『八百万神の灯』 ①

先日『神の劫火』という記事を書いた。

原発というものは、なにか強大で厳しい一神教の神のようなところがある。
それに対し、日本には、道端の道祖神や天神さまから大木、巨岩、お稲荷さんに至るまで、
ありとあらゆる小さな神々がいらして、日本人はそれを昔から大切に信仰してきた。
太陽光、水力、風力、波力、地熱等々、といった自然エネルギーは、言わば、
そういう小さな神々のようなものであり、日本人にはそれらは本来性に合っているはずである、
そうしてまた、それらの技術も持っていたはずである…

そんな論点から書いてみた記事である。

梅雨や台風のシーズン、そして暑い夏がやってきた。
被災地の人々の住環境の劣悪さを思えば、一刻も早く、より良い環境に移して
差し上げたいし、原発の収束にあたる作業員の方々の環境面、健康面、精神面
のバックアップも一刻も急がれる。
しかし、それなのに政治は、これらとは関係のないところで醜い政争をして、
混迷の限りを尽くしている。

私はここ一カ月ほどずっと菅総理を応援してきたけれど、それは
彼がまあ一番脱原発に踏み込みそうな政治家と思ったからである。
それが自らの延命のための駆け引きに使われているのであろうがなんであろうがいいのである。
とにかく、原発を停めて欲しい。停める方向に踏み出してほしい…その一心である。

これほどの被害をもたらした大事故…それなのに、
河野太郎氏を除いて、彼以外の誰も、『原発を停める』という
首相候補がこの日本にいない、というのが、私には逆に驚きなのである。
まあ、みんなが寄ってたかって、菅さんの足を引っ張ること引っ張ること!

それでは、あなたたちはどういう復興のビジョンを持っているのか、原発をどうするのか、
と問うて、はっきり答える人がいるだろうか?
まあ、菅さんとて、はっきりしない点では同じかもしれないが。

…そんなことで、私はなんだかすっかり、この国の政治家を見放したくなってしまい、
この国自体に希望はないのではないか、…そんなことを考えるようになる日さえあったのである。

そんなとき、『杜の舟へのご案内』ブログのmorinof さんから、こんなコメントをいただいた。

全文をそのまま、ご紹介する。


『私の夢ですが』 morinof

もう既にベンチャー企業は自然エネルギーに動いていますね、
だからワクワクしています。
::::::
かつて筑豊炭田は、それぞれ独自の火力発電所を持ち鉱山から社宅、
炭住まで全て賄っていましたが相次ぐ閉山で九州電力に取って代わりました。
丁度その転換期に電気工事士として送配電の切り替え工事にかかわっていたことがあります。
炭鉱閉山がなければ、筑豊の私たちは多分今でもこの恩恵を受けていたことと思います。
原発に頼らない電気、従来の電力会社での買い取りを望まずとも、
小さな規模でもその気運が高まれば、またかつてのような独自の送配電も可能な事です。
もし、そうなれば従来の電力会社は膨大な費用で借地上の送配電線、電柱、鉄塔などの
撤去をしなければなりませんから、売電の縮小による減収や、膨大な撤去費用を考えれば、
それらの設備の貸与や売却も考えなければなりません。
小規模な地域でも、町ぐるみでも、そんな中小規模の独自の発電をやれば
地産地消で送電ロスもなくあのような馬鹿でかい鉄塔も不要になって来ます。
小規模であれ、このような自然エネルギーによる新規発電事業がたちあがれば
政府も、従来の怪物企業も新たな選択をせざるをえなくなるのです。
小川せせらぎ発電事業による僻地、山村の雇用創出。
九大の発電効率が約3倍、しかも低周波を極力抑えることのできる
ギヤレスモーターの海上風力発電設置も海上にハニカム・フロートを組み、
それ自体を魚介類の養殖場や観光釣り場としても併用。
半透過光式太陽光発電により、パネル下での農産物生産その温度管理、加工まで
含めたスーパー・アグリ事業
考えただけでも壮大な雇用の創出と還元コストが窺えます。
これらの物は、もう既に手の中に握られているのですから,我欲のしがらみで
悶えている政治家さんたちに期待するより元気な企業さんや私たちの夢に期待しましょう。
世界が反原発に舵を切り始めた今がチャンス
日本の企業はこれを逃す手はありません
国内で採用されなくても世界に市場が開けたのですから自然エネルギー産業は
もう誰にも止められなくなるでしょう。
政治政策を変えろ、自民だ、民主だなんて云ったところで誰がやっても同じ
「野うさぎ用の店」だと思っています。
それより自然エネルギー事業が世界に向けて動き出して流れが出来さえすれば、
法律も政治政策も変えざるを得ない
・・・・・・何て事を、大きな期待を持ってずっと考えているのです。



おお~!
そうだよな~…。
政治を嘆いていても仕方ない。そうだ、心有る者、志ある者は
いずれ自ら動く。現に、多くの市町村が脱原発の方針を明確に打ち出し、
多くの企業が、自然エネルギーの分野に大きく参入を表明している。

また、twitterなどを見ると、多くの若い人々が反原発、脱原発の声を
結集しようとし始めている。

それらはいずれ、大きなうねりとなり、そうだ!経済界の仕組みに風穴を開け、
政治をも変えていく力となるであろう!

九州大学の海上風力発電の研究。これは私も面白いと思い、
いずれ詳しく調べてみようと思っていた…
小川せせらぎ発電事業も、これは新しい水力発電のありようとして
注目を集めている…!

まさに、これ!私が思っていた、小さな神々による小さな発電ではないか!

勿論、これらの新技術はまだ開発途上。いくら寄せ集めても、まだ原発の代わりに
日本の電気を賄っていくことはできない。
しかし、大きな規模の工場などは、従来の石炭石油や、ガスなどに担ってもらい、
家庭用の電気や、学校、官公庁、小さな商工業施設のための電力なら、
こういった小さな発電でも賄っていけるはずである。

無論無駄は出来ない。九州の福岡で作った電気を宮崎で使う、というようなことは
避けたい。町村レベル、市レベル、せいぜい大きくなったって県レベルくらいで
自給自足できる電気を考えていけばいいのである。
勿論あまった電気は、電力会社や、他の地域に売ることが出来る。

…そのためにこそ、自然エネルギーによる発電の全量固定価格買い取りに関する法案や、
『送電・発電の分離』が必要なのである。(だから私は菅さんを応援している!)

この地域の自給自足型の小規模発電を望むのは、日本のみならず
世界的規模にも塁の及ぶ悲惨な事故をもう二度とこの日本で起こしたくないということ。
そうして、これが、原子力関連施設の代わりに、地域に新たな産業を生み、
雇用を生みだして、過疎の町村の再建にも繋がるかも知れないからである。

…そんなことを、コメント読みながら考えていると、今度は、
『大師山 花森 11  DAISHIYAMA / HANAMORI ONZE ◆
紀州高野山花坂邑不動野・古民家生活ドキュメンタリー』ブログの、
はなさかすーさんから、こんな情報をいただいた。

まさに、小さな神々による発電、を実行している地方公共団体のリストである。

「永続地帯2010年版報告書」の公表について 2010年12月28日

これは千葉大学倉阪研究室とNPO法人環境エネルギー政策研究所が共同で調査発表しているもの。
100%エネルギー永続地帯である市区町村は、57町村、日本にあることを発表している。 †
これは、域内の民生・農水用エネルギー需要を上回る量の再生可能エネルギーを
生み出している市区町村(100%エネルギー永続地帯)の調査結果である。

http://sustainable-zone.org/

57町村のうち26町村は、食糧自給率においても100%を達成しているという。

それぞれの町がどういうふうに風力発電などの自然エネルギーを取りこんでいるのか、
その試みの実際は、また、各町村の資料を見る必要がある。

たとえば、ドイツ、ローデネ村では、草原に大規模太陽光発電所を建設し、
新たな発展を遂げつつある。発電所建設だけでなく、村民が設立した
太陽光発電サービス会社は新たな雇用を生み出し、過疎化しつつあった村が
蘇りつつある。
約100 名の村民が出資して「ソーラーパーク・ローデネ有限会社(SPR)」を立ち上げ、
太陽光追尾式架台を生産する工場を建設し、2006 年末、北海に近い10ha の草原に2000kW の
草原太陽光発電所が完成した。その後、増設して現在は2601kW になっている。
標準で1 基に3kW のシャープ製パネルを取り付けた太陽光追尾式架台902 台がずら
りと並ぶ発電所である。草原の羊の放牧は従来通り可能であるが、地主には借地料が支払われている。
これなどは、広い土地をつかっている例だけれど、それにしても、
この村の住民は自分たちで出資して発電会社を作り、無論自分たちで使う電気は
そこで生みだすとともに、さらに、借地と売電による利益まで得ているのである。

ドイツではこうした再生可能エネルギーを柱とする地域づくりを進めている地域が、
合わせると国土の44%にも達するという。
詳しくはこちらを。

http://www.parep.org/img/img-dir/img703_file.pdf#search='風力発電 利益 売電 欧州 村'


『原発がないと日本は産業も国民の生活も衰退し、日本はだめになってしまう…』

原発推進を謳う人々がいう、この脅し。本当なのだろうか?

原発をこの狭い、地震の多い国土に54基も作り、『安全、クリーン、安い』を
巨額の宣伝費をかけて大人に、そして学童にまで刷りこみ教育をしてきた電力会社と政府。
原発こそがむしろ、日本をだめにしてしまったではないか!!!

今、日本の基幹産業と言える自動車でさえ、海外に輸出しようとすれば、
放射線量チェックを受ける。食品に至ってはなおさらのこと。
日本にいた海外の人々は日本を去るようになり、経済活動においてだけでなく
音楽、演劇など、芸術活動においてすら、日本は避けられるようにさえなってしまった。

日本人が長い間の先人たちの努力によって築いてきた、日本人の優秀さや、まじめさ
日本製品、日本の技術の素晴らしさ…そういった神話も、原発事故のおかげで
壊れてしまった!

長くなるので、またそれは別の機会に触れたいけれど、日本には素晴らしい
自然エネルギーに関する研究が現在もたくさん進んでおり、そのいくつかは
実用性が世界に注目されている。

自然エネルギーの研究と実践において、日本は世界の最先端を行く技術と
能力を持っている。
それなのに、こんな危険な原発にまだしがみつき、みすみす自然エネルギー分野において
世界に後れを取ることを指をくわえて見ているのか?


もう一つ。大きな大きな問題がある。

今、世界に443基の原発があり、建設中のものが出来上がれば、500基以上の
原発がこの地球にあることになる。さらに計画中のものが約160基。
中国、ロシアなどはさらに原発を作り続け、
やがて、数10年先になるかもしれないが、今開発途上にある国、
たとえば、モンゴルなども原発を持ちたいと思いようになる。
アジアの小国でも、アフリカでも、南米でも…。

しかし、ウランの埋蔵量はせいぜい70年程度。これらの新興国、そして先進国が
原発をなおも稼働し続ける先にはいったい何が起こるのであろう。
今回のことで痛感したであろうが、危険な核の廃棄物、その処分場さえないというのに。

原子力発電は、石油などとともに、いずれは衰退していくものである。
そうして、いったん動き出せば、停めることも、休むことも、廃炉にすることも
思うようにまだコントロールできない、極めて高価な、そして極めて危ない
エネルギーである。

それならば、高い技術力と勤勉さを持った日本人は、自然エネルギー分野にこそ
全力注入すべきではなかろうか。
そうして国内だけでなくたとえばモンゴルに風力発電など、その土地土地の
気候や地形にあった自然エネルギーをそういった技術の側面から援助できる、
エネルギー先進国。エネルギーモデル国になれる筈である。

自然エネルギーのいいところは、小規模でも、その地域の規模に合わせて
原発などよりははるかに安価に、はるかに建設にも時間をかけず、
しかも、少々の技術的未発達のところはあっても、原発事故のようにカタストロフィを
もたらすなどということもない、小回りのきくエネルギーであるということである。

それは、何度も言うように、日本のような風土、そうしてこれから発展しようとする
比較的貧しい国々にとって、原発などよりはるかにふさわしく望ましい
エネルギーと言えるであろう。

小さな神々の火…。
それはいつかそこから大きなビジネスチャンスを生みだすものでもある。
しかし、だからと言って、また電気使いたい放題の暮らしに戻って行っていいということではない。
小さな、ささやかな神も敬って大事にしてきた日本人の心、
それは地域を大事にし、そこに共に住む隣人たちや動植物、
そして自然そのものを大事に思い、共存していくこころである。

…失って始めて、私たちは、そうしたささやかな幸せ、当たり前の幸せが、
いかに脆く失われてしまうかを、学んだのではなかろうか…。

それを学ばない、それに気づかない人々に、この日本を任せてはいけない…。


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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
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