『原発はいかにして日本に持ち込まれたか』

こんな番組があります。とりわけ若い方には見ていただきたいです。

『原発導入のシナリオ ~冷戦下の対日原子力戦略』
◆「毒をもって毒を制する」 第5福竜丸事件で反核・反米の世論が高揚する中、日米が協力し民間から行った世論形成の全貌を明らかにする。(現代史スクープドキュメント 1994年放送)



これは、日本に原子力発電が持ち込まれるまでのいきさつと道程、
そうして今日の、電力会社、政治、経済界、マスコミの癒着構造が
どうやって生まれたか、ということを描いたNHKの番組です。  
淡々と、しかし生々しくその過程が、追及されています。
NHKと言えば、なにかとバッシングされる対象になってしまいましたが、
このように、力の入った報道番組を作る力ももっています。
NHK論はまた、いずれ。

これを見れば、どのようにして、『原子力はいいものだ』という
刷り込みが、国民に国を挙げてなされたか、がわかるようになると思います。
そこには、アメリカとソ連が深く絡んでいます。
アメリカと旧ソ連の冷戦構造と核競争。
その間に立たされていた日本…。

ああ!今、こんなにも私たちに温かい援助の手を差し伸べてくれている
良き友人、アメリカ!
どれほど、その強い手が今、ありがたいことか!
今度ほど、アメリカという国が好きになったことはありません。
だって。頼りになるんですもの。
しかし、これから日本の対米依存はこれまでにない規模と心情で進んでいくのだろうなあ…。

そう言う自己撞着は感じながらも、やはり、これは知っておいて
いただきたいことだと思いました。
政治、というものが、どういうふうに国民を引っ張っていくか、ということを
若い方にはとりわけ知っていてもらいたい。

これをご覧になれば、なぜ、今、どのテレビ局を見ても、どの番組を見ても、
なにか、原発の真実が見えてこない歯がゆさ。
その根っこがどこから生まれたか、少しおわかりいただけるのではないかと思います。
これは特定のテレビ局のことを言っていますが、その後、
『原子力発電=クリーンエネルギー』というキャンペーンがずっとずっと、
辛抱強く全マスコミを通じて行われてきたことは、皆さんもご存じでしょう。
電力会社、政治家(ほとんど自民党政権下。しかし今の民社党も)、経済界、マスコミ。
それらは分かちがたく絡み合って、今日まで原発を推進してきたのです。

『原子力の平和利用』。
…なんという夢と輝きに満ちたキャッチフレーズだったでしょう。
しかし、これを見ればわかるとおり、それは、アメリカ、ソ連が核兵器を
開発していく過程で生まれるプルトニウムや残りのウランをなんとか
副次的に利用し、核開発の隠れ蓑に使われてきたのだ、ということがわかるでしょう。

原子力発電のイメージは、こうやって意図的に作られたものです。
当時、原子力を推進した人は、原発がどのような負の要素をもつものか、
ほんとに知らなかっただろうと思います。
当の正力氏が、「原発はバイ菌を殺してくれるからいい」、と語っているように、
その程度の認識しかなかった。まして一般国民に置いておや。
もし事故が起きたら、とか、使用済みの危険な核のゴミはどこにも捨て場が無いとか、
そんなことは誰も想像さえしていなかった。

しかしながら、時を経ていくと、最初にだれがどう動いたか、などということは
歴史の闇の中に埋もれてしまいます。
そうして、その責任の所在も曖昧になってしまう。
今、私たちが選んでいるこの道…
それが、20年後、30年後、50年後…の人々に、一体どういうつけを回してしまうのか、
私たちはその責任を問われることはない。
かつて、このように原発導入に積極的にかかわっていっていた人々が、
今はもうほとんど鬼籍に入り、その責を問われることが無いように…。

なお、ここで、日本の原発導入に大きな影響を及ぼした、正力松太郎というひと。
私に近いほどの年齢の方ならご存知でいらっしゃいましょう。
でも、若い方はご存じないに違いない。興味のある方はこれをお読みください。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E5%8A%9B%E6%9D%BE%E5%A4%AA%E9%83%8E

原子力発電というものは、ただ科学の分野で安全かいなか、と語られるだけの
ものではない気がします。
そこにからんでいる、日本人の思想史、経済界のからくり、労働問題…
さまざまな要因が複雑に絡み合った問題です。
その一端でも、若い方々に知っておいてほしい。

共産主義、というものを、激しく憎悪する人々がいたのです。
特に、旧軍部で権力を握っていた人の中には、そういうひとも多かった。
アメリカでは、かつて『赤狩り』という粛清の嵐が吹き荒れ、
思想的、文化的、社会的に共産主義者を抹殺しようとする動きが長く続きました。
ここにその一端を見ることが出来ます。
と言って、日本がソ連側に立てばよかった、というわけでもない。
今、北朝鮮が恐らく陰で思想的に抹殺している人がどれほどいることでしょう。
…人間というものは怖いものです。

この映像を見るとき、私は人間の憎悪の深さというものに戦慄してしまう。
原子力発電には、こうした歴史の暗部がその初期段階にありました。
推進する者と反対する者…その間にも、越え難い溝や、時に憎悪がある。
私自身も、それに捉えられているのかな…。

ああ。しかし。
判断は個々の皆さんがすること。これからのエネルギーのことを考えると
ただ善悪、好悪ばかりも言ってられない気もします。


人間には想像力というものがある。
1年後…50年後の厄災を想像できるのもまた、人間です。
私たちの子や、孫や、そのあとの世代の人々、
そうして、なべてこの地球にある生き物のためにも、現在を生きる我々の
欲望だけでこの地球を汚してしまわないよう、その想像力を使いたいものです。

それには、私たちの生き方自体を考えていく必要があるように思います。




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Re: はなさかすーさんへ

はなさかすーさん。ありがとうございます。

こんなところで小さな声を上げていても仕方ないっちゃ仕方ないんですけど(笑)、
それでも、私に今できることを、と思って、書き続けることにしました。
いろいろなことを思っています。その想いがなかなか言葉になりません。
一つづつ書いていくしかないのですが。

もどかしいです。何もかもがもどかしい。
自分も含め、どこもかしこもが、思考停止状態になっているようで。

今こそ新鮮な発想、型や常識にとらわれないアイディアと機動力、行動力が
必要なときはないのに、新鮮な血流が必要なときはないのに。

こういうとき、宗教は人々を導きます。
でも、日本にはそういう意味での宗教は人々のこころに根付いてないし、
人々を導く哲学も、ありませんね。哲学はとうの昔に死にました。
あとは歴史に学ぶ、ということなんですけど、それが一番欠けているもの、
という気がします。
歴史を学べば、物事が、その時代にふっと出来したのではない、ということがわかる。
そういうことがわかると、それでは将来のために何をすればいいか、
ということもなんとなく見えてくる。自分たちが置かれている状況のおかしさも見えてくるはず。
…そう思うんですけど、うまくそれを伝えられるかなあ。

ありがとうございます。私、ぽちぽち頑張ってみます。
頭は今、フル回転(笑)。
体がついていかないので困っています。
今日、ようやく。我が家の辺りで、染井吉野が7,8分咲きになり、
少し春らしい気分の散歩をしてきました。
でも、去年までの春ともう、同じではないとどうしても感じてしまいます。
寂しいことです。

思想史

彼岸花さん、こんにちは^^

思想といいますと聞こえはいいのですが、人類の行く先を決定
していく上で、何だかんだ言いまして最も影響をもたらしたので
しょうね。優れた頭脳は、全体のなかで進行すればいいものを
人間という地球上の部分のなかで進行してきたことに一番の
問題があったのだと考えています。全体を想像する上で宗教が
その手助けをすることもありましたが、現代では政治と変わらない
ものとなりましたし、優れた思想性も磨かれずにあります。

彼岸花さんの情報、多くの若者に届いたらいいな。
現実を変える力を、自分の脳ミソを鍛錬することから学んでほしい
ものです。リンクさせて頂くかも知れませんが、その節はよろしく
お願い致します^^

Re: morinof さんへ

morinofさん。早速見ていただき、ありがとうございます。

…遠い遠い昔の話です。今から60年近くも前の。
いまさらなぜそんな古い話を、とも思われるだろうし、
個人攻撃をしてもしかたないだろうとも思えたし、私はこの映像を知りながらも、
3月からずっとアップするのをためらってきました。
今は、被災地の方のことが第一だろう。原発を追求するのはそれからでも、
とも思えたし。

しかしながら、人には人それぞれの、持ち分というか、
そのひとが出来ることがあると思うんです。
morinof さんが「拍手を送りながらも」と、お書きになり、
「今私にできることを」とお書きになられたように。
迷いつつ惑いつつですが、私は、この原発を日本からなくすことは出来なくとも、
少なくとも、新設を止めたり、今ある原発の安全管理を徹底させたり、
再生エネルギーの方へシフトしていくことのためにささやかな声を上げることは、
できるのではないかと思うようになりました。

言わば、これが63歳になった私にできる最後のことかなあ、と思えるようになりました。
これらをご覧になった皆さんが、どういう判断を下されるか、ということは、
また、その方に今なにが出来るか、ということは、それぞれの方が、
人の動きを気にすることなく、それぞれお考えになればいいことだろうと思っています。

私はこれらの記事を、誠意をもって書いていこうと思います。
正力さんについても、別の角度から見る必要もある。
バランスを見ながら、なるべく公平に書いていこうと思っています。
これで、随分、語調を柔らかくするよう、努力しているんですよ(笑)。

morinof さん。ありがとうございます。
真剣に向き合って読んでくださったこと。ありがたくてこころに沁みます。
これからも、遠くから、やさしく見守っていてくださいね。

拍手を送りながらも

この裏舞台を知った上で、この国と原発を
見つめ直すことが大切なことのようですね。
何故あの時点で廃炉に踏み切れなかったのか
原発が暗部を含む、網の目のようなしがらみの中で
動けなくなっているのが理解できます。
あまりにも重い負の遺産に言葉がうまく整理できませんが
NHKに、彼岸花さんに拍手を送りながら
今私にできることを考えています。

プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
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