『嵐のあとに』

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大きな害をもたらした台風15号の去ったあと。

久しぶりにカメラを携えて、川原を散歩。
日本の川の常で、わずか一日で水はあっという間に下流へと流れ去り、
川の水はさほど多くない。しかし、川床に生えた葦が皆なぎ倒され、
川の護岸に枯れ草がこびりついているのを見れば、水がどこまで上がったかわかる。


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風雨の乱暴狼藉の跡。
おそらく、台風の当日は、ここも小さな川のようになっていたに違いない。
ここに越してきて35年ほどになるが、ちょうどそのころ植えられた桜の並木が、
立派に大きくなっていたのだが、そのいく本かが、激しい風に根こそぎ倒されていた。
市の職員か、すでにいくつかに切り分けてあるものが、川原のあちこちに固めて置いてあった。
折角大きくなったのになあ。
不安定な土手に斜めなりに生えたりしていたから仕方がなかったかなあ…

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おや!この方は、何をしているのでしょう。市の職員?


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どうやら、そうやって切り倒された桜の樹の、皮を剥いでいるらしい。
失礼ですが、何をおつくりになるのですか、と、話しかけてみる。
「笛ですよ。」
「えっ!笛?」

お話では、この方は日本の龍笛やお囃子笛の作家でいらっしゃるらしい。
写真撮ってもいいですか、とお伺いすると、恥ずかしげに微笑んで、「構いませんよ。」

このように、桜の樹皮を注意深く剥ぎ、これを0.9ミリの細い紐状にしたものを、
煤竹で作った笛本体に巻きつけていき、さらにそれに漆を塗って仕上げるのだそうだ。
普通はこの桜樺、専門の卸商から買うのだそうだが、今朝、川原でこれらの材を見つけ、
試しに少し、磨きをかけてみたのだそうである。

それがこの破片。灰色っぽい樹皮が、磨くと?こんなふうになる。

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横にはこんな立派な切り株もあるけれど、こう皮がざらざらなのは使い物にならない。
ただ、差し渡し40セントほどもある立派な樹。鼓を作るのにいいそう。
ただし、彼自身は、笛専門で、鼓作りはしないらしい。

こんなふうに、皮を20数センチ×60センチくらいのものに切り取り終えた。

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この中の、節くれだったところを避け、つややかな部分だけを使ってつないで、紐状の
ものにする。一本の笛に20メートルの長さが必要だそうである!

興味は尽きなかったけれど、作業の邪魔をしてもいけないので、お礼を言って別れた。

ああ!なんだか愉快だな。外を歩くとこういう面白いこともあるんだわ♪

そう思いながら、楽しく川を下っていると、先ほどの紳士が、自転車で
私を追いこして行った。お互いに挨拶を交わして。

住所、お名前などお伺いして、工房見せていただければな、とちらっと思ったけれど、
お互いに名も知らない、…その方がいいのでしょう。
良い樹の皮だったらしいので、ここに打ち捨ててある桜、使えそうなもの
全部お持ち帰りになったらいいんじゃないか、勿体ないな。と、素人は欲張りなことを
考えるけれど、一枚で十分だと言う。一本笛を作るのに一年かかるって言ってたな…。
なんだか、淡くっていいな……


煤竹を笛にするのはわかる。でも、その上に桜樺(桜の樹の皮をそう言うらしい)?
どうもイメージが湧かない。
家に帰って、出来上がった笛がどんなものになるか調べてみた。
写真があったので、引用してみよう。

http://fuu-chou-sha.jp/about.html



さて、散歩の続き。

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エノコログサが金色に色づき始めている。
なんだか、おいしそう。
雀たち、きっと、これ、『おいしい!♪♪』って思って食べるんだろうな~。

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こんな子たちだって、よく見りゃ美しい。そしていじらしい。


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こんなの見つけ!




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ああ!いいなあ!



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ああ!いいなあ!


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秋だ!
人恋しい秋が来た!





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     かりそめの 恋ゆえ紅し 彼岸花











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Re: 乙山さんへ

こんばんは。
ほんとに急に涼しくなりましたね。
私ももう、毛布一枚かけてます。
さっき、背中が冷えて、こんこんしてました。
乙山さんも、ほんとの風邪にしてしまわないよう、ご用心くださいね。^^


 曼珠沙華一むら燃えて秋陽つよしそこ過ぎてゐるしづかなる径

木下利玄の歌ですか。^^
良いですねえ。ほんとに今の季節の光の感じ、そうして、曼珠沙華の
生えている場所の特性を端的に表していますね。
そう。日陰のじめじめしたところに咲く花ではないんですよね。
案外と日当たりのいい、明るい林とか土手などに咲く。

私はこの花を見るたびに、美しい女を想い、来ぬひとを待って
涙に濡れた、長い睫毛のようだなあ、といつも思います。
赤で情熱的にも思えるけれど、その姿は意外にも寂しげで、
『待つ女』という感じがします。

どこかで自生の彼岸花、ご覧になれるといいですね。^^

Re: 水無月さんへ

彼岸花。綺麗に撮れましたでしょう?
この台風で、ぽっきり折れてしまってるんじゃないかと思いましたが、
このあたりは花はまだまだのようで、これから咲く茎がたくさん
出ていました。誰が植えた、というわけでもなさそうなんだけれど、
年々増えて行っています。
水無月さんのお参りなさるあたりは、もうそういう盛りの時期を
過ぎてしまったのででもありましょうか。
一面に咲いているのも見事だし、また一本だけ寂しげに咲いているのも
私は好き。

水無月さんも、職人さんの仕事ご覧になるのお好きでいらっしゃいますか!^^
私は自分が大雑把だから、そういう仕事は出来なかったけれど、
見ているのだけはすごく好きです。プロの手つきは鮮やかで美しいですね。

ああ、わたしも、ふらりと旅がしたいなあ……!
気の向くまま、各駅停車の電車にふらりと乗って。見知らぬ駅にふと降り立って。
ささやかな商店街を歩いて。
お腹がすいて寒くなったら、小さな食堂に飛びこんで、温かいおうどん啜って。
ちょっと大きな街では、みしらぬ喫茶店に立ち寄るのもいいな。
珈琲注文して、窓から道行く人をぼうっと見てる…

東京街歩き。一か所ずつ行くとこ決めてやりたいなあ、という夢も果たせていませ~ん!i-241

ほんと。きっとすぐに歳の暮れよ。…困る困る、そんなの!(笑)


Re: lily 姫さんへ

良いでしょ~~~?
他にもね、小さい秋、いっぱい見つけたのよ。
綺麗な桜の落ち葉とかね、赤とんぼとかね、ヨウシュヤマゴボウの実とかね。
もっと秋が深まると、また違った見つけものが!^^

暑いときもあるんだけど、日差しの色が夏とはもう違いますよね。
金色を帯びてるの。

桜の樹皮のあの美しい銀色がかった光沢。
その面影は、出来上がった笛には全く残ってないですね。
それがちょっと残念な気がしたけれど、こうして、ただの煤竹で
笛を作るより、割れにくく丈夫になるんですって。
釣り竿とかもそうだけど、煤竹ってのがまた手に入りにくい。
古い民家の高い屋根裏とかに建材として使われて、何十年も囲炉裏の
煙でいぶされて出来る煤竹。いいものは一本数十万円もするとか。

父がね、大分で竹細工してたの。大分って、竹細工が名産品でしょ。
小さい頃からその作業見てた。だからね、誰にも教わらなくても、
簡単な籠なんかだったら、自分でできます。
小学校2年生のとき、父とは生き別れしたんですけども。
小5の夏。父の住む高原の村に帰った時の思い出は、わたしの一生のたからもの。^^

 

Re: スキップさんへ

ふふ。私ね、あまり普段はそういうことしない方なんです。
ひとみしりで無口。
でも、職人さんの仕事するの見てるの、昔から好きだったんです。
普請やってると、大工さんが、鉋かけするの見てるの好きでした。
綺麗な薄い、、大きな木の鰹節みたいなのが、しゅるしゅるたくさん、
足元に落ちるのとか、欲しいな、って思ってみてたり。
昔風の豆タイルを流しに貼り込んでいくのとか。1個、あの青いタイル
くれないかな、って思ったり。
畳屋さんが畳縫う仕草も見てると飽きませんでした。

やさしい方で、嫌がりもなさらず、私がそばで見てるの許して下さいました。
桜樺はね、勿論普段は買うんですって。値段も言ってらした気がするけど、勘違いかも。
でも、台風が去った後の川原を散歩してたら、桜の樹がこうやって何本も
倒れたのを、丸太状にして積みあげてある。
こりゃ使えるかな、と思って、写真のように小片を家に持ち帰って
磨いてみた。使えそうだ、ということで、こうして剥ぎにいらしたそうですよ。

勿体ないですね。全部使えそうなとこ持ってらっしゃればいいのにな。
桜の木だって喜ぶでしょうにね。

私も、美しい桜の樹肌を生かして、そのまま、笛に貼りつけるのかと
思ってたんです。そしたら、紐状にして巻きつけて。
…これ、知らなければ、桜の皮、なんて思えませんね。^^

Re: 大門先生へ

> 秋だねぇえええ~~~~!

> 秋ですぅうう~~~~!(笑)
ここいいでしょう?あ、でも。大門先生はもっといいとこ旅してらっしゃるな。

私は、エノコログサとか、オヒシバとか、風草とか、…そんな草たちが
黄金色になっていくこの季節がすごく好きです。
青い蜜柑に爪をたてると、ぱあっと清冽な香りが立ち昇るこの季節。

彼岸花も綺麗でしょう?
世の中にはこの花を、忌み嫌う人もいてちょっと悲しい。
この花をブログのハンドルネームにしたのは、そうした固定観念と
戦いたいという気持ちがちょっとあったからで~す。
ひとりでも自由に咲いていたい、というきもち。

ありがとうございま~す。^^

Re: NANTEIさんへ

NANTEIさん。いいでしょ~?(笑)

自分の住む土地に一向愛着のない私ですが、この川原の風景だけは
好きです。随分ここにはお世話になりました。^^
人通りが多いので、気持ち良さそうでも寝転がれないのが残念。
流星群の夜は、構わず、寝転がっちゃいましたけどね(笑)。

お花の名前で、いいでしょ~?
ハンドルネーム、お花の名にしといてよかったな。^^
『昔の名前で出』れば(爆)、年に二回、威張れます。
沈丁花さんと彼岸花さん。

良い季節になりました。
そうですね。外に出ましょう。歩いていると、なにかに出会いますよね。
3月から、ほんとに外を歩かなくなっていました。

『母娘出づる大学病院 彼岸花 (南)』

ああ!大学病院と彼岸花。なんだか意外なとりあわせだけれど、
そう伺うと、とっても似合う。
この母娘は若いお母さんと少女でしょうか。
それとも、初老のお母さんと大人になった娘でしょうか。
老女と中年になった娘でしょうか……。
生まれた娘を抱く若い母でもいいですね。^^

大学病院も、都心の緑の少ない病院でなく、『サナトリウム』、という感じの
植え込みの緑が多い、そんな病院ですね!

彼岸入り

こんばんは。
秋彼岸ですね。うっかり夏のままの格好で寝てしまい、
少し風邪をひいたかもしれません。
あわてて春秋に使う少し薄手の布団を引っ張り出そうとしています。

写真の最後に彼岸花(曼珠沙華)がありますね。
曼珠沙華一むら燃えて……を思い出します。
花にもいろんな形があるのだな、と見るたびに思います。

自生している彼岸花は、まだ見かけておりません。
どくだみなら、もうお手のもの(?)なのですが、
自生している彼岸花を見たいものです。

こんばんは

きれいな青空に赤い彼岸花。綺麗です。

お墓参りに行った時の、青い空と土手に咲く彼岸花を思い出しました。
お墓は山一つ越した、隣の県のお寺にあります。
春、お盆、秋、それぞれの季節、峠を越してのドライブは楽しいです。
特に、秋のお墓参りは、赤い彼岸花を見るのが楽しみです。でも、年々減ってきて寂しいです。

わたしも職人さんの手仕事を見るのが好きです。
子供が、何かの職人さんにならないかなぁと思っていましたが無理ですね(笑)

どこかへ出かけたいですねぇ。清々しい空気を胸いっぱい、深呼吸をしたいです。
うかうかすると、あっという間に年の暮れになってしまいそうです。
ちょっと気が早いですね・・・(笑)

No title

ああ、いいなぁ
小さい秋を、いっぱい見つけたのですね

雲、すっかり、秋ですね
風の匂いも、もう夏の名残は無くなっていましたか?


桜の樹皮を紐状にして、巻きつけて、漆を塗る
よく思いつきましたよね
イヤ、思いついたのではなく、ものすごい量の手探りの積み重ねの中で、見つけたのですよね
昔々の人の仕事を受け継いでいる人は、もうそれだけで尊敬してしまいます


No title

 色々な仕事があるんですね。またよくぞ、声を掛けましたね。確かに、そんな笛ってあったような気がしますね。でも木が倒れなければ、どうやって手に入れるんですか。買うんでしょうが。

No title

秋だねぇえええ~~~~!

ああ、

いいなあ!
ああ、いいなああ!
最後にご自分の花。いいなあ(#^.^#)。

「外へ出でよ!」
秋はとくに散策が思索のとき。

母娘出づる大学病院 彼岸花 (南)

Re:waravinoさんへ

はい。台風一過の川原を、デジカメ散歩してみました!^^

そしたらこんな方がいらして。
わたしにしては珍しく、話しかけてみちゃいました。
気持ちよくお話し聞かせてくださり。

細かい仕事で、目がちかちかしてしまうとおっしゃってました。
私のイメージでは、折角桜の樹肌が綺麗だから、これをこのまま
煤竹の笛の装飾として貼り付けるのかな、と思っていたんですが、
実物を見て、ああ!こういうふうになるのか!と。
あとで調べたところによれば、竹のままのものより概して高級で、こうやって
桜樺が巻きつけてあり、さらに漆を塗ることで、笛を割れにくくするのだそうですよ。

私、なぜか職人さんが好きで。きっと父が竹細工などを生業としていた時を
少女の頃見ていたからでしょうと思います。

waravinoさんは、細かいこともお上手でいらっしゃると思うんですが、
上手ということと、好きである、ということは別ですものね(笑)。
私も、職人さんの芸術的な手さばきを見るのが好きな癖に、
自分は案外大雑把です!(笑)
洋裁などもしますが、ざっざざっざと大雑把。

これから、歩くには良い季節ですね。

秋^^

こちら一日遅れで台風一過の青い空です。
台風が残暑を追いやったのか。
通過以来すっかり秋めいてきました^^

桜の皮を糸状にして巻く~
これは知りませんでした。
写真を見ると細いから。それを20mも使うとなると。
かなり根気のいる仕事ですね。
こんな手仕事をする人って好きなんですが。
自分には無理ですね~w

手仕事に向いているようで。
ちゃらんぽらんな性格が災いしておりますw^^)/
プロフィール

彼岸花さん

Author:彼岸花さん
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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/pekai/signup.html
国境なき医師団
http://www.msf.or.jp/donate/?grid=header02
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