『どくだみ荘日乗』

深夜一時。
今夜も、ホトトギスが我が家の上空を鳴いて通り過ぎていく。
『テッペンカケタカ!』
二声、三声…。せつない、いのちの限りの声で叫んで渡っていく。

毎年、今の季節になると、一羽、ホトトギスがこのあたりにやってくる。
私は毎年それを待ちわびている。

『何かを待つ』『誰かを待つ』…その幸せと寂しさ。
何を具体的に待つ、誰を待つ、というのでもないのだけれど、何かを待っている…
そんな心に、深夜のホトトギスの声は本当にしみじみと呼応する。
今年はとりわけ、彼の、血を吐くようにせつないいのちの叫び声が
胸に響く。
待つ人、待つものがある人は幸せである。が、
波にさらわれて待てど戻って来ぬ人を求めて求めて、ホトトギスのようにこころに血を流しながら
今も想いを夜にさすらわせている人がいるに違いない…。



どくだみ荘に、どくだみの花が咲いた。


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今、どくだみ荘に踏み入ると、どくだみの青臭い香りが瞬間ぱあっと立ち昇る。
それは強烈な、でも鮮烈な、なにか『青春の』香りである。
若い男の子の、女の子の汗の匂いのような。
でも、不思議に、花自体は実は気品のある別の香りがある。
ほんのかすかで、気づかれないくらいだけれど、白い花特有の芳香が。


でも、今、どくだみ荘はどくだみとは別の、この花の香りに包まれている。


2011_0522_141453-CIMG4579_convert_20110527020019.jpg


我が家の裏の垣根いっぱいにからんだテイカカズラ。
気品のある甘い香り。我が家だけでなく、このあたり一帯に漂っている。
深夜。窓を閉め切った今も、昼間の間に入ってきたこの花の香りが
まだかすかに、この私のいる部屋にも残っている。


ああ。またホトトギスの声だ!

深夜二時。



誰も知らない 私だけのこの想い。









http://youtu.be/UbdGxgxbBEc


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Re: lily 姫さんへ

lily姫さん。こんばんは。
いいお父様ですねえ。
京都大学霊長類研究所の松沢哲郎先生って方がいらっしゃるんですが、
この方もまたとっても素晴らしいんですが、
(あの~、賢いチンパンジーのアイちゃんと息子のあゆむくんを育てた方です)
その方が、あるとき、「チンパンジーと人間の違いはなんですか」と訊かれて、
「ほとんど同じです。ただ…人間には想像力があるということです。」と
静かにおっしゃっていました。
アイちゃんは、数字を瞬間的に認識する能力などは人間よりすごいくらいになった。

私は数年前、それを聞いたとき、とっても感動して。
お父さまの、そして松沢先生のおっしゃる通りだなと思うんです。
犬も賢い。猫も賢い。チンパンジーやボノボはもっと賢い。
でも、彼らは『想像する』ということが悲しいことにできません。
それは、人間だけに与えられた素晴らしいもの。

lily姫さんは、そういうお父様に育てられて今の考え深いlily姫さんになられたんですね。^^
私も、娘が十代の頃はよく喧嘩してました。
でも、とことんわかりあうまで話しました。時には二人とも泣きながら。
それは今にして思えばいいことだったなあ…

人間のやさしさ。
lily姫さんとお知り合いになれて、そうして皆さんとお話させていただいてて、
ほんと、私、それを考えさせられるの。
私ね、自分が厳しい人間かなあ、と時々自分が嫌になることがある。
厳しい、というと言葉はいいけれど、『狭量』って言った方が近いかな。
時々、『いかん!いかん!』って、自分の頭をごちん!ってします(笑)。

『甘い』ことなんてないです!
それがlily姫さんのすごいところだと思うの。NANTEIさんがね、とっても褒めてらした。
それがこうやってお話させていただくようになってからすごくわかる。
私のことも皆さんに紹介してくださって、あんなに真剣に話してくださって。
ほんとね。ひとはやさしいですね。
きっとね、また、lily姫さんだから、まわりの人がやさしくなるんだと思うの。
ひとのこころは。自分の心を映す鏡ですね。

ホトトギスの鳴き声。いまはあんまり聞けないかも。
ちょっと待っててね。……

去年やはりホトトギスのこと書いてて、その時お借りした画像、
今取りに行ってきました。^^
これがホトトギスの鳴き声です。

http://youtu.be/UbdGxgxbBEc

巧く貼れてるといいけど…

lily姫さん。おやすみなさい~♪

No title

子どものとき、といっても10代の後半だったけど
父とケンカをしたときに
「学習能力は、人間以外もみんな持っている」
「人間が他より優れてるところは、学習能力と想像力を持ってることだけだよ」
「やってみらんと分からん! 経験してないから分からん!などと言うお前は想像力を持ってないんだね」
「ほとほと馬鹿だね」
と言われて、ものすごく悔しかった思い出があります
その時は、くやしくてたまらなかったけど、ずっと心に残ってて
「本当にそうだなぁ」と思ってます
そのこと、今度書いてみようと思います

私、人間って、捨てたもんじゃないって思ってるんです
ほとんどの人間が、優しさのかたまりでできてるって思ってるんです
いい年して、こんな甘いこと書いてると、笑われるかなぁ?


ホトトギスの声、聞いたことないかも?
聞いたことあるけど、ホトトギスの声だと知らないのかも?
『テッペンカケタカ!』 覚えておきます

Re: 大門先生へ

テッペンハゲタカ!じゃありませんよ~う!(笑)
テッペン丈高!あれ?テッペンカケタカ!
天辺欠けたか!
おとと、かかさへ、特許許可局!
キョッキョ、キョキョキョキョ!
ほうちょ、カケタカ!
キョッキョ、キョキョキョキョ!

Re: NANTEIさんへ

NANTEIさん。こんばんは。週末から来週初めは、激しい雨風になりそうですね。

私は今日は珍しく新宿など行ってきました。ジュンク堂で探したい本があって。
三越が撤退するとジュンク堂もどうなるのか…。いいところ、いいものに限って消えて
行くようで、時代の流れとは言いながら、複雑な想いです。ジュンク堂は続けて欲しいなあ。

どくだみ。咲きました。狭い庭のほんの一角なんですけれどね。
母の形見のヤブコウジを駆逐してしまいかねないのですけれど、ブログのタイトルに
使っておりますので、無碍にもできず(笑)。でも、楚々とした花の風情が好きです。
ひとは嫌うかもしれない、あの青臭い香りも。
擬宝珠も、増えますね。でもあれも、花も葉も美しいですから。
日当たりの悪い庭でも、百合はよく育つので、今年はいろんな種類の百合の球根をたくさん植えて
『百合荘』にしよう、などと去年考えていたのですが、大災害に気を取られ、
庭もほったらかしたまま。

> はっきりしているのは、人間は食物循環から外れた唯一のいびつな生命体になったということです。
>宇宙の摂理が赦す筈ないでしょう。
>人類が摂理から赦される行為は農耕のみではないだろうかと(気候、風土という問題はありますが)、偏ったことを考えてしまいます。

ああ。NANTEI さん。私もまさにこのようなことを考え、記事に書いてみようかと
思っていたところでした。でもなかなかまとまらず。NANTEIさんがこうやってすっきり
整理してお示しくださったので、書けるようになったかも!(笑)
ほんとに、人間は、このほんの半世紀ほどの間に、思いあがりすぎてきたという気がします。
この地球に奇跡のように生かされている一生命体としての自分たちの存在を失念し、
なにか、この世を支配する神の一族ででもあるかのように振舞い続けてきた。

> 彼岸花さんの哀しみの根底には、原発という凶事だけではない人間の愚かしさ
>(私も、私たちも含めて)への憐憫と怒りが、如何ともしがたく
>蟠っているのではないでしょうか。

ありがとうございます。私自身だってほんとに愚かな存在だと思うのですが、
私の根っこにはおっしゃるように、人間というものが歴史に学んでいかないことへの
絶望、というものが確かにあるかもしれません。そうして深く自省し、自ら恥じる、という
ことが少ないことへの。想像力が欠けがちなことへの。
今の福島原発を巡る構図はあまりにも、戦争中の愚かしさに似ていますね。
水俣病の構図とも…他のもろもろの過去の理不尽とも。

日本が今の悲劇を乗り越えて、そこから世界のモデルと目されるような、
そんな国になれるでしょうか。ただ、今までのように、環境のことなど
他人のことなど、次世代の人々のことなど考慮しないやみくもな発展というものでなく、
地球上の一員としての分をわきまえた、こころやさしい国に…。

出来るような気もするなあ…とこの頃考えていたんですよ。そのことを
書こうとしていました。
ただ、日本人の中に消えがたく有る心性。
自分を深く顧みることなく、事物の奥底にあるものを深く凝視する勇気がなく、
大きな流れに身を任せていれば安心、という、このお調子の良さ!そして
忘れっぽさ!(笑)それは問題だよな~、と考えてしまいます。
それが大きな悪をのさばらせてきました。

ここで日本は大きく変われるでしょうか?

若い方たちが今回大きく学んでいってくれているようなのが希望です。
2チャンネルなどでも結構しっかりした議論が展開されていたりします。
ネトウヨ、と呼ばれるような、これまでの政権や大人たちに変な
刷り込みをされている者が、ヘンな意見を書くと、ちゃんとそれに
理を説く若者がたくさん出たりしてきている。
若い人々が大きく変わりつつある、という気がします。
ひょっとするとこれは、私などが若い頃経験した学生運動などという
ある意味うわついた、ブーム的な反体制運動ではなく、一人一人が
自分の頭で考えて、よく見て、真摯に現実を掴んで、そこから
さざ波のように広がっていきつつある、案外強い大きなムーブメントかもしれないぞ!
という、嬉しい予感も感じさせます。

そうですね。私も、ときどき、お出かけしたり、ぼうっと深まりゆく緑の世界に
実を置いたり、美しい音楽を聴いたりして、元気に、気長にこの世界の動きを
見ていった方がいいですよね。

NANTEIさん。ほんとにありがとうございます。

Re: t.gray さんへ

t.gray さん、ご無沙汰しております。

> こちらは、今日も、霧がかかりひんやりした朝をむかえています。

ああ!今頃の季節の北海道は、まだ寒いのでしょうねえ。
霧のかかるひんやりした朝…なにか、憧れます。
少女の頃、朝な夕なに歌を口ずさむとき、手にしていた愛唱歌集の挿絵にありそうな。

子規…ホトトギスですね。^^
t.grayさんは子規がお好きでいらっしゃいますか。
私も、夏目漱石が好きなので、子規のことはだいぶ読んだりしました。
本当に。ホトトギスのように、血を吐きながら、膨大な量の詩歌や俳諧の研究を行い、
素晴らしい短歌や俳句を残して、35年の人生を飛び去っていきましたね。
35歳!
なんという成熟、なんという仕事量でしょうか!
私は、若い子規と漱石が、一緒にボートを漕いだり、野球をしたり(『野球』って子規の命名ですものね)
している姿を想像するだけで楽しくなってしまうのです。
落語を見に行ったり、漢詩や俳句をひねったり…。

短かったけれど、やりつくして悔いのない人生だったのではないでしょうか。
今晩も、ホトトギス、訪ねてくるかな…

t.gray さん。ありがとうございます。

No title

えっ!
テッペンハゲタカ?

おはようございます。

どくだみが咲きましたね。私のところはまだです。年々擬宝珠がはびこってきて、どくだみが少なくなってきました。こんな小さな空間でも自然の環境は刻々と変わってきます。これが広大な例の里山ともなると、もっとダイナミックに変貌してゆくわけで、去年まであったXX草は見る間に名前も知らない植物に取って変わられ、竹林はある所は猛烈にその範囲を広げるかと思うと、別のところでは後退するという現象が驚くほど多々見られます。人間の手が加えられない自然は、このように種の争いが続けられているわけです。こういう光景を見たり、農地での昆虫たちの闘争を観察するたびに、私は人間という種のことを考えないわけにはいきません。
はっきりしているのは、人間は食物循環から外れた唯一のいびつな生命体になったということです。他の生命を食べ尽くすようにして繁殖し、他の生命体の役に立つことはなく、それどころか環境を壊しながらますますはびこってゆく。宇宙の摂理が赦す筈ないでしょう。将来人類は滅びる前に別の進化を選ばざるを得なくなると考えています。人類が摂理から赦される行為は農耕のみではないだろうかと(気候、風土という問題はありますが)、偏ったことを考えてしまいます。
彼岸花さんの哀しみの根底には、原発という凶事だけではない人間の愚かしさ(私も、私たちも含めて)への憐憫と怒りが、如何ともしがたく蟠っているのではないでしょうか。朝からへんなことを書いてしまいました。
花々や刻々と濃くなる緑を眺めながら、少し頭を休めてください。

おはようございます。

ご無沙汰して居ります。
お変わりございませんか。
こちらは、今日も、霧がかかりひんやりした朝をむかえています。

ホトトギスの血を吐くようにせつない命の叫び声が胸に響く、
私は、
正岡子規のことをおもってしまいました。
とてもせつなく、
どくだみの白とテイカカズラの香り、ホトトギスの血を吐くようにせつない命の叫び声、

    赤と白
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/pekai/signup.html
国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/donate/?grid=header02
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