『男の人の腕』 「愛しき(かなしき)もの」その一

私がひそかに好きなもの。
私がひそかに恋するもの。
それは『男の人の腕』、である。

私が男性を好きになるとき、その人の顔はともかく、この、『腕』、が気に入るかどうか、
ということは結構大きく影響してくる。
たくましい腕。美しい長い指・・・・。いいえ、そんなことは判断の基準にはならない。
細くて弱々しい腕であろうが、ぷっくりして女のような指であろうが、それは一向構わない。
要するに、その人にピッタリの腕、その人にピッタリの指であれば私はいい。
例えば作家にして新党日本代表の田中康夫氏の指。
色白でぷっくりしていて、女の手のようである。
何かいつも、軽く丸く握られているような掌であって、あの手がすっと延びて
例えば女の人をしっかりとかき抱くなどということがちょっと想像できないような、
甘ったるい感じの掌と指である。
でも、あの手は、彼の顔と体の他の造りにぴったりと合っていて違和感がない。
田中康夫さんに別に恋しているわけではないが、あれはあれでいい指だと思う。

私はむしろ逆に、男の人の繊細な指の方が苦手。
芥川龍之介のような全体に長い感じの顔と体躯の人で、しかも精神の
研ぎ澄まされた人が、長い繊細そうな指をしているのは、ああ美しいな、と思うが、
精神が未熟なのに指だけ妙に繊細で長く美しい、というのは駄目である。

また、私が好きになる男の人の手で絶対条件になるのは、清潔であること。
清潔、と言っても、肉体労働をしていて、日に焼けていたり、脂が染みついていたり、
そういうのは気にしない。
要するに、手をしっかり洗ってくれさえするならばそれでいい。
逆にどんなに美しい形をしていても、ご不浄に行って手を洗わない男は嫌である。
洗っても、指先だけをちょろっと水で濡らす、というのはもっと嫌いかも知れない。
しっかりと、ごしごしと、流水の下で手を洗う男。それだけで私はその腕を好きになる。
洗う時、袖をぐっと捲り上げてくれていたら、もっといい。

煙草を持つ男の手。
これはもうどんな人でも好きになる。
一連の動作をする、その手の動きが皆いい。
煙草をシャツの胸ポケットから取り出す手。
一本抜きとって、ライターをとり、火をつける時の横顔。
大抵男の人はその時、顔をしかめるのもいい。
一息大きく吸い込んで、それを吐き出す時の横顔。
煙草を持つ手はどんな形でもいい。
親指と人差し指でつまむ持ち方であろうが、人差指と中指の間に挟む
持ち方であろうが、それが深かろうが浅かろうがどんなでもいい。
また深々と吸いこんでゆったりとした気持で吸っていようが、
イライラと煙草に手を伸ばすのであろうが、どちらでもいい。
願わくはこれも、白いワイシャツの袖をまくりあげている腕ならばもっといい。

仕事をしている男の手も好きである。
資料を求めて、本棚に伸ばす手。
さっさっと慌しげにページを捲る指。でも、ここで唾をつけたりするのは最低。
製図板の上に置かれた手。
木材を運ぶがっしりとした腕。
車のハンドルの上に休めた手。これを好きな女は多いのではないかしら。

こう書いてくると、男の人の手なら、どんな手でもいいと言っているようだが、
そこには何か、これは良い、これは嫌、という基準はある気がする。
その基準はいったい何なのだろう、と考えていて、出した結論は、
平凡な結論のようだが、私の場合は、そこにやはり男の「強さ」「靭さ」、
を感じさせるとき、ああ、いいなと思うのであるような気がする。
ただしそれが意識的にであってはぶち壊し。見せびらかしの強さではだめ。
無意識のうちに、女にそれを感じさせる手に、恋してしまうようだ。

一つそういった例を挙げよう。

話が飛ぶようだが、私は民放のテレビ局の女子アナ、というのがどうも好きでない。
彼女たち自身が、というのではなく、個性も知性も豊かであろう女性たちを、
ただ、番組の花としてとか、いじられキャラのようにしてとしか扱わないような
番組作りが大嫌いである。
そういう中でただ笑っている女子アナ、というものの存在が嫌いであった。

ところがある時、何かの番組で、男の人のどういうところに魅かれるか、
というインタビューを、休憩中?の女子アナにしていた場面があった。
すると、名前も顔も思い出せないが、ある女子アナが、
「私は、別に付き合っているとかそういう人ではなくて、たまたま仕事上の
知り合いとかで、一緒に交差点を渡る、というような状況になった時、
信号が青に変わった時に、その人が私の腕のここをぐっと握って信号を
一緒に渡ってくれた時、ああ、いい!と思ったことがあった。」と、
自分の手首の上あたりを差しながら語っていたことがあった。

「ああ!わかるわかる!」と、私は一ぺんでその女子アナが好きになってしまった。
ただ恋人のように手をつなぐのではないのである。
よくあるように、二の腕を優しくつかんでエスコートするというのでもないのである。
「そら。信号が青になったよ。渡ろう。」、と、
女の人の手首の辺りを上からしっかりととって人波をかき分けていく。
その男の人の手。あなたも「いい!」とお思いになりませんか?

要するに、私は、「決断」、を秘めた男の人の手に魅かれるのであるような気がする。
その時は別に大したことはしていなくても、いざとなるとぐっと強い手。
そういうものを予感させる手と腕に。
そうして究極の条件として、精神の清潔さを感じさせる手と腕に。


ちなみに、男女の関係なく、見事に美しい腕だなあ、絶品だなあ、と
私が思う腕は、女子ソフトボールの金メダリスト、上野由岐子さんの腕である。
彼女の腕の美しさを意識してみたことがない人は、一度、試合中のところを
観てごらんなさい。絶品の腕である。ただもう健康で美しい。


彼岸花さんはまた、今、ある腕に恋している。
誰の腕かって?それは秘密。
実際には無い腕かもしれないし、あなたの知っている腕かもしれない。
(あなたの腕かもしれませんよ。男女関係なく腕と手に心魅かれる
彼岸花さんですから。笑)




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『しだかれて十薬忿怒の息吐けり』

『南亭雑記』の南亭師から頂戴した句。このブログになんともぴったりな句と思い、使わせていただきます。
十薬とはどくだみのこと。どくだみは踏みしだかれると
鮮烈な香りを発します。その青い香りは、さながら虐げられた若者の体から発する忿怒と抗議のエネルギーのよう。
暑い季節には、この強い歌を入口に掲げて、私も一民衆としての想いを熱く語りましょう。

そして季節は秋。
一足早いけれども、同じく南亭師からいただいた、この冬の句も掲げておきましょう。

『埋火に理不尽を焼べどくだみ荘』

埋火(うずみび)は、寝る前に囲炉裏や火鉢の燠火に灰をかぶせて火が消えてしまわぬようにしておいた炭火などのこと。翌朝またこの小さな火を掻き立てて新たな炭をくべ、朝餉の支度にかかるのです…

ペシャワール会
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