『菅総理の功罪』 其の二 [SPEEDIその他]

3月11日。あの大地震、大津波、そして原発事故を受け、それ以降、官邸はどう動いたのか。
その真実のところは、直接そこにいた人々以外、わたしたち一般の者には誰もわからない。
私はCSで、『朝日ニュスター』という局をよく見る。
ここは珍しく、反原発・脱原発をテーマにしたトーク番組などをやってくれるのだが、
それらを見ていても、評論家、と言われる人々にさえ、実際、その頃、官邸の奥で
何が行われていたか、知る者はいないようなのである。

東電は事故の重大さをいつ認識し、どういう対応を取ったのか。
官邸、そして首相には、どこまで話したのか。
官邸の人には伝わったとして、菅さんや枝野官房長官にはちゃんと情報は上っていたのか。

菅さんが、普段からイラ菅、と言われるほど短気だったとしても、
報道で伝えられたほどに当時の菅さんがいらついて周りの者を怒鳴り散らしていたということは、
菅さんに必要な情報が、うまく伝わっていなかった、ということを表してはいまいか。

たとえば、SPEEDIの問題であるが、6500枚ものデータが
事故後に取られていたのである。
前の記事でも疑問を呈したけれど、菅さんはなぜ、このような今こそ使うべきシステムを
事故後すぐに使わず、3月23日になってからようやく一枚だけそれを公開し、
SPEEDIというものの存在を明らかにする、という、奇妙にして許し難いことを
したのであろうか。かなり遅くまで知らなかったのか。

ブログをお訪ねくださったAngela さんから、こんな興味ある内容のコメントをいただいた。
ご許可を得て、転載させていただく。

7月、東電&経産省と戦い、(それとの因果関係さておき)証拠なしの収賄容疑で
起訴された元福島県知事の佐藤栄佐久氏の話を聞く機会がありました。
その際とっても驚いた発言;

「福島県担当職員は3/13にSPEEDIの結果をもらっていたが、国が公開しないので
知事にも上げず公開もしなかった」

聞き間違いかと思いましたが、後日福島県いわき市で行われたシンポジウムでの
佐藤氏のこの話を、飯田哲也氏もツイッターしていました。
これから総てのことしっかりと検証してもらいたいです。


Angela さん。ありがとうございます。
う~む。
またこんなことも。自民党の石原幹事長がTVタックルで、発言していたこと。
彼はSPEEDIのことを知っていたが、政府が何も発表しないので、
事故後、バタバタしている菅政権を見ながら、敢えて何も言わなかった、というのである。

菅さんも、枝野さんも、「SPEEDIのことは知らなかった]と言っている。
自民党の石原氏が知っていたことを、本当に菅さんたちは知らなかったのか?
知っていたのに、彼らは嘘をついていたのだろうか。

それに関して、ニューヨークタイムズが8月8日に このような記事を載せている。

http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2011/08/i-7608.html

東京支局のノリミツ・オオニシ、マーチン・ファクラー両記者による、
「日本政府、放射能情報隠し 避難民を危険に曝す]という、長文の調査報道記事である。
それによると、あの「涙の会見」を行ない、福島の児童達の年間被曝線量積算値を
20ミリシーベルトという途方もなく高い数値に設定していることなどに、
涙の抗議の辞任をしたあの小佐古・東大教授が、菅直人首相の「トップ・アドバイザー」に対して
繰り返し、必死になって「SPEEDiによる拡散地図」を公開するよう求めたが、
無視された――と証言している、という記事である。

これによると、小佐古氏は、その「トップ・アドバイザー」が誰なのかここでは
明らかにしていないが、とにかく繰り返し訴えたけれども、その声は事務方や
アドバイザーのレベルで止まってしまい、菅総理に届いていなかったようにも思われる。
…ああ!

この間のことを、テレビなどはどう伝えていたのだろうか。

http://www.youtube.com/watch?v=bh6fYtKOZB4

原子力安全委員会斑目氏、原子力安全・保安院、SPEEDIを管轄していた文科省…。
これらが取材に対し答えているのだが、どこも知ってはいたが、責任を回避し、
他の省庁や組織に、判断と発表、菅総理への報告を丸投げしていた様子が
あきれるくらい無様に聞きとれるのである。
そして枝野官房長官を中心とする官邸も、確かに「聞いていなかった」と言う。

誰がどこまで知っていて、誰が判断し、報告や発表を差し止めたのか。
菅総理たちは、いつそれを知って、知りながら、3月23日までデータ公開しなかったのは
なぜなのか。自民党の石原氏が知っていたことを、菅総理たちが、いくら文科省や
斑目氏、保安院等から正式の報告が上がってこなかったからと言って、3月23日まで
放置していた形になったのはなぜなのか。

先ほども、私は「朝日ニュスター」というCSの局を見ていると言ったが、
『宮崎哲哉のトーキング・ヘッズ』という番組にゲストで出た上杉隆氏がこう語っている。
長い番組ですが、ジャーナリズムと政官の癒着についての興味深い話なので、
いつかお暇のときにゆっくりお聞きください。
1から4くらいまで続きます。

http://www.youtube.com/watch?v=iIGNBk6iryQ&feature=related
    http://www.youtube.com/watch?v=qBlZVKCnfY8&feature=related
    http://www.youtube.com/watch?v=024wk_a0ayk&feature=related
    http://www.youtube.com/watch?v=knRQi9Z4wzU&feature=related


まとめるとこうである。いろいろな人がSPEEDIのことを知っていた。
しかし、誰もそれを口に出してはっきり言わなかった。上に報告して行かなかった。
自分のところで差し止めたのである。
なぜか。一つ。それを公表することによって、大パニックが起こり、
それが自分たちが公表したせいだという責任を回避したかったから。
一つ。そんなはっきりした自覚でさえなく、曖昧になぜか上にあげなかった…。

上杉氏は、むしろ、その曖昧な責任回避、ということを厳しく告発している。
そうして、日本人のその『周りの空気を読む』という、独特の精神構造、
そして『横並びの』発想、行動、というものを、厳しく叱っている。(1/4の、14:30くらいから)
彼自身が数多くの記者会見などの取材等の過程で感じた、ジャーナリストの
馴れ合い体質について語っている際に、である。

長々とSPEEDI について書いたが、私は、菅さんを擁護するためにのみ、
これらの記事を書いていっているつもりはない。彼の脱原発の姿勢ゆえに、
彼を応援してきたけれど、そしてそれを今でも評価しているけれど、
それでもなお、菅さんはこのSPEEDI そのほかのことに関し、十分に仕事を
し尽くしたとは思っていない。

私が一番嘆くのは、こうした、多くの責任ある立場にいた人々が、菅さんを
頂点として、枝野氏、官邸の事務方、閣僚その他のアドバイザー、原子力安全委員会の
斑目氏、保安院、文科省。
末端に至っては、Angelaさんがお書きになった福島県の職員、そして知っていながら
菅内閣のもたもたぶりを傍観していた?自民党石原氏、などに象徴されるように、
一旦大事件や大事故が起きると、こうして、誰もが責任を取らない、
政治的行政的空白が生まれがちだ、ということに対してである。
誰もがおたおたし、どうしよう!とまわりを見る。誰もその横並びから一歩出て
声を上げる勇気がない。それは自分が声を上げることによって、大パニックなどが
引き起こされ、あとになって自分がその責任を取らされるのが怖いから。
結果、(国民の賢さのおかげで)パニックは回避できたけれど、浪江町を悲しい一例とする
無益な被曝が広がるのを放置してしまったのである。

どこかで責任の放棄があった。
どこかで嘘をついた。
…それらはまた、さらなる責任回避やより大きな嘘に発展していってしまう。
SPEEDI の問題は、汚染藁を食べた汚染牛の流通、などにもやがて繋がって行く…!
おそらく、3.11直後に行われた大きな欺瞞と裏切りは明らかにされないまま
うやむやのうちに終わり、それをうやむやにしたことが、
日本人の歴史の汚点として残るであろう。
ちょうど、先の戦争のとき、責任所在が曖昧なままのうちに開戦に突き進み、
また終戦後、その反省と追及が完全にはなされないまま、いまだに過去の亡霊が
大手を振って歩いているのと同じように。

私が嘆くのは、こうした、人間の弱さ、卑怯さについてである。
それは何も上層部の人間だけに限らない。

県の職員だって、それからテレビに出て「安全です]「問題はありません」の
発言を繰り返した識者と言われる人々もそうだったし、局側の人間だって、
自分たちが番組で煽ったせいで、パニックが起きることを恐れ、本当のことを
ジャーナリストとしてどこまでも追及し、報道しようとはしなかったのである。

かく言う私だって、3.11の直後。いや、3月いっぱいくらいまでは、
こうした疑問を胸の内に渦巻かせながらも、誰かを名指しで告発することはしなかった。
計画停電の話が、全く『唐突に!』東電と政府から一方的に言いだされた時も、
「ああ!これは、東電が国民とりわけ都民の目を原発からそらすため、
そうして非難の矛先を東電からそらすため。
原発がないと、こんなに困るんだぞ!ということを庶民にいやというほど
思い知らさせ、国民の怒る元気を奪う、巧妙な刷り込みだ!」と、すぐに感じた。
しかし…私も、そのことを家族以外の誰にも言わなかった…
証拠もないことだし、自分が怒りを煽り、パニックの発信源に少しでも
なりたくはなかったからである。
かくして、私自身も、ブログに本当の気持ちはずうっと書けていない。
記事をふりかえってみると、実に4月2日まで、書くべきか、抑えるべきか迷っている!
4月3日にようやく怒りの記事を書き始めると宣言している!

「今は非常のときだから、余計なことは言うまい。」

…そういう自己規制を、わたしまでもがかけていたのである!
一匹狼的な生き方を好み、人に同調するのが嫌いなこの私も、目に見えぬ同調圧力に
屈していたのである!
わずかに、「おとなしい羊にはなるまい」という表現で、怒りを無理に抑えて。

ああ!そんなことをこの私自身がしているうちに、
そういうふうに、国のトップにいる人々から、行政の末端にいるひとまでもが、
責任を回避しているうちに、放射能汚染は広がって行ってしまったのである…
人々が3月、ゆえなくしなくてもいい被曝をしてしまった。
そうしてその、責任の所在の不明確を許した日本人の精神構造は、今もまだ、
食品の放射能汚染の広がりや、肥料化された汚染汚泥、放射能汚染された瓦礫の
持ち出し等によって、今後もまだ、被曝を全国レベルにまで広げ続けようとしている…








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Re: lily姫さんへ

lily姫さん。こんばんは。
はい。悲しんでいます。私は野田さんに期待していません。
一応彼は、菅政権の脱原発依存を継承する、と言っているようです。
しかし、根本的な考え方は原発推進。いや、推進とまではいかないかな。
原発温存、と言った方がいいかな。
今は、政権を取ったばかりだし、他にやることがたくさんある。
国民の多くの気分は厭原発。だからそれに敢えて逆らって、今、原発をどうこうとは
しないだろうと思います。ところがたぶん、ほとぼりが冷めた頃、…
というのは、飽きっぽい国民の関心が原発からそれた頃、たぶんそれは
来年早々くらいかな、と私は見ていますが、あちこちの原発が稼働したい、とか、
原発建設続行したい、とか言いだすでしょうね。
そして、野田政権はそれを許していくだろうという気がします。
小さなところに人の意志は現われる。
彼が、菅さんをあれほど批判していた経団連の米倉会長のところに
真っ先にあいさつに行き、米倉氏も上機嫌で「応援しますよ」と言ったという。
そういうところを見ても、ああ、野田さんは菅さんと全く反対の路線を行くな、
ということがなんとなくわかります。

北海道泊原発の稼働に見るように、道民の意志、まして国民の気持ちなどというものは、
政治に反映されません。高橋知事という、経産省と深く結びついた女性知事、
そのただ一人と、泊村という、立地村、ものすごいお金をもらって潤っている
一町村の意志。それだけで、いとも簡単に原発は再稼働されてしまいます。
政治家のトップが誰であるか、ということは、ものすごく大きいです。
だから私は、菅さんの退陣を本当に惜しみました。

唯一、原発を止められるのは、大きな世論の盛り上がりです。
菅さんはそれを待っていたと思う。支持率のアップという、大きな応援を。
ところが、やればやるほど支持率は下がって行きました……。
国民がフクシマを、いつまで忘れずにいられるか…それにかかっていると思います。
その厭原発の気分が強く国民の間にある限り、政治家もそうむやみに原発推進などとは
言いだせない。

…と思ってたんだけど、総裁選を見ていると、馬淵さん以外、皆原発推進、
でしたからね~。ありゃりゃ~!という感じです。

lily姫さん。無理して、原発のこと記事にすることないと思います。
ただ、折りに触れて、身近な人に一人づつ、原発のひどいことを
話して伝えていく…そんな活動も大事な気がします。
そして、選挙など、声を上げられるときは、ね!^^

私も原発のこと、忘れたい。
何度もそう思うけれど、性分ですかねえ、書くだけは書いとこうと思う気持ちが強く。
でもね。私のような、反原発の人間は、かえって反・反原発のひとを生むかも。
lily姫さんのように、やわらかい厭原発、の方が、共感を広げていきやすいのです。
確実にそれは言える。
だからね。私に関係なく、lily姫さんの本分を生かして、これからも、
やわらかく明るく、原発いやだね、って、声を広げていってくださいね♪

彼岸花おね~ちゃんは、これからもちょっと激しい闘士で居続けるからさ。(笑)


No title

彼岸花さん、こんばんわ
今、変換キーをついうっかり2回押したら、悲願花さんになりました
誤変換ではなく、本当に悲願花さんと呼びたいほどに、悲しみが伝わってきます

こんな情況ですもの
誰か政権をとったって、再び、原発推進には向かないだろう
誰がどんな思惑を持っていたって、脱原発に向かうしかないだろう

恥ずかしいほどに甘い私は、まだそんなことを考えていたのですよ
そして、今もそう思ってるところがあって・・・

でも、どうやら、そんなことはないですね
悲しいけれど・・・

私の甘い願望など、音を立ててパリンパリンですね

今、考えてること、思ってること
私も記事にしたいのだけど、原発のことを書こうとすると
キーボードの上で、両手がくた~っとなってしまいまする

Re: NANTEIさんへ

小さな、たとえば、対震疑惑や船場吉兆の食の偽装などは(小さいとも言えないけれど)、
マスコミが大怒りして大騒ぎで追及し、経営者母子を引きずりだして
テレビカメラの前で頭を下げさせる。そうして笑いものにする。
そうして、法的にも罰せられ、一時あるいは半永久的に葬り去られます。
無論金銭面での賠償責任もとらされる。
しかし、今回の福島原発事故ほどの巨大な事故になると、相手が大きすぎるからか、
なぜか、法の追及も届かず、というよりなぜか正式に行われる気配なく、
責任者たる東電経営者も、政府要人も官僚のトップも、責任の所在が
はっきり皆の前で追及されないまま、うやむやに許されてしまうという構図は
いったい何なのでしょう!
これはもう、国家的な犯罪だと私は思います。
海外に対する罪も冒している。
電源三法の時代にまで遡って、徹底的に悪弊を追及しなければならない問題だと思う。
そうして、東電は、最後の最後まで許されるべきでないと思う。

この美しい国の、空気を、水を土を!山や川や海や野を!ひいては食を、
つまり国民の安全と健康を、広範囲に汚染してしまった!
それがどうして許されるのでしょう!

本当に理不尽です。原子力発電というものは、そもそもの成り立ちから、
理不尽を抱えていたと思います。労働者の被曝の問題も含め…
チェルノブイリのとき、世界はすみやかにこんなものから撤退すべきでした。

だがこの日本が汚染されてしまいました。もう取り返しがつかない!
あきらめるしかないんですかね。
目をつむって、あんなことなかったことにして、食べるものを食べて
海で泳いで、水もごくごく飲んで、スポーツして空気を大きく吸い込んで。

私にもどうしていいかわかりません。ただ、許してはいけない、と思う。
第二の福島が出来ないように。
そしてね。悔しいですね。推進派がほくそ笑んで、機会をうかがっているのが。

NANTEIさん。長い闘いです。
怒りすぎて体こわさないように、お互いにいたしましょう!(笑)
ありがとうございます。
不思議ですね。どなたが一緒に怒ってくださると、ガス抜き出来るんですね!(笑)


No title

絶望とは、こういうことだった!
拡散を抑えるすべがない!
不信しか残らない!救いようがない!
私程度の思考の限界をはるかに超えています。

凶暴なものが湧いてきます。
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
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