわー

熱帯魚ブーム。再燃ですか?
国道沿いに熱帯魚のお店がありましたが。
いつのまにか消えております。

熱帯魚は飼ったことがありません。
装置だとか。
なんだかかんだで面倒なimageが^^;

メダカはありますw
家先に置いてあった水槽に。
4~5匹住んでおりました。

3年ぐらいたった頃でしょうか。
台風が来て。
水槽ごと。
どこかに飛んで行ってしまいましたーー;

プラスティックの水槽でしたからねぇ~。
気の毒なことをしたものです。南無。

Re: 手帳さんへ

手帳さ~ん。ありがとう。

ね、ね。一緒に歩きましょ。
きっと楽しい。

私も手帳さんのところで、一緒に泳いだりしてるよ。
実際は私はかなづちなんだけど、手帳さんが、すいすい美しいお魚のように
泳いでらっしゃるところを読むと、私も泳げそうな気がしてくる(笑)。
ゲランの香水つけて、もくもくと草むしりしたり(!)、
元気にストンプしたり、
心の中でいつもする。ほんの時折のしょぼしょぼも一緒にするよ。

一人のお散歩も楽しいけれど、誰かが一緒だともっと楽しいわね。
心の中で一緒、というのでもいいけれど。
だから、ご一緒しましょ(笑)。

今日は素晴らしい晩秋の晴天。光がまぶしいです。
住宅街を歩くと、ふと漂ってくるのは、菊科の植物の、黄色い花粉の香り。
黄色の小菊とかね、ツワブキとかね、黄色い花粉の香りが私大好きなの。
手帳さんならそういえばわかってくださるわね。
柊の花も香ります。
つつましやかな初冬の香り。ああ、いいなあ、ねっ?

Re: morinof さんへ

morinofさん。お久しぶりです。

…40匹程のメダカ、無数の南沼エビ、 ドジョウ、川蜷、タニシ、タナゴ、
メダカ、テナガエビ、ヤゴ、ツチガエル、牛ガエル、殿様ガエル、カジカ…。

それはもう、その新聞記事の、都会の一人暮らしの人などが、熱帯魚を飼って
無聊を慰める、などということとは次元が違いますね。
なんだか賑やかな学校、という感じです。どっしりした校長先生や、歌のうまい
音楽の男先生、バリトンの声が教室に響く国語の先生、給食のおばさん、
ちょろちょろ落ち着きのない子、皆の憧れの美少女、静かな優等生、
可愛い下級生たち…などなど、生き生き賑やかな、山あいの学校。

私も、自分ではやりませんが、ビオトープや熱帯魚の水槽、
水族館など、泳ぐお魚をじいっとただ見つめているのは好きです。
時々行く内科のお医者さんのところに、美しい熱帯魚の水槽がある。
退屈なので、じいっと観察していると、お魚にも性格がありますね。
やたらちょろちょろ泳ぎ回る子、じいっと岩のそばで動かない子、
同じところを小さく動き回る子、ガラスの外をしきりに見ている子…。
ガラスの外を見ている子には、外から指をあてて、とんとんノックして、
なんだか話しかけたくなりますね。

は~い。ね、なに見てるの。お外に出たいの?
お名前なんていうの。お年はいくつ?

蒼林窯さんの赤い金魚には、お名前があるのかな。
茜ちゃん、とか…、トトや(笑)、とか。




No title

彼岸花さんのお話楽しいなと思いながら読んでます。
自分の目がくっ付いて一緒にぶらぶら街を歩いているみたい。
とても鮮やかな描写です。
彼岸花さんが心を寄せるものは、どれもノスタルジックで切ないトーンがあります。
見つめ方に労りが籠められていて私は、読んでいて嬉しくなります。

お久し振りです

工房の「あたま山」には40匹程のメダカと無数の南沼エビを飼っています
と言うより、もう勝手に増殖しながら、棲息していると言う感じです。
「あたま山」から流れ落ちた小さな湿原池は完全にビオトープ状態で
ドジョウ、川蜷、タニシ、タナゴ、メダカ、テナガエビ、南沼エビ、メダカ
ヤゴ、ツチガエル、牛ガエル、殿様ガエル、カジカ、後は何が棲んでいるのか
分かりません。作業に疲れた時ふらりと覗いているとホッとしますねえ。
隣の蒼林窯氏の玄関には、石を刳り抜いた手水鉢のようなものに
赤い金魚を一匹。そばによるとパクパク口を開けて餌をねだるそうです。
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/pekai/signup.html
国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/donate/?grid=header02
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