『ジャーナリズムの死?』

いつから日本のジャーナリズムは、力を無くしたのだろう…。

東日本大震災。
この歴史上も例を見ない大きな悲劇を前にして、ジャーナリストの
果たすべき役割は大きいはずなのだが、テレビを見ても、新聞を見ても、
同じような報道ばかりで、こちらが知りたい、と思うような情報が
一向に伝わってこない。そのもどかしさ!

もし、そう批判したら、マス・メディアの人々は、『それは政府の対応が
ぐずぐずしていて、なにが起こっているのか一向に明確に発表して
くれないからだ』、と言い訳するかもしれない。
しかし、そこに食い込んでいくのが、探っていくのが本来のメディアの
使命ではないのか。

でも、どのテレビを見ても新聞を見ても、同じような記事ばかり。
その局、その新聞独自の切り口の取材があってもよかったはずなのでは。
また、どうせ、取材するなら、もう少し突っ込んだ深い取材が欲しい。
政府や東電の発表することを、そのまま記事にするのでは、ジャーナリストとしての
役割は半分しか果たしていないことにならないだろうか。
テレビを見ても、新聞を見ても、真実がなにかぼやかされているような
印象ばかり受ける。

だからこのところ私は、週刊誌や雑誌をよく買って読んでいる。
緊急増刊のAERA,サンデー毎日、週刊ポスト。週刊現代。文藝春秋…。
私はこういうものをあまり買ったことが無かったのだが、これらがなかなか興味深いのである。
『腑に落ちる』記事が多いのである。
テレビをいくら見ても、もわ~っと曖昧だったことが、ここには
ちゃんと記事になって出ていたりする。

こういう雑誌やネット上の情報を、鵜呑みにしてはいけないということは
勿論よくわかっている。
時にそれらは、雑誌を売らんかな主義の扇動的な記事であったり
短絡的な記事であったりすることもある、ということ。それは頭に入れておかねばならない。
しかしそれらを知っていた上で、そこにかかかっているバイアスを取り外して
読んでみても、これが勉強になるのである。その方がかえって物事が鮮明に見えてくるのである。

いわゆる大新聞やテレビ。それらがあたりさわりのないよう
柔らかなフィルターをかけて報道することと、こういう雑誌が扇情的に報道すること…。
それらをひき比べて読み、いろいろなことを総合して考えると、
「これはこういうことが真実のところではないかな]ということが見えてくるものである。
大新聞やテレビだけを見ていては、判然としないものが。


私は、新聞記者がいかにも新聞記者であった頃を懐かしむ。
権力に敢然と挑戦し、その矛盾点を深くえぐり出す力をもっていた時代。
市井の人々の生活に深く入り込んで社会の深層問題をあぶり出す力をもっていた時代を。
戦後のある時期。確かにそういう時代が存在したのである。

私は今、そうやって大震災・原発関連の雑誌などを読む一方で、
夜寝る前は、こんな本を読んでいる。

2011_0412_171353-CIMG4295_convert_20110413011619.jpg

本田靖春。
讀賣新聞の辣腕記者として、『黄色い血』キャンペーンを大々的に張った。
私は正力松太郎というひと、渡邉恒雄というひとが感覚的にきらいであるが、
ほら。讀賣にこんなすごいひとがかつていたのである。
日中戦争時の731部隊の生き残りたちが作った日本ブラッドバンクが
ほぼ独占していた売血による輸血血液の事業を、やめさせたひと。
こんにちの原子力産業と政治、官僚、経済界、マスコミの癒着構造と
同じように、利権関係や慣行がどうにもならないほど絡みついていた
問題に鋭く切り込み、時に厚生省や大蔵省に殴り込みをかけて、
今日の献血制度を作りあげたジャーナリスト。

彼のようなジャーナリスト魂は、まだ死んでいないと信じたいのだがどうだろう…。
ジャーナリスト諸子よ。
日本というこの国が大きな悲しみと重大な危機に面している今だからこそ、
政治が頼りにならないこんな時だからこそ、
ジャーナリスト魂を発揮して、いい仕事をして欲しい。
この国の復興を阻む膿を嗅ぎ出し旧悪をあぶり出す、鋭い舌鋒をふるい、
そのペンで真実に鋭く切り込んでいって欲しい。


本田靖春氏については、近いうちにご紹介したいと思う。






スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

Re: スキップさんへ

スキップさん。はじめまして。

我が家はもう40年以上も朝日新聞一紙なので、昔となんとなく
違ってきたな、ということは感じます。
面白いシリーズものがなくなりました。
通り一遍の記事が多くなった。
それから、左がかっているという批判を避け、中立たらんとするあまりでしょうか。
ぬるま湯に使っているような記事が多くなった気もします。

新聞社の裏側を私は知りませんが、大株主にどこがなっているか、によって、
それに気を遣う、ということは今でもあるのでしょうね。
先日、東京電力の記者会見を映像で見ていて、あれ?ストックホルム症候群が
記者に広がったかな?と思うくらい、記者団の質問にキレがなかった。
数人のフリーの方が喰い下がっていただけで。
他の記者さんたちが、東電の社員にやさしくなったような…。
同じ人間として、『彼らも大変だなあ。』と思う気持ちが湧くのは自然かも
知れないけれど、取材記者としては、もっと勉強し、核心に迫る質問を
バシバシしてもらいたいと思います。

『週刊金曜日』ですか。今、調べてみました…。
ああ。執筆陣がいいですねえ。私が常々いいな、と思うひとがたくさんいます。
これは早速購読したいです。
とても有益な情報をありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

No title

 「人を笑わず人と笑う」の八角(やすみ)です。初めて、コメントさせていただきます。
 同じ思いを持つものです。マスコミ記者が社会の上層を形作っている様に感じます。特権階級化です。もう、三十年も前になるかもしれませんが有楽町駅で降りて朝日新聞前に来ると(当時はここに本社がありました。今は築地ですが)黒塗りの高級車に乗って、新聞社記者が数人乗ってゆかれました。重役か政治家に見えました。なるほどと思いました。
 左と言われる朝日新聞でさえ、三十年も前からそうなのです。体制側にたって仕事をしています。その朝日の権力監視の精神を引き継いでいるのは「週刊金曜日」ではないでしょうか。購読をお勧めします。

Re: はなさかすーさんへ

はなさかすーさん。こんばんは。

時相や社会を総合的に見ていくこと。
私は素人だから、勝手な御託を並べていますが、実際はとても難しいことですよね。
自分のバイアスをかけないように何かを書くということもとても難しい。
こんな、ネットの片隅の私のブログのようなものでさえ、社会のこと、
とりわけ政治的なことを発言しようとすると、とても大変です。
果たして、自分が得た情報が正しいのかどうか、それに確信が持てないことが
あります。情報の出所をはっきりしなければいけないと思うけれど、
ネットの世界を伝わってくるうちに、誰かのバイアスがかかっているかもしれないし。
それよりなにより、おっしゃるように、自分自身がこういうことを書きたいと
思っていると、それに都合のいい情報ばかり、切り貼りする、ということが
一番起こりがちですし。

しかし、ジャーナリストというプロの話となると、私は今少し、
自分の意見というものを強く推し出す人がいて欲しいという気もします。
公平で冷静な観点も必要だけれど、それが現状容認になってしまっては困る。
皆が同じ方向を向き、皆が同じ気分に支配されることほど気持ちの悪いものは
ありません。異端を排するような時代の空気というものは要注意。
そんな中でも敢然と、それは違うだろ、と切り込んでいける強さと見識。
そういうものをジャーナリストは持っていて欲しいと思います。
正しいことのためなら時に強引なほど突き進むジャーナリスト魂というものが。

本田靖春さんというひとはそんなひとであったようです。
まだ全部読み切っていませんが、読み終わったら、早い時期にご紹介したいです。
壮絶な人生です。

いつも温かく頼もしいお励ましのコメント。ありがとうございます。





ペンで斬る

彼岸花さん、こんばんは^^

とても楽しい記事でした。勉強にもなりました。
時相や社会を斬ることは、総合的な力が必要ですから
そのような総合力を有したジャーナリストがいないこと
の証しなのでしょうか。部分に秀でている人はいます
けど。それから、喰っていく論理。我が身可愛さに、論理
を自分に引き寄せて解釈するから、益々自己矛盾の
自己撞着に陥りますものね。

いい仕事をした日本人を知りたいです。
ワクワク・・・・楽しみ^^
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
リンク、トラックバックご自由に。

『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/pekai/signup.html
国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/donate/?grid=header02
最新記事
最新コメント
リンク
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード