『私の好きなノート』 私の「もの」がたり 其の七

年頭ということで日記の記事を書いたが、何人かの方からやはり日記に関する
思い入れについてのコメントをいただいた。
皆さんのそれぞれの想いが伝わって嬉しく楽しく。

日記、また日記代わりのノートについて補足記事をひとつ。

私が日記にしている、『マイブック』は、カバーを外すとこんな感じ。

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最初からカバーを外してご紹介すればよかった。
下にある新潮社の文庫本とまったく同じ仕様。
ね。ちょっといいでしょう。
タイトルの下に、島崎藤村著などという代わりに『・・・著』と書けるようになっています。
この本を、自作の詩や短編、随筆などの作品を書くために使う人はここにご自分の名前を。
まあ、私は、そういう趣味も能力もないので、カバーをかけたままですが(笑) 。

『千曲川のスケッチ』は私の好きな本。
先の記事で挙げたギッシングの「ヘンリ・ライクロフトの私記」もそうだが、
写生文というか、淡々と過ぎていく人生の間(あわい)を一瞬鮮やかに切り取ったような
文章が大好きである。

マイブックは、でも、何しろ版型が小さいので少し書きにくく、
すてきなペンとインクで『書く』という動作の醍醐味を味わいたい方には不向きかも。
それにはやはり、ある程度の紙面の大きさというか、ノートの開き具合の良さが
不可欠であるように思う。

そういう意味で、私はリング綴じのノートがちょっと苦手。
書いてきて、リングのごつごつに、掌がぶつかる感触がどうも・・・・。
必要があってコピーなどをとるときにも、リングが写りこむのが気になるし。
また、いらなくなったノートをごみとして処分しなければならない時、
紙をリングから引き剥がして、金属部と分別しなければならないが、
それが女手には、なかなか力が要って大変なのも、リングノートを敬遠する理由。

ルーズリーフをバインダーで綴じるのは、扱う資料が多い人などには、差し替えが自由に効くので
いいのかもしれないが、私のように暇な人間にはもう不要(笑)。

というわけで、私がノートを使うならやはり昔ながらの大学ノート、と呼ばれるもの。
そもそも大学ノートって、なぜ大学ノートなの?
というわけで検索してみたら、ちゃんと説明してくださっている方が。
http://www.union-net.or.jp/cu-cap/daigakunote.htm

それによると、大学ノートは、『1884(明治17)年に東京帝国大学(現:東京大学・本郷)
の近くにあった文房具・洋書店の松屋で売り出されたことに由来する。』とある。
『ヨーロッパから留学帰りの同大学の教授が勧めたもので、イギリスからフールス紙という
クリーム色の洋紙を輸入、製本されたこのノートは学生の間で人気となる。
これを学生が大学ノートと呼んだとも、松屋が大学ノートという名前で売り出したとも言われる。
少し後に神田の丸善が大学ノートとして大量生産。その名は広く知られることになる。』

検索していると、『小学生の頃、大学ノートって大学生にならないと使っちゃいけないのかと
思っていた』などという投稿もあって愉快だった。
子供の心とは純朴だなあ、と微笑ましい。

今では可愛いイラストなどの入った、そうして表紙の素材もバラエティに富んだB5判のノートが
たくさん出ていて、それらも大学ノートと総称して呼ばれているきらいがあるが、
私にとっての大学ノートはやはりこれ。

2010_0109_163317-CIMG1204_convert_20100110160658.jpg

左にあるのが一般的に大学ノートと呼ばれているものだろう。伝統的にフールス紙を使用。
私は好みの強い母親で、子供にも早くから、こういった大学ノートを使わせていた。
子供は可愛いイラストなどの入ったものが欲しかったかどうか、訊いてみたことさえない。
でも結果的に
「大人の好みというものは、こういうものだよ。』というのを、小さいうちから叩き込んだのは
よかったのではないかと思っている。

ノートといえば、だれにとっても懐かしいのはこれだろう。

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おなじみジャポニカ学習帳。
ノートについてストイック好みの私も、これには愛着が。
表紙の美しい写真。そして目的に応じて子供に使いやすいように、『こくご』『さんすう』
『しゃかい』『自由帳』『漢字練習帳』など種類も中身も工夫されて文句のつけようがない。
ジャポニカ学習帳フリークは大勢いらっしゃるんじゃないかな。

小学生のノートといえば。
さて、このノートは?

2010_0109_173131-CIMG1218_convert_20100110164940.jpg


『さんすう 下級用 文部省基準品』と書いてある。
バックは児童画で有名だった初山滋風。前にいる男の子と女の子の二人の顔や服装は、
どこかアメリカナイズされた絵柄。

実はこれ。私の小学2年生の時のノート(笑)。
実に実に、今から55年前のノートである。
中身は?
一部お見せしようかな。

2010_0109_164540-CIMG1208_convert_20100110165446.jpg

どうやら、引き算を習っているところで、自分で文章題を考えて作る、という課題のようだ。
算数のノートだが、国語の教科書体の活字のお手本どおりに正確なひらがなを書こうとしている
小学2年生の、几帳面な私が見てとれて、何やら自分で自分がいじらしい(笑)。

裏表紙には『二ねん一くみ。名前・・・・』が書いてあって、
そのほかに、2年生の彼岸花ちゃんは、超まじめな性格だったにもかかわらず、
その時どうやら授業中退屈していたかして、自分の名前の漢字のサインの練習が
たくさんしてある(笑)。
芸能人のサイン風に一所懸命くずし字にして頑張って幾パターンも書いてある。
そうして、『わたしのサイン』と、見出しまで振ってある(笑)。
その時の子供の心が見えるようだ。
あ。私のことなんですけどね(笑)。
本名が分かってしまうので、お見せできないのが残念。
あの、小さな彼岸花ちゃんは、どこに行ってしまったのだろうか。


こんなのもある。その算数のノートの間に挟まって、ずうっと人生25回もの引越にも
かかわらず、私と一緒にくっついてきたもの。

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小学校一年生の時の私の国語のプリント。
真ん中のは傷みがひどいが、母が引越の際に茶碗をこれでくるんでいたのを、
私があわてて回収した記憶がある。まるで、江戸末期の浮世絵の運命のような話(笑)。
その記憶さえ、もう50年くらい前のこと。

浴衣や犬に模様を描きこんでいるところが私らしいな、と思う。

ああ、ノートの話からだいぶ脱線してしまった(笑)。
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ジャンル : 学問・文化・芸術

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Re: morinof さんへ

ああ。確かに、今は「わたしはおかあさんのごようで・・・」などという
話しかたをする人はいないでしょうね。当の私自身がそんな言葉づかいは
もうしていません(笑)。morinof さんにこういう風に指摘していただき、
私自身が驚いています。
「ああ、あの頃、私はこういう話方をしていたのかと」。
小津映画などを見ると、子供がこういう話し方をしますね。声の高さや
発声の仕方、イントネーションまでが今とは違います。

morinof さんがこの言葉をお好きで、創作の文章でお使いになられたことがあると
お聞きして、今更ながらにこういう話し方の美しさ、その優しさに、何か感動を覚えてしまいます。
そこには、母子の細やかな愛情の結びつきや、親への尊敬などの、美徳がこもっていますね。

こんなやさしい話し方をしていた少女は、本当に私だったんでしょうか(笑)。
「言の葉の匂い」・・・・・、すてきな言葉です。
忘れていたやさしい感情を、揺り起こされたような想いがいたします。

morinof さんも少年のころのノートをお持ちでいらっしゃるということ。
どんな長編漫画なのでしょうか。
それは宝物ですね。拝見したい気がします(笑)。
鉛筆を走らせ、コツコツマンガを描きためて行く小さな男の子。
その後ろ姿の細いうなじが目に浮かんできそうです。

おかあさんのごようで

 わたしはおかあさんのごようで・・・・何故か私にとっては懐かしい日本語の
使い方。『わたしはおかあさんのごようで』という言葉のニュアンスが好きで、
記憶では23歳のとき創作文中に一度使ったきり忘れかけていた匂い。
 勿論『何か御用でしょうか。」などでは使うのでしょうが、会話や文中で、
自分の母に丁寧語の御用を繋げるのを耳にしないような・・・・・・。
ただ私の身近に女の子が居ないせいかもしれませんね。彼岸花さんのノートを
盗み読みしながら、ちょこっと言の葉の匂いに引っかかってしまいました。
 私の手元にも、低学年のときノートに鉛筆書きした長編漫画が残っています。
不思議。それを開くたびに「この子何処に行ったんだろう。」なんて思うのです。

Re: さかごろうさんへ

ボロいでしょ(笑)。
半世紀前のものですものね。半世紀!(笑)
でも、意外と劣化してない。
ノートの表紙などいまだに色鮮やかです。
プリントのクレヨンの色も。
これたぶんね。どんどん、ぴいぴいなど、擬音の勉強のテストか宿題で、
時間の余った人は塗り絵していいですよ、ってことだったんだろうと思います。
そっちのほうに気合が入ってる(笑)。

不思議とそう昔って思えないんですよね~。
でも、小さい私は確実にもういなくて、この今の私になっている(笑)。
人生っておかしくて愛しいです。

さかごろうさんもサインの練習を?(笑)
子供って一度はやってみるのかなあ。
でも、さかごろうさんのサインはおそらく、憧れというところで言うと、
『アイドル』と呼ばれる人たちの真似ですよね。
私の場合は『少女スター』よ(笑)。
松島トモ子とか、鰐淵晴子とか、上田みゆきとか。
上田みゆき。声優。ささきいさお夫人。
いろんなアニメで今も活躍。

私ももちろん、サインを求められたことなどありません(笑)。

Re: れんげちゃんへ

いいでしょ~(笑)。
でも、『故郷の廃家』で書いたけど、彼岸花さんは小さいころの写真が
アルバムごと紛失。数枚しかないのです。
写真が無いってのはさびしいです。

だから、れんげちゃんの、ちょっとさびしい気持ち。よくわかります。
自分の足跡ですものね。
でも、もしかしたら、見つけてないだけで、ご実家のどこかにあるかもしれませんよ。
大事な賞状とか、おかあさんがお捨てになるかなあ。

もっとも私のこのノートも、母がとっておいてくれたというよりは、
(なんせ子供の大事な記念の紙で茶碗をくるんじゃうんですから!笑)
私が自分で大事に思ってずっと管理してたの。
子供心に棄てられなかったんだと思います。
小1から高3までの通知表もあるわよ(笑)。

神経質な子でお行儀がよく、『見ているこちらが気疲れするようです。』
と、小1の時の担任のコメントに書いてある(笑)。
そういうところも確かにあったんだけど、いたずらなところもあって、
小1の入学式の後、教室でお母さんたちもずらりと後ろに並んで
担任とクラスメートと初顔合わせという緊張した場面で、
「起立、礼!』の後、前の男の子のいすを引いて転ばせて、泣かせたこともあったのよ。
何を考えてたんですかね(笑)。

自由帳。私も大好きで、よく買います。
細い罫のノートは苦手。
字を割と大きく書くので、罫が細いと窮屈だし、最近のノートの罫がなんか好きじゃない。
目盛っぽいのが姑息についているところなど。
自由にイラストでもなんでも描けるほうがいいわよね。
ちなみに、日記代わりの『マイブック』も、罫はありません。

No title

わぁぁ~~、子供の頃の彼岸花さんのプリント。
よく、とってありましたねぇ。スゴイ。
私のは実家にあるとは思うけど、もう捨てたかも?

人のノートを見るのって結構スキです。(悪趣味? 笑)
それにしても綺麗な字だワ~。
私、いまだに字が汚いです。。。

あ・・・そうそう。
私も子供の頃、自分の名前をサイン風に書いて練習していたことがありました。
でも、サインを求められたことは生まれてこのかた一度もありません(笑)

No title

こういうのが、残ってるっていいねぇ~。
れんげ、何にも残ってないの。
教科書も、ノートも、写真や賞状も、たくさんあったのになぁ~。

自由帳、だいすき!!
どのノートをたくさん使ったか?ってこれが1番多い~~~♪
今でも、たまに買うぅぅぅ♪
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彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
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国境なき医師団
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