「愛しき(かなしき)もの」

フェティシズムという考え方がある。
もともとは、人類学・宗教学で、呪物崇拝、を指していた言葉らしいが、
今では、心理学の立場から、本来性的対象とは言えない、異性(もしくは同性)の、
靴や服装の一部、また体の一部などに性的魅力を感じることを指して言うことが
殆どである。
本来のフェティシズムというのは、そういう状態がある程度長期に持続し、
それに依らなければ性衝動を満足させられないとか、それがあるために、
社会的に何らかの障害を抱え込んだり、本人が苦悩するといった、
ある種の性的倒錯を指す精神医学的な用語であったのだが、
この頃では、「私、~フェチなの」という風に、ただ、そういうものが好き、というくらいの
軽い使われ方をしていることも多いようである。

さて、ここで私が述べようとしているのは、その最後の、
「私、~フェチなの」といった程度の嗜好の話についてである。


私はどちらかというと、生身の恋愛に関しては、かなり臆病でしかも淡白である。
恋愛に関してばかりでなく、対人関係全てにおいてそういうところはある。
いや、人生そのものに対して淡白であったかもしれない。だからこそ、こうやって、
人里離れたどくだみ荘に、ひっそり隠れ住むようにもなったのである。

一方で、男女を問わず、恋愛体質の人というのもあるようだ。
私の娘などは、親に似ず、この恋愛体質を濃く持って生まれてきたようで、
それが、芸術家のはしくれである彼女のエネルギー源にもなっている。
私と全く反対。
これをお読みになっていらっしゃる皆様、あなたはどうですか?

しかし。そのような私も、まったく恋をしないかというと、そういうわけでもない。
ひそかに何かを好む、ということはあって、時々恋に似た感情を抱くこともある。
ただその、「私が恋するものたち」、ここで触れるのは残念ながら
その対象は特定の人ではなく、時に単なる「もの」であったり、
あるいは対象が「ひと」であっても、その体の一部であったり、
その「精神」に対してであったりいろいろである。

このブログでは、そうした、私が恋するもの、
いにしえのふみで言うところの、「愛し(かなし)」という言葉にぴったりの
感情を抱くものごとについて折節書いていってみようと思う。

「かなし」
   ①悲しい
   ②可愛い。いとしい
   ③心を魅かれる。趣がある

私がここで言うところの「~フェチ」という嗜好性は、上の②と③を合わせたような感情のこと。
さあ、私、彼岸花は、何に対してフェティシストであるでしょうか。


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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

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