『さようなら原発5万人集会』の報道について

さて。主催者発表6万人という、9月19日の明治公園からの『さようなら原発5万人集会』
と、それに続くデモ。
マスコミではどのように報道されたか。
NHKでは5時のニュースにちらっと報道されたけれど、7時のニュースの
黄金タイム、と言える時間には、一言も触れられなかったそうである。
(私はこの時間、デモから帰宅途中だったので見ていない。)
9時のニュースは見たが、これが「はあっ??!!!」と言いたくなるようなもの。
まず、福島原発が冷温停止状態に近づいた、というニュースを、長めに5分以上
やったのだが、その途中で唐突に、わずか1分間だけ、その日の明治公園のデモに
触れたのである。その後はまた冷温停止に関するニュースに戻って。
なぜ、別々に報道しない?
まるで、わずか1分間の報道でさえも惜しみ、その印象を薄めようとする意図か、
と勘繰りたくなる。
原発はちゃんと冷温停止に近づいていますよ、こんなデモ、お騒がせなだけですよ、
とでも言いたいのか。と思うような、あざとい演出にしか見えなかった。

その他のテレビの報道も、熱のない報道だったな。
これだけ多くのひとが全国から原発をやめさせたい、という希望を持って
集まってきた。
呼びかけ人は、ノーベル賞文学賞の大江健三郎氏をはじめとする、
日本の『良心』とでもいえるような以下の人々。
内橋克人、大江健三郎、落合恵子、鎌田 慧、坂本龍一、澤地久枝、
瀬戸内寂聴、辻井 喬、鶴見俊輔

賛同人の人々の一部。
山崎朋子、湯川れい子、田島征三、樋口健二、上野千鶴子、
井出孫六、大谷昭宏、池田香代子、山田洋次、石川文洋、
加賀乙彦、中山千夏、雨宮処凛、佐高 信、湯浅 誠、飯田哲也、
小室 等、久田 恵、和田誠、今森光彦、小中陽太郎、
池澤夏樹、森 詠、山中 恒、中川李枝子、姜 尚中、早坂 暁、
鎌田實、赤川次郎、柄谷行人、道浦母都子、玄侑宗久、
石牟礼道子、田沼武能、羽仁 進、沢田研二、大石芳野、……
ああ!全部はとても書ききれない!

デモに集まったこれほど多くの一般人と、それに賛同する人々の熱い想い。
その熱気は、どこの放送局もみた限りではほとんど伝えていなかったように思える。

新聞はどうだったであろうか。

我が家は朝日新聞をとっているのだが、翌朝の朝日では、明治公園での集会とデモの記事は
1面ではあったけれど、ほんとに小さな扱いであった。
写真も、全体をとらえる俯瞰写真ではなく、歩いている参加者を一部切り取っただけのもの。
まるで、あの規模の大きさは伝わってこない。記事そのものも、僅か14行という軽い扱い。

対照的であったのは東京新聞。まず、1面で自社ヘリからの俯瞰写真を載せていた。
しかも、他の社の航空写真と違って、公園の中だけでなく、外周の道路に溢れた人々も
画面に入っているので、どれほどのひとが集まったのか、よくわかるのである!
東京新聞はさらに、26,27面にも密着ルポをど~んと載せ、29面にも大きな
記事を。…東京新聞、腰を据えてるな。

他の新聞はさて、どうであったのであろう…。

私は写真家で作家の藤原新也氏が好きなのだが、
彼が自身のホームページで、今回のデモの報道でその社の原発に対するスタンスが
くっきり踏み絵のように見えてくる、というような趣旨のことを書いている。

その記事の中で、藤原氏は、新聞各社の翌日のデモの報道を、写真入りで
載せて比較している。私は実は、こういった比較をしたかったのであるが、
この記事によって本当に、知りたかったことが明らかに見えてき、
我が意を得たり!と思ったことであった。

リンクフリー、転載OKということなので、記事を転載させていただこう。
タイトルは、『原発集会報道は各紙の踏み絵である』

http://www.fujiwarashinya.com/talk/index.php

私があきれた朝日の記事も、また、東京新聞の写真もここにある。
藤原新也氏も書いているが、おかしいのは、読売、産経、日経の3紙の扱いの
極端な小ささである。この3紙は、しかも、写真さえ載せていないのである。
…もうここまで、『デモを小さく見せたい!』という意図があからさまに見えると、
なんだか笑えてきてしまう。

デモの規模の大きさを素直に伝えて、その熱気が、感動が、より多くのひとに
伝線していくのが怖いのであろうか。
そんなにまでして、原発利権を守りたいのであろうか…

そうした、日本のマスコミの扱いの絶対的な薄さ、冷たさに比して、海外の
報道はどうであったのだろう。

http://www.abc.net.au/news/2011-09-20/tokyo-anti-nuclear-rally-draws-thousands/2907108
これは、オーストラリアのテレビ。
呼びかけ人の大江健三郎さんらについては触れていないものの、事故時の映像や、
収束作業にあたる人々、また野田総理が今週国連で、原発の再稼働が必要と言う予定であること、
菅前総理が、最悪の場合、東京を中心に3000万に人々を避難させねばならなかったかも
知れないという、厳しい認識をもっていたことなども、ちゃんと伝えている。
大事なことはちゃんと収めた3分間の報道である。

こちらは、ヘルブラウさんに紹介していただいた、ドイツ、ZDFテレビのニュース。
http://youtu.be/CBGWW2XeGfw

東京の汚染された汚泥の行方。それさえどうにも処理できない現実と
野田総理は、原発再稼働を目していることとの、庶民と政治の感覚の乖離。
それを盛り込むことで、デモをする6万の人々の脱原発の真剣な願いを
浮き彫りにしている。

日本の国営放送に近いNHKは、それに比し、わずか1分??!!
その上、それは、デモの意味を卑小化するような演出!

おかしくないか???

だが、がっかりすることはない!
本当にいいデモだったと思う。
これだけの人数が集まったにもかかわらず、警官との小競り合いや、参加者同士のいさかい、
暑さや人いきれで倒れる人など、ほとんどいなかったように思う。
無線連絡が回ってきて警官たちに緊張が走ることなどなく、またパトカー、救急車などの
サイレンの音が近づくなど、私の知る限り、一回しかなかったから。
それさえ、関係があったかどうかもわからない。

千駄ヶ谷の駅のホームに電車が着いて、ホームからこぼれそうなほどの人垣を見、
改札までの階段をすし詰め状態で牛歩しながら、今日はこんな状態がずっと続くのなら
将棋倒し事故や、熱中症や、そういった事態に遭うのもを覚悟しとかないといけないかな、
そう思ったものである。

しかしながら、人々の意識は高かった。スピーチが終わって、デモ開始が告げられてから、
Aコースの群れにいた私。前後左右を人に囲まれ、汗ばんだ肌をお互いにときにくっつけながら、
実際デモが動き出すまでに、そう…2:40くらいから30分ほども、前も後ろも横も
様子が見えない、ただ人人人の中で、ひたすら待った。
指示は誰からも来ない。始まったかどうかさえ分からない。
どくだみの清冽な香りだけ。
あとでわかったことだが、実は私などまだ早く出発できた方だったのである。
なんと同じAコースの最後の一団が、明治公園を出発できたのは、
実に、5時を回っていたという。2時間以上も会場で待たされた人々がいたわけである。 

…それでもおそらく人々は文句を言っていない。少なくとも私の周囲にはいなかった。
人々の意識は、『原発を停めたい!』…ただその一点に集中していたからである。
主催者の誘導の仕方、警官の警備、暑さ、汗ばんだ人垣の不愉快さ…そんなものは
その大きな願いの前では、小さなことだったのである。

報道が少ない?
そんなことは気にすまい。
この場にいた人々。大江健三郎氏をはじめ、呼びかけ人は概してご高齢であった。
しかし、鎌田慧さんにしても澤地久枝さんにしても、長く反原発・反戦の想いを
貫いてきた、バリバリ現役の闘士である!
その方がたの謦咳に接し、また、若々しい山本太郎氏の呼びかけに、若い世代への
希望を見、そうして、バス十数台を連ねて、福島のナマの声を伝えに来た
『福島隊』の人々、子供たちと、一体になった…!
街のあちこちで、デモに参加してはいなくても、微笑んでくれる人がいた。
こうやってブログを書いたら、「ごくろうさま』とねぎらってくれる方々がいる…。

おそらく、みな同じ願いを胸に抱いている。
いつか、原発などない、安全な日本にしたい………! そういう願い。

この熱い想いが、広がっていかないはずがあろうか。
一人が二人に伝え、その二人が四人、八人に伝える…
原発、無くそう。子供たちに安全な未来を渡そう…
警備にあたっていた、警官隊の人々だって、多くはこころの内ではそうであろう。

動かしたいものは、政治である。
デモ、署名、メール、投書、直接に面会して原発への姿勢を問う…
なんでもいい。どんな方法でもいい。
政治家、企業、マスコミ、学界…。それらで、おかしなことを言う人々におかしい!と
抗議すること。素晴らしい意見や行為には、はっきりとしたエールを送って励ますこと。
家族で、職場で、学校で、…あきらめずに語りかけること。

原発を無くしたい!

この日の輪を、この声を、大きく何重にも広げて行きたいものである。
この美しい日本をこれ以上汚さないため。
少女たちに、『私、結婚できないの?子供持てないの?」などという
悲しいことを言わせなくてもすむように。

こんな人を最後に紹介しよう。
 
反骨の写真家、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
ヒロシマ、ナガサキの被爆者の姿をフィルムに収め、三里塚闘争を追い、
自衛隊・兵器産業を追及し、公害列島を歩いて告発し、今また
山口県祝島の人々と共に、上関原発の建設に反対する…

私は不勉強なことに、この方のことを知らず、3.11後になって、
『★オッぺケペー星降る夜に…』ブログの、『その日暮らし』さんに、
教えていただいた。そして、写真集『原爆と人間の記録』『戦争がはじまる』
などを見た。
…その壮絶な闘いの人生は、とても一言で語れない。
でも、こんなブログがある。

http://usagikobeya.blog68.fc2.com/blog-entry-477.html

この不屈の写真家の人生が、よく語られている。
官憲との戦い、右翼からの脅迫、家への放火…それでも彼は屈しない。
長い長い人生を戦い抜いてきた。今もなお現役である。凄絶な生である。

福島菊次郎氏。90歳と6カ月。

http://twitpic.com/6nehwg

http://www.tweetdeck.com/twitter/yamamoto_1934/~cifaB





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Re: ヘルブラウさんへ

ヘルブラウさん。こんばんは。

NHKと朝日、ひどいでしょう?
私ね、心の奥底で、この2つを信じたい、という想いをずっとどこか持ってたんです。
まだ、日本の良識を、これらは一部背負っていると。
でも、今回の報道のありようにはがっかりしました。
NHKなど、いかにも冷温停止がもう近い、というような番組の作り方。
小出裕章さんなどが何回も言っていますが、『冷温停止』というのは、
原子炉の中に燃料がちゃんとあって、それが冷却できたことを言うのに、
1号機なんか、燃料はメルトスルーしちゃって、原子炉の中にはたしてあるのかどうか。
それで『冷温停止』とは言えない、って。

そんな、東電、政府のごまかしの発表を5分もやって、その中に、デモの報道を
意味もなく挿入して…。

ドイツのこの報道。しっかりまとまっていますよね!
ちゃんと、現在も抱える問題と、再稼働を目指す野田政権の方針との乖離も
抑えたうえでの報道。
海外の方がよく認識してるって、いったいどういうこと?!って言いたくなります。

ヘルブラウさん。これ、記事につけ加えさせていただいてもいいですか?
また、海外の声、聞かせてくださいね。
日本のマスコミの報道見てると、こっちがおかしいのかなって思えてくることが
あります。
ありがとう~♪

Re: 大門先生へ

ほんとですね~。
私もう、民放はほとんど見ません。
お笑いとか、バラエティばっかりだし。
NHKも最近見ることが少なくなっちゃいました。

でも、多少時代遅れになるかも(笑)。

足で取材してない感じですね。
ジャーナリストとしての誇りはどこ行っちゃったんでしょうね。
政治など、社会の悪や不条理を追及するのが、ジャーナリストの誇り、
という時代もあったと思うんですが…。

先生。ありがとうございます。

ドイツでの放送

本当に日本の大手マスコミの9.19の日本では最大のデモであったのに
過小とりあげはやはり御用マスコミであることを自ら露呈したようですねっ!

↓にドイツでの放送の日本語訳付きをお知らせします。
http://www.youtube.com/watch?v=CBGWW2XeGfw&feature=player_embedded

No title

マスコミの質の低下情けないね~~~~~!

Re: Angela さんへ

Angela さん。ありがとうございます。

私ね。正直言うと、NHK好きなんです。ドキュメンタリーとか、
戦争、原発関連に限っていっても、随分いい作品作ってるでしょう。
他のテレビ局には出来ない取材、出来ない内容にいい番組が時々ある。
NHKを批判して、受信料払わないとか、解体してもいいとかいう意見が多いけれど、
私は、NHKは地上波テレビ放送では、良識の最後の砦だと思ってるんです。
今の民放のひどさを見るとね、NHKが なかったらと思うとぞうっとするんです。
3.11の報道にしても、他の横並びの安全報道の中、水野解説委員とかが、
ただ一人、原発の現状に疑問を持って鋭く切り込んでたし。
何もかもお笑い一色でお茶を濁し、お馬鹿な番組作りに終始している民放。
そこで唯一NHKがまあ、踏みとどまっていた。

それがね、この報道だったから、わたしはなおさらにがっかりして怒っちゃったんです。
朝日新聞もそうですが、NHKも、たぶん内部で原発推進の人々と、
反対の人々が、ぱっくり割れちゃってるんじゃないかなあ…
だから、日によって、番組によって、記事によって、すごく論調がぶれるんですね。
まあ、それでいいのだとも言えるけれど、最近なにかだいぶ、原発を守る派が
力で押してるような気がちょっとする。心配です。

日経もそうなんでしょうね。社のカラーはあるだろうけれど、皆が皆、駄目な記事では
決してない。近藤誠一さんの、読ませていただきました♪

『目指す社会はエキサイティングなものではないかもしれない。
でも目標を達成した社会とはそんなものだ』

この言葉がぐっときますね。どんどん右肩上がりの発展を遂げてきた先進国。
それを支えていたのが原子力発電だったと言えなくもない。一部ですけれどね!^^
でももう、同じような右肩上がりの経済は、そろそろ退行期。
でも、そのことイコール不幸、じゃ、決してないですよね。
経済が縮小しても、人間の暮らしはきっともっと内面で豊かにすることは出来るはず。

野菜を買うのに躊躇い、牛乳を子供に飲ますのをためらい、子供が泥んこになって
遊ぶのを禁止し、夏、プールや海水浴さえ安心してはさせられない。
そんなことが、わたしたちが求めた経済発展の帰結だったんでしょうか…。違いますよね!^^

頑張りましょ。
Angela さん。いつもありがとう。私も元気いただいてま~す♪



御意!

NHKのニュースに関しては、私の周りの人も彼岸花さんと同じような印象をもったようです。腹立たしいですが、多くの人が放送のあり方に疑問を持つ、それだけでも前進ですね。

福島菊次郎氏、初めて知りました。ありがとうございます。
大江健三郎さん、村上春樹さん、澤地久枝さんなどなど、なぜ彼らの本が胸にくるのか、どこに魅力があるのか。もちろん複合的な要素はありますが、今回はっきりわかったことは、本当の勇気をもった人が書いているから。読み手の勇気も試されます。

「オイ、オイ、オイ!」の日経新聞ですが、夕刊の「あすへの話題」はたまにいい。文化庁長官、近藤誠一氏のコラム最終回、読まれているかもしれませんが、その一部。

「もしヘーゲルがいうように、哲学は時代に先駆けるのではなく、終わりを総括するものなら、今高まる日本文明に関する論争は哲学者に任せ、我々は次の時代づくりに専念すべきだ。古来、時代を作る力の源は、実は指導者の理念ではなく、国民の行動の積み重ねだった。」
「目指す社会はエキサイティングなものではないかもしれない。でも目標を達成した社会とはそんなものだ。」
(全文はhttp://www.bunka.go.jp/commissioner/rensai/index.html

彼岸花さんのその勇気を分けていただきましたので、これからもコツコツ積み重ねていきます。
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/pekai/signup.html
国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/donate/?grid=header02
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